2017 年 4 月 第三週(4月17日から21日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017 年 4 月 第三週(4月17日から21日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
米財務省が議会へ提出する半期為替報告書は当初15日提出期限だったが、月内まで延期される公算が大きい。中国を為替操作認定国としないことで中国に北朝鮮への圧力を強めるよう仕向けた米外交政策は織り込まれており、為替報告書自体の波乱要素は少ないだろう。
18日の日米経済対話も初回は為替政策の具体論には踏み込まないとみられる。
ただ、23日に第1回仏大統領選が控えており、反EU(欧州連合)の極右政党党首マリーヌ・ルペン氏が5月7日の決選に進むことが確実視されるなかで、リスクオンムードへの転換は期待しにくい状況が続きそうだ。
ドル・円は3月半ばから下落局面が続いている。13日の200日移動平均線108円74銭が一旦は下値抵抗線として意識されるものの、リスクオフの動きが強まればこの水準を割り込む可能性もある。一方、上値のめどは25日移動平均線近辺の111円70銭とする。
来週にかけて「北朝鮮を巡るリスクが最も重要だ。米国が何らかの形で北朝鮮に関与した場合、対抗的な軍事行動などのリパーカッションも想定され、近隣諸国にも影響が及ぶ可能性がある」(機関投資家)という。
トランプ大統領は12日に「ドルが強くなり過ぎている」とドル高けん制発言をし、為替調整経由の貿易赤字縮小に改めて意欲を示した。
米国はまた、21―23日に開催される世界銀行・国際通貨基金(IMF)の春季会合で、世界の為替政策を厳しく監視するよう、IMFにあらためて要請する方針だ。
トランプ米大統領は米紙のインタビューで、近く公表する外国為替報告書で中国の為替操作国認定を見送る考えを示した。ただ、米国は対中貿易赤字の問題に別方向から対処すると見られている。
トランプ米大統領の行動が、事前に予見不能であることも、ことさら市場心理を冷やしている。地政学リスク解消の目処が立ちづらく、長期化する可能性すら高まりつつあると言え、当面の間、ドル安円高方向への警戒が必要だろう。
一方、そもそもシリアへのミサイル攻撃が報じられる前の段階から、既にドル円の軟化が始まっていた点も見逃せない。
程度の差こそあっても、ほとんどの市場参加者が、年内あと 2 回の利上げが実施されることや早ければ年内にもFRBがバランスシートの縮小に着手することを認識している。
また、昨秋以降のドル円上昇をもたらした原動力でもあったトランプ米大統領の政策実行力への期待が剥落した上、暫定予算切れとなる 4 月 28 日以降、政府機関閉鎖の可能性を否定することすら難しくなっている。
加えて、シリアへのミサイル攻撃以前の段階で、日本の期待インフレも大幅に低下するなど、円高圧力が蓄積されつつあったといえる。
従って、地政学リスクの台頭が、110 円割れの原動力であったとはみられるが、そもそもドル円の地合いが悪化していた点こそ重要だろう。
従って、仮に地政学リスクが大きく後退した場合であっても、ドル円の反発の度合いは限定的と考えられる。日米間の金融政策の格差や金利差拡大との漠然とした思惑や材料だけで、ドル円が持続的な上昇トレンドを形成するのは容易ではないだろう。
では、朝鮮半島情勢は最悪のシナリオに向かい、そして日本の金融市場は大混乱するのか。筆者は前号でも指摘したが、米国の対日投資棄損や“同盟国日本”の経済が窮するような行動は抑制するものと読む。
米中日は世界のGDPトップ3でもあるのだ。とはいえ、予測不能のトランプ米大統領と北朝鮮最高指導者金正恩氏。相応のリスクシナリオを推考しておく必要も当然あろう。
朝鮮半島有事(第二次朝鮮戦争?)での初期反応は、リスクオフでの円買い戻し圧力増幅の可能性がある。巨額の対外債権国である日本資産の母国回帰、対外純資産残高339兆2630億円が取り崩されて円転を促すとの見方である。
ただ、必ずしも一本調子の円高が続くとは見ていない。東日本震災発生時2011/3/11のドル円安値81.65円から3/17安値76.34円を先例とすると、円高進行幅は約6円となったが協調介入での円売りもあった。その後に有事長期化や日本被害が甚大となれば円の信用棄損、日本売りの円売り、とした恐れも燻る・・。
ドル円上値焦点は4/11高値110.90、週足一目均衡表の雲帯上限110.982。超えれば4/3、10高値111.60。下値焦点は月足一目均衡表雲上限108.986、200日移動線推移の108.70圏、昨年11/17安値108.545、11/15安値107.76。割れると11/14安値106.725、11/11安値106.041維持が問われる。(前出、朝鮮半島有事の際の下値ベンチマークとして週足一目均衡表雲下限103.819留意)
