2022 年のドル円は、年間を通して非常に良く動きました。よく動くというのは収益のチャンスでもありますが、逆に損失を被る局面でもあります。 2022 年のドル円 2022 年のドル円をふり返ってみましょう。 因縁の黒田ラインを突破した 2022 年前半 2022 年は...
2022 年のドル円は、年間を通して非常に良く動きました。よく動くというのは収益のチャンスでもありますが、逆に損失を被る局面でもあります。
2022 年のドル円
2022 年のドル円をふり返ってみましょう。
因縁の黒田ラインを突破した 2022 年前半
2022 年は、115.09 で始まりました。
そこから 3 月まではとくに大きな動きはなく、揉み合いが続いていましたが、3 月 11 日の米 CPI の発表で長期金利が上昇し、116 円台に上抜けるとそこから 3 月下旬にかけて 125 円まで一気に上昇しました。
ドル円の 125 円といえば 2015 年に日銀の黒田総裁が円安のけん制で発言した「黒田ライン」が知られていましたが、4 月に入るとあっさりと上抜け。GW 前には 130 円を突破する場面が見られました。もっとも、久しぶりに 130 円を突破したことで 5 月には売りも多く出て、軟調な展開となりました。
歴史的水準の円安に一般人も沸く! 2022 年後半のドル円
130 円目前で軟調な展開が続いていたドル円でしたが、6 月に入ると早々にふたたび 130 円を突破。135 円まで円安になります。これらはすべて米国の長期金利と連動した動きであり、FRB が急激な利上げを繰り返す中、緩和を続ける円との金利差もあり、ドル円の上昇(円安)が加速していく段階に入っていきます。
7 月にはとうとう 140 円の大台に到達し、この頃からドル円 150 円や 180 円といった声も聞こえてきました。
8 月はやや軟調な展開になりましたが、9 月に投機筋主導の円売りが加速すると、ドル円はとうとう 140 円をブレイク。145 円まで数日で到達しましたが、9 月 22 日。財務省・日銀から日本の単独為替介入が入りました。ちなみに、9 月 22 日は 1985 年にプラザ合意が発表された日。この因縁の日にドル円の介入を行ったというのは感慨深いものがあります。
為替介入については、当初、効果は限定的だろうという向きが多く、下がったところでせっせとドル円をロングする個人投資家が多かったようです。実際、その後は為替介入を行った水準を抜け、ドル円は 150 円に接近していきました。
この時、ふだん為替を意識しない一般人からも円安はどんどん進む、とささやかれはじめました。『靴磨きの少年の話』そのものでした。
10 月下旬。米国のインフレがそろそろピークを迎え、FRB が 75bp から 50bp の利上げペースに移行する可能性がある、というリーク記事が突然流れました。FRB がマーケットと対話する際にわざとリーク記事を書かせる、WSJ の Nick 氏の記事です。そして、この Tweet とタイミングを合わせたかのように財務省・日銀が NY 時間帯に二度目の為替介入を実施。
ドル円は、ここでいったんピークを付けました。
12 月の日銀政策決定会合では、YCC の政策変更も発表され、円安方向への一方的な動きは完全に収束に向かったところで 2022 年のドル円はフィナーレを迎えました。
個人投資家は、トータルの収益マイナスという現実
- 超円安・為替介入に揺れた 2022 年の FX 個人投資家、約半数は取引額、トレード回数が増えるも損益はマイナス【外為短観 第 163 回】
- FX 個人投資家、USD/JPY(米ドル/円)に一極集中 想定外の円急騰が取引意欲高める!【外為どっとコム総研 FX 投資家調査 2022 年 11 月】
個人投資家は、黒田ラインを突破したタイミングと、2 回目の為替介入でドル円が天井を付けたタイミングで大きな損失を出したようです(ドル円だけをやっているわけではないかもしれませんが、流れとしては整合性がとれています)。
推測するに、長期レベルでトレンドが転換するタイミングでの損切りができなかったのではないかと思われます。
FX の難しさを教えてくれた 2022 年の為替相場
FX のようにレバレッジをかけた取引は、しっかり損切りをして損失を限定しないと損が大きく膨らむ危険性があります。2022 年のドル円はボラティリティも大きく、しっかり損切りをする、という基本を守ることの大切さが再認識されたのではないでしょうか。
2 回目の為替介入の時は、ネットのインフルエンサーが「まだ円安が進む」などと喧伝したことで、「なんとなく」ドル円をロングして、その後の下落に耐えられず泣く泣く損切りをした、という個人投資家も多そうです。
自分のお金をかけて相場をやる以上、すべては自己責任の世界なのです。