2017 年 4 月 第二週(4月10日から14日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017 年 4 月 第二週(4月10日から14日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
また、6-7日の日程で米中首脳会談が行われる。中国は米国の最大の貿易赤字国であることから、トランプ米大統領がどのようなスタンスで中国の習近平国家主席との会談に臨むかに注目。また、北朝鮮の核・ミサイル問題の措置についても話し合われる見通しで、会談の内容は次第では市場に影響を与えそうだ。
ドル・円は25日移動平均線の112円半ば、13週線の113円近辺と上値の抵抗は多いものの、この水準を突破すれば上値余地が広がりそうだ。一方、下値では110円に近付くと買い意欲が増す。
心理的節目の110円ちょうどはドル買い興味が観測され、目先のサポートとして意識されているが、シリアや北朝鮮を巡って緊張感が高まれば、同水準を割り込んで下値を模索する展開もあり得る。
110円を割り込んだ場合、トランプラリーの半値戻しとなる109.90円付近を維持できるかが焦点になる。IG証券のシニアFXストラテジスト、石川順一氏は「これを割り込めば、108円台に下値めどが移ってくる」と指摘している。
6、7日の日程で米中首脳会談が行われている。当初、市場の関心は通商問題や為替政策の動向に集まっていたが、「トランプ氏もシリア攻撃で忙しい。中国に踏み込んだ話はできず、具体的な議論は先送りされる可能性がある」(外為アナリスト)との見方が出てきた。
目下、北朝鮮の扱いが注目されている。トランプ大統領は、北朝鮮の核開発問題について中国が取り組みを強化しなければ米国単独で行動する用意があるとの認識を示している。
そうしたなか、7 日には、米中首脳会談中にも関わらず、米国がシリアを空爆した。また、米中首脳会談を終えて即、朝鮮半島情勢で一息つける状況になるというものでもないだろう。
したがって、本稿脱稿後、来週にかけては地政学リスクの高まりを警戒するムードに包まれよう。ドル円相場における地政学リスクを回避する資金の流れは短期的に「ドル→円」となり、引き続き 110 円割れが意識される展開となりそうだ。
ドル円相場は 7 日東京時間午前に 1 円近く下落するなど振れ幅が大きくなりやすくなっている。事と次第によっては一時的に下値を拡大させる可能性もあるとみておきたい。
なお、テクニカル分析の観点では、ドル円相場が 110 円を割り込み、いわゆるトランプラリー(昨年 11 月 9 日安値 101.19 円→昨年12 月 15 日高値 118.66 円)の半値戻しである 109.93 円を下抜けると、下値目処はきりのよい 109 円ちょうどを挟んで、200 日移動平均線(本稿執筆時点では 108.55 円)まで拡大する。
このような作戦は極東地政学リスクを意識させ、円高圧力を強めるのだろうか。筆者はその可能性は低いとみている。理由は2つ。ひとつは外債購入でドル売り円買いのヘッジを行っていた本邦大手機関投資家群がそのヘッジを外し、4月新年度入りで円売りを持ち込み始めたとの観測があること、もう一つは世界からの対日直接投資残高推移が増加している点が挙げられる。
つまり米国の対日投資などを鑑みると、資産が棄損するような行動はさすがのトランプ大統領でも抑制する、との読みだ。
もっとも安全保障環境が緊迫化するなかでリスクオンの円売りが強まる可能性は見込み難い。対してドルも3月利上げ時のFOMC議事録では、経済が予測通り成長するなら緩やかな利上げを見込むものの、トランプ政権の政策に不確実性を感じリスクになるとの意見も出ていた。ドルの弱点だ。そうなると4/10週は週末の欧米イースター休暇も控えて極めて大人しい展開になるのではないか。
週足一目均衡表の雲帯上限110.982攻防念頭で、上値焦点は4/3高値111.605、3/31高値112.21。3/20-21高値112.88-91を超えるには相応の大義が求められると推考。下値焦点は3/27-28安値110.095-19、昨年11/18安値109.785。
