2017 年 2 月 第二週(2月6日から10日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017 年 2 月 第二週(2月6日から10日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
矢継ぎ早な行動を評価する声もあるものの、金融市場の不透明感を強める波乱要因となっており、警戒を怠れない。特に日本に対する通貨安誘導批判が再度飛び出すことも考えられ、心理的にドル・円の上値を抑える可能性がある。ただ、10日に開催予定の日米首脳会談で、米国でのインフラ投資を通じた数十万規模の雇用創出への協力を含む「日米成長雇用イニシアチブ」構想が打ち出されるとも報じられている。トランプ新政権と日本政府との間で包括的な連携体制が構築できれば、ドル・円相場の安定につながるシナリオもあり得る。
ドル・円はチャート上で、年初より1ドル=112円近辺で下げ渋りを見せており、ここを維持できるかが焦点。このラインを割り込めば、心理的フシとなる111円が次の下値メドとなる。上方向では、直近高値115.62円(1月19日)を意識した展開。
日米両政府は、ワシントンで10日に予定している安倍晋三首相とトランプ大統領の首脳会談を翌11日にも開催する方針だ。
トランプ大統領はこれまで対日貿易赤字への不満を示しており、会談では、安全保障面での同盟強化に加え、為替を含む通商問題が焦点となる。
安倍首相は、自由貿易の重要性を訴えるのと合わせ、米国での雇用創出を柱とする「日米成長雇用イニシアティブ」を示し、米国の理解を得たい考え。
しかし、日米首脳会談を 2 月 10 日に控え、再びトランプ大統領から円安けん制がツイートされる可能生は低くない。当面、米雇用統計が強かったといった理由だけで、ドル買いを進めるのは容易ではないだろう。
一方、14~15 日のイエレンFRB議長による議会証言にて、FRBのバランスシート縮小への言及がなされ、米長期金利が上昇するとの警戒が燻る。加えて、両院でのトランプ大統領による演説や予算教書などを控え、積極財政路線とその後の米経済好転への期待も残っている。
日米金利差拡大との観点で言えば、ドル円が下支えされる材料も残っている。来週も総じてドル円相場の上値は重いと考えられるが、数多くのイベントを控え、ドル円下落への決定打にも乏しく、神経質な値動きが当面、続く見込みだ
しかし、筆者は外交上の武器をトランプ大統領が放棄する訳は無く、“貿易不均衡・円安批判”とした匕首(あいくち)を日米首脳会談でちらつかす、と読んでいる。本邦「経常収支」の黒字が29ヶ月連続していることなどは、格好の標的なのかもしれない。
他国中銀への批判は前代未聞で明確な内政干渉だが、日銀の長短金利操作付き量的・質的金融緩和が萎縮し、円金利が上昇するようだと、シカゴIMM通貨先物が示すような膨大な円ショートポジションは一気に整理・円買い戻しを強めかねない。
安倍首相は2/1の衆院予算委で「円安誘導という批判はあたらない」「首脳会談の際には、反論すべき点があれば反論」と話した。日本の通貨・金融政策は国際協調枠組に則しているとの正当性を強調するのだろう。
しかし、筆者はトランプ大統領が力点を置く“雇用創出・インフラ整備”とした方針に経済協力を申し出て諌める動きを強めるかが焦点と読んでいる。要はお土産(ディール・取引)だ。
本邦からの長期融資、資金調達でのドル転思惑が強まれば、2月中旬の米債償還・利払い円転圧力をも飲み込む可能性がある。そうなれば1/31に麻生財務相が述べた「今の状況でいけば間違いなく前半、円安・ドル高に振れていく傾向は暫く続くであろうかなという感じ・・」の軌道に戻せるかもしれない。
2/6週のドル円は日足一目均衡雲の帯 (109.93-116.30)を上下大枠と予想し、上値焦点は1/31-2/1高値圏114.00、1/20、27高値圏115.40。下値焦点は1/31、2/2安値112.04-07、昨年11/28安値111.345、11/23安値110.85を推考。
