2017年6月第二週(5日から9日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017年6月第二週(5日から9日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
ただ、非農業部門雇用者数(NFP)は13.8万人増と完全雇用の中ではしっかりとした増加を持続しているものと思われる。FRBが現状を正常化の過程と位置づけているならば、利上げを躊躇する状況ではない。
実際、CMEのFEDウォッチでの6月利上げの確率は、雇用統計通過後も95%を超える水準のままだ。6月利上げは予想通り実施してくるものと思われる。
ドル円の200日線の話をすると、トランプ相場の影響で昨年末あたりから明確に上昇トレンドを示現している。過去30年程度を検証すると、200日線が明確にトレンド転換した場合、複数年に渡って続く傾向にある。昨年が例外だったとも言えよう。
中長期で考えている投資家であれば、200日線を下回って来たら、レバレッジを落として、ゆっくり買い下がるのも一考かもしれない。
さて来週だが、注目はECB理事会であろう。政策は据え置きが確実視されているが、注目はガイダンスを出口戦略に向けて変更してくる可能性が高いことだ。恐らく変更の可能性が濃厚だが、既にその辺は織り込み済みであり、どのように変更してくるかがポイントであろう。
既に織り込んでいることから、変更内容次第ではユーロは一旦ピークアウトする可能性は留意したい。
そのほか、8日の英総選挙も注意したい。最新の世論調査ではメイ首相率いる与党保守党の支持率が42%、野党労働党の支持率が39%と、ここにきてその差が急速に縮まっている。波乱はないとの見方が市場ではなお優勢ではあるが、英国の選挙なので、それなりに警戒はして置きたいところではある。
8日にECB(欧州中央銀行)理事会、英国総選挙、11日に仏国民議会選挙と重要イベントを控える。ポンドやユーロを買う流れにはなりにくい。ポンドが崩れればドル・円やユーロ・円に波及する恐れがある。
ドル・円は週足チャートでトランプ米大統領の「ロシアゲート」疑惑を受けて割り込んだ26週移動平均線(113円20銭近辺)が上値メド。疑惑解明など進展が見られない間は上値抵抗線となりそうだ。英国総選挙は下ブレリスクを高めるため、レンジは広めに見ておきたい。200日線を割り込めば下値模索の展開が予想され、4月安値の108円10銭近辺も意識される。
コミーFBI前長官の公聴会は、米大統領選でのトランプ陣営とロシアの癒着疑惑に関連して、トランプ米大統領から捜査打ち切りの圧力を受けたかどうかの証言があるかに注目が集まる。米政権が揺らぐとの思惑が高まればドル/円は下押し圧力がかかりやすい。
英総選挙では、世論調査などを受けて与党の保守党の勝利が見込まれているが、野党の労働党による追い上げも伝わっている。与党が予想外に敗北となれば、リスク回避の円買いとポンド/円の売りの影響で、やはりドル/円は下落が見込まれる。
トウキョウフォレックス上田ハーローの営業推進室室長代理、阪井勇蔵氏は、ドル/円は110円台では底堅いと見るものの「可能性は低いだろうが、これらイベントでネガティブ材料が重なるなら110円を割り込んで年初来安値方向に向かい得る」と、指摘する。
一方、ECB理事会は、フォワードガイダンスの変更などで、緩和政策の出口への思惑が高まるとの見方が出ている。実際にそうなればユーロ買いが強まると見られる一方、思惑が外れれば、事前に買われただけに売り戻しが強まるとみられる。ECB要因ではユーロ/ドルとユーロ/円は同じ方向の動きが見込まれ、ドル/円への影響は限られそうだ。
米上院情報委員会によると、ロシアの米大統領選挙への介入疑惑に関して、解任されたコミー前FBI長官が6/8に証言を行う予定だ。
次に英ポンドである。保守党敗北の場合は英EU離脱交渉が混迷を極め、昨年6/24英EU離脱決定時に発生した“悪夢のリスクオフ”再現も否定できない。
最後は欧ユーロだ。5月ユーロ圏消費者物価指数は前年同月比で1.4%上昇したが、欧州中銀ECBが緩和の出口に舵を切るには決め手を欠く結果だった。恐らく6/8のECB会合ではドラギ総裁は慎重な姿勢を示すだろう。しかし、現策批判の独政府を“忖度”するなら、景気認識の上方修正や緩和策の一部是正の可能性も否定できない。
6/5週の円は6/9の満月に向けてドル・ポンド・ユーロ動向に警戒。日足・月足一目均衡表雲上限、月足ボリンジャー中心線の111.405-111.596-111.82を意識した展開を推考。上値焦点は5/24高値112.13、5/17欧米時間下落前の戻り高値圏112.50-55、5/17高値113.12。下値焦点は5/23安値110.85、5/31安値110.48、200日線推移の110.245圏、5/18安値110.23。割れたら4/24-25安値圏109.60-65が最終橋頭堡。
