米長期金利・FRB利上げ観測・円安是正圧力が焦点
2026年9月のドル円相場は、8月末から続いた円高を引き継ぎ、月前半には152円台まで下落した(8月末までのドル円相場については、「2026年8月のドル円相場まとめ」で整理している)。
その後は米インフレ指標の上振れとFRBの利上げを背景にドルが反発し、日銀会合後には158円台、月後半には159円台まで上昇した。
一方、日米当局による円安是正圧力が上値を抑え、月末から10月初めにかけては156~158円台で方向感を探る展開となった。米PCEや雇用統計の弱さからFRBの10月追加利上げ観測は後退したが、米10年債利回りは5%台を維持し、ドル円の下値を支えたことが9月末の特徴である。
その月の主な注目材料
- 日銀の追加利上げ観測
- 円キャリートレードの巻き戻し
- 米PPI、米CPI
- FOMCの0.25%利上げ
- 日銀の1.25%への利上げ
- FRBの年内追加利上げ観測
- 米2年債、10年債利回り
- 中東情勢と原油価格
- 米PMI
- 日米当局による円安是正圧力
- 為替介入への警戒
- 米PCE物価指数
- 米雇用統計
- 日銀9月会合の「主な意見」
- 米短期金利と長期金利のねじれ
9月は、月前半の日銀利上げ観測による円買いから、FOMC利上げ後のドル反発、さらに月後半の米長期金利上昇と円安是正圧力の綱引きへとテーマが変化した。
月末には米PCEと雇用統計が弱く、FRBの10月追加利上げ観測が大きく後退したものの、米10年債利回りは5%台を維持した。このため「利上げ期待後退=そのままドル安」とはならず、ドル円は156~158円台で底堅く推移した。
週ごとの相場まとめ
9月7日週:円高が進み152円台へ、米CPIでドルは反発
9月7日週のドル円は155.98円で始まり、日銀の9月利上げ観測、円キャリートレードの巻き戻し、海外資産から国内への資金還流を背景に円買いが加速した。
8日には152.89円まで下落し、円は対ドルで約7カ月ぶりの高値圏へ上昇した。その後は米PPIとCPIの上振れ、原油高によるインフレ警戒からFRBの利上げ観測と米金利が上昇し、ドル円は154.36円まで戻して週を終えた。
週初時点の展望は「来週のドル円見通し(2026年9月7日~11日)|米CPIがFOMC利上げ判断の最終関門」で整理している。
9月14日週:FOMCと日銀会合、日米同時利上げが最大の焦点
9月14日週のドル円は153.45円前後で始まり、FOMCと日銀会合を受けて大きく上昇した。FRBは政策金利を0.25%引き上げ3.75~4.00%とし、ドットチャートでは年内もう1回の利上げが中心シナリオとなった。
一方、日銀も政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げたが、決定は7対2で、追加利上げへの明確なタカ派姿勢も示されなかった。このため円売りが進み、ドル円は一時158.05円まで上昇した。その後は日銀によるレートチェック報道で156円台へ急反落し、156.88円で週を終えた。
週初時点の展望は「来週のドル円見通し(2026年9月14日~18日)|FOMCと日銀会合、日米同時利上げなら何が起こる?」で整理している。
9月21日週:159円台まで上昇後、円安是正圧力で157円台へ反落
9月28日週のドル円は157.17円で始まり、原油高と米長期金利の上昇を背景に一時158.45円まで上昇した。
一方、日米当局による円安けん制や、予想を下回った米PCE物価指数を受けて156.38円まで下落する場面もあった。
週末の米雇用統計では非農業部門雇用者数が2.9万人増と市場予想を大きく下回り、FRBの10月追加利上げ観測はさらに後退した。しかし米10年債利回りは雇用統計後も再び5.28~5.29%付近まで上昇し、ドル円も157円台後半へ戻して157.85円で週を終えた。週初時点の展望は「来週のドル円見通し(2026年9月28日~10月2日)|米雇用統計と円安是正圧力に注目」で整理している。
9月28日週:弱い米指標でも、米長期金利がドル円を下支え
9月28日週は、米雇用統計を中心とする米経済指標と、159~160円方向で強まる円安是正圧力が最大の焦点となる。
9月FOMC後は10月の追加利上げ観測が高まっており、米ADP雇用統計、ISM製造業景況指数、米雇用統計が強ければ、米金利上昇を通じてドル円を支えやすい。
一方、日本では日銀議事要旨、日銀短観、9月会合の「主な意見」が公表され、追加利上げ観測を左右する可能性がある。米金利が高止まりしても、159~160円では日米当局による円安是正や為替介入への警戒が上値を抑える可能性がある。
詳しい相場展望は「来週のドル円見通し(2026年9月28日~10月2日)|米雇用統計と円安是正圧力に注目」で整理している。
月全体の流れ
2026年9月のドル円相場は、8月末から始まった円高の流れを引き継いだ。日銀の追加利上げ観測と円キャリートレードの巻き戻しを背景に、9月7日週には152.89円まで下落し、月前半は円側の材料が相場を主導した。
円キャリートレードについては、関連記事『円キャリートレードとは? ドル円への影響と巻き戻しの仕組みを解説』でも解説している。
