2017年6月第五週(26日から30日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017年6月第五週(26日から30日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
先週はIT・ハイテク株の調整を見て市場は懸念を強めていたが、今週は原油安に“懸念フォーカス”を当てている。
原油価格が上がらない背景として、これまでの過剰供給で既に在庫が爆発的に積み上がってしまっていることが背景にあるようだ。この過剰在庫がある程度処理されなければ原油相場には強気になれないらしい。
そのためには米シェールオイルの生産が調整される必要がある。ただ、米シェールオイルの場合、OPECのようにカルテルを組むわけには行かないので、自然に減少してくるのを待つしかないのかもしれない。
さて来週だが、イエレン議長のロンドンでの講演や各国のインフレ指標も発表になる。イエレン議長の講演については「グローバル経済の問題点」というテーマになっているようだ。金融政策や経済について、どこまで言及があるか未知数だが、言及があったとしても、先週のFOMC後の会見とほぼ変わらないトーンと思われる。FOMC後に発表になっている主な経済指標は予想を上回る米住宅指標のみで変える根拠がない。
そして注目したいのが、ヘルスケア法案の行方だ。米上院共和党が法案を提出しており、トランプ大統領も賛同しているようだ。ただ、保守系の共和党議員からは5人が反対を表明しており、民主党は全員反対を表明していることから、共和党から3人以上の造反が出れば可決できない。
さて、想定レンジだが、上向きを期待したいところではあるが、一応、典型的な標準偏差のモデルから想定した110.00~112.50を想定。スタンスは中立。
こうした中、週明けの為替相場は27日のイエレンFRB議長の講演が焦点となる。金融正常化へより舵を切ったFRBが足元の経済情勢を踏まえ、追加利上げと資産縮小をどう進めていくのか、イエレンFRB議長の発言が注目される。
一方、日本では15-16日開催分日銀金融政策決定会合の「主な意見」が公表される他、週末に5月CPI(消費者物価指数)、5月鉱工業生産などの経済指標が発表される。5月CPIは前月から上ブレるとの見方が大勢であり、懸念のCPIが改善すれば、日銀の出口戦略の早期化が意識され、ドル・円の重しとなる可能性もある。
ドル・円はチャート上で、直近高値の1ドル=112.11円(5月24日)を上抜ければ、5月下旬に米政局不安から急落する前の113円台回復が視野に入る。一方、14日のFOMC以降は200日移動平均線にサポートされており、22日付の同110円80銭近辺が下値メドとなる。
原油価格は、石油輸出国機構(OPEC)の減産延長合意の後も、軟調に推移。需要鈍化が意識される一方、リビアやナイジェリア、米国の増産がOPEC減産効果の相殺に働くとの思惑も出ている。
原油価格の下押しはインフレ・利上げ期待を冷やして米金利の低下につながり、ドルの波乱要因になるとみられる。エネルギーセクターを中心に米主要株価指数の重しになれば、リスク回避による円高要因になりかねないとの警戒感もある。
目先の材料に乏しいユーロは、大きな値動きは見込まれていない。29日に独IFO景況指数、30日にユーロ圏消費者物価指数速報の発表がある。
6/22に政府の6月月例経済報告で、景気の基調判断を引き上げたが、これは自らを追い込んだ格好にも映る。過度な円高進行に対しては、本邦長期運用機関投資家など”オールジャパン“を動員して対峙するのではないか。
前号で指摘したが、6/14のFOMC利上げ、そして過去、慎重さを崩さなかったイエレン議長の強気姿勢は、不安の裏返しと邪推している。バランスシートの縮小開始を急ぐ理由は、2018年2月の任期終了前に道筋を付けたいからに違いない。
