ドル円は米景気減速懸念でドル高一服。来週は日銀「主な意見」と米CPIがカギ。想定レンジは151.53〜154.50。株式ボラと当局けん制、米政府閉鎖の長期化にも注意点を整理。
今週(11/3〜11/7)の振り返り
今週のドル円は154.21円で寄り付いた。3日は本邦祝日だったこともあり動意に乏しかったものの下がらず。ジリジリと上昇して高値をわずかに更新し154.48まで上昇するも、片山財務相の円安けん制発言と日本株の急落を受けて153円台へ軟化。
その後は米指標の底堅さで154円台を回復する場面もあったが、週末にかけては米労働市場減速観測もあり、一時152円台まで下押しするものの153.41で越週している。
上下を繰り返しながらも、総じて円が相対的に強含みしドル円の上昇は止まった格好となった。
来週(11/11〜11/14)の注目イベント
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日銀「主な意見」(10/29–30会合分)
11/10(月)に公表予定。会合では利上げはせず現状維持となったが、タカ派的な主張が目立つ場合は円買いの憶測が高まりやすい。 -
米国:ベテランズデーで債券市場休場(11/11)
流動性が低下することで米金利が振れやすい。それに伴ってドル円にも影響が出る可能性がある。 -
米CPI(10月、11/13)・米PPI/小売売上高(11/14)
株価が不安定な中、インフレ指標が予想を上回れば短期的なドル買い戻し、下回れば利下げ観測前倒しでドル売りが想定される。 -
米政府機関の一部閉鎖の行方
米政府が閉鎖されていることで各種統計データが公表されないままである。この状態が長期化すると「統計不在」による不確実性が高まり、ドルの頭を抑えやすい。来週も解除可否が注目材料である。
ファンダメンタルズから見る相場の見通し
- 米国サイド
雇用統計は未発表のままだが、ADPなど民間の統計では雇用減速シグナルがにじむ一方、12月利下げの織り込みは十分とも言える。
CPIでインフレ鈍化が確認されれば、利下げ期待が維持され、ドルの戻りは限定的となりやすい。逆にCPIが強ければ「織り込み剝落」に伴う金利・ドルの巻き戻しに注意が必要だ。
相場が織り込んでいる利下げ観測に変化が認められるかの見極めをすることになるだろう。 - 日本サイド
日銀が発表する「主な意見」にタカ派色が出れば円買い、逆にハト派的なら円安方向に進みやすい。また、最近は日本株とドル円の連動性が高い。株安=ヘッジ比率引き上げ→円買いフローの出やすさにも留意したい。
テクニカルとレンジ
151.53〜154.48の短期のレンジが形成されている。週足では僅かに高値を更新したものの陰線で引けており、155円超えのハードルは高まったと言える。オシレーターの動きはやや下げ基調を示唆しており、いったんの調整局面となるだろう。
ただ、下がったところでは買いも入りやすく、売りから入るにしてもある程度のところでは利食いを入れておかないと価格が戻って来やすいだろう。売買が交錯する地合いに、さらに当局からのけん制発言や株式の不安定化による円買いも起こりやすくボラティリティの高い展開が予想される。
リスク要因(注意点)
- 株式市場の不安定化
AI関連に過熱警戒が出る局面では、リスク回避の円買い・ドル売りが優勢になりやすい。 - 当局の円安けん制/介入警戒
ドル円については引き続き当局の円安けん制発言が出やすいだろう。 - 米政府閉鎖の長期化 統計ブランクと景気不確実性の増幅で、ドルの上値を抑制する要因となろう。
まとめ(戦略)
来週のドル円は、「日銀の主な意見」×「米CPI」×「株式のボラ」が注目されるが、どちらかに大きく動くことはなく、基本的にはレンジ内の動きに収束すると思われる。
根本的な円安基調はまだ続いているものの、日足ではやや調整局面に入りやすい状況であるため、買いと売りを短期で組み合わせる戦略になるだろう。

