2026年8月に権利落ちを迎える米国高配当株から、長期増配と安定経営が魅力の5銘柄を厳選。配当実績や事業の特徴、投資する際に注意したいリスクまでわかりやすく解説します。
米国の高配当株へ投資するとき、配当利回りの高さだけで銘柄を選ぶのは注意が必要です。
株価の大幅な下落によって、一時的に配当利回りが高く見えているケースもあるためです。長期的に配当収入を得るのであれば、「現在の配当利回り」に加えて、長期間にわたって増配できているか、そして配当を支える事業が安定しているかを見ることが重要です。
そこで今回は、2026年8月に権利落ちを迎える、または例年の配当サイクルから8月の権利落ちが見込まれる米国株の中から、長期の増配実績と事業の安定性を重視して5銘柄を紹介します。
※配当利回りは株価によって変動します。また、配当や権利落ち日は企業の取締役会決議などによって変更される場合があります。
2026年8月に注目したい米国高配当株5選
今回取り上げるのは、次の5銘柄です。
| 銘柄 | ティッカー | 業種 | 連続増配の目安 | 2026年8月の権利落ち |
|---|---|---|---|---|
| Target | TGT | 小売 | 55年 | 8月12日 |
| Consolidated Edison | ED | 公益 | 50年以上 | 8月19日 |
| Aflac | AFL | 保険 | 40年以上 | 8月予定 |
| Johnson & Johnson | JNJ | ヘルスケア | 64年 | 8月25日 |
| Chevron | CVX | エネルギー | 39年 | 8月予定 |
それぞれ特徴がかなり異なるため、単純に利回りだけを比較するのではなく、事業内容やリスクも確認していきましょう。
1.Target(TGT)|55年連続増配の米小売大手
Targetは、米国全土に店舗を展開する大手小売企業です。
2026年第3四半期の配当は1株あたり1.16ドルで、権利落ち日は8月12日、支払日は9月1日となっています。
2026年の増配率は1.8%と小幅ですが、これによって年間配当は55年連続で増加する見通しとなりました。
Targetの魅力は、何といっても半世紀を超える増配実績です。小売業は景気や消費者心理の影響を受けやすい業種ですが、その中でこれだけ長期間増配を続けてきたことは評価できます。
一方、近年のTargetは必ずしも高成長企業ではありません。AmazonやWalmartなどとの競争に加え、消費者の節約志向や人件費、物流費の上昇も利益を圧迫する可能性があります。
主なリスク
- 米国の個人消費減速
- WalmartやAmazonとの競争
- 人件費・物流費の上昇
- 利益成長が鈍化すると増配率も低くなる可能性
高い成長率を期待するというより、割安な局面で配当を受け取りながら業績回復を待つタイプの銘柄として見ると面白い存在です。
Target(TGT)については、関連記事「Target(TGT)株の今後の見通し」でも詳しく解説しています。
2.Consolidated Edison(ED)|50年以上増配する米国公益株
Consolidated Edisonは、ニューヨークを中心に電力・ガスなどを供給する公益企業です。
2026年第3四半期は1株あたり0.8875ドルの配当が予定されており、権利落ち日は8月19日、支払日は9月15日です。
電気やガスは景気が悪化しても需要が急激になくなるものではありません。そのため公益企業は、一般的に景気変動への耐性が比較的高いディフェンシブセクターとされています。
Consolidated Edisonも50年以上にわたり増配を続けており、派手な成長はありませんが、安定した配当を重視する投資家には興味深い企業です。
主なリスク
- 金利上昇による資金調達コスト増加
- 設備投資負担
- 公益料金に対する規制
- 株価上昇余地が成長株より限定されやすい
公益株は債券と比較されることも多いため、米国の長期金利が上昇すると株価が下落しやすい点には注意が必要です。
一方、景気後退局面でも比較的安定した収益を期待できるため、ポートフォリオの値動きを抑えながら配当を得たい場合には相性のよい銘柄です。
Consolidated Edison(ED)については、関連記事「Consolidated Edison(ED)株は長期投資向き? 52年連続増配の魅力と今後の見通し」でも詳しく解説しています。
3.Aflac(AFL)|日本でも馴染み深い長期増配保険株
Aflacは米国と日本を主要市場とする保険会社です。日本でも「アフラック」の名前でよく知られています。
同社は2025年まで43年連続で増配しており、2026年第1四半期には四半期配当を0.58ドルから0.61ドルへ5.2%引き上げました。
Aflacの特徴は、単に配当を支払うだけでなく、自社株買いも積極的に実施していることです。
保険会社は契約者から受け取った保険料を運用するため、金利環境によって投資収益が変化します。適度な金利水準は収益面で追い風になる可能性があります。
主なリスク
- 日本事業への依存度が高い
- ドル円相場による為替変動
- 金利・債券市場の変動
- 保険金支払い増加
- 日本の人口減少による長期的な市場縮小
