2017年8月第2週(8月7日~11日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
経済指標一覧(日本時間)
08/07(月)
- 28:00(米) 6月 消費者信用残高
08/08(火)
- 時間未定(中) 7月 貿易収支
08/09(水)
- 23:00(米) 6月 卸売在庫
08/10(木)オプションSQ
- 06:00(NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ)政策金利 ☆☆
- 17:30(英) 6月 鉱工業生産指数
- 21:30(米) 前週分新規失業保険申請件数
- 21:30(米) 7月 卸売物価指数(PPI)
08/11(金)日本市場休場
- 21:30(米) 7月 消費者物価指数(CPI)
今週のドル円予想レンジ予想
KlugFX
とれんど捕物帳:109.00 - 112.00
来週はドル円が買戻されるか注目
米雇用統計は現段階では完璧に近い内容であっただろう。完全雇用に近い中で、非農業部門雇用者数(NFP)は20万人を超え、労働参加率も上昇し、失業率は4.3%に再び低下している。そして、何といっても平均時給は安心感をもたらしたであろう。インフレ鈍化による年内の米利上げへの不透明感のほかに、トランプ大統領への不透明感がドル安を誘導している。市場も慣れてしまったのか、一時的な反応に留まっているが、ロング勢にとっては何か出るたびにヤキモキさせられる。
さて来週だが、ドル安に過熱感も出る中、週末の米雇用統計を通過して、これまでのドル安の流れに一服感が出るか注目される。
来週は米消費者物価(CPI)の発表などが控えており、インフレ鈍化懸念を和らげるようであれば、ドル反転の可能性も期待できそうだ。CPIは前年比で1.7%が予想されている。今週のISM指数を見た限りでは、企業の仕入れ段階では価格低下が一服している感もあり、原油価格も反発している中、CPIも下げ止まりも期待したい。
モーニングスター
来週の東京外国為替市場見通し:108.50 - 112.00
7月CPIに注目、「雲」下回れば調整長期化の恐れも
7-11日のドル・円は、神経質な展開と見る。オバマケア撤廃や税制改革をめぐるトランプ米大統領の求心力低下、北朝鮮問題と不透明要因が多い中で上値を追いにくいうえ、前月にイエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が低インフレに懸念を示したことをきっかけに追加利上げ観測が後退している。週内は11日に7月消費者物価指数(CPI)が発表されるが、今年に入ってから頭打ち感が強く、伸びが弱いままだとドル・円の下押し要因になりかねない。
一方、市場では7月のCPIがやや持ち直すと見られている。4日の米7月雇用統計も平均時給の伸びが前月を上回る見通し。結果次第で低インフレへの過度の懸念が後退するようならドル・円の反転材料になる可能性がある。CPIの結果が短期的なドル・円の方向性を決めることになりそうだ。
ドル・円は110円近辺で推移しており、同水準で下げ止まれるかが注目となる。心理的フシ目として底固い展開が期待されるものの、ここを割り込むようなら週足一目均衡表の「雲」の下限でもある108円80銭近辺を下回ることも考えられ、調整が長引く恐れがある。
ロイター
来週の外為市場:108.00 - 110.50
来週は米利上げ予想の後退でドルの下値リスク意識
来週の外為市場では、米経済指標や要人発言を意識しつつ、年内の米追加利上げ予想が一段と後退するかが注目される。ショートカバーのうねりに乗ってユーロ高/ドル安が進む中、ドルが円に対して強さを維持できるかについて不確実性が高まり、ドル/円は下値リスクが警戒されやすい。トランプ大統領は2日、移民制度改革法案を明らかにし、合法的に入国する移民も制限する方針を示した。FXプライムbyGMOの常務取締役・上田眞理人氏は移民制度改革で時間を無駄にせず、「まず包括的税制改革に取り組まなければ、政治の混乱が今後、実体経済に悪影響を及ぼしかねない」と指摘する。
