2026年7月27日~31日のドル円見通しを解説。原油高と米金利上昇による前週の値動きを振り返り、FOMC、日銀会合、米GDP・PCEをファンダメンタルズとテクニカルの両面から分析する。
2026年7月20日~24日のドル円は、162円台前半から一時164.00円まで上昇した。
中東情勢の再緊迫化による原油高、米国のインフレ懸念、米国債利回りの上昇がドルを押し上げる一方、日本の輸入負担や日銀の慎重な利上げ姿勢が円売りにつながった。
来週はFOMCと日銀金融政策決定会合が最大の焦点である。基本的には高値圏で神経質な展開を予想するが、両中央銀行の声明文や記者会見によって日米金利差の見通しが変われば、164円突破または162円台への反落が起こり得る。
1.今週のドル円相場を振り返る
| 項目 | ドル円 |
|---|---|
| 週初値 | 162.45円 |
| 週間高値 | 164.00円 |
| 週間安値 | 162.24円 |
| 週終値 | 163.85円 |
| 週間の値幅 | 1.76円 |
| 前週末比 | 1.46円上昇、約0.90%のドル高・円安 |
価格はInvesting.comの日足データで統一した。
前週末の7月17日終値は162.39円であり、ドル円は5営業日のうち3営業日で上昇した。週間ではドル全体も買われたが、円は主要通貨の中でも弱く、ドル円は1986年以来となる水準まで上昇した。
7月20日:日本市場休場のなか、162円台で小動き
7月20日は本邦は海の日で日本市場が休場だったこともあり、ドル円は162.24~162.61円の狭い範囲で推移し、162.50円で取引を終えた。
週明けの市場では、米国とイランの対立再燃を受けた原油価格の上昇がドルを支えた。エネルギー価格の上昇は米国のインフレ懸念を高め、FRBの利上げ可能性を意識させる。一方、日本にとって原油高は輸入代金と交易条件の悪化につながるため、円には下落要因となりやすい。
この日の値動きは限定的だったが、
原油高
→ 米国のインフレ警戒
→ 米国金利の上昇観測
→ ドル買い
と、
原油高
→ 日本の輸入負担増加
→ 円売り
という2つの経路が、その後のドル円上昇の土台になったと考えられる。
7月21日:163円台へ上昇、円は約40年ぶりの安値
7月21日のドル円は162.51円で始まり、163.25円まで上昇して163.18円で終了した。163円台に乗せたのは、1986年以来のことである。
中東情勢を背景にブレント原油が5週間ぶりの高値へ上昇し、米国債利回りも2~5bp上昇した。ドル指数は0.2%上昇した一方、世界の株式市場では半導体株を中心にリスク選好が強まり、S&P500は0.9%、ナスダック総合指数は1.3%上昇した。
この日は、ドル買いと円売りが同時に進んだ。
- 原油高による米インフレ懸念
- 米国金利の上昇
- 安全資産としてのドル需要
- 株高を背景としたキャリートレード
- 日銀の利上げペースに対する慎重な見方
- 日本の財政・金融政策への不透明感
が重なり、ドル円は163円を突破した。
7月22日:貿易赤字と介入警戒が交錯
7月22日のドル円は163.17円で始まり、163.24円まで上昇したあと162.79円まで下落し、163.14円で終了した。前日までの上昇に対する利益確定と、日本政府による為替介入への警戒が上値を抑えた。
日本の6月貿易統計では、輸入額が前年比25.4%増の11.3兆円と過去最高になった。原油の輸入数量は前年比13.7%減少したにもかかわらず、輸入額は59.3%増加した。貿易収支は市場予想の1,200億円の赤字を上回る4,069億円の赤字だった。
原油高と円安によって、同じ量のエネルギーを輸入するために必要な円建て支払額が増えていることが確認された形である。
原油輸入額の増加
→ 貿易収支と交易条件の悪化
→ 輸入企業による外貨調達需要
→ 円売り圧力
という構造が意識され、政府の介入警戒が強まっても円高は続かなかった。
7月23日:米雇用と原油高で164.00円まで上昇
