2017 年 5 月 第二週(5月8日から12日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017 年 5 月 第二週(5月8日から12日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が21.2万人と予想を上回る強い内容となった。失業率も4.4%まで低下している。
年内あと2回の利上げとバランスシート縮小開始の期待を裏付ける内容ではあろう。
しかし、為替市場の反応はドル買いというよりもむしろ、欧州通貨買いの材料になっていた印象も強く、ユーロやポンドは対ドルでもリバウンドの動きを加速させている。どうも市場は、欧州通貨買いの理由を探している雰囲気がある。
ユーロの買戻しの背景としては、直近発表になっている経済指標が景気回復の兆候を示していることや、インフレ指標もインフレ期待の兆候が出ている。市場では6月のECB理事会でガイダンスを出口戦略に向けて変更してくるのではとの期待が急速に高まっている。
そして、仏大統領選であろう。今週は中道派のマクロン氏と、EU離脱を主張している極右のルペン氏のテレビ討論が実施されたが、マクロン氏の優勢は変わらず、日曜日の最終決選でマクロン氏の勝利が濃厚となっている。
今回のユーロの買戻しは本格的なトレンドを形成するのであろうか。個人的には未知数と見ている。仏大統領選を無事通過してもまだ、ドイツやイタリアの総選挙が待っている。特にイタリアの総選挙は波乱含みだ。
その他、ドル円の上値を拒んだ伏兵が原油相場だ。ここにきて不安定な動きを示し始めている。週末のアジア市場でWTIは、一時43ドル台まで下落していた。
2016年初頭に見られたように再び30ドル台に入るようであれば、これは結構痛い。もちろん新興国経済への悪影響も考えられ、米国の輸出にも影響するであろう。
さて来週だが、上値は重くなっていたもののドル円は、一時113円台を付けるなど上向きの流れは維持している。昨年12月から4月までの下げのフィボナッチ38.2%戻しの水準が112.15付近にある。週末に戻り売りに押された局面でも、この水準は堅持していた。方程式通りであれば、上記フィボナッチの50%戻しの113.40付近まで上昇する可能性もありそうだ。
更にその水準を突破し、61.8%戻しの114.65付近までの上昇も視野に入れるようであれば、115円が見えてくる状況。ファンダメンタルズの環境からすれば、あり得ない話ではない。北朝鮮問題や原油の雑音が入らなければ、来週にも接近する可能性もありそうだ。日本の輸出企業の売りオーダーは並びそうだが。
仏大統領選(第 1 回投票)通過後の緊張緩和を請け、111 円台を回復しているが、朝鮮半島情勢を巡る緊張は、長期化する公算が大きく、市場センチメントは改善仕切れていない。また、トランプ米大統領からドル高けん制発言もみられるなど、米国が貿易収支不均衡是正への取り組みを鮮明にする中、ドル円の上値は重いだろう。
さらに、就任から 100 日が経過したトランプ米大統領は、税制改革案を公表したものの、真新しさに欠く上、財源が不明瞭であり、実現性は依然として不透明なままだ。足もとでは、依然として米経済への期待や日米金融政策の格差を根拠とするドル円の先高観も燻っており、ドル円は下支えされよう。ただ、ドル安円高材料が多く、依然としてリスクは下方向(ドル安円高方向)と予想する。
予想レンジと期末予想値(メインシナリオ)
歴然とした日米間の金融政策の格差が存在しているにもかかわらず、ドル円は昨年 12 月や年初 1 月の 118 円台をピークにじり安に推移している。これは、金利差拡大や金融政策の格差が、唯一の決定的な材料ではないことを示している。
トランプ米大統領の政策に対する期待がまだいくらか残っている上、3 月がそうであったように、利上げが接近する際、一時的にドル高の勢いが増す場面も想定される。この為、引き続きドル高円安方向への振れ幅もやや広めに想定しておく必要はあるだろう。ただ、正常化が進展する一方、財政面での政策は期待しづらく、米経済は次第に勢いを失っていく公算が大きい。
