2025年7月第2週のドル円相場は、米金利動向や米国の対日関税の問題を巡る思惑が交錯し荒い値動きを見せた。トランプ政権が日本への関税率を25%に引き上げる書簡を公開したことで、一時ドル買い・円売りが強まったものの、その後は米インフレ指標や米株市場の調整に押される形でドル高が一...
2025年7月第2週のドル円相場は、米金利動向や米国の対日関税の問題を巡る思惑が交錯し荒い値動きを見せた。トランプ政権が日本への関税率を25%に引き上げる書簡を公開したことで、一時ドル買い・円売りが強まったものの、その後は米インフレ指標や米株市場の調整に押される形でドル高が一服した。
来週(7月14日〜18日)は、参院選を控える日本の政治動向に加え、日米ともにインフレ関連指標の発表が相場の焦点となる。さらに米小売売上高やG20財務相・中央銀行総裁会議での要人発言も注目されるだろう。
今週のドル円相場を振り返る(7月7日〜11日)
- ドル円は144.36円で寄り付き。
- トランプ大統領はBRICS同調国への10%関税発動を示唆。一方、日本への関税率は25%とする書簡を公開することで円売りが進行。9日にはドル円が6月23日以来の高値147.18円をつけた。
- その後、10日〜11日にかけ米金利低下や米株調整を背景に145円台後半まで反落する場面もあったが、円売り地合いは崩れず、週末には再び146円台後半で取引を終えた。
関税率と円売りの関係とは?
トランプ政権が日本への関税率を25%に引き上げる書簡を公開したことで結果的にドル買い・円売りが強まった。マーケット参加者の事前の予想では、これによりリスク回避の円買いが起こると思われていたがチャートは真逆に動いた格好だ。
通商摩擦による日本の貿易赤字拡大や景気減速への懸念、同時に米国側では関税が物価上昇を後押しする可能性が意識され、ドル円はリスク回避ではなく「ドル買い・円売り」で反応したといえるだろう。
来週(7月14日〜18日)の注目イベントとドル円見通し
① 日米のCPI発表
米国消費者物価指数6月(7/15 21:30)
市場予想は前年比2.6%(前回2.4%)で、やや加速が見込まれている。コアCPIも引き続きしぶとくインフレが残るものとみられ、結果次第では米金利やドル円の方向感が左右される。 前回のドル円の変動幅は-72pipsであったが、予想以上に強い数字である場合はドル円は148円を試す展開となる可能性がある。
日本消費者物価指数6月(7/18 8:30)
市場予想は前年比3.3%(前回3.5%)で、僅かに鈍化が見込まれている。資源価格の下落が影響する一方で、食料品価格の上振れがリスク要因だろう。
② G20財務相・中央銀行総裁会議(7/17〜18)
G20では世界経済見通しや通商政策、とくに米国の関税政策が大きな議題となる見通しではあるが、米財務長官ベッセント長官は出席を見送る。氏は訪日を予定しており、この期間に日米で二国間会談が行われるかどうかは未定だ。 本邦は参議院選挙を控えており、このタイミングで具体的な合意がされる可能性は低いという見方もある。
③ 米小売売上高6月(7/17 21:30)
市場予想は前月比+0.2%(前回-0.9%)と控えめな伸びが予想されているものの、下振れし米個人消費の弱さが鮮明になれば9月の利下げ観測が再燃する可能性もある。その場合、米金利の低下とともにドル安展開となろう。
テクニカル見通しと予想レンジ
週全体で見るとやや強含んだ結果、ドル円はレンジ上限に向けて上昇の勢いを付けてきている。とはいえ、すぐ上に6/28高値148.02、5/12高値148.64が控えており、148円台は売買が交錯するだろう。この水準を上抜けていくのは容易ではないが、仮に上抜けた場合にはストップも巻き込んで150円まで上昇余地があるのには注意が必要。
週足では150円以上もありそうな雰囲気ではあるが、長期で見ると2024年7月高値から延々とレンジが続いており、円安トレンドのかつての勢いはないと思われる。チャート的には150円弱までやったあと下落すると綺麗な形になるだろう。
まとめ:関税リスクとインフレ指標で揺れる相場
来週は日本の参議院選挙を控える中、日米のCPI、G20などリスクイベントが重なる。市場の予想としては、以下の展開が考えられるだろう。
- 強い米CPI → ドル高・円安
- 弱い米小売 → ドル安・円高
- 参院選情勢悪化 → 円売り懸念
不安定な値動きが予想される。チャートの動きを見ながら思い込みを排除したトレードが試されるだろう。