2026年9月21日~25日のドル円見通しを解説。FOMCと日銀利上げ後の米金利、FedWatch、米PMI、158円台で高まる為替介入リスクを分析する。
2026年9月14日~18日のドル円は、153円台前半から一時158.05円まで上昇した。FRBが3年ぶりの利上げに踏み切り、年内の追加利上げも示唆した一方、日銀は1.25%へ利上げしたものの2人の反対票と追加利上げへの慎重な姿勢が円売りを誘った。
来週9月21日~25日は日本が21~23日の3日連続祝日となる。主要中銀イベント通過後の米金利動向に加え、158円台では政府・日銀による為替介入への警戒が再び大きなテーマとなる。
1.今週のドル円相場を振り返る
2026年9月14日~18日のドル円は、前週までの円高から一転して大幅に反発した。
同一系列のデータでは14日の週初値は153.45円前後。その後、FOMCを受けて156円台へ上昇し、18日の日銀会合後には158.05円までドル高・円安が進んだ。NY市場では為替介入への警戒から156円台へ急反落し、156.88円で越週した。
| 項目 | USD/JPY |
|---|---|
| 週初値 | 約153.45円 |
| 週間高値 | 158.05円 |
| 週間安値 | 約153.33円 |
| 週終値 | 156.88円 |
| 週間値幅 | 約4.72円 |
| 前週末比 | 約+3.33円(約+2.2%) |
参考:ザイFX!
週初:原油高とFOMC利上げ観測でドル買い
14日のドル円は153円台から154円台へ上昇し、一時155円付近まで値を戻した。
背景にあったのは、中東情勢の緊迫化による原油価格上昇と、それに伴う米インフレ懸念である。
Brent原油は一時108ドル付近まで上昇し、米10年債利回りは心理的節目の5%を突破した。FOMCで25bp(0.25%ポイント)の利上げが行われるとの市場予想も約90%まで高まった。
これらの因果関係を整理すると、
原油高
→ インフレ再加速への警戒
→ FRB利上げ観測
→ 米国債利回り上昇
→ ドル買い
という流れである。
一方、日本では18日の日銀会合での利上げが予想されていたため、円にも買い材料が存在した。
しかし、その時点で円はすでに152.89円まで急騰しており、日銀の最終的な政策金利が2%を超えるとの期待まで一部で浮上していた。市場の期待が先行しすぎているとの警戒が、円買いの勢いを弱め始めた。
週央:FOMCは25bp利上げ、さらに年内1回の追加利上げを示唆
今週最大の転換点となったのが16日のFOMCである。
FRBは政策金利を25bp引き上げ、3.75~4.00%とした。利上げは全会一致の12対0で決定された。
声明文では、
- 経済活動は堅調なペースで拡大
- 国内支出は底堅い
- 生産性上昇は強い
- 設備投資は堅調
- インフレは依然として高い
との認識が示された。
とくに重要なのが、
Today's policy action will support a timelier return to the Committee's 2 percent goal.