今週最大の値動きが起きたのは7月23日である。ドル円は162.99円を安値に164.00円まで上昇し、163.86円で終了した。
日本時間7月23日21時30分に発表された米新規失業保険申請件数は18.7万件となり、市場予想の21.2万件を大幅に下回った。これは1969年9月以来の低水準である。継続受給者数も179.6万人と6週間ぶりの低水準へ減少し、米労働市場の底堅さが示された。
同時に、中東の輸送路を巡る懸念からブレント原油は一時1バレル102ドル付近まで上昇した。米2年債利回りは4.37%、米10年債利回りは4.71%まで上昇し、それぞれ2025年初め以来の高水準となった。
相場の因果関係は次のように整理できる。
強い米雇用指標
→ FRBが景気悪化を懸念する必要性が低下
→ インフレ抑制を優先しやすくなる
原油価格の上昇
→ 米国のインフレ再加速への警戒
→ FOMCの利上げ観測が上昇
米2年債利回りの上昇
→ ドルを保有する魅力が高まる
→ ドル買い・円売り
→ ドル円が164.00円まで上昇
ECBは同日の理事会で、預金ファシリティ金利を2.25%、主要リファイナンス金利を2.40%に据え置いた。ただし、エネルギーショックの二次的影響を警戒し、データ次第で政策を調整する姿勢を維持した。
7月24日:日本CPIへの反応は限定的
7月24日のドル円は163.64~163.97円で推移し、163.85円で週を終えた。前日の高値に近い水準を維持したものの、164円台への定着には至らなかった。
日本時間8時30分に発表された6月全国CPIでは、生鮮食品を除くコアCPIが前年比1.6%となり、市場予想と一致した。生鮮食品とエネルギーを除く指数は同1.7%と前月の1.8%から鈍化し、サービス価格も1.2%へ低下した。
コアCPIは5カ月連続で日銀の2%目標を下回っており、消費者物価だけを見る限り、日銀が7月会合で連続利上げを急ぐ理由は乏しいと市場は判断した。トレーダーズ・ウェブFXも、CPI発表後のドル円は163.80円台で小動きとなり、反応は限定的だったと伝えている。
一方、ブレント原油は前日の100ドル台から96.78ドルへ下落した。米10年債利回りも4.69%、米2年債利回りも4.33%へやや低下したが、週初よりは高い水準を維持した。
原油価格の反落と為替介入への警戒が上値を抑えたものの、日米金利差と日銀の据え置き観測がドル円を支えた形である。
FOMCの織り込みはどう変化したか
FRBは2026年6月17日のFOMCで、フェデラルファンド金利の誘導目標を3.50~3.75%に据え置いた。声明文では、米国経済が堅調に拡大し、雇用も安定している一方、エネルギーを含む供給ショックによってインフレが2%目標を上回っていると説明した。決定は12対0の全員一致だった。
CME FedWatch Toolは、30日物FF金利先物の価格を基に、各FOMC後の政策金利レンジを市場がどの程度織り込んでいるかを確率で示すツールである。
7月24日時点では、7月28~29日のFOMCで0.25%の利上げが行われる確率は約36~38%となった。前週の約12~13%から大幅に上昇した一方、据え置き確率は約62~64%であり、据え置きが依然として中心シナリオである。
利上げ確率が上昇した理由は、主に次の3点である。
- 中東情勢の悪化で原油価格が再び100ドル前後へ上昇した
- 米新規失業保険申請件数が約57年ぶりの低水準となった
- 米国経済が高い金利に耐えており、FRBがインフレ抑制を優先できるとの見方が強まった
金利先物市場では、少なくとも1回の利上げが9月までに行われるとの見方が強まり、政策金利の最終到達点は2027年6月ごろに4.23%付近と見込まれている。現在の政策金利レンジの中心値3.625%からみれば、市場は中期的に複数回の利上げ余地を織り込み始めたことになる。
ただし、CMEの公開ページから会合ごとの年末確率分布を一貫した条件で直接確認できなかったため、年末時点の各金利レンジについて具体的な確率は記載しない。重要なのは、前週よりも市場の政策経路が明確にタカ派方向へ変化した点である。
