2017年9月第5週(9月25日~29日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017年9月第5週(9月25日~29日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
今回は個人的にも、予想以上にタカ派な印象だった。度々述べているが、FRBは現状はあくまで正常化の過程という認識で、成長や雇用に問題が無ければ、多少インフレが鈍化していても、利上げを続けたがっているという見方を確信させるFOMCではあった。
意外にユーロが強く、ユーロドルは依然として底堅さを堅持している。ECBの出口戦略の開始に関しては信頼感が高いようだ。
そのような中、北朝鮮問題など外部環境が落ち着き、市場のリスク許容度が高まるようであれば、為替市場のメインシナリオははやり、円安であろう。
さて来週だが、北朝鮮がまたきな臭い。太平洋で水爆実験などと居丈高な言動を繰り返している。次第に市場も慣れてきたような雰囲気もあるが、実際、ICBMミサイルに核弾頭を積んで、太平洋に撃つなどの暴挙があれば、反応せざるを得ないであろう。北朝鮮が実現可能かどうかは未知数だが。
敢えて来週はそのリスクは無いと仮定すれば、ドル円ももう少しリバウンド相場を試すものと期待したい。金曜日の戻り売りでようやく復活した200日線は維持できなかったが、水準は保っていると言えよう。ドル高の援護射撃はさほど期待できないものの、円安が支えてくれるものと期待する。
先週からの急速なリバウンド相場で過熱感も指摘され始めているが、過熱感を示すテクニカル指標であるRSIは60付近で推移しており、まだ上げ余地はありそうだ。
一方、本邦では、安倍首相が、2019 年 10 月に引き上げを予定する消費増税による増収分の内、1 兆円超を財政健全化ではなく、教育などの充実策に振り向ける意向であると報じられており、財政規律が衆議院選挙での争点となる可能性が浮上している。
これまで、2020 年度としてきた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化の目標先送りも表明するとみられている。こうした政府の財政規律の緩みと日銀による大規模な国債買い入れとの組み合わせは、日本の政策がいわゆる「ヘリコプターマネー政策」へ突き進むといった突拍子もない連想を招き易い。
来週、安倍首相が正式に衆議院の解散総選挙を宣言したタイミングで、市場ではこの政府の財政弛緩と日銀の積極緩和との組み合わせによる円安期待が刺激される可能性が高い。ドル高ではなく、円安に牽引されたドル円上昇が進み易い時間帯とみる。
一方、北朝鮮の「完全破壊」にも言及したトランプ米大統領による国連での演説に端を発して、ここにきて米朝間の舌戦が再び過熱している。10 月 10 日に朝鮮労働党の創建記念日を控える中、引き続き様々なヘッドラインリスクには注意したい。
29日は月末・四半期末と実質的な五・十日が重なるため、実需筋のフローがかく乱要因になる可能性もあり、注意が必要だ。
来週は、日米で政策期待に変化が起きる可能性が指摘されている。米国のライアン下院議長は税制改革の概要を発表するとしており、トランプ政権の迷走で消滅しつつあった財政刺激への期待が復活すれば、新たなドル買い材料になる可能性があるという。
一方、安倍晋三首相は25日の会見で衆院を解散する方針を表明するもよう。
政策期待で株高となれば、ドル/円の下支えとなりそうだ。「消費増税の使途変更やプライマリーバランスの黒字化目標先送りを明らかにするとみられる。金融緩和期待がほぐれない中での財政規律の弛緩は円売り材料になる」(国内証券)との声も聞かれた。
これは衆院選で与党が信認を得た場合は安倍首相の任期延長が確実視され、それに伴い、来年4月が任期満了となる黒田日銀総裁続投の可能性も高まるということを意味する。
では、イエレンFRB議長とトランプ米大統領のように安倍首相と黒田総裁に対立軸はないのか。強いて指摘するなら安倍首相が、2020年度に基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標を先送りの方針で固めている、とされることに対し、黒田総裁は“財政規律が緩めば国債の信認に影響が及ぶ恐れ、金融政策にも影響”とした姿勢である。
