次期FRB議長の最有力候補であるケビン・ハセット氏とはどのような人物なのか。経歴と過去の発言などから政策スタンスを探る。
ケビン・ハセット氏とは
ケビン・ハセット氏は、米ホワイトハウスのNational Economic Council (NEC) の委員長を務めるアメリカの経済学者だ。過去には第29代Council of Economic Advisers (CEA) の委員長や、研究機関でのシンクタンク活動などを務めてきた。
2025年12月現在、複数の報道機関が「ハセット氏が最有力」「ホワイトハウス内で支持が高い」と報じている通り、次期FRB議長の最有力候補として名前が挙がっている。
ハセット氏本人も、指名されればFRB議長を「喜んで務める用意がある」と発言しており、状況は流動的ながら実際に議長交代の可能性が高まっている。
ハセット氏がFRB議長になったら?
では、実際に葉ハセット氏がFRB議長になったらどのよう政策スタンスと方向性でFRBの運営に当たるだろうか。
利下げを強く支持する「ハト派」的スタンス
ハセット氏は過去に、FRBの現行高金利政策やインフレ抑制のための引き締めを批判し、「もっと早く金利を引き下げるべきだった」と言及したことがある。
市場でも、彼の議長就任期待が「金利低下・緩和方向への転換」を意味すると受け止められており、発表直後には米国債利回りが低下、株価が上昇する反応もあった。
経済成長重視と金融政策の緩和圧力
成長や雇用の維持拡大を重視する姿勢が強く、景気を冷やさずに済むような金融政策を好むとみられている。これは、より「やさしい金融環境」が戻る可能性を示唆する。 また、彼は過去に減税、規制緩和、企業支援といった政策にも関与しており、財政・金融の両輪で景気を下支えする政策を好む傾向があると想われる。
仮想通貨など金融分野への親和性
ハセット氏は仮想通貨関連企業でのアドバイザー経験があり、金融テックやデジタル通貨など新しい金融分野に比較的理解のある人物と見られている。そのため、金融政策だけでなく「金融規制緩和」「革新的金融商品への寛容性」も期待されており、長期的には金融市場全般に柔軟なアプローチがとられる可能性がある。
想定されるリスクと懸念点
ハセット氏の議長就任には、多くの期待が寄せられている一方で、以下のようなリスクも指摘されている。
- インフレ再燃リスク
金利を下げすぎたり、金融緩和色が強くなった場合、インフレ圧力の再燃につながる可能性がある。とくに現在のような国際的なインフレ圧や供給網の不安がある局面では慎重さが求められるだろう。 - FRBの独立性が弱まる懸念
ハセット氏はトランプ大統領の経済ブレインであり、その近さから政治色が強まる懸念がある。過去にもFRBは独立性を重視すべきとの批判があり、金融政策の長期的な信頼性に疑問符がつく可能性がある。 - 市場の混乱とボラティリティ
議長交代をきっかけに、金利やドル、株式のボラティリティが一時的に高まるだろう。とくに債券や為替に敏感な投資家には注意が必要だ。実際、最近の報道で「ハセット氏候補浮上」で債券利回り低下・ドル安・株高の動きが見られた。
また、経済政策や金融政策を強く推進するあまり、事前の見通しやコミュニケーションが不十分となり、市場の予想と実際の政策にギャップが出る恐れもある。ハセット氏が示す「即利下げ」スタンスと、インフレ対応との両立が難しくなる可能性はあるだろう。
まとめ:ハセット氏就任なら「流れが変わる可能性」
ケビン・ハセット氏の次期FRB議長就任が現実となれば、米金融政策の方向性は「現状維持」あるいは「さらなる緩和」に大きく傾く可能性が高い。これは、株価・リスク資産・債券・為替など市場全体に大きな波及効果を及ぼすだろう。
ただ、同時に「インフレ再燃」「政策の政治依存」「市場の信頼性低下」といったリスクもあるため、投資家は期待だけではなくその「落とし穴」にも備える慎重さが求められる時期になろう。

