2017 年 2 月 第三週(2月13日から17日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017 年 2 月 第三週(2月13日から17日)の、ドル円相場の予想と経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
ドル・円相場は9日、8日ぶりに5日移動平均線を上回り、5日移動平均線と25日移動平均線とのミニ・ゴールデンクロス(GC)が接近。しかし、現地10日の日米首脳会談の結果しだいで、いかようにも転びそう。ドル・円の上値のめどは1月27日の高値115円37銭への意識から1ドル=115円ちょうど。下値は2月7日の安値111円58銭を意識して1ドル=111円ちょうどとしたい。
首脳会談の結果、リスク回避ムードが強まる可能性もなくはなく、111円台へ下落する展開も予想される。ただ、下がったところでは国内勢の押し目買いが出やすく、111円半ばが強固なサポートになるとみられている。
会談内容を消化した後は、14、15日に行われるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言に関心が向かいそうだ。一部の米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーから3月利上げに前向きな意見が出ているものの、市場参加者の織り込み度合いは低い。「3月に利上げを実施するなら、イエレン氏はこの機会に市場にメッセージを発信しなければならない」(外為アナリスト)といい、発言内容に注目が集まる。
仮に、来週 14 日から 15 日の議会証言で、イエレンFRB議長からも利上げに対する積極的な発言がきかれると、日米金利差拡大との見方も加わって、ドル円が 115 円台乗せとなる場面も見られよう。
但し、トランプ大統領は、既に選挙期間中に示した公約の中で、法人税や所得税などの引き下げを示している。市場が驚くのは、事前に示された数字を超える場合に限られよう。
トランプ米大統領が示している税制改革
来週発表される消費者物価指数は注目されよう。仮に、物価上昇圧力の高進ぶりが確認される場合、年 3 回利上げとの見方が強まり、ドル円を押し上げよう。
来週のドル円反落のリスク要因もまた日米首脳会談やイエレンFRB議長の議会証言となろう。仮に、イエレンFRB議長からバランスシート縮小に向けてやや前のめりの発言がみられると、米長期金利の急上昇を招きかねない。これは、金利差拡大によるドル高円安要因との印象を強める一方、市場が想定していない長期金利の急上昇は、株式相場の下落を通じて、円買いを誘発しかねない。
イエレン議長は2/14午前10時(日本時間2/15午前0時)から、上院銀行委で金融政策に関する半期に一度の証言を行う。1/20のトランプ政権誕生後に取り沙汰される各情勢を踏まえて、今後の金融政策が語られる場面だ。注目ポイントは1点。トランプ施策でのインフラ投資・歳出拡大路線はインフレリスクを高める、とした従前の見解を繰り返すか、である。
トランプ大統領は候補者当時に、FRBの利上げを快く思っていない発言を繰り返していたが、最近はすっかり鳴りを潜めている。となれば、利上げ方針、意志の再表明だけでも、マーケットは“イエレン・バレンタインデー証言”として告白に浮かれる場面に繋がりそうだ。年3回の利上げを示唆する発言が出れば6月FOMCでの利上げ見通しを高め、円は対ドルで一段の下落を強めるのではないか。
上値焦点は1/31-2/1高値圏114.00、1/20、27高値圏115.40。超えれば日足一目均衡雲上限116.00-30が推考され1/11高値116.88を期待視。下値焦点は2/9深夜の上昇帯112.30-80、113円台の維持。最終拠点は2/6-9安値圏111.57-62-72-81と推考。
ただ、よく観察すると毎回そうなのですが、ツイートはきっかけに過ぎないという印象です。ドル円も、元々 111 円を切り上げていましたから、チャートの観察はやはり大事だな、と思います。
日本時間 11 日未明。日米首脳会談が行われました。大まかには、日米同盟と経済関係をさらに強化する方針で一致するのみでした。
心配されていた貿易や為替の問題については、ひとまず議題に上がることはありませんでした。ドル円は急落することもなく、113 円前半で静かに引けました。
さて、今週については、大きなイベントはそれほどないのですが、米国の小売売上高とイエレン FRB 議長の発言から、3 月利上げのヒントを読み解く流れになるのではないでしょうか。
仮に 3 月に利上げをするのであれば、何らかのメッセージを送る必要がありますが、直近(2 月)の雇用統計をみる限り、近々に利上げが必要なのかは疑問です。