翌週7/4米独立記念日を控えて徐々に調整色を強める可能性(過去5年の週足値幅は約2円幅程度)を想定。上値焦点は月足一目雲上限111.405、日足雲上下限111.25-81、6/20-21高値圏111.75-80、5/25-26高値圏111.86-96、5/24高値112.13。超えれば5/17欧米時間下落前の停滞価格圏112.50-55。5/17高値113.12は望外か。下値焦点は200日線110.837、6/19安値110.775、6/16安値110.64。最終拠点として週足一目均衡表雲帯109.95-51留意。
一方、原油価格の下落が顕著となってはいるものの、市場でのリスク回避姿勢もさほど高まっていない。VIX指数が低位で推移している通り、米国の株式相場が総じて底堅く推移しているためと考えられる。
ただ、そうした中で来週は以下の 3 点に注目だ。どちらかと言えば、ドル安円高材料として注意が必要だろう。まず、経済指標の中ではFOMCが 2%としている物価目標を達成する上で参照としているPCEデフレーターに注目だ。既に、予想比下ブレとなったCPIによって、PCEの事前予想も前月から鈍化する予想となっている。
来週も多くの連銀高官の発言を控えている。中でも、イエレン議長の発言が注目されよう。14 日のFOMC後の記者会見では、鈍い物価の伸びをノイズと一蹴しているだけに、強気トーン維持なら新鮮味を欠き、材料とはなりにくい。この為、市場が反応するとすれば、いく分か経済や物価の先行きに対して、慎重な見方を示す場合だ。
特に、14 日時点で 46 ドル台で推移していたWTIはその後、42 ドル台まで下落。イエレン議長にとって依然としてノイズには違いないであろうが、それも低迷が長期化するとなれば、インフレ期待を通じて、金融政策への影響も無視できなくなってこよう。
そのほか米国の株式相場の動向にも注目だ。年初来、米国の長期金利は低下し、ドル安が進んだ通り、既にトランプラリーが過去のものとなりつつある中で、依然として株価は堅調を維持しているためだ。もちろん、足もとにおける株式相場の牽引役の一つは、先述した情報技術(IT)セクターの新たなビジネスモデルや業績改善への期待だ。
将来への期待を買うなら過去と比べて、必ずしも高いとは言えず「もうはまだなり」として「買い」であろう。一方、そうした期待が何らかのきっかけで萎むとすれば、途端に割高とも映り、その際は「まだはもうなり」とみなされ、利益確定の売りに圧されよう。ドル円への下押しともなる不測の調整には、常に心の準備が必要だ。
テクニカル的にはかろうじてやや強気といった感じですが、ちょっと「何か」が発生した瞬間に下方向へ走りそうにも見えるため、放たれを注意深く観察する必要がありますね。
6月最終週ということですが、7月4日に独立記念日を控えているため、それを見越して週後半にはポジション調整の動きに特に注意が必要になります。ポジション管理に注意です。
予想 : 109.80 - 112.20
経済指標一覧(日本時間)
06/26(月)
- 21:30(米) 5月 耐久財受注
06/27(火)
- 07:45(NZ) 5月 貿易収支
- 22:00(米) 4月 ケース・シラー米住宅価格指数
- 23:00(米) 6月 消費者信頼感指数(コンファレンスボード)
06/28(水)6-12月期決算起業権利落ち日
- 23:00(米) 5月 住宅販売保留指数
06/29(木)
- 21:30(米) 1-3月期 四半期実質国内総生産(GDP、確定値)
06/30(金)6-12月期決算起業権利確定日
- 08:30(日) 5月 全国消費者物価指数(CPI)
- 17:30(英) 1-3月期 四半期国内総生産(GDP、確定値)
- 21:30(加) 4月 月次国内総生産(GDP)
- 21:30(米) 5月 個人消費支出(PCE コア・デフレーター)
今週のドル円予想レンジ予想
KlugFX:110.00 - 112.50
とれんど捕物帳
どうしたら良いのやら!