上値焦点は200日線112.15圏、9/22高値112.565、9/21高値112.73、7/17高値112.87。超えれば7/12イエレン議会証言後の戻り高値で7/14の下落起点113.30、7/14高値113.58。
下値焦点は日足一目雲上限111.55、週足一目雲上限111.365、9/20安値111.09、9/18安値110.99。割れると日足一目雲下限110.25-09維持が試行され易く最大リスクは9/15安値109.535と推考。
9月期末でのドル調達ニーズや投開票日までは為政者による円高抑制期待を抱くがロケットマンリスクも留意。
テクニカル的には、一目雲の上に位置しており、一旦押しを作った感じで越週しています。日足の 200 日移動平均線がやや下向いてきていたりたことから、イケイケで買い進めるには迷いがある印象ですが、値ごろ感からのショートはまだ危ないかもしれません。
予想 : 111.00 - 113.80
経済指標一覧(日本時間)
09/25(月)
- 14:35(日) 黒田日銀総裁 発言
- 22:00(欧) ドラギ ECB 総裁 発言
09/26(火)
- 9-3月期決算企業権利付最終売買日
- 08:50(日) 日銀・金融政策決定会合 議事要旨
- 23:00(米) 8月 新築住宅販売件数
- 25:45(米) イエレン FRB 議長 発言
09/27(水)
- 9-3月期決算企業権利落ち日
09/28(木)
- 05:00(NZ) ニュージーランド準備銀行 政策金利
- 21:30(米) 4-6月期 四半期実質国内総生産(GDP、確定値) ☆☆
09/29(金)
- 9-3月期決算企業権利確定日
- 17:30(英) 4-6月期 四半期国内総生産(GDP、確定値)
- 18:00(欧) 9月 消費者物価指数(HICP)
- 21:30(加) 7月 月次国内総生産(GDP)
- 21:30(米) 8月 個人消費支出(PCE コア・デフレーター)
- 23:15(欧) ドラギ ECB 総裁 発言
- 23:15(英) カーニー BOE 総裁 発言
ドル円予想レンジ
Klug FX
とれんど捕物帳
予想レンジ:111.00 - 114.00
ドル高よりも円安に期待 北朝鮮が変なことをしなければだが
今週は何と言ってもFOMCであったであろう。今回は個人的にも、予想以上にタカ派な印象だった。度々述べているが、FRBは現状はあくまで正常化の過程という認識で、成長や雇用に問題が無ければ、多少インフレが鈍化していても、利上げを続けたがっているという見方を確信させるFOMCではあった。
意外にユーロが強く、ユーロドルは依然として底堅さを堅持している。ECBの出口戦略の開始に関しては信頼感が高いようだ。
そのような中、北朝鮮問題など外部環境が落ち着き、市場のリスク許容度が高まるようであれば、為替市場のメインシナリオははやり、円安であろう。
さて来週だが、北朝鮮がまたきな臭い。太平洋で水爆実験などと居丈高な言動を繰り返している。次第に市場も慣れてきたような雰囲気もあるが、実際、ICBMミサイルに核弾頭を積んで、太平洋に撃つなどの暴挙があれば、反応せざるを得ないであろう。北朝鮮が実現可能かどうかは未知数だが。
敢えて来週はそのリスクは無いと仮定すれば、ドル円ももう少しリバウンド相場を試すものと期待したい。金曜日の戻り売りでようやく復活した200日線は維持できなかったが、水準は保っていると言えよう。ドル高の援護射撃はさほど期待できないものの、円安が支えてくれるものと期待する。
先週からの急速なリバウンド相場で過熱感も指摘され始めているが、過熱感を示すテクニカル指標であるRSIは60付近で推移しており、まだ上げ余地はありそうだ。
三菱東京UFJ銀行
FX Weekly
予想レンジ:110.25 - 113.75
円安リスク高める財政弛緩
来週は、総じてドルが軟化しそうだ。一方、本邦では、安倍首相が、2019 年 10 月に引き上げを予定する消費増税による増収分の内、1 兆円超を財政健全化ではなく、教育などの充実策に振り向ける意向であると報じられており、財政規律が衆議院選挙での争点となる可能性が浮上している。