一旦落ち着いて様子見をしていたドル円でしたが、その後の雇用統計では、発表時間直後に一直線に下に向かって売られました。ただ、その後は下げ渋り、結局前戻しどころか 111 円を回復して越週となりました。
110 円をついに割れるかと思いましたが、結果を見てみると 110 円の壁が異様に厚いことを再度認識。テクニカル的にも日足でダブルボトムとも見えなくもなく、地政学リスクによる下値リスクが高いながらも、一旦は自律反発の余地を残しているように思われます。
米中首脳会談も無難にこなした今週は、目立った材料もなし。金曜日は日本以外ほぼ休場という週となります。
値動きに乏しいことが予想されますが、シリアや北朝鮮で突発的な動きがあった場合には、下にしか動かないでしょうから、その場合は 110 円をどこまで守り続けられるかに焦点が集まります。
予想 : 109.20 - 112.80
経済指標一覧(日本時間)
04/10(月)
- 未定(日) 黒田日銀総裁 発言
- 08:50(日) 2月 国際収支・経常収支
- 14:00(日) 3月 景気ウォッチャー調査・現状判断 DI
- 23:00(米) 3月 米労働市場情勢指数(LMCI)
- 29:00(米) イエレン FRB 議長 発言
04/11(火)
- 17:30(英) 3月 消費者物価指数(CPI)
- 18:00(欧) 2月 鉱工業生産
04/12(水)
- 08:50(日) 2月 機械受注
- 10:30(中) 3月 消費者物価指数(CPI)
04/13(木)
- 未定(中) 3月 貿易収支
- 21:30(米) 3月 卸売物価指数(PPI)
- 21:30(米) 前週分新規新規失業保険申請件数
04/14(金)オプション SQ,聖金曜日・米国をはじめ主要な市場は休場
- 21:30(米) 3月 消費者物価指数(CPI)
- 21:30(米) 3月 小売売上高
今週のドル円予想レンジ予想
モーニングスター
米3月雇用統計、米中首脳会談に注目
110.00 - 115.00
来週の東京外国為替市場見通し (2017/04/07)6日に米3月雇用統計が発表される。強い3月ADP雇用統計の結果から米3月雇用統計の非農業部門雇用者数が市場予想を上回る可能性がある。
また、6-7日の日程で米中首脳会談が行われる。中国は米国の最大の貿易赤字国であることから、トランプ米大統領がどのようなスタンスで中国の習近平国家主席との会談に臨むかに注目。また、北朝鮮の核・ミサイル問題の措置についても話し合われる見通しで、会談の内容は次第では市場に影響を与えそうだ。
ドル・円は25日移動平均線の112円半ば、13週線の113円近辺と上値の抵抗は多いものの、この水準を突破すれば上値余地が広がりそうだ。一方、下値では110円に近付くと買い意欲が増す。
ロイター
来週のドル/円は上値重い、地政学リスクに警戒感
109.00 - 112.00
来週の外為市場 (2017/04/07)週の外為市場で、ドル/円は上値の重さが意識される。7日は米軍がシリアにミサイル攻撃したことで地政学リスクが高まった。北朝鮮のミサイル発射や核開発問題などもくすぶっており、リスク回避ムードが強まりやすそうだ。節目の110円を割り込む可能性もある。
心理的節目の110円ちょうどはドル買い興味が観測され、目先のサポートとして意識されているが、シリアや北朝鮮を巡って緊張感が高まれば、同水準を割り込んで下値を模索する展開もあり得る。
110円を割り込んだ場合、トランプラリーの半値戻しとなる109.90円付近を維持できるかが焦点になる。IG証券のシニアFXストラテジスト、石川順一氏は「これを割り込めば、108円台に下値めどが移ってくる」と指摘している。
6、7日の日程で米中首脳会談が行われている。当初、市場の関心は通商問題や為替政策の動向に集まっていたが、「トランプ氏もシリア攻撃で忙しい。中国に踏み込んだ話はできず、具体的な議論は先送りされる可能性がある」(外為アナリスト)との見方が出てきた。
目下、北朝鮮の扱いが注目されている。トランプ大統領は、北朝鮮の核開発問題について中国が取り組みを強化しなければ米国単独で行動する用意があるとの認識を示している。
