2025年6月、米ドルは主要通貨に対し 3年ぶりの安値圏 に突入しました。ドルインデックスは心理的な節目である 100ポイントを割り込む水準まで下落 し、為替市場に大きなインパクトを与えています。 ドル安の背景と今後の見通しについてまとめました。 ドル安の背景には3つの主...
2025年6月、米ドルは主要通貨に対し3年ぶりの安値圏に突入しました。ドルインデックスは心理的な節目である100ポイントを割り込む水準まで下落し、為替市場に大きなインパクトを与えています。
ドル安の背景と今後の見通しについてまとめました。
ドル安の背景には3つの主要な要因が
1. 米国の財政・政治リスクの顕在化
2025年に入ってから、米国の財政赤字がいっそう拡大し、債務上限問題や減税政策への懸念が伝えられることでドル売り材料となっています。 加えて、来年の中間選挙を控えた政治的な不透明感もドルの信認低下に拍車をかけています。
2. FRBの利下げ観測と他国中銀の引き締め継続
FRBは2025年後半の利下げ開始を示唆する姿勢を見せており、市場では年内1〜2回の利下げを織り込みつつあります。
一方、ECBやカナダ中銀などはそれとは相対的にタカ派的であるため、金利差が縮小することからドル売りを誘発しています。
3. ポジション構造とテクニカルな売り圧力
CFTCのIMMポジションを見ると、ドルロングポジションは今年の春先から徐々に巻き戻され、ユーロや円へのシフトが進行しています。
テクニカル的にもドルインデックスは2022年の安値水準に迫っており、ドル売りが加速しやすい地合いとなっています。
チャートで見るドルインデックスの現状
2025年3月に下値を割り込み、そこから下落基調が続いています。週足でもパーフェクトオーダーとなっており、下方向への圧力が非常に強い状態といえるでしょう。
オシレーターはやや売られすぎを示唆しており、MACDも動きが鈍くなってきてはいますが、2022年1月のサポートである94.62あたりまで下落余地がありそうなチャート形状となっています。
基本的にドルは戻り売りされる可能性が高いといえます。
トレーダーが注目すべき通貨ペアと戦略
通貨ペア | 戦略の方向性 | 解説 |
---|---|---|
EUR/USD | 中立 | ECBは2025年6月に利下げを実施したものの、今後の追加利下げは限定的との見方が支配的。1.09〜1.10の押し目水準は意識されるが、材料出尽くし感には注意。 |
GBP/USD | 中立〜やや買い | 英国の景気指標次第でボラ高め。1.30前後に注目。 |
USD/JPY | 戻り売り優勢 | 米金利低下+日本の金利上昇が材料に。158円台は抵抗帯。 |
リスクイベントと今後の注目材料
注目イベント
- FOMC会合(7月・9月):利下げの時期と回数に注目
- 2026年の米中間選挙関連の発言・情勢:政策スタンスによるドルへの影響
- 雇用統計・PCEコア価格指数:インフレ鈍化が鮮明になるか
為替市場のセンチメント
- VIX指数が低位安定でも、ドルだけが売られる独自要因相場に。
- 市場の注目は「ドル安は一時的か、それとも構造転換か?」という状況。
トレーダーがすべきこと
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ドル安トレンドは“逆張りではなく順張り”で乗るべき局面
- 重要な下値サポートを割り込んだドルは、戻り売りポイントを探すのが基本戦略。
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ドル売り=円買いではなく、通貨分散の視点で通貨強弱を判断
- たとえばユーロ>円>ドル>豪ドルのように、通貨相関・強弱を整理して取引を組み立てる。
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ボラティリティの変化に対応できるリスク管理が必須
- ドル安は時に急反転する局面もあり、ストップの明確化とロット調整がカギになります。
まとめ
ドルは2025年中盤にかけて3年ぶりの安値圏へと突入し、構造的なドル安トレンドに移行する可能性が出てきました。米国の財政・政治リスク、FRBの金融政策、そして市場センチメントの変化が複合的に絡み合っています。
FXトレーダーとしては、「ドルは割安になったから買う」ではなく、トレンドに乗る柔軟さと、反転への警戒心のバランスが今後の収益を左右する鍵となるでしょう。