日本事業が大きいことは、日本人投資家にとって企業を理解しやすい反面、Aflac特有のリスクでもあります。
それでも40年以上にわたる増配実績と強固な保険事業を考えると、高配当というより「配当成長株」として長期保有を検討しやすい銘柄です。
Aflac(AFL)については、関連記事「Aflac(AFL)株は長期投資向き?」でも詳しく解説しています。Aflacについては、ドル円相場も影響するという興味深い特徴があります。
4.Johnson & Johnson(JNJ)|64年連続増配の代表的ディフェンシブ株
Johnson & Johnsonは、世界最大級のヘルスケア企業です。
2026年4月には四半期配当を1.30ドルから1.34ドルへ3.1%増配しました。これで連続増配は64年となります。
2026年第3四半期の権利落ち日は8月25日、配当支払日は9月8日です。
現在のJohnson & Johnsonは、医薬品と医療機器(MedTech)が事業の中心となっています。
医療需要は景気変動の影響を比較的受けにくいため、景気後退局面でも業績が急激に悪化しにくいという特徴があります。
主なリスク
- 主力医薬品の特許切れ
- 新薬開発の失敗
- 医薬品価格をめぐる政策・規制
- 製品に関連した訴訟リスク
特に製薬会社の場合、一つの大型医薬品が業績に与える影響が大きいため、特許切れと新薬パイプラインの確認は欠かせません。
それでも64年間増配を続けてきた実績は圧倒的です。
今回紹介する銘柄の中では、配当利回りの高さより「配当を長期間増やし続ける力」を重視する投資家向きといえるでしょう。
5.Chevron(CVX)|資源株ながら39年連続増配
Chevronは、Exxon Mobilと並ぶ米国最大級の総合エネルギー企業です。
2026年には四半期配当を1.71ドルから1.78ドルへ約4.1%増配しており、連続増配は39年となりました。
Chevronは原油・天然ガスの生産だけでなく、精製や石油製品の販売まで幅広く手掛けています。
エネルギー企業は原油価格によって利益が大きく変動しますが、Chevronは長い歴史の中で原油価格の上昇・暴落を何度も経験しながら増配を続けてきました。
主なリスク
- 原油・天然ガス価格の下落
- 中東などの地政学リスク
- 巨額の設備投資
- 脱炭素政策・環境規制
- 資源価格低迷時のキャッシュフロー悪化
生活必需品や公益企業と違い、Chevronの利益は景気や商品市況によって大きく変動します。
その一方、原油価格上昇局面では大きなキャッシュフローを生み出せるため、インフレや地政学リスクに備える意味でも他の4銘柄とは異なる役割を持たせることができます。
5銘柄を比較
5銘柄を投資目的別に整理すると、次のようになります。
| 銘柄 | 配当の魅力 | 安定性 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Target(TGT) | 高め | ○ | 小売大手・55年連続増配 |
| Consolidated Edison(ED) | 高め | ◎ | 公益事業による安定収益 |
| Aflac(AFL) | 中程度 | ◎ | 保険・配当成長と自社株買い |
| Johnson & Johnson(JNJ) | 中程度 | ◎ | 64年連続増配・ヘルスケア |
| Chevron(CVX) | 高め | ○ | 高配当・資源価格上昇に強い |
単純に「一番利回りが高い会社」を選ぶより、なぜその会社が配当を払い続けられるのかを見ることが重要です。
高配当株は権利落ち直前に買えば得なのか?
権利落ち日を意識すると、「権利落ち日の直前に買えば配当分だけ得なのではないか」と考えたくなります。
しかし、配当は無料でもらえる利益ではありません。
理論上、権利落ち日には配当相当額だけ株価が調整されます。そのため、配当を受け取ることだけを目的として直前に購入しても、必ず利益になるわけではありません。
さらに日本から米国株へ投資する場合は、税金や為替変動も考える必要があります。
したがって、権利落ち日は「買うべき日」と考えるより、長期保有したい企業の配当スケジュールを確認するための情報として利用するのがよいでしょう。
まとめ|2026年8月は「利回り+増配力」で選びたい
2026年8月の米国高配当株を見ると、単に利回りが高いだけではなく、数十年間にわたって増配を続けてきた企業が複数あります。
中でもJohnson & Johnsonは64年、Targetは55年、Consolidated Edisonは50年以上と、非常に長い増配実績を持っています。
一方、Chevronのように資源価格の影響を受けながらも39年間増配している企業や、日本事業との関係が深いAflacのような銘柄もあります。
重要なのは、現在の配当利回りだけで判断しないことです。
高い利回りが株価下落によって生じているのであれば、その背景に業績悪化がないか確認する必要があります。反対に利回りがそれほど高くなくても、利益と配当が長期間成長している企業なら、長期保有によって取得価格に対する配当利回りが徐々に高くなる可能性があります。
「高配当」だけではなく、増配実績、キャッシュフロー、事業の安定性、そして現在の株価水準まで確認しながら銘柄を選ぶことが、長期の配当投資では重要です。