2.来週の重要イベント
予想値は2026年7月25日時点のものであり、発表直前に変更される可能性がある。
| 日付・日本時間 | 国・地域 | イベント | 市場予想・前回値 | ドル円への注目点 |
|---|---|---|---|---|
| 7月27日(月)21時30分 | 米国 | 6月耐久財受注速報値 | 前月比:予想+1.3%/前回-4.5%、輸送除く:予想+0.9%/前回+1.4% | 設備投資と米景気の底堅さ |
| 7月30日(木)3時00分 | 米国 | FOMC政策金利 | 3.50~3.75%で据え置き予想 | 声明文、採決、次回利上げへの示唆 |
| 7月30日(木)3時30分 | 米国 | ウォーシュFRB議長記者会見 | ― | 原油高、インフレ、9月利上げへの評価 |
| 7月30日(木)21時30分 | 米国 | 4~6月期GDP速報値・6月PCEデフレーター | GDP:予想+2.3%/前回+2.1%、コアPCE前年比:予想+3.3%/前回+3.4% | FOMC後の金融政策予想を再修正する可能性 |
| 7月31日(金)8時30分 | 日本 | 7月東京都区部CPI | コア前回:前年比+1.6%、市場予想は未確認 | 日銀会合直前の物価判断 |
| 7月31日(金)会合終了後 | 日本 | 日銀金融政策決定会合・展望レポート | 政策金利1.00%で据え置き予想 | 物価見通し、追加利上げの時期とペース |
| 7月31日(金)15時30分 | 日本 | 植田日銀総裁記者会見 | ― | 円安、原油高、次回利上げ条件への発言 |
FOMCは米国時間7月28~29日に開催され、声明文は日本時間30日3時、記者会見は3時30分の予定である。日銀金融政策決定会合は30~31日に開かれ、植田総裁の記者会見は31日15時30分に予定されている。
FOMC:据え置きでも声明文と採決が焦点
来週最初の山場は、日本時間7月30日3時のFOMCである。
市場では3.50~3.75%での据え置きが中心シナリオだが、利上げ確率は約4割まで上昇している。このため、据え置き自体はハト派材料になり得る一方、声明文や記者会見がタカ派的であれば、ドル売りは続かない可能性がある。
利上げが行われた場合
0.25%の利上げは中心予想ではないため、米2年債利回りとドルが急上昇しやすい。
予想外の利上げ → 米国のインフレ警戒が強いと市場が判断 → 年内の追加利上げ観測 → 米国金利上昇 → ドル円上昇
という流れが考えられる。
ただし、164~165円台では日本政府による円買い介入への警戒が一段と強まる。上昇した価格だけを追うのではなく、財務省の発言や急激な値動きに注意が必要である。
据え置き+タカ派の場合
声明文で原油高、インフレ期待、労働市場の強さが強調され、ウォーシュ議長が9月利上げの可能性を否定しなければ、据え置きでもドル高となる可能性がある。
声明文でとくに注目したいのは、
- 決定が全員一致か
- 利上げを主張する反対票が出るか
- インフレに関する文言が強化されるか
- 「必要なら行動する」との姿勢が示されるか
- 9月会合が実質的にライブ会合と位置付けられるか
である。
据え置き+ハト派の場合
6月の米CPI・PPIの鈍化を評価し、原油高を一時的な供給ショックと位置付ければ、7月・9月の利上げ観測が後退しやすい。
米2年債利回りが4.20%方向へ低下すれば、ドル円は163円を下回って調整する可能性がある。
市場予想どおりの場合
据え置きとタカ派的な声明がともに予想どおりなら、相場の焦点は21時間後に発表される米GDPとPCEデフレーターへ移る。FOMC直後の値動きだけで週後半の方向を判断しないことが重要である。
米GDPとPCEデフレーター:FOMCの解釈を上書きする可能性
日本時間7月30日21時30分には、4~6月期GDP速報値と6月PCEデフレーターが同時に発表される。
GDP成長率は前期比年率2.3%、個人消費は同2.3%が予想されている。6月コアPCEデフレーターは前月比0.1%、前年比3.3%への鈍化が見込まれている。