との表現である。
FRBがインフレ抑制のために利上げが必要と明確に位置付けた点が、市場からはタカ派的な内容と受け止められた。
さらにSEP(経済見通し)では、2026年末の政策金利について参加者18人のうち12人が4.125%を予想した。現在の政策金利レンジの中心値3.875%から考えると、年内にもう1回25bp利上げすることが中心シナリオとなる。
参考:The Fed - September 16, 2026: FOMC Projections materials, accessible version
ドル円はFOMC後に156円台へ上昇し、16日のNY終値は156.26円となった。 事実と市場の解釈を整理すると、以下の通りである。
事実: FRBは25bp利上げし、年内もう1回の利上げを示唆した。
市場の解釈: 9月利上げそのものは織り込み済みだったが、利上げが一度限りではない可能性が示されたため、米金利とドルを支える材料となった。
週後半:米金利上昇でもドル円は一時155円台へ
17日はFOMC後のドル買いに調整が入り、ドル円は一時155.34円まで下落した。
米10年債利回りの低下がドルの重しとなり、NY終値は155.97円だった。
ただし、この時点でもFRBの政策見通しそのものがハト派へ変わったわけではない。
むしろ市場では、
FOMC通過
→ 利上げを事前に織り込んでいた投資家の利益確定
→ 米金利一時低下
→ ドル円調整
という短期的な動きだったと考えられる。
週末:日銀は利上げ、それでも円安
18日の日銀金融政策決定会合では、政策金利が1.00%から1.25%へ引き上げられた。これは、1995年以来31年ぶりの高水準である。
ところがドル円は下落するどころか急上昇した。
最大の理由は、決定が7対2だったことである。
Reutersによれば、浅田統一郎委員と佐藤綾野委員が利上げに反対した。さらに植田総裁から今後の利上げペースについて明確なタカ派姿勢が示されなかったため、市場では追加利上げへの期待が後退した。
つまり、
日銀利上げ
→ 本来なら円高材料
ではなく、
利上げは織り込み済み + 2人が反対 + 次の利上げ時期が不透明
→ 日銀へのタカ派期待後退
→ 円売り
という反応となり、ドル円は欧州市場で158.05円まで上昇した。
ところがNY市場では状況が再び変わった。
「日銀がレートチェックを実施した」との報道を受けて為替介入への警戒が急速に強まり、ドル円は156.60円付近まで急落した。最終的には156.88円で週を終えた。
レートチェックとは、当局が金融機関へ現在の為替レートを問い合わせる行為である。実際の介入ではないが、為替介入の準備段階として行われることがあるため、市場では強い警戒材料となる。
なお、為替介入については、関連記事『円買い為替介入の仕組み|ドル円が急落する理由と確認方法』でも解説している。
今週の相場は、
FRB利上げ → ドル高
と
日銀利上げ → 円高
の単純な競争ではなかった。
実際には、
FRB利上げ後も追加利上げ期待が残った
一方
日銀利上げ後は追加利上げ期待が後退した
ことで、日米金融政策の「次の一手」の差がドル高・円安につながった一週間だったと整理できる。
2.来週の重要イベント
対象期間は2026年9月21日(月)~25日(金)である。
今回、非常に重要なのが日本の祝日である。
21日は敬老の日、22日は祝日に挟まれたことによる休日、23日は秋分の日となり、日本市場は月~水曜日まで3営業日連続で休場する「シルバーウィーク」となる。
米国市場は通常通りである。
| 日付・日本時間 | 国・地域 | イベント | 市場予想・前回値 | ドル円への注目点 |
|---|---|---|---|---|
| 9月21日(月) | 日本 | 敬老の日・東京市場休場 | ― | 薄商いで値動きが増幅する可能性 |
| 9月22日(火) | 日本 | 国民の休日・東京市場休場 | ― | 為替介入への警戒 |
| 9月23日(水) | 日本 | 秋分の日・東京市場休場 | ― | 3日連続休場最終日 |
| 9月23日(水)22:45 | 米国 | 9月S&P Global PMI速報値 | 製造業:予想約53/前回53.9、サービス業:予想56台/前回56.5 | FOMC後初の主要景況感指標 |
| 9月24日(木)21:30 | 米国 | 新規失業保険申請件数 | 予想:未確認/前回19.6万件 | 労働市場の強さを確認 |
| 9月24日(木)23:00 | 米国 | 8月新築住宅販売件数 | 予想:未確認/前回約61万件 | 高金利による住宅市場への影響 |
| 9月25日(金)21:30 | 米国 | 8月耐久財受注 | 予想:未確認 | 設備投資・米景気の強さを確認 |
