原油高・日米金融政策・為替介入が焦点
2026年7月のドル円相場は、弱い米雇用統計を受けた急落から始まった。その後は、中東情勢の緊迫化に伴う原油高と米国金利の上昇を背景にドルが買い戻され、月後半には一時164円付近まで上昇した。しかし、月末にはFOMCと日銀金融政策決定会合を通過した後、日本当局による円買い介入が観測され、米財務省も円買いに動いたと報じられた。ドル円は157円台まで急落し、月前半から続いた上昇を一気に打ち消して7月を終えた。
主な注目材料
- 米雇用統計後のFRB金融政策観測
- FOMC議事録
- 米消費者物価指数(CPI)
- 米生産者物価指数(PPI)
- 米小売売上高
- 米新規失業保険申請件数
- 中東情勢と原油価格の上昇
- 米2年債、米10年債利回り
- 日米金利差
- 日本の貿易収支と原油輸入額
- 日本の全国消費者物価指数(CPI)
- 日銀の追加利上げ観測
- FOMCの政策金利据え置きと3名の反対票
- 日銀の政策金利据え置きと展望レポート
- 日本当局による円買い介入
- 米財務省による円買い介入報道
- 164円付近での為替介入警戒
7月は、米国の経済指標や原油価格、日米金利差を背景にドル円が上昇した一方、月末には政策イベントと為替介入によって流れが大きく反転した。とくに、ドル円が164円付近まで上昇した後の急落は、価格水準だけでなく、円安の速度も当局に警戒されていたことを示す動きとなった。
週ごとの相場まとめ
7月6日週:原油高と米金利上昇で162円台後半へ
7月6日週のドル円は161.34円で始まり、前週の米雇用統計後に進んだドル売りを取り戻す展開となった。中東情勢の緊迫化によって原油価格が上昇すると、インフレ再加速への警戒から米国債利回りも上昇し、ドル円は一時162.71円まで上値を伸ばした。一方、週末は原油の反落や年金基金による国内資産投資の拡大観測を受けて円が買い戻され、161.70円で取引を終えた。週初時点の展望は「来週のドル円見通し(7月6日~7月10日)|FOMC議事録と米ISMサービスに注目」で整理している。
7月13日週:米CPIとウォーシュFRB議長証言が焦点
7月13日週のドル円は161.69円で始まり、米国とイランの緊張激化や原油価格の急騰を背景に上昇し、一時162.56円を付けた。米CPIとPPIは市場予想を下回り、7月FOMCでの利上げ観測は後退したものの、原油高によるインフレ再加速への警戒や米雇用の底堅さが米国金利を支えた。ドル指数が週間で下落するなかでもドル円は162.40円まで上昇しており、全面的なドル高よりも、原油輸入負担や日米金利差など円側の弱さが目立った一週間である。週初時点の展望は「来週のドル円見通し(7月13日~17日)|米CPIとウォーシュFRB議長証言に注目」で整理している。
7月20日週:日本CPIと米PMIが焦点
7月20日週のドル円は162.45円で始まり、一時164.00円まで上昇して163.85円で週を終えた。中東情勢の再緊迫化による原油高、強い米新規失業保険申請件数、米国債利回りの上昇がドルを押し上げた。一方、日本では原油輸入額の増加と貿易赤字が円売り材料となった。全国CPIへの反応は限定的で、日銀が連続利上げを急がないとの見方もドル円を支えた。週初時点の展望は詳しい相場展望は「来週のドル円見通し(2026年7月20日~24日)|日本CPIと米PMIが焦点」で整理している。
7月27日週:日米の政策会合後、円買い介入で157円台へ急落
7月27日週のドル円は163.72円付近で始まり、週前半には163.95円まで上昇した。FOMCは政策金利を据え置いたものの、3名が利上げを主張し、インフレへの警戒が残っていることが示された。日銀も政策金利を1.0%程度で据え置いたが、1名が利上げを提案した。その一方、日本当局による大規模な円買い介入が観測され、米財務省も円買いに動いたと報じられたことで相場は急反転した。ドル円は157.31円まで下落し、157.35円付近で週と月の取引を終えた。詳しい相場展望は「来週のドル円見通し(2026年7月27日~31日)|FOMCと日銀会合が最大の焦点」で整理している。
月全体の流れ
2026年7月のドル円相場は、前週に発表された弱い米雇用統計によって、FRBの追加利上げ観測が後退した状態から始まった。月初には162円台から160円台半ばまで下落し、それまで続いていた円安の流れはいったん調整を迫られた。