但し、トランプ政権やトランプ大統領自身に対する数々の疑惑が浮上すると、市場が不安定化し、ドル円も急反落した。その後、株式市場は落ち着きを取り戻し、米国では主要株価指数が史上最高値圏を維持しているが、ドル円の上値は重い。
本邦の対外証券投資によって、下値が堅い一方で、FRB のバランスシート(B/S)縮小観測を前に、来年以降の利上げ織り込みが全く進まないためだ。米国の経済指標に冴えないものも散見され、トランプ政権の政策遂行力への疑念と相俟ってドル高に勢いはない。
日米の金融政策格差は依然として歴然ではあるが、引き続き上値は重く、年末に向け、じり安に転じる動きを予想する。
とはいえ、6月利上げを否定する内容ではなく、ここからさらに下方向へ掘削が続くかどうかはまだわかりません。
テクニカル的にも 200 日移動平均線、トランプ相場から続く TL にちょうどぶつかり、ここで反発できるかどうかにかかっています。
英国や欧州の政治リスクという側面はあるものの、連日の株高から地合いはそれほど悪くないかもしれません。
なんにせよ、200 日移動平均線が鍵となるかもしれません。
予想 : 109.00 - 112.10
経済指標一覧(日本時間)
06/05(月)
- 10:45(中) 5月 Caixin サービス部門購買担当者景気指数(PMI)
- 23:00(米) 5月 ISM 非製造業景況指数
- 23:00(米) 4月 製造業新規受注
- 23:00(米) 5月 米労働市場情勢指数(LMCI)
06/06(火)
- 13:30(豪) 豪準備銀行(中央銀行) 政策金利発表
- 18:00(欧) 4月 小売売上高
06/07(水)
- 10:30(豪) 1-3月期 四半期国内総生産(GDP)
06/08(木)英国総選挙,コミー前FBI長官証言
- 08:50(日) 1-3月期 四半期実質国内総生産(GDP) ★★
- 18:00(欧) 1-3月期 四半期域内総生産(CPI)
- 20:45(欧) 欧州中央銀行(ECB)政策金利 ★★★
- 21:30(欧) ドラギ ECB 総裁 定例記者会見
06/09(金)メジャーSQ
- 21:30(加) 5月 失業率,新規雇用者数
今週のドル円予想レンジ予想
KlugFX:109.50 - 112.00
とれんど捕物帳 (2017/06/3)
ドル円、200日線のトレンドはまだ若い ゆっくり買い下がるのも一考か
今週のドル円は反転の兆しも見られたが、週末の米雇用統計が予想を下回る内容だったことで一気に反転のモメンタムを失っている。ただ、非農業部門雇用者数(NFP)は13.8万人増と完全雇用の中ではしっかりとした増加を持続しているものと思われる。FRBが現状を正常化の過程と位置づけているならば、利上げを躊躇する状況ではない。
実際、CMEのFEDウォッチでの6月利上げの確率は、雇用統計通過後も95%を超える水準のままだ。6月利上げは予想通り実施してくるものと思われる。
ドル円の200日線の話をすると、トランプ相場の影響で昨年末あたりから明確に上昇トレンドを示現している。過去30年程度を検証すると、200日線が明確にトレンド転換した場合、複数年に渡って続く傾向にある。昨年が例外だったとも言えよう。
中長期で考えている投資家であれば、200日線を下回って来たら、レバレッジを落として、ゆっくり買い下がるのも一考かもしれない。
さて来週だが、注目はECB理事会であろう。政策は据え置きが確実視されているが、注目はガイダンスを出口戦略に向けて変更してくる可能性が高いことだ。恐らく変更の可能性が濃厚だが、既にその辺は織り込み済みであり、どのように変更してくるかがポイントであろう。
既に織り込んでいることから、変更内容次第ではユーロは一旦ピークアウトする可能性は留意したい。
そのほか、8日の英総選挙も注意したい。最新の世論調査ではメイ首相率いる与党保守党の支持率が42%、野党労働党の支持率が39%と、ここにきてその差が急速に縮まっている。波乱はないとの見方が市場ではなお優勢ではあるが、英国の選挙なので、それなりに警戒はして置きたいところではある。
モーニングスター:108.10 - 113.20
来週の東京外国為替市場見通し (2017/06/02)
欧州政治リスク意識、ECB理事会や英総選挙などに注目
6月13-14日のFOMC(米連邦公開市場委員会)における利上げはほぼ織り込まれており、9日の米5月雇用統計が市場予想通りの着地となればドル・円の上値は限定的と見る。8日にECB(欧州中央銀行)理事会、英国総選挙、11日に仏国民議会選挙と重要イベントを控える。ポンドやユーロを買う流れにはなりにくい。ポンドが崩れればドル・円やユーロ・円に波及する恐れがある。
ドル・円は週足チャートでトランプ米大統領の「ロシアゲート」疑惑を受けて割り込んだ26週移動平均線(113円20銭近辺)が上値メド。疑惑解明など進展が見られない間は上値抵抗線となりそうだ。英国総選挙は下ブレリスクを高めるため、レンジは広めに見ておきたい。200日線を割り込めば下値模索の展開が予想され、4月安値の108円10銭近辺も意識される。
