FOMC・日銀会合・日米金利差が焦点
2026年9月のドル円相場は、8月末から強まった円高の流れを引き継いで始まった(8月末までのドル円相場については、「2026年8月のドル円相場まとめ」で整理している)。
日銀の追加利上げ観測や円キャリートレードの巻き戻しを背景に、ドル円は9月前半に152円台まで下落。一方、米国では原油高とPPI・CPIの上昇を受けてFRBの9月利上げ観測も急速に強まった。このため相場は、従来の「米金利上昇=ドル高」だけではなく、FRBと日銀のどちらの利上げ期待がより強まるかを比較する局面へ移っている。
9月中旬にはFOMCと日銀金融政策決定会合が同じ週に予定されており、月の大きな分岐点となる。
その月の主な注目材料
- 日銀の9月追加利上げ観測
- 円キャリートレードの巻き戻し
- 海外資産から国内への資金還流
- 日本の長期金利上昇
- 米PPI
- 米CPI
- 中東情勢と原油価格上昇
- FRBの9月利上げ観測
- 米2年債、10年債利回り
- FOMC政策金利・ドットチャート
- ウォーシュFRB議長記者会見
- 日銀金融政策決定会合
- 植田日銀総裁の政策姿勢
- 日本の全国CPI
- 日米金利差
- 円安是正や為替介入への警戒
9月前半は、日銀利上げ観測による円買いと、原油高・米物価上昇によるFRB利上げ観測の強まりが同時に進んだ。
ドルと円の双方に買い材料が存在するため、単純なドルの強弱だけではドル円の方向を判断しにくい相場となっている。
週ごとの相場まとめ
9月7日週:円高が進み152円台へ、米CPIでドルは反発
9月7日週のドル円は155.98円で始まり、日銀の9月利上げ観測、円キャリートレードの巻き戻し、海外資産から国内への資金還流を背景に円買いが加速した。
8日には152.89円まで下落し、円は対ドルで約7カ月ぶりの高値圏へ上昇した。その後は米PPIとCPIの上振れ、原油高によるインフレ警戒からFRBの利上げ観測と米金利が上昇し、ドル円は154.36円まで戻して週を終えた。
週初時点の展望は「来週のドル円見通し(2026年9月7日~11日)|米CPIがFOMC利上げ判断の最終関門」で整理している。
9月14日週:FOMCと日銀会合、日米同時利上げが最大の焦点
9月14日週は、FOMCと日銀金融政策決定会合が同じ週に開催される。
米CPIの上振れを受けてFOMCでは25bp利上げが強く織り込まれる一方、日銀についても1.00%から1.25%への利上げ予想が中心となっている。このため焦点は政策金利を引き上げるかどうかより、その後も追加利上げを続けるのかへ移っている。FOMCのドットチャートとウォーシュFRB議長会見、日銀会合後の植田総裁の発言によって、日米金利差の先行きが大きく変化する可能性がある。
詳しい相場展望は「来週のドル円見通し(2026年9月14日~18日)|FOMCと日銀会合、日米同時利上げなら何が起こる?」で整理している。
月全体の流れ
2026年9月のドル円相場は、8月末から始まった円高の流れを引き継いだ。8月31日週にはドル円が160.39円から155.30円まで急落しており、背景には日銀の9月利上げ観測と円キャリートレードの巻き戻しがあった。強い米雇用統計によってFRBの利上げ観測と米2年債利回りが上昇してもドル円が反発を維持できなかったことから、相場の主役はドル側から円側へ移り始めていた。
9月7日週に入ると、この流れがさらに強まった。日銀の利上げがほぼ織り込まれるなか、投資家による円ショートの巻き戻しや海外資産から国内への資金還流が円買いを促し、ドル円は152.89円まで下落した。米国金利が上昇する場面でもドル円の反発は限定的であり、これまでの「米金利上昇=ドル円上昇」という関係が弱まりつつあることが確認された。