GDPとPCEがともに強い場合
景気が予想以上に強く、コアPCEも上振れすれば、FRBの利上げ観測が高まりやすい。
強い成長+高いインフレ
→ FRBが金融引き締めを行いやすい
→ 米2年債利回り上昇
→ ドル円上昇
という組み合わせである。
GDPが弱く、PCEも弱い場合
景気減速とインフレ鈍化が同時に確認されれば、9月利上げ観測が後退し、ドル安・円高になりやすい。
FOMCがタカ派的だった場合でも、翌日の経済指標によって市場の解釈が修正される可能性がある。
GDPが弱く、PCEが強い場合
もっとも判断が難しいのが、成長率が弱い一方で物価が高いケースである。
これはスタグフレーションへの懸念を高める。米国金利はインフレ警戒から上昇する可能性がある一方、株価下落や景気不安が強まれば、為替市場の反応は不安定になりやすい。
市場予想どおりの場合
GDPの見出しだけでなく、
- 個人消費
- GDPデフレーター
- コアPCE
- 設備投資
- 在庫と純輸出の寄与度
を確認したい。
見かけ上のGDPが強くても、在庫増加や輸入減少が主因で、国内最終需要が弱ければ、ドル買いは続かない可能性がある。
日銀金融政策決定会合:政策金利より展望レポートと総裁会見
日銀は6月16日の会合で、政策金利を0.75%から1.00%へ引き上げた。決定は7対1で、今後も経済・物価・金融情勢に応じて政策金利を引き上げる方針を示している。
7月30~31日の会合では1.00%での据え置きが広く予想されている。6月に利上げしたばかりであることに加え、6月コアCPIが1.6%と2%目標を下回っているため、連続利上げの可能性は低いとみられている。
ただし、市場の焦点は政策金利の結果だけではない。
展望レポートの注目点
今回の会合では、経済・物価情勢の展望が公表される。日銀は次の点をどのように評価するかが重要である。
- 円安による輸入物価の上昇
- 原油高のCPIへの波及
- 企業による価格転嫁
- サービス価格と賃金
- 家計の実質所得と個人消費
- AI関連需要による輸出・設備投資
- 中東情勢の景気下押しと物価押し上げ
日銀は、インフレが2%を上回るリスクを引き続き警戒する一方、前回からリスクが大幅に高まったとは評価しない可能性があると報じられている。
タカ派的な場合
物価見通しが上方修正され、円安や原油高による二次的な価格上昇が強調されれば、10月またはそれ以前の追加利上げ観測が強まりやすい。
日銀が、
- 利上げペースの加速を否定しない
- 政策金利は依然として中立金利を下回る
- 円安の物価波及が強まっている
- 基調的なインフレが2%へ近づいている
と説明すれば、日本国債利回りが上昇し、ドル円は下落する可能性がある。
ハト派的な場合
原油高による実質所得の低下や個人消費の弱さを重視し、次の利上げには時間が必要との姿勢を示せば、円売りが進みやすい。
政策金利据え置き → 次回利上げ時期が後ずれ → 日本国債利回り低下 → 日米金利差が広い状態が続く → ドル円上昇
という流れである。
市場予想どおりの場合
展望レポートが予想の範囲内なら、15時30分の植田総裁記者会見が主な材料になる。
とくに、
- 追加利上げは半年ごとなのか
- 10月会合を含め毎回の会合が選択肢なのか
- 165円前後の円安をどう評価するか
- 原油高は利上げ要因か、景気悪化要因か
- 実質金利は依然として低いとの認識を維持するか
が注目される。
3.来週のドル円見通し
メインシナリオ
筆者の基本シナリオは、162.80~164.50円を中心とした高値圏での神経質な推移である。
FOMCは据え置き、日銀も据え置きが中心予想である。政策金利の結果だけを見れば日米金利差は変わらないため、声明文や記者会見で次の利上げ時期を探る展開になりやすい。
米国側では、原油高、強い雇用、米国債利回りの上昇がドルを支えている。一方、日本側では、円安と原油高による物価圧力が日銀の追加利上げ観測を支える可能性がある。
このため、来週は一方向へ進み続けるというより、
- FOMCでドルが動く