ロイター:109.00 - 113.00
来週の外為市場(2017/06/02)
来週のドル/円は振られやすい、ビッグイベントが目白押し
来週の外為市場でドル/円は、ビッグイベントが集中する週後半にかけて、思惑から相場が振られやすいと見られている。週前半は米雇用統計を消化し、その後は日本時間の8日─9日に予定される英総選挙や米連邦捜査局(FBI)前長官の公聴会、欧州中央銀行(ECB)理事会を待つ流れになりそうだ。コミーFBI前長官の公聴会は、米大統領選でのトランプ陣営とロシアの癒着疑惑に関連して、トランプ米大統領から捜査打ち切りの圧力を受けたかどうかの証言があるかに注目が集まる。米政権が揺らぐとの思惑が高まればドル/円は下押し圧力がかかりやすい。
英総選挙では、世論調査などを受けて与党の保守党の勝利が見込まれているが、野党の労働党による追い上げも伝わっている。与党が予想外に敗北となれば、リスク回避の円買いとポンド/円の売りの影響で、やはりドル/円は下落が見込まれる。
トウキョウフォレックス上田ハーローの営業推進室室長代理、阪井勇蔵氏は、ドル/円は110円台では底堅いと見るものの「可能性は低いだろうが、これらイベントでネガティブ材料が重なるなら110円を割り込んで年初来安値方向に向かい得る」と、指摘する。
一方、ECB理事会は、フォワードガイダンスの変更などで、緩和政策の出口への思惑が高まるとの見方が出ている。実際にそうなればユーロ買いが強まると見られる一方、思惑が外れれば、事前に買われただけに売り戻しが強まるとみられる。ECB要因ではユーロ/ドルとユーロ/円は同じ方向の動きが見込まれ、ドル/円への影響は限られそうだ。
岡三オンライン証券:110.20 - 113.10
武部力也の週間為替相場見通し(2017/06/02)
円安期待を阻む「6月8日の米英欧」
筆者は以前と変わらぬ円に対し、円安を阻む主要3通貨の変化を警戒している。まずは米ドルに関して。5/22週号では「トランプ・ロシアゲート問題」の長期化懸念、として1972年に表面化したウォーターゲート事件が約2年2カ月に及んだことを指摘した。米上院情報委員会によると、ロシアの米大統領選挙への介入疑惑に関して、解任されたコミー前FBI長官が6/8に証言を行う予定だ。
次に英ポンドである。保守党敗北の場合は英EU離脱交渉が混迷を極め、昨年6/24英EU離脱決定時に発生した“悪夢のリスクオフ”再現も否定できない。
最後は欧ユーロだ。5月ユーロ圏消費者物価指数は前年同月比で1.4%上昇したが、欧州中銀ECBが緩和の出口に舵を切るには決め手を欠く結果だった。恐らく6/8のECB会合ではドラギ総裁は慎重な姿勢を示すだろう。しかし、現策批判の独政府を“忖度”するなら、景気認識の上方修正や緩和策の一部是正の可能性も否定できない。
6/5週の円は6/9の満月に向けてドル・ポンド・ユーロ動向に警戒。日足・月足一目均衡表雲上限、月足ボリンジャー中心線の111.405-111.596-111.82を意識した展開を推考。上値焦点は5/24高値112.13、5/17欧米時間下落前の戻り高値圏112.50-55、5/17高値113.12。下値焦点は5/23安値110.85、5/31安値110.48、200日線推移の110.245圏、5/18安値110.23。割れたら4/24-25安値圏109.60-65が最終橋頭堡。
三菱東京UFJ銀行
FX Monthly(2017/05/31)
上値を抑える B/S 縮小への疑問
5 月のドル円相場は、市場の緊張が和らいだことから円安気味に推移し、一旦 114 円台を記録した。但し、トランプ政権やトランプ大統領自身に対する数々の疑惑が浮上すると、市場が不安定化し、ドル円も急反落した。その後、株式市場は落ち着きを取り戻し、米国では主要株価指数が史上最高値圏を維持しているが、ドル円の上値は重い。
本邦の対外証券投資によって、下値が堅い一方で、FRB のバランスシート(B/S)縮小観測を前に、来年以降の利上げ織り込みが全く進まないためだ。米国の経済指標に冴えないものも散見され、トランプ政権の政策遂行力への疑念と相俟ってドル高に勢いはない。
日米の金融政策格差は依然として歴然ではあるが、引き続き上値は重く、年末に向け、じり安に転じる動きを予想する。
私見
6 月の雇用統計は市場予想を下回り、大きく円高へと触れました。とはいえ、6月利上げを否定する内容ではなく、ここからさらに下方向へ掘削が続くかどうかはまだわかりません。
テクニカル的にも 200 日移動平均線、トランプ相場から続く TL にちょうどぶつかり、ここで反発できるかどうかにかかっています。
英国や欧州の政治リスクという側面はあるものの、連日の株高から地合いはそれほど悪くないかもしれません。
なんにせよ、200 日移動平均線が鍵となるかもしれません。
予想 : 109.00 - 112.10