2025年6月第2週のドル円相場は、米経済指標の減速傾向や中東情勢の緊迫化を背景に、144円台から一時142円台後半まで円高が進行する不安定な展開となった。週末にはイスラエルによるイラン攻撃報道もあり、リスク回避の動きが強まったもののドル円は144.07で越週した。 来週(6...
2025年6月第2週のドル円相場は、米経済指標の減速傾向や中東情勢の緊迫化を背景に、144円台から一時142円台後半まで円高が進行する不安定な展開となった。週末にはイスラエルによるイラン攻撃報道もあり、リスク回避の動きが強まったもののドル円は144.07で越週した。
来週(6月16日〜20日)は、日銀金融政策決定会合および米FOMCという二大イベントが控えており、為替市場は一段と神経質な展開が予想される。
今週のドル円相場を振り返る(6月9日〜13日)
今週のドル円は、週初144.81で始まった後、米中閣僚級協議の進展や日銀による国債買入減額規模縮小の観測が支えとなり、一時145.46まで上昇した。
しかし、6月11日に発表された米5月CPIが市場予想を下回る結果となると、ドル売りが優勢となり、144円割れの展開に。さらに中東情勢が悪化し、13日早朝にはイスラエルがイランを攻撃したとの報道が流れたことで、リスク回避ムードが一気に強まり、ドル円は一時142円台後半まで急落した。
主な要因
- 米インフレ指標の減速(5月CPIが前年比+2.4%で予想を下回る)
- トランプ政権による関税強化の示唆
- 日銀の国債買入方針に関する観測報道
- 中東リスク(イスラエル vs イラン)
- 米10年債利回りの低下
全体として、市場は米金融緩和期待と地政学リスクの間で方向感を欠き、円が相対的に強含む展開となった。
来週(6月16日〜20日)の注目イベントとドル円見通し
① 日銀金融政策決定会合(6月17日)
今回の会合では政策金利の据え置きが見込まれる一方で、注目されるのは国債買入の減額ペースである。これまで四半期あたり4,000億円規模で進めてきた減額を2,000億円にペースダウンする可能性が報じられており、実際の決定内容と植田総裁の発言が円相場に影響を及ぼすとみられる。
- 減額ペース維持 → 円買い(タカ派的)
- 減額ペース縮小 → 円売り(ハト派的)
② 米FOMCとSEP(経済見通し、6月18日〜19日)
米FOMCでは政策金利は据え置きと見られるが、注目はSEP(経済見通し)とパウエル議長の発言である。米インフレの鈍化や雇用の伸び鈍化を受けて、9月利下げの可能性が高まっており、FOMCのトーンがどの程度ハト派寄りかに市場は注目する。
市場が利下げに向けたシグナルを強く感じ取れば、ドル安が進行し、円高圧力となる可能性がある。
③ 原油価格と地政学リスク
イスラエル・イラン間の軍事的緊張により、原油価格がWTIで15%上昇し75ドル台まで高騰している。今後の原油価格動向は、日本の貿易収支やインフレ期待を通じて円相場に影響する。とくにさらなる価格上昇が続けば、円安圧力が強まる可能性がある点に注意が必要である。
テクニカル分析と予想レンジ
ドル円はヘッドラインや経済指標など、一見すると大きく動いているように見えるが、5月最終週の142.18安値から146.28高値のレンジの中で動いており、直近では三角保ち合いを形成している。
イスラエル・イランのヘッドラインで下げた時であってもこの保ち合いできれいに反発しており、NY時間にかけては反発している。来週にかけては再び上方向へのトライが期待される。ただ、146.28のレンジ上限が意識されるため、チャートを慎重に観察する必要があるだろう。
結論:材料待ちの静かな週から一転、政策イベントで相場は再び動意づくか
2025年6月第3週は、FOMCと日銀会合という金融政策イベントが重なる重要な一週間となる。通商政策や中東リスクなど複合的な材料も相まって、ドル円相場は神経質な展開となる見通しである。
予想外の政策変更やサプライズ発言があれば、ドル円はレンジを抜けて一方向に動く可能性も否定できない事に注意が必要だ。