2017年10月第五週から11月第一週(10月30日~11月3日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017年10月第五週から11月第一週(10月30日~11月3日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
そして、注目の次期FRB議長人事だが、今週も発表はなかった。候補はテイラー氏、パウエル氏、そしてイエレン議長の3名に絞られている。
パウエル氏は現在、FRB理事だが、市場では同氏のスタンスはイエレン議長に近いと見られている。決してハト派ではないと思われるが、対抗馬とされるテイラー氏に比べればハト派に見られるようだ。テイラー氏は一定のルールに基いた金融政策を標榜している。同氏が提唱している成長率、インフレ率(場合によっては失業率を代用)から政策金利を計算するテイラー・ルールからすれば、政策金利は既に現在の水準を遥かに超えていなければならないとの計算もある。
そのような状況からパウエル氏であれば、ドルと米国債利回りは下げの反応となるようだ。ただ、基本的にはFRB議長が変わったからといって、政策スタンスが一気に変わることはないということは留めておきたい。
来週だが、FOMCや日銀会合、英中銀、そして、米雇用統計など重要イベントが盛りだくさんの週だ。FOMCも日銀も基本的な変化はないであろう。英中銀は利上げが濃厚だが、ポンドは下げの反応を示す可能性も警戒したい。
米雇用統計は前回の反動で強い数字が見込まれている。平均時給を含めてよほどのサプライズでない限り、12月利上げの線に変化はないであろう。今週に引き続きユーロ安・ポンド安、ドル高を想定する。ただ、ドル円に関しては今週同様に底堅いものの上値は重い展開を想定する。
来週もFRB議長人事が関心を集める。テイラー氏となれば金融引き締めが加速するとの見方からドル買いが強まり、パウエル氏ならそれほどタカ派的ではないとして売りで反応しそうだ。
2日開催のイングランド銀行(BOE)金融政策委員会では、10年余ぶりの利上げに踏み切ると広く予想されている。織り込み済みとの見方もあるが、発表後には英ポンドに動意が出る可能性がある。
市場からは「リスク回避ムードが強まれば株安・円高となりそうだが、ドル/円のレンジは切り上がっており112円台は維持されそうだ」(外為アナリスト)との声が出ていた。
ユーロは欧州中央銀行(ECB)理事会後の下落は行き過ぎとの見方がある。節目の1.1500ドルでは支えられる一方、1.1800ドルまでの戻りはあり得るという。
特別国会ではほぼ100%の確率で安倍自民党総裁が第98代首相に指名される。アベノミクス再発進場面だ。
しかし筆者が注視しているのは、その前日、10/31の日銀金融政策決定会合である。過去号で指摘したが、安倍政権であろうとなかろうと、量的金融緩和策は継続される可能性が高い。長短金利を操作する現緩和策が維持される見込みだ。
そこで筆者が邪推したのは、首班指名を控えた政治空白期の10/31日銀会合で「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の物価見通しを小幅に下方修正する可能性もあるのではないか、との読みである。理由は「携帯電話値下げ」を指示した政治への当てこすりからだ。
黒田総裁にしてみれば、2013年1月に政府と日銀が結んだ政策協定(日銀は2%の物価目標達成、政府は財政健全化)が、今回の解散・総選挙の為に反故にされた格好でもある。また、以前より「足元の物価上昇率が弱いのは、主として携帯電話機や通話料の値下げが相当効いている」とし、最近では、10/20の全信組大会でも同様の言を示している。
『“携帯電話値下げ”が物価上昇率を圧迫、と声を挙げているのに何故配慮してくれないのだ!』との黒田総裁の不満が看過されてきたのだ。2014年の“ハロウィン緩和”には及ばないにせよ「Trick or treat !(お菓子をくれなきゃ、悪戯しちゃうよ)」との決め台詞のように、「Support or a deflation !(配慮しないとデフレだぞ)」と日銀が政府にダダをこねないだろうか。
■10/30週ドル円■
上値焦点は3/15高値114.90、節目115.00、3/14高値115.205、3/10高値115.52、月足雲上限115.848、節目116.00。1/11高値116.88期待は望外か。
下値焦点は10/26安値113.34、10/23-24安値圏113.23。割れると10/20上昇帯113.10-112.70の維持が問われ同日安値112.51、週足雲上限112.183が意識されると推考。考。
5 月から続く上値トライはとりあえず失敗し、114 円台を維持して越週できませんでしたが、再び上値をトライしに行くか興味深いところです。
予想 : 112.80 - 115.50
経済指標一覧(日本時間)
10/30(月)
- 21:30(米) 9月 個人消費支出(PCEコア)☆☆
10/31(火)
- 未定(日) 日銀金融政策決定会合 政策金利発表 ☆☆
- 15:30(日) 黒田日銀総裁 定例記者会見 ☆☆
- 19:00(欧) 7-9月期 四半期域内総生産(GDP) ☆☆
- 21:30(欧) 7-9月期 四半期雇用コスト指数 ☆☆
- 21:30(加) 8月 月次国内総生産(GDP) ☆☆
11/01(水)
- 17:30(英) 7-9月期 四半期国内総生産(GDP) ☆☆
- 23:00(加) カナダ銀行 政策金利 ☆☆
- 21:15(米) 10月 ADP 雇用統計 ☆☆
- 23:00(米) 10月 ISM 製造業景況指数 ☆☆
- 27:00(米) FOMC 政策金利発表 ☆☆☆
11/02(木)
- 20:45(欧) ECB 政策金利
- 21:00(英) イングランド銀行 金利発表 ☆☆☆
- 21:00(英) 英中銀資産買取プログラム規模 ☆☆
