Fear & Greed Index(恐怖と欲望指数)とは何かを初心者向けに解説。CNNが使用する7つの指標、数値の見方、VIXとの違い、投資判断での使い方や注意点をわかりやすく紹介します。
株式市場では、企業業績や金利、景気などのファンダメンタルズだけでなく、投資家の「心理」も相場を大きく動かします。
市場参加者が将来を悲観すれば株式は売られやすくなり、逆に楽観的な見方が広がれば、多少割高でも買いが続くことがあります。
こうした投資家心理を0~100の数値で表したものが、CNNが公表しているFear & Greed Index(恐怖と欲望指数)です。
Fear & Greed Indexを見ることで、現在の米国株式市場が「恐怖」に傾いているのか、それとも「欲望」に傾いているのかを一目で確認できます。
Fear & Greed Indexとは
Fear & Greed Indexは、米国株式市場に関連する7つの指標を組み合わせ、市場参加者の心理を0から100までの数値で表した指標です。
数値が0に近いほど投資家の「恐怖」が強く、100に近いほど「欲望」が強いことを示します。
おおむね次の5段階で市場心理を確認できます。
| スコア | 市場心理 |
|---|---|
| 0~24 | Extreme Fear(極端な恐怖) |
| 25~44 | Fear(恐怖) |
| 45~55 | Neutral(中立) |
| 56~75 | Greed(欲望) |
| 76~100 | Extreme Greed(極端な欲望) |
たとえば株価が急落し、市場参加者が将来を悲観している場合にはFear & Greed Indexも低下しやすくなります。
一方、株価上昇が続き、投資家が積極的にリスクを取っている場面では指数も高くなる傾向があります。
ただし、Fear & Greed Indexは単純に株価の上下だけを見ているわけではありません。
株価、オプション、債券、VIX指数など、異なる市場の7つのデータを組み合わせていることが特徴です。
CNNによると、7つの指標はそれぞれ通常の水準からどの程度乖離しているかを評価し、同じ重みで組み合わせて0~100のスコアを算出しています。
Fear & Greed Indexを構成する7つの指標
Fear & Greed Indexは、次の7つの指標から構成されています。
1.Market Momentum|S&P500と125日移動平均線
最初の指標は、S&P500のモメンタムです。
現在のS&P500を過去125営業日の移動平均線と比較します。
S&P500が125日移動平均線を大きく上回っていれば、株式市場の上昇モメンタムが強く、投資家が積極的に株式を買っていると考えられます。
反対に、S&P500が125日移動平均線を下回っていれば、市場心理が弱気に傾いている可能性があります。
CNNでは、モメンタムの低下を「Fear」、モメンタムの上昇を「Greed」の材料として評価しています。
2.Stock Price Strength|52週高値と52週安値
次に確認するのが、ニューヨーク証券取引所(NYSE)で52週高値を更新した銘柄と、52週安値を更新した銘柄の数です。株価指数は大型株数銘柄の上昇だけでも押し上げられる場合があります。
そこで、市場全体でどれだけ多くの銘柄が上昇しているのかを見ることで、相場の本当の強さを確認します。
52週高値をつける銘柄が52週安値をつける銘柄より多ければ、市場全体に買いが広がっており「Greed」が強い状態と判断されます。
3.Stock Price Breadth|市場全体への買いの広がり
Stock Price Breadthは、市場全体にどの程度買いが広がっているかを見る指標です。
現在CNNでは、NYSEの上昇銘柄と下落銘柄の出来高を利用したMcClellan Volume Summation Index(マクレラン・ボリューム・サメーション・インデックス)を基に評価しています。
一部の大型株だけが上昇している相場よりも、多くの銘柄に幅広く買いが入っている相場の方が、市場全体の地合いは強いと考えられます。
CNNは近年、このStock Price Breadthの計算方法について小幅な変更を行ったことも公表しています。
4.Put and Call Options|プット・コール・レシオ
オプション市場から投資家心理を測る指標です。
CNNでは、プット・コール・レシオの5日平均を使用しています。
プットオプションは相場下落への備えとして利用されることが多く、コールオプションは相場上昇を見込む場面で利用されます。
そのため、プットに対してコールが多ければ強気、コールに対してプットが多ければ弱気心理が強いと判断できます。
一般にプット・コール・レシオが1を超えて上昇していく場合、市場参加者が下落を警戒しているサインになります。
5.Junk Bond Demand|ジャンク債への需要
ジャンク債とは、信用力が比較的低く、デフォルトリスクが高い代わりに高い利回りを提供する債券です。
投資家が相場の先行きに楽観的であれば、より高い収益を求めてジャンク債へ資金を向けやすくなります。逆に市場への警戒が強まると、安全性の高い債券へ資金を移すため、ジャンク債には売り圧力がかかります。
Fear & Greed Indexでは、ジャンク債と投資適格債の利回り格差(スプレッド)を利用して投資家のリスク選好を測っています。
スプレッドが縮小すればリスクを取る動きが強まり「Greed」、拡大すれば投資家が慎重になっていると判断できます。
6.Market Volatility|VIX指数
市場心理を表す代表的な指標の1つがVIX指数です。
VIX指数は、S&P500のオプション価格から今後30日間に市場が予想している値動きの大きさを示します。
株式市場が安定して上昇している場合、VIX指数は低下しやすくなります。
反対に株価が急落し、市場参加者の不安が高まると、VIX指数は急上昇する傾向があります。
Fear & Greed Indexでは、VIX指数と50日移動平均線などを比較し、ボラティリティの上昇を「Fear」の材料として評価しています。
VIX指数はFear & Greed Indexと同じく市場心理を測るために利用されますが、Fear & Greed Indexが7つの指標を組み合わせた総合指数であるのに対し、VIX指数はS&P500オプション市場から算出される予想変動率という違いがあります。
VIX指数については関連記事「VIX指数(恐怖指数)とは? 見方・目安とFear & Greed Indexとの違いを解説」で詳しく紹介しています。
7.Safe Haven Demand|株式と米国債のリターン差
市場に不安が広がると、投資家は株式などのリスク資産を売り、安全性が高いとされる米国債へ資金を移すことがあります。
Fear & Greed Indexでは、過去20営業日の株式と米国債のリターンの差を確認します。
株式が債券を上回っていれば投資家が積極的にリスクを取っている状態、債券が株式を上回っていれば安全資産への需要が高まっている状態と判断できます。
安全資産への需要が高まるほど「Fear」が強いと評価されます。
Fear & Greed Indexはどのように使う?