- 米GDP・PCEでFOMCの解釈が修正される
- 東京CPIと日銀会合で円が動く
という形で、週後半に方向が何度も変わる可能性がある。
メインシナリオを修正する条件は、日足終値で164.00円を明確に上回る、または162.20円を下回る場合である。
ドル高・円安シナリオ
次の条件が重なれば、ドル円は上昇しやすい。
- FOMCが予想外の利上げを行う
- 据え置きでも利上げを主張する反対票が複数出る
- ウォーシュ議長が9月利上げを強く示唆する
- 米GDPとPCEが市場予想を上回る
- 米2年債利回りが4.37%を上抜ける
- 日銀が物価上昇を一時的と評価する
- 植田総裁が追加利上げを急がない姿勢を示す
- 原油価格が再び100ドル台へ上昇する
- 株高によるキャリートレードで円が売られる
この場合、164.00円を上抜け、164.50円、さらに165.00円を試す可能性がある。
ただし、165円付近では円買い介入への警戒が非常に強くなる。介入の実施水準を事前に断定することはできず、値動きの速度や市場環境も判断材料となる。
ドル高・円安シナリオを修正するのは、FOMCがタカ派的でも米2年債利回りが上昇しない場合、または日銀が予想以上に早い追加利上げを示唆した場合である。
ドル安・円高シナリオ
次の条件が重なれば、ドル円は下落しやすい。
- FOMCが原油高を一時的な要因と評価する
- ウォーシュ議長が追加利上げに慎重な姿勢を示す
- 米GDPとコアPCEが市場予想を下回る
- 米2年債利回りが4.20%を下回る
- 東京CPIが市場予想を上回る
- 日銀が物価見通しを上方修正する
- 植田総裁が早期の追加利上げを示唆する
- 日本国債利回りが上昇し、日米金利差が縮小する
- 原油価格が大幅に下落する
- 日本政府が円買い介入を実施する
この場合、163.20円付近を下回ったあと、162.80~163.00円、さらに162.20~162.45円が焦点になる。
162.20円を日足終値で下回れば、今週の上昇がいったん失速し、161円台後半まで調整する可能性が高まる。
ただし、日本円が買われても、米国金利が同時に上昇していればドル円の下落は限定される。日銀発表後は日本国債利回りだけでなく、米2年債利回りも確認する必要がある。
4.ドル円のテクニカル見通し
日足のトレンド
ドル円の日足は、6月中旬以降の高値・安値切り上げを維持している。今週は前週高値162.52円を上抜け、一時164.00円まで上昇したため、基本的なトレンドは上向きである。
Investing.comの日足終値を基に筆者が計算した単純移動平均線は、次の水準である。
- 10日移動平均線:約162.82円
- 20日移動平均線:約162.44円
- 50日移動平均線:約161.08円
7月24日終値の163.85円は、すべての移動平均線を上回っている。10日線、20日線、50日線の順に並んでいるため、中短期的には上昇トレンドの形である。
一方、価格は10日移動平均線から約1円上方にあり、164円では上値を抑えられた。急速な上昇後であることから、イベント結果が弱ければ移動平均線方向へ調整する余地もある。
公開されたテクニカルページでは、7月24日時点の日足と5時間足がともに「Strong Buy」と判定されていた。ただし、取得画面でRSI・MACDの数値がどの時間軸に対応するかを一貫して確認できなかったため、日足および4時間足の具体的なRSI・MACD数値は記載しない。推測で異なる時間軸の数値を混在させることを避けた。
200日移動平均線についても、同一データ提供元の200営業日分の日足終値を確認できなかったため、具体的な数値は示さない。
4時間足の形状
4時間足の詳細なインジケーター値は確認できないものの、今週の価格構造からは上昇基調が読み取れる。
- 7月20日の安値:162.24円
- 7月21日の安値:162.43円
- 7月22日の安値:162.79円
- 7月23日の安値:162.99円
- 7月24日の安値:163.64円