これまで、2020 年度としてきた基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化の目標先送りも表明するとみられている。こうした政府の財政規律の緩みと日銀による大規模な国債買い入れとの組み合わせは、日本の政策がいわゆる「ヘリコプターマネー政策」へ突き進むといった突拍子もない連想を招き易い。
来週、安倍首相が正式に衆議院の解散総選挙を宣言したタイミングで、市場ではこの政府の財政弛緩と日銀の積極緩和との組み合わせによる円安期待が刺激される可能性が高い。ドル高ではなく、円安に牽引されたドル円上昇が進み易い時間帯とみる。
一方、北朝鮮の「完全破壊」にも言及したトランプ米大統領による国連での演説に端を発して、ここにきて米朝間の舌戦が再び過熱している。10 月 10 日に朝鮮労働党の創建記念日を控える中、引き続き様々なヘッドラインリスクには注意したい。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:110.50 - 113.50
来週のドル/円底堅い、米税制改革に期待か 北朝鮮リスク警戒
来週の外為市場で、ドル/円は底堅く推移しそうだ。北朝鮮リスクが警戒されるものの、今週改めて確認された日米金融政策のギャップが下支えになるとみられる。29日は月末・四半期末と実質的な五・十日が重なるため、実需筋のフローがかく乱要因になる可能性もあり、注意が必要だ。
来週は、日米で政策期待に変化が起きる可能性が指摘されている。米国のライアン下院議長は税制改革の概要を発表するとしており、トランプ政権の迷走で消滅しつつあった財政刺激への期待が復活すれば、新たなドル買い材料になる可能性があるという。
一方、安倍晋三首相は25日の会見で衆院を解散する方針を表明するもよう。
政策期待で株高となれば、ドル/円の下支えとなりそうだ。「消費増税の使途変更やプライマリーバランスの黒字化目標先送りを明らかにするとみられる。金融緩和期待がほぐれない中での財政規律の弛緩は円売り材料になる」(国内証券)との声も聞かれた。
岡三オンライン証券
武部力也の週間為替相場見通し
予想レンジ:110.00 - 113.30
「衆院解散」は「黒田続投・長期緩和」の証(あかし)か
衆院解散観測報に関して、筆者が推考するのは1点。自民党大敗の可能性が低いことだ。これは衆院選で与党が信認を得た場合は安倍首相の任期延長が確実視され、それに伴い、来年4月が任期満了となる黒田日銀総裁続投の可能性も高まるということを意味する。
では、イエレンFRB議長とトランプ米大統領のように安倍首相と黒田総裁に対立軸はないのか。強いて指摘するなら安倍首相が、2020年度に基礎的財政収支を黒字化する財政健全化目標を先送りの方針で固めている、とされることに対し、黒田総裁は“財政規律が緩めば国債の信認に影響が及ぶ恐れ、金融政策にも影響”とした姿勢である。
上値焦点は200日線112.15圏、9/22高値112.565、9/21高値112.73、7/17高値112.87。超えれば7/12イエレン議会証言後の戻り高値で7/14の下落起点113.30、7/14高値113.58。
下値焦点は日足一目雲上限111.55、週足一目雲上限111.365、9/20安値111.09、9/18安値110.99。割れると日足一目雲下限110.25-09維持が試行され易く最大リスクは9/15安値109.535と推考。
9月期末でのドル調達ニーズや投開票日までは為政者による円高抑制期待を抱くがロケットマンリスクも留意。
私見
地政学的リスクは相変わらずくすぶっているものの、クロス円を中心に堅調な値動きが続いています。"ロケットマン" のヘッドラインと月末の実需フローに注意しつつも、流れに乗っていくことが大事かもしれません。テクニカル的には、一目雲の上に位置しており、一旦押しを作った感じで越週しています。日足の 200 日移動平均線がやや下向いてきていたりたことから、イケイケで買い進めるには迷いがある印象ですが、値ごろ感からのショートはまだ危ないかもしれません。
予想 : 111.00 - 113.80