テクニカル的には、日足チャネル下限に到達。さらに、大統領選の 61.8% 戻しまで迫っています。
北朝鮮の有事について高く関心が集まっていますが、例えば東日本大震災を振り返ってみました。チャートは日足です。
半年ほどのスパンで見ると、概ね以上の動きとなりました。
これを当てはめると、こんなシナリオも描けます。
最も近い場所で、我々も攻撃される可能性があるなかですが、無事に通過することを祈るばかりです。
予想 : 107.80 - 109.80
経済指標一覧(日本時間)
04/17(月)
- 11:00(中) 1-3月 四半期国内総生産(GDP)
- 15:15(日) 黒田 日銀総裁 発言
- 21:30(日) 4月 ニューヨーク連銀製造業景気指数
- 23:00(米) 4月 NAHB 住宅市場指数
04/18(火)
- 10:30(豪) 豪州準備銀行 金融政策会合議事要旨
- 21:30(米) 3月 住宅着工,建設許可件数
04/19(水)
- 18:00(欧) 3月 消費者物価指数(HICP)改定値
- 27:00(米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
04/20(木)
- 07:45(NZ) 1-3月期 四半期消費者物価(CPI)
- 19:30(英) カーニー BOE 総裁 発言
- 21:30(米) 前週分 新規新規失業保険申請件数
04/21(金)
- 17:30(英) 3月 小売売上高
- 23:00(米) 3月 中古住宅販売件数
今週のドル円予想レンジ予想
モーニングスター
仏大統領選控え、反EUへの警戒感強まるか
108.00 - 111.70
来週の東京外国為替市場見通し (2017/04/14)週明けのドル・円は引き続き、上値の重さが意識されそうだ。
米財務省が議会へ提出する半期為替報告書は当初15日提出期限だったが、月内まで延期される公算が大きい。中国を為替操作認定国としないことで中国に北朝鮮への圧力を強めるよう仕向けた米外交政策は織り込まれており、為替報告書自体の波乱要素は少ないだろう。
18日の日米経済対話も初回は為替政策の具体論には踏み込まないとみられる。
ただ、23日に第1回仏大統領選が控えており、反EU(欧州連合)の極右政党党首マリーヌ・ルペン氏が5月7日の決選に進むことが確実視されるなかで、リスクオンムードへの転換は期待しにくい状況が続きそうだ。
ドル・円は3月半ばから下落局面が続いている。13日の200日移動平均線108円74銭が一旦は下値抵抗線として意識されるものの、リスクオフの動きが強まればこの水準を割り込む可能性もある。一方、上値のめどは25日移動平均線近辺の111円70銭とする。
ロイター
来週の外為市場は円高バイアス、北朝鮮巡る地政学リスクの高まりで
107.50 - 110.00
来週の外為市場 (2017/04/14)来週の外為市場では、投資家がリスク回避的な行動を強める結果、円高バイアスが掛りやすい。米露・米中関係の緊張や、北朝鮮を巡るテールリスクなど、地政学的リスクが強く意識される。一方、ドル買い要因は主に短期筋のポジション調整に限定されそうだ。
来週にかけて「北朝鮮を巡るリスクが最も重要だ。米国が何らかの形で北朝鮮に関与した場合、対抗的な軍事行動などのリパーカッションも想定され、近隣諸国にも影響が及ぶ可能性がある」(機関投資家)という。
トランプ大統領は12日に「ドルが強くなり過ぎている」とドル高けん制発言をし、為替調整経由の貿易赤字縮小に改めて意欲を示した。
米国はまた、21―23日に開催される世界銀行・国際通貨基金(IMF)の春季会合で、世界の為替政策を厳しく監視するよう、IMFにあらためて要請する方針だ。
トランプ米大統領は米紙のインタビューで、近く公表する外国為替報告書で中国の為替操作国認定を見送る考えを示した。ただ、米国は対中貿易赤字の問題に別方向から対処すると見られている。
三菱東京UFJ銀行
そもそも地合いは悪かった
107.00 - 110.50
FX Weekly(2017/04/14)地政学リスクに加え、トランプ米大統領のドル高や利上げけん制発言を受け、来週のドル円も上値は重いだろう。その地政学リスクは、ミサイル攻撃を実施した中東にとどまらず、米国が原子力空母を向かわせていると報道される朝鮮半島など、複数の地域に跨る。