日ごとの安値は切り上がっており、押し目買いが継続した。一方、164.00円では上値を抑えられ、24日は値幅が縮小している。
したがって、短期的には上昇トレンドを維持しながら、164円の突破を待つ持ち合いと判断できる。
上値の注目水準
163.97~164.00円
今週の高値であり、1986年以来の高値圏である。7月24日も163.97円で上昇が止まっており、最初の重要な抵抗線となる。
日足終値で164円台へ乗せられるかが、上昇継続の最初の条件である。
164.50円
164円を上抜けた場合に意識されやすい半値の心理的節目である。過去の反応を確認できる価格帯ではないが、未知の高値圏では0.50円単位の節目が利益確定やオプション取引の目安になりやすい。
165.00円
大台の心理的節目であり、為替介入への警戒が一段と高まりやすい水準である。
ただし、介入が165円で必ず行われるという根拠はない。トレーダーズ・ウェブFXでは、次の介入ラインを165円付近とみる市場参加者がいる一方、上昇速度が緩やかなら実施判断は難しいとの見方も紹介されている。
下値の注目水準
163.60~163.65円
7月24日の安値圏であり、週末に買い支えられた水準である。来週初めの短期的な支持線となる。
163.15~163.25円
7月21~22日の高値・終値が集中する価格帯である。163円突破後の押し目候補であり、以前の抵抗線が支持線へ変わるかが注目される。
162.79~163.00円
7月22~23日の安値が位置し、心理的節目の163円も含む支持帯である。10日移動平均線にも近いため、この水準を維持する限り、短期上昇トレンドは保たれやすい。
162.20~162.45円
今週の安値と週初値、20日移動平均線が重なる重要な支持帯である。
この水準を日足終値で下回れば、今週の上昇分をほぼ失い、高値・安値切り上げの構造が弱まる。
テクニカル上の分岐点
上方向の分岐点は164.00円である。
日足終値で164.00円を明確に上回り、米2年債利回りも4.37%を超えて上昇していれば、上昇トレンドの継続と判断しやすい。次の目標は164.50円と165.00円になる。
下方向の分岐点は162.20円である。
162.20円を日足終値で下回れば、今週の安値切り上げが崩れ、161円台後半へ調整する可能性が出てくる。
163.00円割れだけでは上昇トレンド終了とは判断できないが、FOMCと日銀会合後に162.20円も維持できなければ、相場観を中立方向へ修正する必要がある。
5.まとめ
2026年7月20日~24日のドル円は、162.45円で始まり、一時164.00円まで上昇して163.85円で週を終えた。中東情勢の再緊迫化による原油高、強い米雇用指標、米2年・10年債利回りの上昇がドルを押し上げた。一方、日本では原油輸入額が急増し、貿易赤字と交易条件の悪化が円売り材料となった。
来週は日本時間7月30日のFOMCと31日の日銀金融政策決定会合が最大の焦点である。両会合とも据え置きが中心予想だが、声明文、採決結果、ウォーシュFRB議長と植田日銀総裁の記者会見によって、次の利上げ時期が修正される可能性がある。米GDPとPCEデフレーターもFOMC後の市場解釈を変える材料となる。
基本シナリオは162.80~164.50円を中心とした高値圏での神経質な推移である。上値は164.00円、164.50円、165.00円、下値は163.20円、162.80円、162.20円が重要となる。164.00円を日足で上回れば上昇継続、162.20円を下回れば調整拡大を警戒したい。
日米金融政策、原油価格、米国金利、為替介入への警戒が同時に動くため、イベント前後には通常より大きな値幅になる可能性がある。
2026年7月のドル円相場全体の流れは、「2026年7月のドル円相場まとめ」で整理している。
各週の見通しや重要イベントをあわせて確認すると、月を通した相場展開を把握しやすい。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではない。投資判断はご自身の責任で行っていただきたい。