三菱東京UFJ銀行
地政学リスク高まり上値重い
109.00 - 112.00
FX Weekly(2017/04/07)7 日の雇用統計にかけての米主要経済指標発表も一巡し、来週はFRB高官の講演も数少なく、ドル高となり得る材料は限られる。
そうしたなか、7 日には、米中首脳会談中にも関わらず、米国がシリアを空爆した。また、米中首脳会談を終えて即、朝鮮半島情勢で一息つける状況になるというものでもないだろう。
したがって、本稿脱稿後、来週にかけては地政学リスクの高まりを警戒するムードに包まれよう。ドル円相場における地政学リスクを回避する資金の流れは短期的に「ドル→円」となり、引き続き 110 円割れが意識される展開となりそうだ。
ドル円相場は 7 日東京時間午前に 1 円近く下落するなど振れ幅が大きくなりやすくなっている。事と次第によっては一時的に下値を拡大させる可能性もあるとみておきたい。
なお、テクニカル分析の観点では、ドル円相場が 110 円を割り込み、いわゆるトランプラリー(昨年 11 月 9 日安値 101.19 円→昨年12 月 15 日高値 118.66 円)の半値戻しである 109.93 円を下抜けると、下値目処はきりのよい 109 円ちょうどを挟んで、200 日移動平均線(本稿執筆時点では 108.55 円)まで拡大する。
岡三オンライン証券
「トランプ・ミサイル」が円安を抑制する局面
109.80 - 112.20
武部力也の週間為替相場見通し(2017/04/07)トランプ大統領は声明で、「シリアの独裁者アサドが恐ろしい化学兵器で罪のない市民を攻撃した。化学兵器の使用と拡散を防ぐことはアメリカの安全保障上の重要な利益だ」と述べ、シリア攻撃の意義を強調。
このような作戦は極東地政学リスクを意識させ、円高圧力を強めるのだろうか。筆者はその可能性は低いとみている。理由は2つ。ひとつは外債購入でドル売り円買いのヘッジを行っていた本邦大手機関投資家群がそのヘッジを外し、4月新年度入りで円売りを持ち込み始めたとの観測があること、もう一つは世界からの対日直接投資残高推移が増加している点が挙げられる。
つまり米国の対日投資などを鑑みると、資産が棄損するような行動はさすがのトランプ大統領でも抑制する、との読みだ。
もっとも安全保障環境が緊迫化するなかでリスクオンの円売りが強まる可能性は見込み難い。対してドルも3月利上げ時のFOMC議事録では、経済が予測通り成長するなら緩やかな利上げを見込むものの、トランプ政権の政策に不確実性を感じリスクになるとの意見も出ていた。ドルの弱点だ。そうなると4/10週は週末の欧米イースター休暇も控えて極めて大人しい展開になるのではないか。
週足一目均衡表の雲帯上限110.982攻防念頭で、上値焦点は4/3高値111.605、3/31高値112.21。3/20-21高値112.88-91を超えるには相応の大義が求められると推考。下値焦点は3/27-28安値110.095-19、昨年11/18安値109.785。
私見
雇用統計のいつもの金曜日は、動きのない相場かと思われましたが、米国のシリア攻撃のニュースが流れた途端、一斉にアルゴが円買いに動き、リスクオフの流れとなりました。一旦落ち着いて様子見をしていたドル円でしたが、その後の雇用統計では、発表時間直後に一直線に下に向かって売られました。ただ、その後は下げ渋り、結局前戻しどころか 111 円を回復して越週となりました。
110 円をついに割れるかと思いましたが、結果を見てみると 110 円の壁が異様に厚いことを再度認識。テクニカル的にも日足でダブルボトムとも見えなくもなく、地政学リスクによる下値リスクが高いながらも、一旦は自律反発の余地を残しているように思われます。
米中首脳会談も無難にこなした今週は、目立った材料もなし。金曜日は日本以外ほぼ休場という週となります。
値動きに乏しいことが予想されますが、シリアや北朝鮮で突発的な動きがあった場合には、下にしか動かないでしょうから、その場合は 110 円をどこまで守り続けられるかに焦点が集まります。
予想 : 109.20 - 112.80