2026年9月FOMCの日程や利上げの可能性、ドットチャートの注目点を解説。米雇用統計やCPI、ドル円への影響、直後の日銀会合まで整理します。
2026年9月15~16日に、米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます。
今回のFOMCでは、政策金利の変更だけでなく、FRB(米連邦準備制度理事会)参加者による経済見通し(SEP)と、今後の政策金利見通しを示す「ドットチャート」も公表されます。
2026年夏以降、米国ではインフレ率がFRBの目標である2%を上回る状況が続く一方、雇用には減速の兆しもみられています。
さらに、8月のジャクソンホール会議ではウォーシュFRB議長がインフレ抑制を重視する姿勢を示したことで、9月FOMCでの利上げ観測が再び高まっています。
この記事では、2026年9月FOMCの日程、利上げの可能性、ドットチャートの見方、ドル円相場への影響について整理します。
2026年9月FOMCの日程と日本時間
2026年9月FOMCは、米国時間の9月15日(火)~16日(水)に開催されます。
FRBの予定では、政策金利などを示すFOMC声明は9月16日午後2時、ウォーシュFRB議長の記者会見は午後2時30分から予定されています。
日本時間では次の通りです。
- FOMC声明・政策金利発表:9月17日(木)午前3時
- ウォーシュFRB議長の記者会見:9月17日(木)午前3時30分
今回の会合には「*」が付けられており、FOMC参加者による経済見通し(SEP)とドットチャートが公表される重要な会合です。
FOMCとは?
FOMC(Federal Open Market Committee:米連邦公開市場委員会)は、米国の中央銀行にあたるFRB(Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)が開く、金融政策を決める会合です。
FRBは物価の安定と最大雇用を政策目標としており、FOMCでは主に政策金利であるFF金利の誘導目標などを決定します。c政策金利が引き上げられると米国債の金利が上昇しやすく、ドルが買われる材料となります。
一方、利下げや将来の利下げ観測が強まると米国債利回りが低下し、ドル売りにつながる場合があります。
そのため、FOMCはドル円を取引するうえでもとくに重要なイベントのつです。
現在の米政策金利は3.50~3.75%
FRBは7月28~29日に開催したFOMCで、FF金利の誘導目標を3.50~3.75%に据え置きました。
注目すべきなのは、政策決定を全会一致で行ったわけではない点です。
7月FOMCでは9人が据え置きに賛成した一方、
- クリーブランド連銀のハマック総裁
- ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁
- ダラス連銀のローガン総裁
の3人が0.25%の利上げを主張しました。
さらに7月FOMC議事要旨でも、インフレが2%へ戻らなければ追加的な金融引き締めが必要になる可能性について議論されていたことが明らかになっています。
つまり、9月FOMCでは「利上げするか、据え置くか」が現実的な選択肢として意識されています。
ジャクソンホール会議で9月利上げ観測が上昇
9月FOMCへの注目度をさらに高めたのが、8月28日に行われたウォーシュFRB議長のジャクソンホール講演です。
ウォーシュ議長は、インフレがFRBの2%目標へ十分な速度で向かっているとの確信を得られなければ、FRBにはさらに対応すべきことがあるとの考えを示しました。
市場ではこの発言を金融引き締めに前向きな「タカ派」のメッセージと受け止め、9月FOMCで0.25%の利上げが行われる確率は、それまでの約35%から57%前後まで上昇しました。
ただし、ウォーシュ議長自身が9月の利上げを明言したわけではありません。
今後発表される雇用統計や物価指標によって、FOMC直前まで市場の見方が変化する可能性があります。
インフレは依然としてFRBの2%目標を上回る
利上げを支持する最大の材料は、依然として高い米国のインフレ率です。
7月の消費者物価指数(CPI)は前年比3.4%上昇しました。食品とエネルギーを除くコアCPIは2.5%上昇しています。
さらに、FRBが物価指標として重視する7月のPCE価格指数は前年比3.7%上昇、コアPCE価格指数も3.3%上昇しました。
FRBの目標である2%からは依然として距離があります。
とくにPCEインフレが高止まりしていることは、FRBが再び金融引き締めを検討する理由になります。
一方で、CPIにはやや鈍化の動きもみられるため、9月FOMCまでに発表される8月分の物価指標が重要になります。
雇用の減速が利上げを難しくする可能性
FRBが見るのはインフレだけではありません。
7月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が2万3,000人減少しました。5月と6月の雇用者数も下方修正されており、米労働市場には減速の兆しがみられます。
一方、失業率は4.1%と比較的低い水準を維持しています。
インフレだけを見れば利上げを行いやすい状況ですが、雇用が急速に悪化すれば、利上げによって景気をさらに冷やすリスクがあります。
この「高いインフレ」と「弱くなり始めた雇用」のどちらを重視するかが、9月FOMCの大きな争点です。