さて、今週については、特に大きなイベントがありませんが、トランプ氏の「ツイート」ひとつでマーケットが振り回されるような状況なので、基本的には大きな流れは起きないでしょうが、突発的な上下はあるのかもしれません。
金曜の引けにかけては、ダウ 20,000 ドル回復、日経(先物)19,000 円回復となりましたので、月曜から悪い地合いが解消され、金曜日の「安倍・トランプ会談」に向けて雰囲気が良くなれば、ドル円もやや遅れて上がってくるかもしれません。
しかし、よくないツイートが飛び出した時は、素直にショートに乗っかるしかないと思います。
予想 : 111.80 - 114.00
経済指標一覧(日本時間)
02/06(月)NZ休場(ワイタンギデー, 建国記念日)
- 16:00 (独) 12 月 製造業新規受注
- 23:00 (欧) ドラギ ECB 総裁 発言
- 24:00 (米) 1 月 米労働市場情勢指数(LMCI)
02/07(火)
- 10:45 (中) 1 月 Caixin サービス部門購買担当者景気指数(PMI)
- 12:30 (豪) 豪準備銀行 政策金利発表
- 22:30 (米) 12 月 貿易収支
02/08(水)
- 08:50 (日) 12 月 国際収支・貿易収支
- 21:00 (米) MBA 住宅ローン申請件数
02/09(木)
- 05:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利
- 08:50 (日) 12 月 機械受注
- 22:30 (米) 前週分 新規失業保険申請件数
- 24:00 (米) 12 月 卸売在庫
02/10(金)オプションSQ,安倍首相とトランプ大統領会談(現地時間)
- 未定 (中) 1 月 貿易収支
- 24:00 (米) 2 月 ミシガン大学消費者態度指数
今週のドル円予想レンジ予想
モーニングスター
トランプ大統領の言動が波乱要因、日米首脳会談の結果次第
111.00 - 115.60
来週の東京外国為替市場見通し (2017/02/03 18:01)相場は当面、トランプ大統領の言動に振り回される展開。
矢継ぎ早な行動を評価する声もあるものの、金融市場の不透明感を強める波乱要因となっており、警戒を怠れない。特に日本に対する通貨安誘導批判が再度飛び出すことも考えられ、心理的にドル・円の上値を抑える可能性がある。ただ、10日に開催予定の日米首脳会談で、米国でのインフラ投資を通じた数十万規模の雇用創出への協力を含む「日米成長雇用イニシアチブ」構想が打ち出されるとも報じられている。トランプ新政権と日本政府との間で包括的な連携体制が構築できれば、ドル・円相場の安定につながるシナリオもあり得る。
ドル・円はチャート上で、年初より1ドル=112円近辺で下げ渋りを見せており、ここを維持できるかが焦点。このラインを割り込めば、心理的フシとなる111円が次の下値メドとなる。上方向では、直近高値115.62円(1月19日)を意識した展開。
ロイター
来週の日米首脳会談控え、ドル上値重くなる見込み
111.00 - 114.00
来週の外為市場 (2017/02/03 15:48)日米首脳会談を週末に控えた来週の外為市場でドル/円は、引き続き要人発言等に振らされやすい神経質な展開が続くとみられる。トランプ大統領による円安けん制と金融緩和批判が記憶に新しい中、ドルの上値は重くなりそうだ。
日米両政府は、ワシントンで10日に予定している安倍晋三首相とトランプ大統領の首脳会談を翌11日にも開催する方針だ。
トランプ大統領はこれまで対日貿易赤字への不満を示しており、会談では、安全保障面での同盟強化に加え、為替を含む通商問題が焦点となる。
安倍首相は、自由貿易の重要性を訴えるのと合わせ、米国での雇用創出を柱とする「日米成長雇用イニシアティブ」を示し、米国の理解を得たい考え。
三菱東京UFJ銀行
上値重いが、下落の決定打も欠く
111.50 - 114.50