一方、週後半には米PPIとCPIがインフレ圧力の強さを示した。とくに、CPI発表後は9月FOMCでの25bp利上げ確率が約86%まで上昇し、米2年債利回りも上昇した。原油高も米国のインフレ再加速懸念を強め、ドル円は154円台へ反発した。
このため9月前半のドル円は、「日銀利上げ観測による円買い」と「FRB利上げ観測によるドル買い」が同時に存在する相場となっている。
次の焦点はFOMCと日銀会合であり、両中央銀行が実際に利上げした場合でも、政策金利そのものより、その後の利上げペースに対する市場の見方がドル円の方向を決める可能性が高い。
テクニカル面で意識されたポイント
9月7日週のドル円は、前週の160.39円から続く下落のなかで152.89円まで下値を広げた。
日足の大きな流れでは高値・安値の切り下げが続いており、短期的には円高方向のトレンドが維持されている。一方、152.89円を付けた後は153~154円台へ戻しており、急落後の下げ止まりを探る局面でもある。
上方向では、154.60~154.70円が最初の抵抗帯となる。その上には心理的節目の155.00円、さらに週初高値と200日移動平均線の参考値が位置する156.00~156.30円があり、この水準を回復できれば円高の勢いが一服したと判断しやすい。
下方向では153.00円と週間安値の152.89円が重要である。152.89円を明確に下回った場合は、高値・安値の切り下げがさらに鮮明となり、152円台前半、さらに150円という心理的節目が意識されやすくなる。
したがって、9月中旬の最初の分岐点は、
上:154.70~155.00円 下:152.89~153.00円
である。ただし、FOMCと日銀会合が同じ週に予定されているため、通常のテクニカル水準以上に金融政策イベントによる急変動を意識する必要がある。
翌月に向けた注目点
10月のドル円相場を見るうえでは、まず9月のFOMCと日銀会合を受けて、日米の政策金利見通しがどのように変化したかが重要となる。
FRBが9月に利上げした場合でも、市場の焦点は年内に追加利上げを行うのか、それとも今回でいったん様子を見るのかへ移る。ドットチャートやウォーシュFRB議長の発言によって、米2年債利回りやドルの方向が変化しやすい。
日本側も同様である。日銀が1.25%へ利上げした場合、次に1.50%、1.75%へ進む可能性を市場がどこまで織り込むかが円相場に影響する。追加利上げ観測が続けば、これまで積み上がっていた円キャリー取引の巻き戻しがさらに進む可能性がある。
また、原油価格の高止まりも重要である。原油高は米国のインフレ圧力を強める一方、日本では輸入コスト上昇を通じて物価を押し上げるため、FRBと日銀の双方に利上げ圧力を与える可能性がある。10月に向けては、米金利だけでなく、日本金利との相対的な動きを見ることがこれまで以上に重要となりそうだ。
まとめ
2026年9月のドル円相場は、8月末から続く円高の流れを引き継いで始まった。日銀の追加利上げ観測と円キャリートレードの巻き戻しによってドル円は152.89円まで下落し、強い米国材料が出ても以前ほどドル円が上昇しない状態となっている。
一方、米PPIとCPIの上昇、原油高を受けてFRBの9月利上げ観測も急速に強まり、週後半にはドル円が154円台へ反発した。つまり9月前半は、単純なドル高・ドル安ではなく、FRB利上げ観測と日銀利上げ観測の綱引きが相場の中心となっている。
9月14日週にはFOMCと日銀金融政策決定会合が続く。両中央銀行が利上げする場合、政策金利そのものはすでに相当程度織り込まれているため、市場が注目するのはその後の利上げペースである。FOMCのドットチャート、ウォーシュFRB議長会見、植田日銀総裁の発言を通じて、日米金利差が今後どちらへ向かうのかが9月相場の次の方向を決める重要な材料となる。
本記事は市場動向の解説を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨する投資助言ではない。
