2018年2月第4週(2月19日~23日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2018年2月第4週(2月19日~23日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
続落警戒もドル資金タイト化の兆しも
ドル円は、依然として下値を模索する時間帯が続く可能性が高い。特に昨年来、長らく続いたドル円相場の「適温相場」とも言うべき概ね 108 円~114 円レンジを下抜けした為、多くの市場参加者が相場観の見直しを迫られよう。いわゆるドル円の「追っかけ売り」が見込まれる一方、買い手は様子見を続ける可能性が高い。
米ドルの短期資金市場をみると、需給がやや引き締まる傾向にある。米国の株式相場は、急落した後に値を戻したが、その過程で損失を被った市場参加者は少なくないとみられ、ドル資金を運用する(=供給する)余力が低下した可能性がある。こうした場面では、一昨年や昨年の第 4 四半期にもみられた通り、特にドル円相場において、ドルが下支えされたり、小じっかりと推移する要因となる傾向がある。これは、為替ヘッジ付きの外債投資におけるヘッジコスト上昇を受け、ヘッジ比率を引き下げる(=円売り要因)投資家が増加すると考えられるためだ。
来週は足もとの地合いを受け、まずは下値を模索。その過程で 105 円割れも想定すべきだろう。ただ、米国の長期金利上昇に歯止めがかかるに連れ、同水準ではドル買い需要も相応に高まり、週末にかけて小幅ながらも持ち直すと予想する。
トランプ大統領は 12 日、ホワイトハウスにおける会合の席上、対米貿易黒字が多い中国、日本、韓国を名指しし、報復関税措置といった対抗措置も辞さない姿勢を改めて表明した。中間選挙を見据え、これがトランプ政権のドル安志向の証左と受け止められれば、ドル安が勢いづく可能性があり、要注意だ。
特に、ここで注目すべきは、ユーロ圏がその槍玉に上がっていない点だ。ユーロ圏全体としてみれば、対米貿易黒字は中国に次ぐ勢力となる。しかも、その内、ドイツは日本と同様、監視対象先に指定されてもいる。過去 1 年余りの間で、欧州中央銀行(ECB)の正常化プロセスへの着手を受け、ユーロが対ドルで 2 割も上昇したことが、免罪符になっているのだとすれば、新たな体制での船出を迎える日銀の金融政策もいくらか影響を受けるかも知れない。
米長期金利は約4年ぶりに2.94%台まで上昇したが、米財政赤字拡大を嫌気する市場では、金利高がドル高を招きにくいと同氏は指摘している。通商面での米国の言動も、投機筋が主導するドル売りの火に油を注いでいる。
ドル安の裏側で、欧州通貨は堅調。ユーロは2014年11月以来、3年3カ月ぶりの水準に上昇し、今後もユーロの相対的強さは続くとの見方が大勢だ。英ポンドも2016年6月の欧州連合(EU)離脱決定以来の水準まで回復している。
そんな冗談はさて置き、為替市場では困った問題が発生している。ドル安だ。ドル円も余計に下値模索となっている。為替市場は年初からの流れに戻そうとしているのか、株式市場の落ち着き後のシナリオはドル売りという声がなぜか米国中心に強まっているようだ。
さて来週だが、ドル円は正直言って、現時点ではやり過ぎだと考えている。来週はFOMC議事録の公表が予定されており、それをきっかけに反転を期待したいところではあるが、いまの相場は一旦流れが出るとなかなか止まらず、行き過ぎる傾向にもある。105円割れを試す展開も想定されるが、そこは買い時かもしれない。ただし、その場合でもあくまで自律反発の範囲であることは留意される。
今週に関しては、節目の 105 円を試しつつ、そこで実需のビッドが出てくるかに注目しています。105 円前半で実需勢が買ってくるなら、いったんは値固めされる可能性もあります。
クロス円も軟調です。美味しかったユーロ円に関しても実体で下抜けしてしまったことから、一旦 賞味期限が切れた、とするほうが良さそうです。
大きく動いた後ということもあり、あまり積極的にポジションが取れない週になるかもしれませんね。
ドル円予想 : 105.00 - 107.30
経済指標一覧(日本時間)
2/19(月)
- 特に重要な経済指標の発表はなし。
2/20(火)
- 09:30(豪) 豪準備銀行 金融政策会合議事要旨
- 24:00(欧) 2月 消費者信頼感
2/21(水)
- 18:30(英) 1月 失業率
- 23:15(英) カーニー英中銀(BOE)総裁 発言
- 28:00(米) FOMC 議事要旨
2/22(木)
- 18:30(英) 10-12月期 四半期国内総生産(GDP)
- 21:30(欧) 欧州中央銀行(ECB) 理事会議事要旨
- 22:30(米) 前週分 新規失業保険申請件数
2/23(金)
- 08:30(日) 1月 全国消費者物価指数(CPI)
- 16:00(独) 10-12月期 国内総生産(GDP)
- 19:00(欧) 1月 消費者物価指数(HICP)
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Monthly
予想レンジ:104.50 - 107.50