日本では、第3次安倍第3次改造内閣が始動したが、「期待感を持たせる内容ではなく、かえって株安/円高を招いている」(同)という。
2年7カ月ぶりの高値圏にあるユーロについては「2014年からのユーロ安で、投資家はユーロ資産を相当アンダーウエートしているはず。投資家がユーロのウエートを拡張方向で見直せば、1.2ドルは通過点に過ぎない」(ファンドマネージャー)という。
SBIリクイディティ・マーケット
週間マーケット展望:109.86 - 111.65週末の米雇用統計では、雇用者数や賃金の伸びが市場予想を上回ったことや、失業率が改善したことが好感され、ドルは主要通貨に対して上昇し、ドル/円は一時 111円台まで上昇した。
今週は、底固い動きが予想される。週明けも、先週の米雇用統計の結果が意識され、ドルは堅調な動きも考えられる。
ただ、政治的な懸念が根強いことから、関連する報道などには注意したい。マーケットでは、夏季休暇で内外の市場参加者も減少しており、薄商いとなる可能性もあるだろう。
その中で、米当局者の発言が予定されており、6月の FOMCで利上げに反対したミネアポリス連銀総裁や NY連銀総裁など、複数の当局者の講演が予定されていることから、発言の内容に注目したい。
岡三オンライン証券
武部力也の週間為替相場見通し:108.80 - 111.60
「安倍改造内閣」のデビュー悩ますドル警戒局面
新たに入閣した茂木経済再生相は「デフレ状況は改善しているが、やるべきことはある」「政府・日銀がしっかり連携し、あらゆる政策で脱デフレを目指す」と強調。しかし、円の対ドル浮揚力は依然、強まらず、8/1には6/15以来の1ドル109円台を示現。トランプ政権の不透明性に加え、米経済指標の鈍さから米金利の上昇力は弱く、日米の金利差をあてにしたドル買いは一段と進みづらくなっている。
8/7週は米金利が上がらない理由として、一部の長期運用機関投資家がリスクに備えての米債買いを強めたことが米債金利低下(債券価格上昇)を招いたとの指摘も聞こえた。米FOMCは追加利上げに慎重との観測裏付けは、シカゴFEDウオッチ(8/4時点)での年内利上げ確率で9月、11月の据え置き予想95%近傍で示されている。
ドルブル派にとっては不利なセンチメントデータだ。
加えて筆者が警戒するのは、今秋にもFRBは保有する米資産圧縮に動くとの可能性に対し、冷水を浴びせかねない7月のCPI米消費者物価指数(8/11・山の日)だ。米政治の停滞感に加えてインフレの伸び悩み、鈍化の再露呈はドル売り場面に繋がりかねず、8/1公表の6月米個人消費支出における4カ月連続での伸びの鈍化が憂いを強める。8月中旬に向けた米債償還・利払い円転思惑は、現実的にはドル・ドル再投資となるが、ドル売り円転仕掛けに利用されかねない局面でもあることも留意しておきたい。
上値焦点は8/3高値110.84、8/2高値111.00。7/28高値111.345を超えれば7/27高値111.72が意識されるが、日足一目均衡表雲下限111.58の抵抗を推考。
7/26高値112.22、7/20高値112.43を期待視するも週足一目均衡表雲上限112.20を超えるには相応の材料が求められそうだ。
下値焦点は6/15安値109.265、6/14安値108.78を最終橋頭堡と推考。割れた際は4月中旬に示された108円台前半の堅調性(4/17-19安値108.11-31-37)が再度試されそうだ。
私見
雇用統計では下方向への警戒が大勢の中、発表直後にいきなり一円の沸騰となり、ショートがいかに溜まっていたかを思い知らされました。今週はイベントも少なく、参加者も少ない週となる可能性が高く、突発的なボラティリティの高さには特に警戒が必要です。元々 8 月は鬼門であります。
テクニカル的には、50日移動平均線を守ったままとなっていたり、週明けは買いを誘いやすいような形となっているように見えます。
予想 : 109.00 - 111.60