| 9月25日(金)23:00 | 米国 | 9月ミシガン大学消費者信頼感・確報値 | 予想47.8前後/速報47.8 | インフレ期待にも注目 |
米PMIの9月速報値は23日に公表予定であり、サービス業の前回値は56.5、製造業は53.9だった。
耐久財受注とミシガン大学消費者信頼感指数は25日に予定されている。
注目① 9月23日 米PMI速報値
来週の経済指標でまず注目したいのが、9月の米S&P Global PMI速報値である。
PMI(購買担当者景気指数)は企業へのアンケートから景況感を測る指標で、50を上回れば景気拡大、50を下回れば縮小を示す。
8月のサービス業PMIは56.5、製造業PMIは53.9と、いずれも50を上回っている。
引用:United States Services Purchasing Managers Index (PMI)
今回が重要なのは、FOMCが利上げした直後だからである。
強いPMIとなれば、
米景気は利上げに耐えられる
→ FRBは追加利上げ可能
→ 米2年債利回り上昇
→ ドル買い
となりやすい。
逆に急激に悪化すれば、
利上げによる景気悪化懸念
→ 10月追加利上げ期待低下
→ 米金利低下
→ ドル売り
という反応が考えられる。
注目② CME FedWatchと米金利
FOMC直後、市場は10月会合の追加利上げについてまだ迷っていた。
16日のFOMC直後のCME FedWatchでは、10月据え置きが約59.5%、25bp追加利上げが約40.1%だった。
しかし18日には、Reutersが参照した市場データで10月利上げ確率は約55%まで上昇した。
つまりわずか2日で、
約40% → 約55%
へ上昇したことになる。
背景には、FOMCのタカ派的なドットチャートに加え、米国の労働市場の底堅さとインフレ懸念がある。
18日の米2年債利回りは一時4.744%と2024年7月以来の高水準となり、米10年債利回りも5%近辺まで上昇した。
来週は政策イベントそのものがないため、FedWatchと米2年債利回りがドル円を見るうえでとくに重要になる。
PMIや失業保険申請件数が強く、
10月利上げ確率60%超 + 米2年債利回り上昇
となればドル買いが続きやすい。
反対に利上げ確率が再び50%を割り込めば、FOMC後のドル高に調整が入りやすくなる。
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注目③ 日本のシルバーウィークと為替介入
来週は通常の週とはかなり事情が違う。 日本は21~23日が3日連続祝日であり、東京市場が休場となる。
その直前となる18日には、ドル円が158.05円まで上昇したところで日銀によるレートチェックが報じられた。
このため来週前半は、
東京市場休場
→ 市場参加者減少
→ 流動性低下
→ 値動きが大きくなりやすい
という環境になる。
とくに158円台を再び試す場合、為替介入への警戒は強まりやすい。
ここでは「158円だから介入する」と水準だけで判断するのは危険である。当局は通常、為替の水準そのものより一方向への急激な変動を問題視する。
したがって、
157円 → 158円 → 159円
と短時間で上昇するような局面では、介入警戒が一段と高まりやすいと考える。
3.来週のドル円見通し
メインシナリオ
筆者のメインシナリオは、FOMCと日銀会合を受けたドル高・円安圧力が残る一方、158円付近では為替介入警戒によって上値が抑えられ、156~158円台を中心に荒い値動きとなる展開である。
今週までとは相場の材料が変わった。
先週までは、
FRBはどうするか?
日銀はどうするか?
だった。
来週からは、
FRBは次にいつ上げるのか?
日銀は次にいつ上げるのか?
である。
現時点では、FRBについては年内もう1回の利上げがドットチャートの中心であり、10月利上げ確率も約55%まで上昇している。一方、日銀は1.25%へ利上げしたものの、7対2の決定となったことで連続利上げ期待が後退した。
この差は当面ドル高・円安材料となる。
ただし158円台では介入警戒が強いため、上値を追いかけるにはリスクも大きい。
メインシナリオを修正する条件: 158.05円を明確に上抜け、介入警戒にもかかわらず158円台後半を維持する場合。または155円を割り込み、FOMC後の上昇分を大きく失う場合。
ドル高・円安シナリオ
もっとも分かりやすいドル高シナリオは、
米PMI上振れ
+ 失業保険申請件数が低水準
+ FedWatchの10月利上げ確率上昇
+ 米2年債利回り上昇
である。
この場合、FRBの年内追加利上げがより現実味を増す。
日銀側では次回利上げ時期が不透明なため、
米政策金利上昇期待 > 日本政策金利上昇期待
となれば、再び158.05円を試す可能性がある。
158.05円を抜ければ次は心理的節目の159円、さらに160円が意識される。
ただし、158円台から先は為替介入という非連続的なリスクがある。