- 21:00(英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨 ☆☆
11/03(金)休場:日本(文化の日)
- 21:30(米) 10月 非農業部門雇用者数変化(雇用統計) ☆☆☆
- 21:30(米) 10月 失業率 ☆☆☆
- 21:30(米) 10月 平均時給 ☆☆
- 23:00(米) 10月 ISM 非製造業景況指数 ☆☆
ドル円予想レンジ
Klug FX
とれんど捕物帳
予想レンジ:113.00 - 115.00
インフレなき景気回復への期待でショートカバーが続く
さすがに114円台に入るとこれまでのシコリも多いのか上値は重くなったものの、ドル円は堅調な動きを維持している。そして、注目の次期FRB議長人事だが、今週も発表はなかった。候補はテイラー氏、パウエル氏、そしてイエレン議長の3名に絞られている。
パウエル氏は現在、FRB理事だが、市場では同氏のスタンスはイエレン議長に近いと見られている。決してハト派ではないと思われるが、対抗馬とされるテイラー氏に比べればハト派に見られるようだ。テイラー氏は一定のルールに基いた金融政策を標榜している。同氏が提唱している成長率、インフレ率(場合によっては失業率を代用)から政策金利を計算するテイラー・ルールからすれば、政策金利は既に現在の水準を遥かに超えていなければならないとの計算もある。
そのような状況からパウエル氏であれば、ドルと米国債利回りは下げの反応となるようだ。ただ、基本的にはFRB議長が変わったからといって、政策スタンスが一気に変わることはないということは留めておきたい。
来週だが、FOMCや日銀会合、英中銀、そして、米雇用統計など重要イベントが盛りだくさんの週だ。FOMCも日銀も基本的な変化はないであろう。英中銀は利上げが濃厚だが、ポンドは下げの反応を示す可能性も警戒したい。
米雇用統計は前回の反動で強い数字が見込まれている。平均時給を含めてよほどのサプライズでない限り、12月利上げの線に変化はないであろう。今週に引き続きユーロ安・ポンド安、ドル高を想定する。ただ、ドル円に関しては今週同様に底堅いものの上値は重い展開を想定する。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:112.50 - 115.50
来週はドル上方向を意識、支援材料重なれば3月以来の115円台
来週の外為市場で、ドル/円はやや上方向への動きが意識される。株高と米金利上昇の基調が併存し、次期米連邦準備理事会(FRB)議長がテイラー・スタンフォード大教授と決まれば、今年3月以来の115円が視野に入りそうだとみられている。来週もFRB議長人事が関心を集める。テイラー氏となれば金融引き締めが加速するとの見方からドル買いが強まり、パウエル氏ならそれほどタカ派的ではないとして売りで反応しそうだ。
2日開催のイングランド銀行(BOE)金融政策委員会では、10年余ぶりの利上げに踏み切ると広く予想されている。織り込み済みとの見方もあるが、発表後には英ポンドに動意が出る可能性がある。
市場からは「リスク回避ムードが強まれば株安・円高となりそうだが、ドル/円のレンジは切り上がっており112円台は維持されそうだ」(外為アナリスト)との声が出ていた。
ユーロは欧州中央銀行(ECB)理事会後の下落は行き過ぎとの見方がある。節目の1.1500ドルでは支えられる一方、1.1800ドルまでの戻りはあり得るという。
岡三オンライン証券
武部力也の週間為替相場見通し
予想レンジ:113.20 - 115.80
「1ドル115円超」を煽るのは日銀ハロウィンか
■政治ドタバタ期に日銀がハロウィン悪戯■特別国会ではほぼ100%の確率で安倍自民党総裁が第98代首相に指名される。アベノミクス再発進場面だ。
しかし筆者が注視しているのは、その前日、10/31の日銀金融政策決定会合である。過去号で指摘したが、安倍政権であろうとなかろうと、量的金融緩和策は継続される可能性が高い。長短金利を操作する現緩和策が維持される見込みだ。
そこで筆者が邪推したのは、首班指名を控えた政治空白期の10/31日銀会合で「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の物価見通しを小幅に下方修正する可能性もあるのではないか、との読みである。理由は「携帯電話値下げ」を指示した政治への当てこすりからだ。
黒田総裁にしてみれば、2013年1月に政府と日銀が結んだ政策協定(日銀は2%の物価目標達成、政府は財政健全化)が、今回の解散・総選挙の為に反故にされた格好でもある。また、以前より「足元の物価上昇率が弱いのは、主として携帯電話機や通話料の値下げが相当効いている」とし、最近では、10/20の全信組大会でも同様の言を示している。
『“携帯電話値下げ”が物価上昇率を圧迫、と声を挙げているのに何故配慮してくれないのだ!』との黒田総裁の不満が看過されてきたのだ。2014年の“ハロウィン緩和”には及ばないにせよ「Trick or treat !(お菓子をくれなきゃ、悪戯しちゃうよ)」との決め台詞のように、「Support or a deflation !(配慮しないとデフレだぞ)」と日銀が政府にダダをこねないだろうか。
■10/30週ドル円■
上値焦点は3/15高値114.90、節目115.00、3/14高値115.205、3/10高値115.52、月足雲上限115.848、節目116.00。1/11高値116.88期待は望外か。
下値焦点は10/26安値113.34、10/23-24安値圏113.23。割れると10/20上昇帯113.10-112.70の維持が問われ同日安値112.51、週足雲上限112.183が意識されると推考。考。
私見
ドル円は底堅い動きを見せつつも、上値は重く、狭い値幅を取る感じでした。5 月から続く上値トライはとりあえず失敗し、114 円台を維持して越週できませんでしたが、再び上値をトライしに行くか興味深いところです。
予想 : 112.80 - 115.50