2025年の日米欧の金融政策を振り返り、2026年の展望をわかりやすく解説。日銀の利上げ、FRBの利下げ、ECBの据え置き見通しを総まとめします。
2025年は、日銀が慎重に利上げを続け、FRBとECBは利下げ方向へ転じたことから「金融政策の非対称」が明確となった年でした。この方向性は2026年も大きくは変わらないと見込まれ、日銀は利上げの続き、FRBは緩やかな利下げの継続、そしてECBは金利据え置き中心という構図が続くものと思われます。
金利差の方向性が異なるため、為替市場ではドル円・ユーロ円の「金利差の縮小・拡大」が重要なテーマになり、とくに米欧の景気とインフレ動向が日米欧の政策のズレをどこまで維持するかを決める鍵となるでしょう。
2026年のFOMC開催スケジュール(日本時間)
| 開催月 | 開催日 | 声明発表時刻(日本時間) |
| 1月 | 27日 (火) 〜 28日 (水) | 29日 (木) 4:00 |
| 3月 | 17日 (火) 〜 18日 (水) | 19日 (木) 3:00 |
| 4月 | 28日 (火) 〜 29日 (水) | 30日 (木) 3:00 |
| 6月 | 16日 (火) 〜 17日 (水) | 18日 (木) 3:00 |
| 7月 | 28日 (火) 〜 29日 (水) | 30日 (木) 3:00 |
| 9月 | 15日 (火) 〜 16日 (水) | 17日 (木) 3:00 |
| 10月 | 27日 (火) 〜 28日 (水) | 29日 (金) 3:00 |
| 12月 | 8日 (火) 〜 9日 (水) | 10日 (木) 4:00 |
Federal Open Market Committee announces its tentative meeting schedule for 2025 and 2026
米国のFRBにとって2025年は、長期間続けてきた高金利政策から、慎重かつ限定的な利下げへと転換した一年でした。
労働市場の減速とインフレもピークからは鈍化したものの、サービス価格を中心に粘着性が残ったことで、FRBは大幅利下げには踏み込まず、9月と10月に0.25%ずつの利下げを行うに留めました。また、12月には量的引き締め(QT)の終了を決定し、バランスシートの縮小局面も一段落しています。
2026年は、緩やかな利下げを継続しつつ中立金利へ近づけていく年となる見込みです。
ただしインフレは依然として完全には収束しておらず、景気が底堅ければ追加利下げのペースは鈍く、場合によっては一時停止となる可能性もあります。一方で、雇用急減や信用不安などが生じれば、利下げ幅が拡大する可能性もあるため、FRBは状況に応じて柔軟に舵を切る必要がある局面が続きます。
2026年の日銀金融政策決定会合 開催スケジュール
| 開催月 | 開催日 | 経済・物価情勢の展望 |
| 1月 | 22日 (木) 〜 23日 (金) | 〇 |
| 3月 | 18日 (水) 〜 19日 (木) | |
| 4月 | 27日 (月) 〜 28日 (火) | 〇 |
| 6月 | 15日 (月) 〜 16日 (火) | |
| 7月 | 30日 (木) 〜 31日 (金) | 〇 |
| 9月 | 17日 (木) 〜 18日 (金) | |
| 10月 | 29日 (木) 〜 30日 (金) | 〇 |
| 12月 | 17日 (木) 〜 18日 (金) |
2025年の日銀は、マイナス金利とYCCの終了後、短期金利0.5%という小幅な利上げを実施したうえで、その先は慎重に現状維持を続けた一年でした。物価上昇率は2%前後に達しつつも、賃金の上昇がどこまで持続するかが最大の焦点であり、日銀は「好循環の定着」に確信が持てるまで追加利上げを急がない姿勢を貫きました。
また、国債買入れの縮小(量的出口)は極めて緩やかで、市場金利の急変を押さえることが優先されました。円安が断続的に進んだため、物価面への警戒感や「利上げが遅すぎるのではないか」という批判も意識せざるを得なかった点が特徴です。
2026年については、年末から2026年前半にかけて0.25%程度の追加利上げがもっとも有力視されています。ただし世界景気の減速や日本の輸出鈍化が懸念されており、利上げペースは極めて緩やかなものに留まる見通しです。むしろ景気が想定より悪化した場合は、利上げ停止もあり得るなど、政策運営は依然としてデータ次第の側面が強く、慎重な態度が続くと考えられます。
2026年の ECB 金融政策決定会合 開催スケジュール(日本時間)
ECBにとって2026年はインフレ抑制と成長支援のバランスを取ることが最重要課題で、特にエネルギー価格や地政学的リスクが引き続き政策に影響を与える見通しです。ユーロ圏経済は、2024年の弱含みを脱却できるかが鍵となり、特に輸出依存型のドイツ経済やフランスを中心に経済活動の回復が見られるかが焦点です。
ECBは3月と9月の理事会で政策の見直しを行う予定で、デフレ圧力や各国の財政政策の影響も考慮した慎重な判断が求められます。ユーロの変動が貿易バランスに影響を与えかねないため、為替レートについても市場は敏感に反応しています。
| 開催月 | 開催日 | 声明発表時刻(日本時間) |
| 2月 | 5日 (木) | 10:15 |
| 3月 | 19日 (木) | 22:15 |
| 4月 | 30日 (木) | 21:15 |
| 6月 | 11日 (木) | 21:15 |
| 7月 | 23日 (木) | 21:15 |
| 10月 | 29日 (木) | 22:15 |
| 12月 | 17日 (木) | 22:15 |
欧州中央銀行(ECB)は、主要国のなかでもっとも早く利下げを進めた中央銀行であり、2024年から2025年にかけて合計2%の利下げを実施しました。
2025年半ばには政策金利を2%台にまで引き下げ、物価が目標の2%付近まで低下してきたことを確認したうえで、夏以降は追加利下げを見送りました。ユーロ圏では成長が低迷する一方で、インフレが再加速する兆候は薄く、ECBは「様子見」を選択したかたちです。
2026年の金融政策は、基本的には現在の金利水準の維持が中心になるとみられています。ユーロ圏は低成長が続き、財政リスクも残るため大幅利上げの余地は限られていますが、同時に物価が落ち着いている以上、積極的な利下げを行う必要性も低い状況です。
景気が想定より弱くなった場合には0.25%刻み程度の小幅利下げが追加される可能性はありますが、マイナス金利時代に戻るような深い緩和環境に逆戻りする可能性は低いでしょう。
