ドル円は強い米雇用統計を受けて160円台定着を試す展開。来週は米CPI、米PPI、ECB理事会が焦点となる。FOMCと日銀会合を前に、ドル円の今後の見通しと注意点を解説。
今週(2026/6/1~6/5)のドル円相場は、160円台定着を試す展開となった。
週前半は米国の堅調な景気指標を背景にドル買いが優勢となり、一時160円台へ上昇した。その後も米雇用統計の結果を受けて大きく崩れることはなく、ドル高基調のままドル円は160.28円で越週した。
一方で、4月末に実施された為替介入の事実が改めて確認されており、160円台では日本当局による介入警戒感も強い。
来週(6/8~6/12)は米CPI、米PPI、ECB理事会といった重要イベントが相次ぐ。
6月中旬にはFOMCと日銀金融政策決定会合が控えているだけに、来週はその方向性を占う重要な一週間となりそうだ。
今週(6/1~6/5)の振り返り
ドル円は159.35円で寄り付いた。動きはさほどなかったものの、週を通じて160円台を試す展開となった。この背景には米国経済の底堅さがある。
今週発表された
- ISM製造業景況指数
- JOLTS求人件数
- 製造業受注
という重要指標が市場予想を上回り、米景気減速懸念が後退した。
この結果を受け、「インフレ警戒の中、米景気指標も強くなっている」と市場は理解し、関心はFRBが「いつ利下げするのか」から「本当に利下げできるのか」へと移り始めている。
雇用統計は市場予想を上回る結果
6月5日に発表された5月米雇用統計は、市場予想を上回る内容となった。非農業部門雇用者数は市場予想を上回り、失業率も大きな悪化は見られなかった。
これにより市場では、「米景気は依然として堅調であり、労働市場も減速していない」という確信を強め、「FRBが急いで利下げする必要はない」というセンチメントに傾きつつある。
今回の雇用統計の結果により、6月FOMCでの利下げ観測はほぼ消滅したと考えられる。
FRBは「利下げ」より「インフレ警戒」へ
今回の雇用統計を受けて、市場は6月17日のFOMCへ視線を移している。
焦点となるのは、
- インフレ判断はさらに強化される可能性
- 年内利下げ見通しが消える可能性
の二点。これにより、次の政策変更は「利上げ」であるとの見方も浮上してきている。
4月CPIはコア前年比ではなく前月比で0.4%と強い内容であり、地区連銀景況報告でもインフレ警戒姿勢が強まっている。
市場のテーマは「高金利の長期化」へ移ったといえるだろう。
ドル円にとってはさらなる円安懸念へとつながっていると思われる。
ただし、為替介入警戒は依然として残る
先週公表された財務省資料により、4月末から5月初旬にかけて為替介入が実施されていたことが確認された。これにより、4月30日高値160.72円が重要な節目として意識されている。
円安圧力は強いものの、ドルの上昇の割にドル円はさほど上がっていない状況を考えると、160円台後半へ上昇する局面では政府・日銀のけん制発言や介入警戒が強まっていることが覗える。
来週(6/8~6/12)の注目イベント
来週は6月FOMC前の最後の重要指標週間となる。
とくに注目したいのは以下のイベントである。
① 米CPI(6月10日)
来週最大の注目材料。市場予想は前年比4.2%となっている。
予想を上回れば、「インフレ再加速→利下げ観測後退→ドル買い」となる可能性が高い。 逆に予想を下回れば、ドル円の調整要因となる。
② 米PPI(6月11日)
企業物価の動向を確認する指標であり、原油高の影響が企業コストへどの程度波及しているかが焦点となる。
CPIとPPIの両方が強い場合、市場は6月FOMCでのタカ派姿勢をさらに織り込みに行くだろう。
③ ECB理事会(6月11日)
一方のヨーロッパでは、市場では25bpの利上げがほぼ織り込まれている。 ただし市場の注目は利上げそのものではなく、「次も利上げするのか」というラガルド総裁の姿勢に向かう。
欧州金利上昇が続けばドル独歩高がやや緩和される可能性もある。
テクニカル見通し
ドル円は目先4/30の為替介入高値160.72円が大きく意識されている。 とはいえ、テクニカル的にはドル円はロングしかあり得ない状況が続いている。
大きく崩すには再び為替介入という話になってしまうが、これが来週出てこないとなるといよいよ2024年7月の161.95円まで射程範囲に入ってくる。
突発的に動き下ヒゲが出ている状況ではあり、ボラティリティの高い展開が続くためなかなか新規でポジションを構築していくには難しい局面と思う。160.72円をブレイクしたら馬鹿になってロングで入り、50pipsほど抜いて撤退、という戦略くらいしか思いつかない。何かが崩れないとドル円はやりづらいだろう。
注意点
週末の米国時間では株式市場がやや大きめの調整となっている。日本株も時間外取引で大きく下落しており、週明けの東京市場では、荒れた展開が予想される。
以前であればリスクオフ局面では円買いが入りやすいものの、現在はその地合いにない。
まとめ
今週のドル円は、堅調な米経済指標と予想を上回る雇用統計を背景に160円台定着を試す展開となった。強い米指標を受けて、市場のセンチメントは少しずつ変化してきている。
来週も米重要指標の発表があり、それを受けてFOMCでどのような発言が出てくるかに注目が集まっていくだろう。
ドル円については、今月の日銀金融政策決定会合での利上げが見込まれているものの、これにより大きく円が買われていくような展開に変わるとは考えづらい。
一方、株式市場の不安定化や為替介入警戒も残っている。神経質な展開が今後も続くことが予想される。