したがって「米金利上昇=そのままドル円上昇」と考えるのではなく、当局発言と値動きの速度も確認したい。
シナリオ修正条件: 米2年債利回りが上昇してもドル円が158円を超えられない場合。介入警戒や円買い需要が米金利上昇を相殺している可能性を考える。
ドル安・円高シナリオ
ドル安・円高シナリオは、
米PMI悪化
+ 失業保険申請件数増加
+ FedWatchの10月利上げ確率低下
+ 米2年債利回り低下
である。
FOMC後のドル高は「追加利上げ」を前提としている部分が大きい。
したがって米景気指標が急速に悪化すると、
追加利上げ期待後退
→ 米2年債利回り低下
→ ドル売り
が起こりやすい。
さらに158円近辺で実際の円買い介入が行われれば、ドル円は短時間で数円動く可能性がある。
下方向ではまず156円、次に155.30~155.00円付近が重要となる。
シナリオ修正条件: 155円台へ下落しても米2年債利回りが高止まりし、ドル円がすぐ156円台へ戻る場合。これは金融政策の金利差が依然としてドルを支えていることを示す。
4.ドル円のテクニカル見通し
日足では、9月2日の160.40円近辺から8日の152.89円まで大きく下落した後、今週158.05円まで戻した。
つまり現在は、
160円台からの下降トレンド
と
152円台からの短期反発
がぶつかっている局面である。
長期的には下降トレンドではあるが、まだレンジ内にいることから、反発も大きい。値幅がだんだんと小さくなっていく課程ではテクニカルも利きづらくなっていくだろうが、レンジの上限や下限で引きつけて取引することを心がけたい。
上値の注目水準
158.05円
今週高値であり、日銀会合後のドル高・円安が止まった水準である。
158.40~158.50円
200日移動平均線が意識されたゾーンである。
159.00円
心理的節目である。
160.00~160.40円
9月初旬の高値圏であり、中期的な最重要抵抗帯となる。
下値の注目水準
156.00~156.50円
FOMC後から繰り返し取引されたゾーンであり、50日線もこの近辺に位置する。
155.30~155.00円
17日の安値155.34円と心理的節目155円が重なる。
ここを割ればFOMC後の上昇がかなり打ち消される。
153.30~153.50円
週初安値圏であり、今週の上昇起点である。
さらに下は、前週安値152.89円が重要となる。
4時間足
週末確定時点の4時間足について、10・20・50本移動平均線を同一条件で検証できる信頼性の高いデータを取得できなかったため、具体的な数値は掲載しない。
価格構造だけを見ると、
153円台
→154円台
→156円台
→158.05円
と短期的には高値・安値を切り上げている。
したがって4時間足では短期上昇トレンドが形成されたと考えられるが、18日に158.05円から156円台まで急落したため、上昇の勢いは一度途切れている。
テクニカル上の分岐点
来週は、
上:158.05~158.50円
下:155.00~155.30円
を大きな分岐点として見る。
158.50円を明確に上抜けば160円方向への戻りを考えやすくなる。
反対に155円を割れば、今週の上昇が「FOMC・日銀イベントによる一時的な巻き戻し」だった可能性が高まり、153円台が再び視野に入る。
5.まとめ
2026年9月14日~18日のドル円は、153円台前半から158.05円まで約4.7円上昇した。FRBが政策金利を3.75~4.00%へ引き上げ、ドットチャートでも年内もう1回の利上げを示唆した一方、日銀は1.25%へ利上げしたものの7対2の決定となり、追加利上げへの期待が後退した。この「次の一手」の差がドル高・円安を促した。
来週9月21~25日は主要中銀会合がなく、焦点は再び経済指標と金利へ戻る。
中でも、米PMI、新規失業保険申請件数、耐久財受注を受けてCME FedWatchの10月利上げ確率と米2年債利回りがどう動くかを確認したい。
ただし今回はもうひとつ大きな特殊要因がある。日本は21~23日が3日連続祝日であり、直前には158.05円で日銀のレートチェックが報じられた。薄商いの中でドル円が再び急上昇すれば、為替介入への警戒が相場を大きく動かす可能性がある。
来週は「FRBの追加利上げ期待がドルを押し上げる力」と「158円台での介入警戒が上値を抑える力」の綱引きとして捉えると分かりやすい。
2026年9月のドル円相場全体の流れは、月別まとめページでも整理している。
こちらでは、FOMC、日銀金融政策決定会合、日米利上げ観測、円キャリー取引の巻き戻しなど、9月相場の主な材料を週ごとに振り返っている。
本記事は市場動向の解説を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨する投資助言ではない。
