ドル円相場は週初に142円を割り込む場面があったものの、その後反発し週末にかけ146円に近づく場面もあった。背景には、米経済指標の弱さを受けた利下げ観測の高まりや、日銀のハト派スタンスがある。来週はFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えており、金融政策の見通しに注目が集まる展開...
ドル円相場は週初に142円を割り込む場面があったものの、その後反発し週末にかけ146円に近づく場面もあった。背景には、米経済指標の弱さを受けた利下げ観測の高まりや、日銀のハト派スタンスがある。来週はFOMC(米連邦公開市場委員会)を控えており、金融政策の見通しに注目が集まる展開となろう。
米指標の鈍化と日銀スタンスが材料に
週初のドル円の下落は米10年債利回りの低下や米経済指標の悪化を受けたドル売りの進行によるものだったが、トランプ大統領が自動車関税軽減の大統領令に署名したことが好感されドル円は反発。翌30日には、米第1四半期GDPが市場予想を下回り、PCEコアデフレーターも弱含む結果となったものの、米金利が下げ止まったことでドル円は143円台を回復した。
5月1日の日銀金融政策決定会合では日銀は政策金利を据え置いた。同時に公表された「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、成長率見通しが下方修正された一方で、物価見通しはやや引き上げられた。植田総裁の会見内容がハト派であるとマーケットには受け止められ円売りが加速。ドル円は145円台半ばまで上昇した。
来週の注目材料はFOMCとパウエル議長の発言か
来週は5月6(火)〜7日(水)にFOMCが予定されており、市場の注目はパウエル議長の記者会見に集まっている。直近の米経済指標の弱さを受け、6月の利下げの可能性も視野に入る状況だ。今回のFOMCでは政策金利は据え置きと見られるが、声明文や議長発言から利下げに対するスタンスが読み取れるかが焦点となろう。
とくに注目されるのは、米関税政策の影響をFRBがどのように評価するかである。企業業績や個人消費の指標は減速傾向にあり、仮にパウエル議長が景気下振れリスクに言及した場合、米長期金利はさらに低下しドル売り圧力が強まる可能性がある。その場合、ドル円は失速し再び140円方向へ向かって下落する可能性がある。
FOMCの利下げが焦点
テクニカル面では4/25高値である144円付近がサポートとして意識されている。上値については4/9高値(今回の下落の起点)である148.28円がレジスタンスとして意識されるだろう。
日銀金融政策決定会合を消化したことでドル円は20日移動平均線を上回っている。50日移動平均線はまだ下落を示唆しているが、短期的にはやや上昇圧力が強くなってきている。トレンドとしてはいまだ下方向へのリスクがあるが、いったん140円で反発した形になっている。
来週もイベントが多く、こまめに利食いを入れながら値幅を取っていく戦略となるだろう。