ユーラシアグループが発表した「2026年の10大リスク」を要約。欧州と世界の地政学・経済への影響。
政治リスク分析の世界的機関であるユーラシアグループが、2026年の「Top Risks(10大リスク)」を発表しました。今年のリスクは、とくに欧州にとって深刻な影響を及ぼす構造的問題が浮き彫りになっています。
欧州にとって最も重大な4つのリスク
1位:「米国の政治革命」が欧州秩序を崩す
- トランプ大統領の動きがルールベースの国際秩序をさらに弱体化。
- 欧州連合(EU)の基盤に揺らぎが生じ、ポピュリズムや反EU感情が台頭。
- 米国の混乱の余波を、英国やトルコはうまく回避する可能性も。
4位:欧州が「包囲される」構図
- フランス、ドイツ、英国で政治機能不全が進行。
- 戦後の政治秩序が崩壊し、極右・極左運動の台頭が加速。
- 外交的影響力と経済競争力の低下が深刻化。
5位:ロシアが仕掛ける「第二戦線」
- 東欧・北欧諸国を中心にロシアの軍事的挑発リスクが上昇。
- NATOは米国の静観姿勢により迅速な対応が困難。
- 対照的に、トルコは米・ロ・ウクライナとの関係をバランス良く保ち、戦線拡大を回避。
7位:中国の「デフレ罠」が欧州産業を直撃
- 中国は安価な輸出で国内経済の建て直しを図る一方、欧州の産業競争力を破壊する狙い。
- グリーン産業や脱炭素目標が打撃を受け、欧中間の貿易摩擦と保護主義が激化。
その他注目すべき6つのリスク
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 2位「過剰パワー」 | 反グリーン政策の逆風で、EUの産業戦略が機能不全に。米中のテック覇権争いに飲み込まれるリスク。 |
| 3位「ドンロー・ドクトリン」 | 米国が欧州からの安保的撤退を進め、欧州が自立的な防衛体制を迫られる。 |
| 6位「米国型国家資本主義」 | 米中が市場ルールを無視する中、EUは対応に苦慮。ブリュッセルの中央集権化が進まない。 |
| 8位「AIがユーザーを飲み込む」 | 欧州のAI・テック企業は米中に後れをとり、デジタル主権が揺らぐ。 |
| 9位「ゾンビUSMCA」 | トランプの保護貿易政策が欧州企業を直撃。投資の米国回帰が進む。 |
| 10位「水を武器に」 | 河川の浅瀬化と水利用の競合でEU域内でも対立が。とくにトルコの影響力が中東で拡大。 |
投資家やビジネスへの影響
- 為替市場ではユーロのリスクプレミアム上昇が想定され、ユーロ売り・円買いの地合いが強まる可能性。
- 欧州株はテック・グリーン関連の逆風に要注意。特にドイツやフランス企業は影響大。
- 新興国ではトルコが地政学的に優位に立つ構図が見えており、中東関連の戦略的関心も再浮上。
まとめ:欧州の分断と世界の分断
2026年のユーラシアグループのレポートは、「欧州の内外からの圧力」「米国との関係悪化」「中国との経済衝突」など、複合リスクが同時進行する時代の到来を告げています。
日本を含むグローバル投資家にとっても、ユーロ圏の信用低下や地政学的混乱は無視できない要因です。今後の資産配分や為替ヘッジ戦略において、こうした地政学的視点の統合がより重要となるでしょう。