今週のドル円は、FRBの正常化に向けたタカ派姿勢と、インフレ鈍化懸念が混在する中、どうしたら良いのか誰もわからなかったのではという印象だ。火曜日以降は完全に方向感を失っていたといってよいであろう。先週はIT・ハイテク株の調整を見て市場は懸念を強めていたが、今週は原油安に“懸念フォーカス”を当てている。
原油価格が上がらない背景として、これまでの過剰供給で既に在庫が爆発的に積み上がってしまっていることが背景にあるようだ。この過剰在庫がある程度処理されなければ原油相場には強気になれないらしい。
そのためには米シェールオイルの生産が調整される必要がある。ただ、米シェールオイルの場合、OPECのようにカルテルを組むわけには行かないので、自然に減少してくるのを待つしかないのかもしれない。
さて来週だが、イエレン議長のロンドンでの講演や各国のインフレ指標も発表になる。イエレン議長の講演については「グローバル経済の問題点」というテーマになっているようだ。金融政策や経済について、どこまで言及があるか未知数だが、言及があったとしても、先週のFOMC後の会見とほぼ変わらないトーンと思われる。FOMC後に発表になっている主な経済指標は予想を上回る米住宅指標のみで変える根拠がない。
そして注目したいのが、ヘルスケア法案の行方だ。米上院共和党が法案を提出しており、トランプ大統領も賛同しているようだ。ただ、保守系の共和党議員からは5人が反対を表明しており、民主党は全員反対を表明していることから、共和党から3人以上の造反が出れば可決できない。
さて、想定レンジだが、上向きを期待したいところではあるが、一応、典型的な標準偏差のモデルから想定した110.00~112.50を想定。スタンスは中立。
モーニングスター:110.80 - 113.00
来週の東京外国為替市場見通し
イエレンFRB議長講演や日銀の金融政策に対する見方に注意
14日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で追加利上げが決まり、FRB(米連邦準備制度理事会)のバランスシート縮小が示唆されて以降、ドル・円は水準を切り上げ、1ドル=111円台を中心とした推移が続いている。足元は主要な政治・経済イベントを通過し材料待ちの状態だ。こうした中、週明けの為替相場は27日のイエレンFRB議長の講演が焦点となる。金融正常化へより舵を切ったFRBが足元の経済情勢を踏まえ、追加利上げと資産縮小をどう進めていくのか、イエレンFRB議長の発言が注目される。
一方、日本では15-16日開催分日銀金融政策決定会合の「主な意見」が公表される他、週末に5月CPI(消費者物価指数)、5月鉱工業生産などの経済指標が発表される。5月CPIは前月から上ブレるとの見方が大勢であり、懸念のCPIが改善すれば、日銀の出口戦略の早期化が意識され、ドル・円の重しとなる可能性もある。
ドル・円はチャート上で、直近高値の1ドル=112.11円(5月24日)を上抜ければ、5月下旬に米政局不安から急落する前の113円台回復が視野に入る。一方、14日のFOMC以降は200日移動平均線にサポートされており、22日付の同110円80銭近辺が下値メドとなる。
ロイター:109.50 - 112.50
来週の外為市場
来週のドル/円は下振れ警戒、不安定な原油・株が重し
来週の外為市場でドル/円は、下振れが警戒されそうだ。米国による金融正常化への思惑が下支えにはなっても追加材料に乏しく上昇機運は盛り上がりにくい。米株価が不安定な原油相場の影響を受けてリスク回避地合いとなれば円高が進みやすいと警戒されている。原油価格は、石油輸出国機構(OPEC)の減産延長合意の後も、軟調に推移。需要鈍化が意識される一方、リビアやナイジェリア、米国の増産がOPEC減産効果の相殺に働くとの思惑も出ている。
原油価格の下押しはインフレ・利上げ期待を冷やして米金利の低下につながり、ドルの波乱要因になるとみられる。エネルギーセクターを中心に米主要株価指数の重しになれば、リスク回避による円高要因になりかねないとの警戒感もある。
目先の材料に乏しいユーロは、大きな値動きは見込まれていない。29日に独IFO景況指数、30日にユーロ圏消費者物価指数速報の発表がある。
岡三オンライン証券:110.00 - 112.50
武部力也の週間為替相場見通し
円が日米政治に「忖度(そんたく)」する局面
