2025年9月第4週のドル円相場は、FOMCの0.25%利下げと日銀の据え置き後、米PCEや要人発言、自民党総裁選などが焦点。
今週(9/15〜9/19)の振り返り
ドル円相場は週初147.64円で始まるが、15日は本邦祝日により小動きとなった。16日には利下げが予想されるFOMCを控えドル売り優勢となり146円台半ばまで下落。17日のFOMCでは予想通り25bpの利下げとなり、ドットチャートでは年内利下げ回数が「あと2回」と増加したことから、一時145円台半ばまで急落した。
しかし、パウエル議長が「今回の利下げはリスク管理のため」と強調し、追加利下げには慎重な姿勢を示したことで「タカ派的利下げ」と解釈され、ドルは買い戻された。結果、ドル円は147円台を回復し、18日には米経済指標の好結果も重なり148円台へ上伸した。
一方、19日の日銀金融政策決定会合では政策金利を0.50%に据え置いたが、高田・田村両委員が0.75%への利上げを主張し反対票を投じた。また、ETFとJ-REITの売却を決定し、金融政策正常化に前進する姿勢を明確にした。ただし植田総裁は会見で「米関税の影響を見極める必要がある」とし、次回10月会合での判断に含みを持たせるにとどめた。この結果、発表直後は円買いが優勢となり一時147円台前半まで下押しされたが、会見後は水準を回復した。
加えて、自民党総裁選に向けた動きが報じられ、市場では政治不透明感が円売り要因として意識された。総じて、週末時点ではドル高・円安基調がやや優勢で148円近辺での推移となった。
来週(9/22〜9/26)の注目イベントと見通し
米経済指標とFRB要人発言
来週は米耐久財受注(25日)、Q2GDP確定値(同日)、PCEコアデフレーター(27日)など重要指標が控えている。とくにPCEはFRBが重視する物価指標であり、結果次第で10月末FOMCに向けた利下げ観測の強弱が変わるだろう。また、パウエル議長をはじめウィリアムズNY連銀総裁ら要人発言も予定され、タカ派・ハト派どちらに振れるかでドル円の方向性に影響を与える。
日銀の追加利上げ観測
9月会合での「タカ派的据え置き」により、市場は次回10月会合での利上げ可能性を強く意識し始めている。22日以降は日銀審議委員や支店長会議に向けた発言機会が相次ぐ予定であり、その内容によって円相場が敏感に反応する可能性が高い。
日本の政治情勢
22日に自民党総裁選が告示され、候補者の政策スタンスが焦点となる。現状、財政・金融政策への言及は控えめだが、討論会や演説で金融・為替政策が話題に上れば相場を揺らす要因となるだろう。市場は不透明感を嫌うため、当面は円売り圧力として作用する可能性がある。
テクニカル見通し
ドル円は7/10安値である145.74を割り込んだものの、すぐさま切り返して元の水準に戻っている。この安値を割り込んだ動きをもう一度試しに行く可能性はあるが、新たにできた145.48を割れないと結局はレンジとなる。 150円を付けたあとから難しい局面が続いている。トレンドが出ていないためレンジ取引となるが、値幅があるため少しずつ利確して対応するしかない。
結論:米金融政策と日銀スタンス、政治要因が交錯する週に
ドル円相場は、FOMC後の「タカ派的利下げ」を背景にドル買い戻し基調を維持する一方、日銀の正常化姿勢が円高要因として効いている。さらに自民党総裁選を巡る政治不透明感も加わり、来週もレンジ内ながら神経質な値動きが想定される。