FX Weekly(2017/02/03)トランプ大統領が、円安けん制姿勢を、有利に通商交渉を進めていく上でのカードとして単にちらつかせているだけなのか、本気で貿易協定に何らかの為替条項を付する前兆なのか、現時点ではまだ見通しにくい。
しかし、日米首脳会談を 2 月 10 日に控え、再びトランプ大統領から円安けん制がツイートされる可能生は低くない。当面、米雇用統計が強かったといった理由だけで、ドル買いを進めるのは容易ではないだろう。
一方、14~15 日のイエレンFRB議長による議会証言にて、FRBのバランスシート縮小への言及がなされ、米長期金利が上昇するとの警戒が燻る。加えて、両院でのトランプ大統領による演説や予算教書などを控え、積極財政路線とその後の米経済好転への期待も残っている。
日米金利差拡大との観点で言えば、ドル円が下支えされる材料も残っている。来週も総じてドル円相場の上値は重いと考えられるが、数多くのイベントを控え、ドル円下落への決定打にも乏しく、神経質な値動きが当面、続く見込みだ
岡三オンライン証券
「トランプ・円批判」に安倍首相が挑む局面
110.85 - 115.40
武部力也の週間為替相場見通し(2017/02/06)トランプ恫喝の矛先が円安・日銀政策批判に向かったのだ。一部ではムニューチン氏の財務長官就任が2/1に議会承認されたことで今後の為替見解は新財務長官の管掌となり鎮静化する、とした楽観論もある。
しかし、筆者は外交上の武器をトランプ大統領が放棄する訳は無く、“貿易不均衡・円安批判”とした匕首(あいくち)を日米首脳会談でちらつかす、と読んでいる。本邦「経常収支」の黒字が29ヶ月連続していることなどは、格好の標的なのかもしれない。
他国中銀への批判は前代未聞で明確な内政干渉だが、日銀の長短金利操作付き量的・質的金融緩和が萎縮し、円金利が上昇するようだと、シカゴIMM通貨先物が示すような膨大な円ショートポジションは一気に整理・円買い戻しを強めかねない。
安倍首相は2/1の衆院予算委で「円安誘導という批判はあたらない」「首脳会談の際には、反論すべき点があれば反論」と話した。日本の通貨・金融政策は国際協調枠組に則しているとの正当性を強調するのだろう。
しかし、筆者はトランプ大統領が力点を置く“雇用創出・インフラ整備”とした方針に経済協力を申し出て諌める動きを強めるかが焦点と読んでいる。要はお土産(ディール・取引)だ。
本邦からの長期融資、資金調達でのドル転思惑が強まれば、2月中旬の米債償還・利払い円転圧力をも飲み込む可能性がある。そうなれば1/31に麻生財務相が述べた「今の状況でいけば間違いなく前半、円安・ドル高に振れていく傾向は暫く続くであろうかなという感じ・・」の軌道に戻せるかもしれない。
2/6週のドル円は日足一目均衡雲の帯 (109.93-116.30)を上下大枠と予想し、上値焦点は1/31-2/1高値圏114.00、1/20、27高値圏115.40。下値焦点は1/31、2/2安値112.04-07、昨年11/28安値111.345、11/23安値110.85を推考。
私見
二月第一週は、個々の米経済指標については結果が良好だったこともあり上昇する場面が多かったですが、上昇後は待ち構えていた戻り売りの流れに押される週となりました。基本的には戻り売り、下落、というのが参加者の大方の見方のようです。さて、今週については、特に大きなイベントがありませんが、トランプ氏の「ツイート」ひとつでマーケットが振り回されるような状況なので、基本的には大きな流れは起きないでしょうが、突発的な上下はあるのかもしれません。
金曜の引けにかけては、ダウ 20,000 ドル回復、日経(先物)19,000 円回復となりましたので、月曜から悪い地合いが解消され、金曜日の「安倍・トランプ会談」に向けて雰囲気が良くなれば、ドル円もやや遅れて上がってくるかもしれません。
しかし、よくないツイートが飛び出した時は、素直にショートに乗っかるしかないと思います。
予想 : 111.80 - 114.00