来年以降の米国の利上げに対する期待が後退するに連れ、ドル安圧力が次第に増すと考えられる。そうした場面では、日本の期待インフレも低下すると見込まれ、円高圧力も増すとみられる。日本からの直接投資や証券投資といった円売りフローがドル円を下支えするとはみられるものの、米経済好転への期待が和らぐことに起因するドル安に抗し切る事は困難と見込まれ、年末までに105 円を割り込む場面も有り得ると予想する。
テクニカル的にも、一目雲を再び上抜けようとする動きがあり、一時的に 115 へと回帰する可能性もありそうです。
ドル円は動意に乏しい状況ですが、ユーロが主役となっており、ユーロドルもパリティどころか 1.1 を抜けそうです。フランス大統領選挙後に一旦押しが入った場面ではむしろ買いでついていきたいところですね。
今月のドル円は、ユーロドルの動きを見ながらの取引が続くのかもしれません。
予想 : 111.30 - 115.00
経済指標一覧(日本時間)
05/08(月)
- 未定(中) 4月 貿易収支
- 23:00(米) 4月 米労働市場情勢指数(LMCI)
05/09(火)
- 10:30(豪) 3月 小売売上高
- 23:00(米) 3月 卸売在庫
05/10(水)
- 10:30(中) 4月 消費者物価指数(CPI)
- 20:00(欧) ドラギ ECB 総裁 発言
05/11(木)
- 06:00(NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利発表
- 20:00(英) イングランド銀行(BOE)金利発表
- 20:00(英) 英中銀資産買取プログラム規模,英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨
- 21:30(米) 4月 卸売物価指数(PPI)
- 21:30(米) 前週分 新規新規失業保険申請件数
05/12(金)
- オプションSQ(特別精算指数)
- 15:00(独) 1-3月期 国内総生産(GDP)
- 21:30(米) 4月 消費者物価指数(CPI)
- 21:30(米) 4月 小売売上高
今週のドル円予想レンジ予想
KlugFX
ユーロはまだ未知数 ドル円はもうしばらく上向きを期待
111.50 - 114.50
とれんど捕物帳 (2017/05/6)今週はFOMCと米雇用統計を通過した。
米雇用統計は非農業部門雇用者数(NFP)が21.2万人と予想を上回る強い内容となった。失業率も4.4%まで低下している。
年内あと2回の利上げとバランスシート縮小開始の期待を裏付ける内容ではあろう。
しかし、為替市場の反応はドル買いというよりもむしろ、欧州通貨買いの材料になっていた印象も強く、ユーロやポンドは対ドルでもリバウンドの動きを加速させている。どうも市場は、欧州通貨買いの理由を探している雰囲気がある。
ユーロの買戻しの背景としては、直近発表になっている経済指標が景気回復の兆候を示していることや、インフレ指標もインフレ期待の兆候が出ている。市場では6月のECB理事会でガイダンスを出口戦略に向けて変更してくるのではとの期待が急速に高まっている。
そして、仏大統領選であろう。今週は中道派のマクロン氏と、EU離脱を主張している極右のルペン氏のテレビ討論が実施されたが、マクロン氏の優勢は変わらず、日曜日の最終決選でマクロン氏の勝利が濃厚となっている。
今回のユーロの買戻しは本格的なトレンドを形成するのであろうか。個人的には未知数と見ている。仏大統領選を無事通過してもまだ、ドイツやイタリアの総選挙が待っている。特にイタリアの総選挙は波乱含みだ。
その他、ドル円の上値を拒んだ伏兵が原油相場だ。ここにきて不安定な動きを示し始めている。週末のアジア市場でWTIは、一時43ドル台まで下落していた。