最近の新聞各社世論調査における安倍内閣の支持率低下から“アベノミクス”の陰りを危惧する声が出始めている。しかし、筆者はこれを以て経済最優先で取り組んでいく覚悟を安倍首相は一層強めざるを得なくなった、と推考。なぜなら、「学園問題」が取り沙汰されるなか、東京都議選(6/23告示・7/2投開票)、8月の自民党役員・内閣改造人事を断行する上で、景気の好循環(≒株高円安)維持は、国民・有権者に向けて最大のPRになるからだ。6/22に政府の6月月例経済報告で、景気の基調判断を引き上げたが、これは自らを追い込んだ格好にも映る。過度な円高進行に対しては、本邦長期運用機関投資家など”オールジャパン“を動員して対峙するのではないか。
前号で指摘したが、6/14のFOMC利上げ、そして過去、慎重さを崩さなかったイエレン議長の強気姿勢は、不安の裏返しと邪推している。バランスシートの縮小開始を急ぐ理由は、2018年2月の任期終了前に道筋を付けたいからに違いない。
翌週7/4米独立記念日を控えて徐々に調整色を強める可能性(過去5年の週足値幅は約2円幅程度)を想定。上値焦点は月足一目雲上限111.405、日足雲上下限111.25-81、6/20-21高値圏111.75-80、5/25-26高値圏111.86-96、5/24高値112.13。超えれば5/17欧米時間下落前の停滞価格圏112.50-55。5/17高値113.12は望外か。下値焦点は200日線110.837、6/19安値110.775、6/16安値110.64。最終拠点として週足一目均衡表雲帯109.95-51留意。
三菱東京UFJ銀行:109.75~112.25
FX Weekly
来週の注目は PCE、イエレン、ハイテク株
米連邦準備制度(FRB)がいよいよバランスシート縮小に着手する方針を固めた一方、日銀は、出口を語ることすら拒んでおり、日米間の金融政策の格差は歴然としている。しかし、感覚的あるいは教科書的にはドル高円安が連想されるものの、それを後押しするだけの金利動向のフォローがない為、ドル円の上値は重い。一方、原油価格の下落が顕著となってはいるものの、市場でのリスク回避姿勢もさほど高まっていない。VIX指数が低位で推移している通り、米国の株式相場が総じて底堅く推移しているためと考えられる。
ただ、そうした中で来週は以下の 3 点に注目だ。どちらかと言えば、ドル安円高材料として注意が必要だろう。まず、経済指標の中ではFOMCが 2%としている物価目標を達成する上で参照としているPCEデフレーターに注目だ。既に、予想比下ブレとなったCPIによって、PCEの事前予想も前月から鈍化する予想となっている。
来週も多くの連銀高官の発言を控えている。中でも、イエレン議長の発言が注目されよう。14 日のFOMC後の記者会見では、鈍い物価の伸びをノイズと一蹴しているだけに、強気トーン維持なら新鮮味を欠き、材料とはなりにくい。この為、市場が反応するとすれば、いく分か経済や物価の先行きに対して、慎重な見方を示す場合だ。
特に、14 日時点で 46 ドル台で推移していたWTIはその後、42 ドル台まで下落。イエレン議長にとって依然としてノイズには違いないであろうが、それも低迷が長期化するとなれば、インフレ期待を通じて、金融政策への影響も無視できなくなってこよう。
そのほか米国の株式相場の動向にも注目だ。年初来、米国の長期金利は低下し、ドル安が進んだ通り、既にトランプラリーが過去のものとなりつつある中で、依然として株価は堅調を維持しているためだ。もちろん、足もとにおける株式相場の牽引役の一つは、先述した情報技術(IT)セクターの新たなビジネスモデルや業績改善への期待だ。
将来への期待を買うなら過去と比べて、必ずしも高いとは言えず「もうはまだなり」として「買い」であろう。一方、そうした期待が何らかのきっかけで萎むとすれば、途端に割高とも映り、その際は「まだはもうなり」とみなされ、利益確定の売りに圧されよう。ドル円への下押しともなる不測の調整には、常に心の準備が必要だ。
私見
ドル円は材料なく日足レベルでも十字を作っています。これははエントリーするだけ無駄な状況ですが、何かのきっかけ待ちをしている状況とも言えます。テクニカル的にはかろうじてやや強気といった感じですが、ちょっと「何か」が発生した瞬間に下方向へ走りそうにも見えるため、放たれを注意深く観察する必要がありますね。
6月最終週ということですが、7月4日に独立記念日を控えているため、それを見越して週後半にはポジション調整の動きに特に注意が必要になります。ポジション管理に注意です。
予想 : 109.80 - 112.20