その後、米PPIとCPIがインフレ圧力の強さを示すとFRBの利上げ観測が高まり、ドル円は154円台へ反発した。9月FOMCではFRBが政策金利を0.25%引き上げて3.75~4.00%とし、日銀も政策金利を1.25%へ引き上げた。しかし、日銀の追加利上げペースに対する期待は強まらず、ドル円は158円台まで上昇した。
9月21日週には、強い米PMIと米国金利の上昇を背景にドル円は159.03円まで上昇した。ところが、日米当局から円安への懸念が示されると157円台へ急反落し、159~160円方向では円安是正圧力が強く意識されることになった。
9月28日週は、原油高と米10年債利回りの上昇によって158.45円まで上昇した一方、米PCEと雇用統計の弱さからFRBの10月追加利上げ観測が大幅に後退した。それでも米10年債利回りは5%台を維持し、ドル円は156.38円まで下落した後157.85円へ戻した。
このため9月相場は、月初の「日銀利上げ観測による円高」、中旬の「FRB利上げによるドル反発」、月後半の「米金利上昇と円安是正圧力の綱引き」を経て、最後は「FRBの追加利上げ期待は後退しても米長期金利が高止まりする」という新たな構図へ移った。
9月を通じて、ドル円は単純な政策金利差だけではなく、短期金利と長期金利、日米金融政策、為替介入警戒を同時に見る必要がある相場となった。
テクニカル面で意識されたポイント
9月28日週のドル円は156.38~158.45円で推移し、157.85円で週を終えた。
10月2日時点では10日移動平均線が157.73円、21日移動平均線が156.29円、200日移動平均線が158.50円付近に位置しており、ドル円は21日線と200日線の間で方向を探る状態となっている。
上方向では158.45~158.50円が重要な抵抗帯となる。週間高値158.45円と200日移動平均線158.50円がほぼ重なっており、ここを明確に上回れば159.00円、さらに159.55~159.60円付近、心理的節目の160.00円が意識されやすい。
下方向では157.70円付近の10日線、その下に156円台後半がある。週間安値156.38円と21日移動平均線156.29円が近いため、156.30~156.40円は重要な支持帯となる。この水準を明確に下回れば156.00円方向への下落が意識されやすい。
したがって9月末時点の大きな分岐点は、上:158.45~158.50円、下:156.30~156.40円である。200日線を上回って定着するか、21日線を下回るかによって、次の方向が見えやすくなる。
翌月に向けた注目点
10月のドル円相場を見るうえでは、FRBの追加利上げ時期と、米短期金利・長期金利の方向がもっとも重要となる。
9月末から10月初めに発表された米PCEと雇用統計は市場予想を下回り、CME FedWatchでは10月FOMCでの0.25%利上げ確率が週初の約7割から24.9%まで低下した。市場の中心シナリオは「10月は据え置き、年内にあと1回の利上げ」へ移っている。
ただし、FRBの追加利上げ観測が後退しても米10年債利回りは5%台を維持している。政策金利に敏感な米2年債利回りが低下する一方、10年債利回りが高止まりするという「ねじれ」が続く場合、FedWatchだけを見てドル安を判断しにくい状態が続く可能性がある。
日本側では、日銀9月会合の「主な意見」で追加利上げを支持する意見が確認された一方、慎重論も残っている。10月29~30日の日銀金融政策決定会合に向けて、家計消費、物価、賃金などの国内指標が追加利上げ観測を左右しやすい。
また、158~160円方向では日米当局による円安への警戒も引き続き意識される。10月は「FRB利上げ確率」だけでなく、米2年債と10年債が同じ方向へ動いているのか、ドル円の上昇速度、日本当局の発言を組み合わせて確認する必要がある。
10月最初の相場展望については「来週のドル円見通し(2026年10月5日~9日)|FOMC議事要旨と米金利の行方に注目」で詳しく整理している。
まとめ
2026年9月のドル円相場は、日銀利上げ観測と円キャリー取引の巻き戻しによる152円台への下落から始まった。その後、米インフレ指標の上振れとFOMCでの0.25%利上げを受けてドルが反発し、日銀会合後には158円台、月後半には159円台まで上昇した。
しかし159円台では日米当局による円安是正圧力が強まり、ドル円は再び157円台へ反落した。さらに月末から10月初めには、米PCEと雇用統計が市場予想を下回り、FRBの10月追加利上げ観測は大きく後退した。それでも米10年債利回りは5%台を維持し、ドル円は156円台から157円台後半へ戻して週を終えた。
9月を通じて、ドル円を動かす材料は「日銀利上げ観測」「FRB利上げ」「米長期金利」「円安是正圧力」と次々に変化した。とくに月末には、短期的なFRB利上げ観測が後退しても長期金利が高止まりし、ドル円の下値を支えるという構図が鮮明になった。
10月に向けては、158.50円付近の200日移動平均線と156.30円付近の21日移動平均線を上下の分岐点として、米金利、FedWatch、日銀追加利上げ観測、為替介入警戒を組み合わせて確認する必要がある。
本記事は市場動向の解説を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨する投資助言ではない。
