巷で喧伝されている「FX はゼロサムゲームである」という話ですが、これは厳密にいうと正しくありません。ゼロサムだと主張している人は、FX の参加者が「トレーダー」だけだと勘違いしているのかもしれません。 「FX=ゼロサムゲーム=だから勝てない」というわけではないよ...
巷で喧伝されている「FX はゼロサムゲームである」という話ですが、これは厳密にいうと正しくありません。ゼロサムだと主張している人は、FX の参加者が「トレーダー」だけだと勘違いしているのかもしれません。
「FX=ゼロサムゲーム=だから勝てない」というわけではないよ、という話です。
買いっぱなし、売りっぱなしの参加者もいる
ポジションを持った時、決済するためには必ず反対売買を行うため、FXはゼロサムゲームであるという話があります。
ゼロサムゲームとは?
参加者全員の利得の総和が常にゼロになること。
例えば、100 万円のマネーが市場に流れ込んでいた時、A さんが 100 万円勝っていたとしたら、A さん以外の他の参加者の負けが、必ず 100 万円になる。
ただ、FX の参加者には、「買いっぱなし」と「売りっぱなし」の参加者、つまり、売り買いのどちらかしか行わない参加者もいます。
いわゆる「実需の玉」というやつです。
輸出、輸入業者や機関投資家
実需の玉というのは、投機目的ではなく、経済活動に使用するための通貨です。
イメージしやすい例を挙げます。
トヨタ自動車は、世界中で自動車を販売していますが、顧客が自動車を購入する際に支払うのは現地の通貨です。
その売り上げから、従業員に給与を支払いますが、ドルで上がった利益から、日本の従業員に給与を払う際はどうでしょう?
従業員には「円」でお金を支払う必要がありますから、ドルを円に両替(円転)します。
ドルを売って円を買う。
つまり、この場合、ドル円「売り」しかしません。
日本の輸入業者が、海外の業者から商品を調達する際、支払いはドルで行うことが多いでしょう。
その場合、相手には円ではなく、ドルで渡さなければなりません。
ドルを買って円を売る。
つまり、ドル円「買い」しかしません。
本来、通貨の取引はこの流れがベースにあります。
FX
を投機目的として捉えているとしても、需給の話は(少しだけ)意識する必要があります。それが
FX におけるファンダメンタルズと言えるでしょう。
参加者は不利な状況からスタートする
ただし、現実問題としては、一般投資家には実需の玉の情報はわかりません。
すべて憶測なので、それを元にトレードすることは無理でしょう。
また、ゼロサムゲームではないにせよ、私たちは FX
業者に支払う手数料(スプレッド)を意識しなければなりません。
ポジションを持った瞬間から不利な状況です。
ゼロサムゲームだから難しいという話ではないのです。