Fear & Greed Indexを見るときに重要なのは、売買シグナルとして機械的に使用しないことです。
たとえばExtreme Fearまで指数が低下している場合、市場参加者の悲観がかなり強まっていることを示します。
株価が大幅に下落した結果、長期的には割安な水準まで売られている銘柄が出てくる可能性もあります。
そのため、「市場が悲観一色になっているが、本当に企業価値まで大きく低下したのか」と考えるきっかけにはなります。
逆にExtreme Greedまで指数が上昇している場合には、「好材料をすでに株価が織り込み、投資家が楽観的になりすぎていないか?」と確認できます。
Fear & Greed Indexは、相場に参加している自分自身の心理を客観的に確認するためにも役立ちます。
Extreme Fearなら買い、Extreme Greedなら売りなのか
注意したいのが、
Extreme Fear=株価の底
Extreme Greed=株価の天井
とは限らないことです。
市場がExtreme Fearに入ったあと、さらに株価が下落してExtreme Fearの状態が長期間続くこともあります。逆に強い上昇相場では、GreedやExtreme Greedの状態を維持したまま株価が上昇し続ける場合もあります。
Fear & Greed Indexが示しているのは、あくまで現在の市場参加者の心理です。
将来の株価を直接予測する指標ではありません。
CNNも、Fear & Greed Indexをファンダメンタルズ分析や他の分析ツールと組み合わせて利用することを紹介しています。
1日の数値より「変化」を見る
Fear & Greed Indexでは、現在の数字だけでなく、数値がどの方向へ動いているかを見ることも重要です。
たとえば、
- 70から80へ上昇した
- 30から20へ低下した
- 10から30へ回復した
という3つのケースでは、同じFearやGreedでも意味が異なります。
とくに株価急落後にExtreme Fearとなった指数が徐々に回復している場合、市場心理が最悪期を脱しつつある可能性があります。
逆に、高水準だった指数が急速に低下している場合には、それまで楽観的だった市場でリスク回避が始まっている可能性があります。
CNNの画面では、現在値だけでなく、前営業日、1週間前、1か月前、1年前などとの比較も確認できます。
Fear & Greed IndexはFXやドル円にも使える?
Fear & Greed Indexは、基本的には米国株式市場のセンチメントを見るための指標です。
そのため、Fear & Greed Indexが低下したからドル円を売る、高くなったからドル円を買う、といった単純な使い方はできません。
ただし金融市場では、株式、債券、為替が互いに影響し合っています。
市場で急速にリスク回避が進めば、
- 株価
- VIX指数
- 米国債利回り
- ドル
- 円
- キャリートレード
などにも変化が表れる場合があります。
そのためFXでも、「現在の市場全体がどの程度リスクを取りに行っているのか」を確認する補助材料としてFear & Greed Indexを見ることはできます。
Fear & Greed Indexの注意点
Fear & Greed Indexを利用するときには、次の点に注意が必要です。
米国株市場の心理を示す指標である
Fear & Greed Indexは米国株式市場に関連するデータを中心に構成されています。
世界中のすべての金融市場の心理を直接表しているわけではありません。
将来の株価を予測する指標ではない
Extreme Fearだから翌日から株価が上昇するとは限りません。
Extreme Greedだからすぐに暴落するとも限りません。
現在の相場環境を確認するためのセンチメント指標として利用することが重要です。
ファンダメンタルズも確認する
市場が恐怖に包まれている理由が、一時的なショックなのか、景気後退や企業業績の悪化など長期的な問題なのかによって意味は変わります。
Fear & Greed Indexだけを見るのではなく、企業業績、金融政策、金利、景気指標などと合わせて判断する必要があります。
Fear & Greed Indexは市場心理を見る「体温計」
Fear & Greed Indexは、投資家の恐怖と欲望という見えにくい心理を0~100の数字で確認できる便利な指標です。
とくに、市場が大きく動いたときには、「株価が何%下がったのか」だけでなく、
「市場参加者はどの程度まで悲観しているのか」という別の角度から相場を見ることができます。
一方、Fear & Greed Indexだけで相場の天井や底を判断することはできません。
現在の市場心理を確認するための「体温計」のようなものとして、株価、金利、企業業績、VIX指数などと組み合わせて利用するのがよいでしょう。
最新のFear & Greed Indexは、CNNの公式ページから確認できます。
Fear & Greed Index | CNN
