2025年6月第3週のドル円相場は、FOMCと日銀金融政策決定会合という二大イベントを通過し、144円台から145円台後半へとじり高の展開を見せた。中東情勢の緊迫化と原油価格の高止まり、米インフレと景気指標の混在が市場の方向感を鈍らせつつも、ドル高・円安傾向が継続した。 来...
2025年6月第3週のドル円相場は、FOMCと日銀金融政策決定会合という二大イベントを通過し、144円台から145円台後半へとじり高の展開を見せた。中東情勢の緊迫化と原油価格の高止まり、米インフレと景気指標の混在が市場の方向感を鈍らせつつも、ドル高・円安傾向が継続した。
来週(6月23日〜28日)は、米国の住宅関連指標やPCEデフレーター、日本のCPI(都区部)などが注目される。週末にかけてはパウエルFRB議長の議会証言も控えており、市場のセンチメントに大きな影響を与える可能性がある。
今週のドル円相場を振り返る(6月16日〜21日)
週初は原油価格の上昇を受けたリスクオンムードのなかで円売りが進行したものの、米国の5月小売り売上高が市場予想を下回ったこともありドル円は一時143円台半ばまで下押しするも、その後はじりじりと上昇。日銀会合では政策の据え置きとともに国債買入減額ペースの縮小が決定され、植田総裁の会見も「ハト派的」と受け止められたことが円安要因となった。
6月18日のFOMCでは利下げは見送られたが、パウエル議長のタカ派寄りの発言を受けてドル買いが優勢となり、ドル円は19日にかけて5月下旬以来の145.76円まで上昇。20日発表の日本の5月CPIは予想を上回ったものの、市場の反応は限定的だった。
総じて「米ドル堅調、円軟調」の構図が再確認された1週間であった。
来週の注目イベント(6月23日〜28日)
① 米国の経済指標に注目
週明けから米中古・新築住宅販売や住宅価格指数など住宅市場関連指標が相次いで発表される。消費と雇用に次いで景気を支える柱として住宅市場の動向は注目されており、結果次第でドルの方向感に影響を与える。
また、6月27日には5月のPCEコアデフレーターが発表される予定で、FRBがインフレ指標として最も重視するこのデータの動向は、次回7月FOMCでの判断にも影響を及ぼす可能性がある。
② パウエルFRB議長の議会証言(25日・26日)
市場では、FRBの利下げ時期を見極めようとする動きが強まっている。パウエル議長の議会証言では、今後の金融政策運営や、先日FOMCで見送られた利下げのタイミングについて何らかの示唆があるかが焦点となる。
→ タカ派的ならドル買い、ハト派的ならドル売りへ反応が出やすい。
③ 日本のCPI・失業率(28日)
東京都区部の6月CPI(全国の先行指標)が発表される。コア指数で前年同月比3.3%と依然高い水準が続くと見られているが、前月比での伸びが鈍化するようであれば、日銀の引き締め姿勢に対する疑念が再浮上する可能性もある。
地政学リスクと為替の関係
イスラエルとイランの対立や、ホルムズ海峡の封鎖リスクなど中東情勢の緊迫化により、原油価格は高止まりしている。これが日本の貿易赤字要因として意識され、円売りに働いている。
一方で、石破首相が24〜25日にNATO首脳会議で再びトランプ大統領と会談を模索する中で、自動車関税に関する進展があれば円買い材料になる可能性もある。地政学・外交リスクと経済交渉の行方に引き続き注意が必要である。
テクニカル見通しと予想レンジ
ドル円は5/29高値を前に146.06で越週している。この高値は5月下旬からのレンジの上限に位置していることから強く意識される。戦略としては押し目を拾いつつもう少しロングを入れていく感じになるか。
5/29高値を突破した場合、次は5/12高値の148.64が意識されるだろう。このあたりは200日移動平均線も控えている。
まとめ:政策判断と地政学が交錯する難解な相場地合い
6月第4週は、米金融政策の行方を巡るパウエル議長の発言やインフレ指標、加えて日本の物価・雇用統計といった重要指標が続く。
サマーバケーションを控えた6月最終週ということもあり、ポジションの解消によるボラティリティの高まりにも注意が必要だ。