ドル円は日銀利上げとタカ派的なFOMCを受けて161円台へ上昇。来週は2024年高値161.95円の突破と為替介入が焦点となる。米PCEや日銀「主な意見」を踏まえ、ドル円の見通しと押し目買い戦略の注意点を解説する。
今週(2026年6月15日~6月19日)のドル円相場は、日銀の追加利上げとFOMCを通過し、161円台まで上昇した。
来週(6月22日~6月26日)は、2024年7月の高値である161.95円を突破できるかが焦点となる。ただし、歴史的な円安水準を前に、為替介入への警戒も強まっている。ドル高・円安基調は続きやすいものの、高値追いは避け、押し目買いを基本としながら急落リスクに備えたい。
今週(6月15日~6月19日)のドル円相場振り返り
ドル円は160.05円で寄り付いた。
週末に米国とイランが停戦で合意したことから、週明けはドル売りが先行した。しかし、停戦を受けた原油価格の下落だけではドル売りの流れは続かず、日米の金融政策決定を控えて160円台前半へ戻した。
16日には日銀が25bpの利上げを決定し、政策金利を1.00%へ引き上げた。政策金利が1%に達するのは31年ぶりである。
内田副総裁は、原油高を起点とする物価上昇が企業間取引から消費者物価へ波及し、中長期的な予想物価上昇率も高まっていると説明した。また、ビハインド・ザ・カーブに陥らないよう金融政策を運営する必要性にも言及しており、メッセージ自体はタカ派的であった。
それでも円高が進まなかったのは、次回利上げの時期やペース、ターミナルレートに関する具体的な示唆がなかったためである。今回の利上げは事前にほぼ織り込まれており、市場が求めていたのは「次の一手」であった。
その後、17日のFOMCがドル円上昇のきっかけとなった。
FOMCは政策金利を据え置いたものの、声明文から利下げバイアスが削除された。さらに、政策金利見通しを提出した参加者の中に、年内の利上げを予想する委員が複数いたことも明らかとなった。
ウォーシュFRB議長も、インフレ率を目標の2%へ戻す決意を示した。市場では、FRBの次の一手が利下げではなく利上げになる可能性が意識され、米金利の上昇とともにドル買いが加速した。
ドル円は160円台後半へ上昇し、18日には161.80円をつけた。2024年7月3日の高値161.95円まで、わずか15銭に迫ったことになる。
19日は高値警戒感や日本当局の円安けん制発言を受けて上値が重くなったものの、161円台を中心とする高値圏を維持した。
来週(6月22日~6月26日)の注目イベント
日銀金融政策決定会合の「主な意見」(6月24日)
来週の日本側でもっとも重要な材料である。
今回の日銀会合では植田総裁が病欠し、書面で意見を提出している。「主な意見」の内容から、植田総裁を含む政策委員が次回以降の利上げをどのように考えているのかが明らかになる可能性がある。
早期の追加利上げや物価上振れリスクへの警戒が強く示されれば、円買い材料となる。
反対に、景気への配慮や次回利上げまで時間を置く姿勢が確認されれば、今回の利上げでいったん打ち止めとの見方が広がり、円売りが強まる可能性がある。
同日には全国信用金庫大会に向けた植田総裁の挨拶も予定されているが、氷見野副総裁が代読する見通しである。
FRB高官発言
FOMC後に米国の利上げ観測が急速に強まったため、FRB高官が市場の受け止めを修正するかが焦点となる。
市場では年内1回を超える利上げを織り込む動きもみられるが、原油価格の下落によって総合インフレ率が落ち着くのであれば、利上げ期待が行き過ぎているとの見方も出てくるだろう。
ウォラー理事やニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁などが利上げに慎重な姿勢を示せば、米金利が低下し、ドル円も調整しやすい。
一方、インフレ抑制を優先する発言が続けば、ドル高の勢いは維持されるだろう。
米GDP確報値・個人消費支出(6月25日)
米国の1~3月期GDP確報値は、米景気の底堅さを確認する材料となる。
GDPそのものは過去のデータであるため、通常は相場への影響が限定されやすい。ただし今回は、FOMC後に米利上げ観測が高まっているため、上方修正されればドル買いが強まりやすい。
同時に発表される個人所得と個人支出にも注目したい。停戦と原油価格の安定が米消費を下支えするとの見方を裏付ける内容となれば、米国の高金利長期化を意識したドル買いにつながる可能性がある。
米PCEコアデフレーター(6月25日)
来週最大の米経済指標である。
市場予想は前年比3.4%と、前月の3.3%から小幅に加速する見通しである。
PCEコアが予想を上回れば、FOMC後に高まった利上げ観測がさらに強まり、ドル円は2024年高値を突破して162円台を試しやすくなる。
一方、予想を下回れば、市場で進んだ利上げ織り込みの巻き戻しが起こり、米金利の低下とドル売りにつながる可能性がある。
今回のPCEは、単にインフレ率を確認するだけではなく、FOMC後に高まった利上げ観測が妥当かを試す指標として重要である。
東京都区部CPI(6月26日)
日本では、6月の東京都区部CPIが発表される。
市場では、生鮮食品を除く指数が前年比1.6%へ加速すると予想されている。政府による電気・ガス料金補助の終了もあり、前月から伸びが高まる可能性がある。
物価の上振れが確認されれば、日銀の追加利上げ観測を支える材料となる。ただし、今回の日銀会合を通過した直後であるため、単独で円高トレンドを形成するには、相当強い上振れが必要だろう。
来週のドル円テクニカル見通し
来週の最重要レジスタンスは、2024年7月3日の高値である161.95円である。
ファンダメンタルズ面ではドル高に傾いており、主要なトレンド系指標からも強い買い圧力が確認できる。重要な高値に接近しているとはいえ、為替介入への期待だけを根拠に売りから入るトレードは避けたい。
とはいえ、やや過熱感が出ていることも確かである。現在の水準から新規でポジションを立てるというより、少し待って押し目を拾う戦略が基本となるだろう。
下値では、まず前回の為替介入時の高値である160.72円前後が、短期的なサポートとして意識される。ここを下回れば、次は160円の心理的節目が意識されるだろう。
来週は、テクニカル指標だけで方向を決めるというより、節目付近で形成されるローソク足を丁寧に観察する時間が長くなるかもしれない。
まとめ
今週のドル円は、日銀が政策金利を1.00%へ引き上げたものの、FOMC後に米国の利上げ観測が強まったことで161.80円まで上昇した。
日銀もFRBもタカ派的な姿勢を示したが、為替市場では米国の利上げ期待が日本の追加利上げ期待を上回り、ドル高・円安が進んだ。
来週は2024年高値の161.95円を突破できるかが最大の焦点となる。
相場の方向は上向きであるが、買う場所を間違えると、為替介入や急反落に巻き込まれかねない。押し目を待ち、161円台後半から162円台では利益確定を優先することが、来週のドル円相場を乗り切る鍵となるだろう。