しかし、7月6日週に入ると、中東情勢の緊迫化による原油高と米国金利の上昇を背景にドルが買い戻され、ドル円は162円台後半まで反発した。7月13日週には米CPIとPPIが市場予想を下回ったものの、原油高や日米金利差がドル円の下値を支えた。
7月20日週には、強い米雇用関連指標と米国債利回りの上昇に加え、日本の原油輸入負担や日銀の慎重な利上げ姿勢が円売り材料となった。ドル円は164円付近まで上昇し、月初の下落を取り戻すだけでなく、高値を更新する展開となった。
ところが、月末の7月27日週に流れは大きく変わった。FOMCと日銀はともに政策金利を据え置いたが、両会合では利上げを主張する反対票が出た。その後、日本当局による円買い介入が観測され、米財務省も円買いに動いたとの報道が伝わると、ドル円は157円台まで急落した。
7月相場は、米雇用統計後の下落から原油高と米国金利を背景に164円付近まで上昇し、最後は為替介入によって157円台へ反転する、値動きの大きな一カ月となった。月を通じて円安圧力は根強かったが、当局の介入によって一方向の上昇には明確な歯止めがかけられた。
テクニカル面で意識されたポイント
7月31日の終値は157.35円付近となり、月末の急落によって短期的なチャート形状は大きく悪化した。日次終値から概算した10日移動平均線は約162.44円、20日移動平均線は約162.35円、50日移動平均線は約161.34円であり、終値はすべての移動平均線を下回っている。
7月前半から続いていた安値切り上げの流れも崩れ、163円台後半から157円台まで一気に下落した。月末の大陰線によって、それまで支持帯として意識されていた162円台前半から163円台前半は、今後は戻り売りが出やすい価格帯へ変わる可能性がある。
下方向では、7月31日の安値である157.31円付近と心理的節目の157.00円が最初の支持帯となる。これを明確に下回った場合は、156円台から155円台への下落が意識されやすい。
上方向では、まず158円台後半から160.00円を回復できるかが焦点となる。その上には50日移動平均線が位置する161円台前半、さらに10日線と20日線が重なる162円台前半があり、急落後の戻りを抑える抵抗帯として意識されやすい。
月末の値動きには為替介入という特殊要因が含まれるため、通常のテクニカル指標だけで方向を判断するのは難しい。8月初旬は、介入後の戻りの強さと157円台を維持できるかを確認する必要がある。
翌月に向けた注目点
8月のドル円相場を見るうえでは、まず月末に実施されたとみられる円買い介入の効果がどこまで続くかが焦点となる。157円台を維持して戻りが抑えられれば、円安トレンドがいったん転換したとの見方が強まりやすい。一方、短期間で160円台を回復する場合は、日米金利差を背景とした円売り圧力が残っていることを示す。
米国側では、雇用、景況感、物価指標を通じて、9月以降のFRBの政策見通しが修正されるかが注目される。7月FOMCでは3名が利上げを主張しており、インフレ警戒は依然として強い。米景気と雇用の底堅さが確認されれば、米国金利の上昇を通じてドル円の反発要因となり得る。
日本側では、日銀が次の利上げに動く時期が引き続き焦点となる。7月会合では政策金利が据え置かれたものの、1名が利上げを提案し、展望レポートでも基調的な物価上昇と上振れリスクが示された。賃金やサービス価格の上昇が続けば、追加利上げ観測が円を支える可能性がある。
また、米財務省による円買い介入が報じられたことで、今後は日本単独の介入だけでなく、日米当局の連携に対する警戒も意識されやすい。介入の有無に関する報道や当局者の発言によって、短時間で相場が大きく動く可能性には注意が必要である。
まとめ
2026年7月のドル円相場は、弱い米雇用統計を受けた下落から始まった。その後は、中東情勢の緊迫化による原油高、米国金利の上昇、日米金利差を背景にドルが買い戻され、月後半には164円付近まで上昇した。
しかし、月末にはFOMCと日銀金融政策決定会合を通過した後、日本当局による円買い介入が観測され、米財務省も円買いに動いたと報じられた。ドル円はわずか2日で163円台から157円台まで急落し、それまでの上昇基調は大きく崩れた。
7月は、原油高と日米金利差による円安圧力の強さが確認された一方、164円付近では為替介入が現実的なリスクになることも示された。8月は、介入後の157円台を維持できるか、米国金利が再び上昇するか、日銀の追加利上げ観測が強まるかが次の方向を決める焦点となる。
本記事は情報提供を目的としており、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。
