原油・米金利・介入警戒が焦点
2026年7月のドル円相場は、弱い米雇用統計を受けた急落から始まった。その後は、中東情勢の緊迫化に伴う原油高と米国金利の上昇を背景にドルが買い戻され、7月6日週には一時162.71円まで上昇した。ただし、162円台後半では為替介入への警戒が強く、週末には原油の反落や日本の年金基金による国内資産投資の拡大観測を受けて161円台へ戻した。次の焦点は、米CPIとウォーシュFRB議長の議会証言である。
主な注目材料
- 雇用統計後のFRB追加利上げ観測
- FOMC議事録
- 米ISMサービス業景気指数
- 中東情勢の緊迫化
- 原油価格の上昇と反落
- 米2年債、米10年債利回り
- 日米金利差
- 米消費者物価指数(CPI)
- 米生産者物価指数(PPI)
- ウォーシュFRB議長の議会証言
- 米小売売上高
- 日銀の追加利上げ観測
- 年金基金による国内資産投資の拡大観測
- 162円台後半での為替介入警戒
週ごとの相場まとめ
7月6日週:原油高と米金利上昇で162円台後半へ
7月6日週のドル円は161.34円で始まり、前週の米雇用統計後に進んだドル売りを取り戻す展開となった。中東情勢の緊迫化によって原油価格が上昇すると、インフレ再加速への警戒から米国債利回りも上昇し、ドル円は一時162.71円まで上値を伸ばした。一方、週末は原油の反落や年金基金による国内資産投資の拡大観測を受けて円が買い戻され、161.70円で取引を終えた。週初時点の展望は「来週のドル円見通し(7月6日~7月10日)|FOMC議事録と米ISMサービスに注目」で整理している。
7月13日週:米CPIとウォーシュFRB議長証言が焦点
7月13日週は、米国のインフレ動向とFRBの金融政策姿勢が最大の焦点となる。とくに6月米CPIは、エネルギー価格やサービス価格、関税などによる物価圧力がどこまで残っているかを確認する重要な材料である。CPI発表後にはウォーシュFRB議長の議会証言も予定されており、7月または9月の追加利上げに対する姿勢が注目される。米PPIや小売売上高も含め、物価と景気のバランスを見極める一週間となりそうだ。詳しい相場展望は「来週のドル円見通し(7月13日~17日)|米CPIとウォーシュFRB議長証言に注目」で整理している。
月全体の流れ
2026年7月のドル円相場は、前週に発表された弱い米雇用統計によって、FRBの追加利上げ観測が後退した状態から始まった。ドル円は162円台から一時160.49円まで急落し、それまで続いていた円安の流れはいったん調整を迫られた。
しかし、7月6日週に入ると、前週の急落に対するドルの買い戻しが進んだ。さらに、中東情勢の緊迫化によって原油価格が上昇すると、米国のインフレが再び加速するとの警戒が強まり、米国債利回りも上昇した。原油高、FRBの追加利上げ観測、米国金利の上昇が重なり、ドル円は162.71円まで反発した。
一方、162円台後半では、日本政府による円安けん制や為替介入への警戒が強く、上昇は定着しなかった。週末には、日本の年金基金が海外資産から国内資産へ投資を移すとの観測が円買いを促したほか、原油価格の反落もドル売り材料となり、ドル円は161.70円へ下落した。
このため、7月前半は「米雇用統計を受けたドル売り」から「原油高と米金利上昇によるドル買い」へ転じたものの、一方向に円安が進んだわけではない。次の焦点は米CPIとウォーシュFRB議長の議会証言であり、インフレと雇用のどちらをFRBが重視するのかを見極める局面に入っている。
テクニカル面で意識されたポイント
7月10日の終値161.70円に対し、10日移動平均線は約162.05円、20日移動平均線は約161.66円、50日移動平均線は約160.02円となっている。10日線、20日線、50日線は上から順に並んでおり、中期的な上昇基調は維持されている。ただし、終値は10日線を下回り、20日線付近まで下落しているため、短期的には上昇の勢いが鈍化している。
RSIは約54.2と中立圏にあり、買われ過ぎや売られ過ぎを示す状態ではない。MACDはプラス圏を維持しているものの、MACD線がシグナル線を下回り、ヒストグラムもマイナスとなった。中期的には上昇基調を保ちながら、短期的には調整が進んでいる形である。
上方向では、週間高値の162.71円と直近高値の162.84円付近が抵抗帯として意識される。下方向では、週間安値の161.28円、さらに前週の米雇用統計後に反応した160.49~160.63円付近が下値の候補となる。
翌月に向けた注目点
翌月に向けては、FRBの金融政策見通しが引き続き焦点となりそうだ。米雇用統計の下振れによって追加利上げ観測はいったん後退したが、インフレ圧力が残る場合、年内利上げ観測が再び意識される可能性がある。そのため、米雇用関連指標、物価指標、ISMなどの景況感指数は引き続き重要である。
日本側では、賃金、企業物価、個人消費の動きが日銀の追加利上げ観測に影響しやすい。日銀が追加利上げに動くとの見方が強まれば円買い材料となるが、同時に米国金利が上昇していれば、円買いの勢いは限定される可能性もある。
また、ドル円が再び162円台を試す場合には、為替介入への警戒が意識されやすい。翌月に向けても、ドル円は米金利主導の上昇圧力と、円安水準での政策警戒の間で揺れやすい相場となりそうだ。
まとめ
2026年7月のドル円相場は、米雇用統計後の急落から始まったが、中東情勢の緊迫化による原油高と米国金利の上昇を受けて、7月6日週には162円台後半まで反発した。FOMC議事録で追加利上げを支持する意見が確認されたことも、ドルを支える材料となった。
ただし、162円台後半では為替介入への警戒が強く、週末には原油反落や年金基金による国内資産投資の拡大観測を受けて161円台へ下落した。日米金利差は引き続きドル円を支えているが、上値を積極的に追いにくい環境でもある。
次の焦点は米CPIとウォーシュFRB議長の議会証言である。インフレ圧力が強ければ追加利上げ観測が高まりやすい一方、物価の鈍化や雇用への慎重な見方が示されれば、ドル円の上昇は抑えられやすい。7月前半は、米国金利、原油価格、FRBの政策観測、介入警戒が交錯する相場となっている。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