9月FOMC前に注目したい経済指標
9月FOMCまでには、政策判断に大きな影響を与える経済指標が相次いで発表されます。
特に重要なのが次の3つです。
9月4日:米雇用統計
9月4日には8月の米雇用統計が発表されます。
7月に続いて雇用が弱ければ、9月利上げ観測が後退する可能性があります。
反対に雇用者数が大きく回復し、失業率も低水準を維持すれば、FRBがインフレ抑制のために利上げしやすくなります。
9月10日:米PPI
9月10日には8月の生産者物価指数(PPI)が発表されます。
企業段階の物価動向を示す指標であり、インフレ圧力が再び強まっているかを確認する材料になります。
9月11日:米CPI
FOMC直前で最も注目されるのが9月11日の8月CPIです。
CPIが予想を上回れば利上げ観測が強まりやすく、予想を下回れば据え置き観測が強まると考えられます。
9月FOMCの方向性は、この雇用統計とCPIによってかなり絞り込まれる可能性があります。
9月FOMCではドットチャートにも注目
今回のFOMCでは、政策金利の決定と同じくらい「ドットチャート」が重要になります。
ドットチャートとは、FOMC参加者それぞれが「適切だと考える将来の政策金利」を点で示したものです。
前回6月に公表されたドットチャートでは、2026年末のFF金利予想中央値は3.8%でした。
そのほか、
- 2026年末:3.8%
- 2027年末:3.4%
- 2028年末:3.1%
- 長期:3.1%
という中央値が示されています。
現在の政策金利が3.50~3.75%であることを考えると、6月時点の中央値は2026年中に0.25%程度の追加利上げを想定していたことになります。
9月のドットチャートで2026年末の中央値がさらに上昇すれば、「9月だけでなく、その後も利上げが続く可能性」が市場で意識されます。
反対に中央値が低下すれば、今回利上げを行ったとしても、その後の追加利上げには慎重との見方につながります。
ドットチャートはFRBが将来の政策金利を約束するものではありませんが、市場が今後の金融政策を予想する重要な材料です。
9月FOMCで利上げした場合のドル円
9月FOMCで0.25%の利上げが決定された場合、政策金利は3.75~4.00%となります。
基本的には米国の短期金利上昇につながるため、ドル買い・円売り材料です。
特に市場が直前まで「据え置きか利上げか」で割れている状態で利上げが行われれば、米2年債利回りなどが上昇し、ドル円も上昇する可能性があります。
ただし、単純に「利上げ=ドル円上昇」とは限りません。
たとえば、
「今回の利上げで十分」 「今後は追加利上げを想定していない」
とウォーシュ議長が示せば、利上げ発表直後にドルが上昇したあと、材料出尽くしで反落することも考えられます。
そのため政策金利だけでなく、ドットチャートとウォーシュ議長の記者会見まで確認する必要があります。
据え置きの場合のドル円
政策金利が3.50~3.75%に据え置かれた場合は、基本的にはドル売り材料になります。
特にFOMC直前の市場が利上げを強く織り込んでいた場合、利上げ期待が剥落して米2年債利回りが低下し、ドル円が下落する可能性があります。
一方、据え置きであっても、
「インフレ次第では10月または12月に利上げする」
との姿勢が強く示されれば、ドル売りは限定的になる可能性があります。
FOMCでは「今回どうしたか」だけでなく、「次に何をするのか」が相場を大きく動かします。
ドル円では翌日の日銀会合にも注意
2026年9月は、ドル円にとって特に重要な日程になっています。
FOMCの結果が日本時間9月17日早朝に発表された直後、9月17~18日には日銀金融政策決定会合が開催されます。
日銀は9月18日に金融政策の決定内容を公表する予定です。
つまり、
9月17日早朝:FOMC ↓ 9月17~18日:日銀金融政策決定会合
という非常に近い日程です。
米国が利上げし、日銀が政策金利を据え置けば、日米金利差の拡大が意識されやすくなります。
反対に、FRBが据え置き、日銀が追加利上げを行えば、日米金利差の縮小から円高圧力が強まる可能性があります。
9月FOMCでは米国の金融政策だけを見るのではなく、その直後の日銀会合まで含めてドル円の方向性を考える必要があります。
まとめ
2026年9月FOMCは、9月15~16日に開催され、日本時間では9月17日午前3時に政策金利が発表される予定です。
現在の米政策金利は3.50~3.75%ですが、7月FOMCでは3人の参加者が0.25%の利上げを主張しました。
さらにジャクソンホール会議でウォーシュFRB議長がインフレ抑制を重視する姿勢を示したことで、市場では9月利上げの可能性が再び強く意識されています。
今回注目したいポイントは、
- 9月に0.25%の利上げを行うか
- 9月4日の米雇用統計
- 9月11日の米CPI
- 2026年末のドットチャートがどう変化するか
- ウォーシュFRB議長が追加利上げについて何を語るか
- 翌日に始まる日銀金融政策決定会合
です。
9月FOMCは政策金利そのものだけでなく、その後の米金融政策の方向を確認する重要な会合になります。
ドル円を取引する場合は、FOMC声明、ドットチャート、ウォーシュ議長の記者会見、そして直後の日銀会合までを一連のイベントとして確認しておきたいところです。
