ドル円は米インフレ上振れと金利上昇を背景に158円台へ上昇。来週は日本CPI、FOMC議事要旨、G7財務相会議が焦点。160円接近と為替介入警戒を含めた今後の見通しを解説。
2026年5月第2週のドル円相場は、ドル全面高の流れの中で158円台後半まで上昇した。今週は米CPIなど重要指標の発表があったが、それらが上振れしたことでドル買いの流れが続いた。FRB利下げ期待の後退と世界的な金利上昇により、ドル円は週を通して反発した。
今週(2026/5/11〜2026/5/15)の振り返り
今週のドル円は156.52で寄り付いた。週初からドル高基調が続き、15日には158円台後半まで上昇した。理由は冒頭で説明したとおりだが、FRBの利下げ期待の後退によるドル買いの流れは今後も続く可能性がある。
ベッセント財務長官の訪日は無風
市場が警戒していたベッセント財務長官の訪日だったが、結果的には大きな波乱にはならなかった。
会談後の発言も、
- 過度な為替変動は望ましくない
- 日銀への信頼
- 日本経済の強さが為替へ反映される
といった内容に留まった。
市場はこの発言について、「為替介入リスクはあるものの、米国も過度には踏み込まない」という受け取り方から安心感が広がり、ドル円は上値を試す展開となった。
ただし、日本の長期金利上昇は新たな火種
一方、今週。日本市場では別の問題が浮上している。
長期金利の上昇だ。
背景には、原油高、輸入物価上昇、バラマキによる財政悪化懸念などが考えられ、 「インフレ、財政懸念、円安」による長期金利上昇へとつながった。
日本の10年国債利回りは1997年以来の2.73%台まで上昇した。
これは単なる「円安メリット相場」ではなく、「悪い金利上昇」として市場が意識し始めている点には注意が必要だ。
日銀内部ではタカ派色が強まる
今週は日銀の増審議委員が、「できる限り早い段階での利上げが望ましい」と発言した。この背景には、原油高による物価上昇というコストプッシュ型インフレが再び広がってきたことにより、日銀内部でも「インフレは一時的ではない」という見方が広がってきたことが考えられる。
ドル円の上昇を押さえる意味でも、6月の日銀金融政策決定会合では再度の利上げが行われる可能性が高まっている。
来週(2026/5/18〜2026/5/22)の注目イベント
今週は米国のイベントが多かったが、来週は本邦の重要指標の発表が続く。
注目材料は以下が挙げられる。
日本
- 日本GDP:5/19(火)
- 日本CPI:5/22(金)
米国
- FOMC議事要旨:5/21(木)
- フィラデルフィア連銀指数:5/21(木)
- 新規失業保険申請件数:5/21(木)
国際イベント
- G7財務相・中央銀行総裁会議:5/18(月)〜19(火)
最大の焦点は「金利上昇を各国がどう見るか」
現在の市場テーマは、単なるドル高ではない。 世界は、インフレ再燃による世界的な金利上昇、という問題に直面している。
週初にフランス・パリで開催されるG7でこの問題が議題になる可能性が示されている。
各国当局から、市場安定重視、金利急騰警戒、協調姿勢などのメッセージが示されれば、ファンダメンタルズの変化があるかもしれない。
FOMC議事要旨にも注意
来週のFOMC議事要旨では、
- FRB内部のインフレ警戒
- 利下げ時期
- ウォーシュ新議長体制への空気感
が注目されるだろう。
FRB議長に就任したウォーシュ氏については、タカ派にもハト派にも見えることから、市場もまだ分かっていない部分が多い。
「FRBがどこへ向かうのか」については、今後の議事要旨や高官の発言から徐々に紐解いていくことになるだろう。
テクニカル見通し
ドル円は5連続陽線となり、週を通して反発した。オシレーターも反転を示しており、目先は買いが強く出ている局面と言えるだろう。介入高値から61.8%戻しをやや越えた水準で越週している。
とはいえ、チャートは介入により崩れている。160円に近づいていく159円台では介入への警戒もあり、頭が重くなるのではないか。
上昇しても156ミドルあたりであろうと見ている。ここから約1円踏まれる覚悟で逆張りするのも悪くないだろう。
4時間ではRSIがずっと買われすぎである。
まとめ
今週のドル円は、インフレ懸念と金利上昇を背景に反発した。 しかし、本邦当局の警戒感は根強く、このまま前回高値を前に失速する可能性が高い。口先介入も増えるだろう。介入前高値である160.72を越えていくような流れになるかどうかの分水嶺となる週になりそうだ。