続落警戒もドル資金タイト化の兆しも
ドル円は、依然として下値を模索する時間帯が続く可能性が高い。特に昨年来、長らく続いたドル円相場の「適温相場」とも言うべき概ね 108 円~114 円レンジを下抜けした為、多くの市場参加者が相場観の見直しを迫られよう。いわゆるドル円の「追っかけ売り」が見込まれる一方、買い手は様子見を続ける可能性が高い。米ドルの短期資金市場をみると、需給がやや引き締まる傾向にある。米国の株式相場は、急落した後に値を戻したが、その過程で損失を被った市場参加者は少なくないとみられ、ドル資金を運用する(=供給する)余力が低下した可能性がある。こうした場面では、一昨年や昨年の第 4 四半期にもみられた通り、特にドル円相場において、ドルが下支えされたり、小じっかりと推移する要因となる傾向がある。これは、為替ヘッジ付きの外債投資におけるヘッジコスト上昇を受け、ヘッジ比率を引き下げる(=円売り要因)投資家が増加すると考えられるためだ。
来週は足もとの地合いを受け、まずは下値を模索。その過程で 105 円割れも想定すべきだろう。ただ、米国の長期金利上昇に歯止めがかかるに連れ、同水準ではドル買い需要も相応に高まり、週末にかけて小幅ながらも持ち直すと予想する。
トランプ大統領は 12 日、ホワイトハウスにおける会合の席上、対米貿易黒字が多い中国、日本、韓国を名指しし、報復関税措置といった対抗措置も辞さない姿勢を改めて表明した。中間選挙を見据え、これがトランプ政権のドル安志向の証左と受け止められれば、ドル安が勢いづく可能性があり、要注意だ。
特に、ここで注目すべきは、ユーロ圏がその槍玉に上がっていない点だ。ユーロ圏全体としてみれば、対米貿易黒字は中国に次ぐ勢力となる。しかも、その内、ドイツは日本と同様、監視対象先に指定されてもいる。過去 1 年余りの間で、欧州中央銀行(ECB)の正常化プロセスへの着手を受け、ユーロが対ドルで 2 割も上昇したことが、免罪符になっているのだとすれば、新たな体制での船出を迎える日銀の金融政策もいくらか影響を受けるかも知れない。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:105.00 - 108.00
底打ちは遠い、株価動向や通商関連の米国の言動を警戒
来週の外為市場では、米国株式の動向や、米国による通商関連の言動が警戒されている。ドル/円は年初の高値から約7%下落しているが、早期に底打ちする気配はなく、ドル安トレンドが転換する可能性はなさそうだ。米長期金利は約4年ぶりに2.94%台まで上昇したが、米財政赤字拡大を嫌気する市場では、金利高がドル高を招きにくいと同氏は指摘している。通商面での米国の言動も、投機筋が主導するドル売りの火に油を注いでいる。
ドル安の裏側で、欧州通貨は堅調。ユーロは2014年11月以来、3年3カ月ぶりの水準に上昇し、今後もユーロの相対的強さは続くとの見方が大勢だ。英ポンドも2016年6月の欧州連合(EU)離脱決定以来の水準まで回復している。
Klug FX
とれんど捕物帳
予想レンジ:104.50 - 107.50
パウエルへのラブレターだったのか?
今回の世界同時株安だが、米雇用統計の平均時給をきっかけに米早期利上げやインフレへの警戒感が高まったという解説になっている。ただ、少し角度を変えてみると、今回の株安はパウエルFRB議長就任前後から発生している。就任の門出から世界同時株安の洗礼ということで、さすがに困惑したであろう。もしかすると、「あまり、ガツガツやるなよ!」という市場からパウエル議長へのラブレターだったのかもしれない。個人的には「イエレンの呪い」だと思っている!(笑)そんな冗談はさて置き、為替市場では困った問題が発生している。ドル安だ。ドル円も余計に下値模索となっている。為替市場は年初からの流れに戻そうとしているのか、株式市場の落ち着き後のシナリオはドル売りという声がなぜか米国中心に強まっているようだ。
さて来週だが、ドル円は正直言って、現時点ではやり過ぎだと考えている。来週はFOMC議事録の公表が予定されており、それをきっかけに反転を期待したいところではあるが、いまの相場は一旦流れが出るとなかなか止まらず、行き過ぎる傾向にもある。105円割れを試す展開も想定されるが、そこは買い時かもしれない。ただし、その場合でもあくまで自律反発の範囲であることは留意される。
私見
株に関しては落ち着きを取り戻しつつあります。しかし、逆にドル円は完全に投機筋のオモチャと化しています。テクニカル的にもレンジを下抜けてしまったことから、どのラインで値固めをするのかを確認するまでは値頃感で買うことはあり得ないチャートとなっています。今週に関しては、節目の 105 円を試しつつ、そこで実需のビッドが出てくるかに注目しています。105 円前半で実需勢が買ってくるなら、いったんは値固めされる可能性もあります。
クロス円も軟調です。美味しかったユーロ円に関しても実体で下抜けしてしまったことから、一旦 賞味期限が切れた、とするほうが良さそうです。
大きく動いた後ということもあり、あまり積極的にポジションが取れない週になるかもしれませんね。
ドル円予想 : 105.00 - 107.30