2016年初頭に見られたように再び30ドル台に入るようであれば、これは結構痛い。もちろん新興国経済への悪影響も考えられ、米国の輸出にも影響するであろう。
さて来週だが、上値は重くなっていたもののドル円は、一時113円台を付けるなど上向きの流れは維持している。昨年12月から4月までの下げのフィボナッチ38.2%戻しの水準が112.15付近にある。週末に戻り売りに押された局面でも、この水準は堅持していた。方程式通りであれば、上記フィボナッチの50%戻しの113.40付近まで上昇する可能性もありそうだ。
更にその水準を突破し、61.8%戻しの114.65付近までの上昇も視野に入れるようであれば、115円が見えてくる状況。ファンダメンタルズの環境からすれば、あり得ない話ではない。北朝鮮問題や原油の雑音が入らなければ、来週にも接近する可能性もありそうだ。日本の輸出企業の売りオーダーは並びそうだが。
三菱東京UFJ銀行
ドル円 トランプ大統領就任 100 日以降の見通し開
109.00 - 112.00
FX Monthly(2017/04/28)4 月のドル円は地政学リスクが嫌気され続落。
仏大統領選(第 1 回投票)通過後の緊張緩和を請け、111 円台を回復しているが、朝鮮半島情勢を巡る緊張は、長期化する公算が大きく、市場センチメントは改善仕切れていない。また、トランプ米大統領からドル高けん制発言もみられるなど、米国が貿易収支不均衡是正への取り組みを鮮明にする中、ドル円の上値は重いだろう。
さらに、就任から 100 日が経過したトランプ米大統領は、税制改革案を公表したものの、真新しさに欠く上、財源が不明瞭であり、実現性は依然として不透明なままだ。足もとでは、依然として米経済への期待や日米金融政策の格差を根拠とするドル円の先高観も燻っており、ドル円は下支えされよう。ただ、ドル安円高材料が多く、依然としてリスクは下方向(ドル安円高方向)と予想する。
予想レンジと期末予想値(メインシナリオ)
- 5月~6月:106.0~116.0
- 7月~9月:105.0~115.0
- 10月~12月:103.0~114.0
- 1月~3月:101.0~113.0
歴然とした日米間の金融政策の格差が存在しているにもかかわらず、ドル円は昨年 12 月や年初 1 月の 118 円台をピークにじり安に推移している。これは、金利差拡大や金融政策の格差が、唯一の決定的な材料ではないことを示している。
トランプ米大統領の政策に対する期待がまだいくらか残っている上、3 月がそうであったように、利上げが接近する際、一時的にドル高の勢いが増す場面も想定される。この為、引き続きドル高円安方向への振れ幅もやや広めに想定しておく必要はあるだろう。ただ、正常化が進展する一方、財政面での政策は期待しづらく、米経済は次第に勢いを失っていく公算が大きい。
来年以降の米国の利上げに対する期待が後退するに連れ、ドル安圧力が次第に増すと考えられる。そうした場面では、日本の期待インフレも低下すると見込まれ、円高圧力も増すとみられる。日本からの直接投資や証券投資といった円売りフローがドル円を下支えするとはみられるものの、米経済好転への期待が和らぐことに起因するドル安に抗し切る事は困難と見込まれ、年末までに105 円を割り込む場面も有り得ると予想する。
私見
米雇用統計は若干の下押しをしたものの底堅い結果となりました。フランス大統領選挙についてもマーケットはすでに興味がなく、リスクオンへと戻りつつあります。テクニカル的にも、一目雲を再び上抜けようとする動きがあり、一時的に 115 へと回帰する可能性もありそうです。
ドル円は動意に乏しい状況ですが、ユーロが主役となっており、ユーロドルもパリティどころか 1.1 を抜けそうです。フランス大統領選挙後に一旦押しが入った場面ではむしろ買いでついていきたいところですね。
今月のドル円は、ユーロドルの動きを見ながらの取引が続くのかもしれません。
予想 : 111.30 - 115.00