トランプ米大統領の行動が、事前に予見不能であることも、ことさら市場心理を冷やしている。地政学リスク解消の目処が立ちづらく、長期化する可能性すら高まりつつあると言え、当面の間、ドル安円高方向への警戒が必要だろう。
一方、そもそもシリアへのミサイル攻撃が報じられる前の段階から、既にドル円の軟化が始まっていた点も見逃せない。
程度の差こそあっても、ほとんどの市場参加者が、年内あと 2 回の利上げが実施されることや早ければ年内にもFRBがバランスシートの縮小に着手することを認識している。
また、昨秋以降のドル円上昇をもたらした原動力でもあったトランプ米大統領の政策実行力への期待が剥落した上、暫定予算切れとなる 4 月 28 日以降、政府機関閉鎖の可能性を否定することすら難しくなっている。
加えて、シリアへのミサイル攻撃以前の段階で、日本の期待インフレも大幅に低下するなど、円高圧力が蓄積されつつあったといえる。
従って、地政学リスクの台頭が、110 円割れの原動力であったとはみられるが、そもそもドル円の地合いが悪化していた点こそ重要だろう。
従って、仮に地政学リスクが大きく後退した場合であっても、ドル円の反発の度合いは限定的と考えられる。日米間の金融政策の格差や金利差拡大との漠然とした思惑や材料だけで、ドル円が持続的な上昇トレンドを形成するのは容易ではないだろう。
岡三オンライン証券
朝鮮半島有事での円シナリオを読む局面
106.80 - 111.00
武部力也の週間為替相場見通し(2017/04/14)極東地政学リスクで円のセンチメントが警戒視されている。投資家の不安心理度合いを示すVIX・恐怖指数は昨年6月英EU離脱時や11月米大統領選以来の16.28水準にまで上昇。永田町からは自民党が4/14役員連絡会で、朝鮮半島有事に備え、即応できる態勢を予め整える方針を確認したなど緊迫ムードも伝わる。
では、朝鮮半島情勢は最悪のシナリオに向かい、そして日本の金融市場は大混乱するのか。筆者は前号でも指摘したが、米国の対日投資棄損や“同盟国日本”の経済が窮するような行動は抑制するものと読む。
米中日は世界のGDPトップ3でもあるのだ。とはいえ、予測不能のトランプ米大統領と北朝鮮最高指導者金正恩氏。相応のリスクシナリオを推考しておく必要も当然あろう。
朝鮮半島有事(第二次朝鮮戦争?)での初期反応は、リスクオフでの円買い戻し圧力増幅の可能性がある。巨額の対外債権国である日本資産の母国回帰、対外純資産残高339兆2630億円が取り崩されて円転を促すとの見方である。
ただ、必ずしも一本調子の円高が続くとは見ていない。東日本震災発生時2011/3/11のドル円安値81.65円から3/17安値76.34円を先例とすると、円高進行幅は約6円となったが協調介入での円売りもあった。その後に有事長期化や日本被害が甚大となれば円の信用棄損、日本売りの円売り、とした恐れも燻る・・。
ドル円上値焦点は4/11高値110.90、週足一目均衡表の雲帯上限110.982。超えれば4/3、10高値111.60。下値焦点は月足一目均衡表雲上限108.986、200日移動線推移の108.70圏、昨年11/17安値108.545、11/15安値107.76。割れると11/14安値106.725、11/11安値106.041維持が問われる。(前出、朝鮮半島有事の際の下値ベンチマークとして週足一目均衡表雲下限103.819留意)
私見
ドル円はそれまで死守していた 110 円の底が割れさらに下落。200 日移動平均線も割って越週しました。もともとトランプラリーの「幻想」が崩れていた地合いの中、地政学リスクがきっかけとなり「起こるべくして起こった」円高なのかもしれません。テクニカル的には、日足チャネル下限に到達。さらに、大統領選の 61.8% 戻しまで迫っています。
北朝鮮の有事について高く関心が集まっていますが、例えば東日本大震災を振り返ってみました。チャートは日足です。
- 3 月 11 日~ 3 月 16 日の 4 営業日で 81.30 から 76.25 までの 5 円程度の値動き。
- 76.25 で底入れした後、強烈な買い戻しが入り、4 月 6 日に85.52 を付けています。
- ただし、その後 8月には再び 70 円台中盤をウロウロします。
半年ほどのスパンで見ると、概ね以上の動きとなりました。
これを当てはめると、こんなシナリオも描けます。
- 4 月に有事発生
- GW 前か 5 月で円高(フランス大統領選挙とかぶります)
- その後買い戻しで円安
- 再び円高へ。その際のターゲットは 100 円?
最も近い場所で、我々も攻撃される可能性があるなかですが、無事に通過することを祈るばかりです。
予想 : 107.80 - 109.80