そういう意味では、吹き上がりをショートできるかどうかを見極めたいところですね。
予想 : 112.00 - 115.00
経済指標一覧(日本時間)
02/13(月)
- 08:50 (日) 10-12 月期 四半期実質国内総生産(GDP 速報値)
02/14(火)
- 10:30 (中) 1 月 消費者物価指数(CPI)
- 16:00 (独) 10-12 月期 国内総生産(GDP)
- 19:00 (欧) 10-12 月期 四半期域内総生産(GDP 改定値)
- 24:00 (米) イエレン FRB 議長 発言 ★★
02/15(水)
- 22:30 (米) 1 月 消費者物価指数(CPI,CPI コア)
- 22:30 (米) 1 月 小売売上高
- 24:00 (米) イエレン FRB 議長 発言 ★★
02/16(木)
- 21:30 (欧) ECB 理事会議事要旨
- 22:30 (米) 前週分 新規失業保険申請件数
- 22:30 (米) 1 月 住宅着工件数,建設許可件数
- 22:30 (米) 2 月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数
02/17(金)
- 18:30 (英) 1 月 小売売上高指数
- 24:00 (米) 1 月 景気先行指標総合指数
今週のドル円予想レンジ予想
モーニングスター
日米首脳会談に注目
111.00 - 115.00
来週の東京外国為替市場見通し (2017/02/10 18:08)目先の焦点は、現地10日の日米首脳会談。トランプ米大統領にとって米経済の持続的な成長は大命題だが、その期待が高まると金利は上昇し、ドル高・円安の要因となる。それを回避するには日本の金融政策を抑制しないといけない。果たしてそこまで踏み込んだ要求をするのかどうか、注目が怠れない。
ドル・円相場は9日、8日ぶりに5日移動平均線を上回り、5日移動平均線と25日移動平均線とのミニ・ゴールデンクロス(GC)が接近。しかし、現地10日の日米首脳会談の結果しだいで、いかようにも転びそう。ドル・円の上値のめどは1月27日の高値115円37銭への意識から1ドル=115円ちょうど。下値は2月7日の安値111円58銭を意識して1ドル=111円ちょうどとしたい。
ロイター
来週は日米首脳会談を消化、ドル115円試す可能性も
111.50 - 115.50
来週の外為市場 (2017/02/10 16:29)来週の外為市場でドル/円は、日米首脳会談の結果次第で上値を試す可能性がある。会談で友好ムードが醸成されれば「トランプラリー」の再開が意識され、115円方向に向かう展開が予想される。逆に、トランプ氏から不規則発言が飛び出すなどしてリスク回避姿勢が強まれば111円台への下落もあり得るという。
首脳会談の結果、リスク回避ムードが強まる可能性もなくはなく、111円台へ下落する展開も予想される。ただ、下がったところでは国内勢の押し目買いが出やすく、111円半ばが強固なサポートになるとみられている。
会談内容を消化した後は、14、15日に行われるイエレン米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言に関心が向かいそうだ。一部の米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーから3月利上げに前向きな意見が出ているものの、市場参加者の織り込み度合いは低い。「3月に利上げを実施するなら、イエレン氏はこの機会に市場にメッセージを発信しなければならない」(外為アナリスト)といい、発言内容に注目が集まる。
三菱東京UFJ銀行
短期的に上昇も、上値は重いと予想
111.75 - 115.25
FX Weekly(2017/02/10)足元では 2 月 28 日に予定されている上下両院議会でのトランプ米大統領による演説で何らかの減税に関する具体策が示されるとの見方が強く、トランプラリー再燃への期待も燻っている。
仮に、来週 14 日から 15 日の議会証言で、イエレンFRB議長からも利上げに対する積極的な発言がきかれると、日米金利差拡大との見方も加わって、ドル円が 115 円台乗せとなる場面も見られよう。
但し、トランプ大統領は、既に選挙期間中に示した公約の中で、法人税や所得税などの引き下げを示している。市場が驚くのは、事前に示された数字を超える場合に限られよう。
トランプ米大統領が示している税制改革
- 法人税の引き下げ(35% → 15%)
- 所得税の区分簡素化(7 区分 → 3 区分),最高税率の引き下げ(39.6% → 33%)
- 米企業による在外滞留資金の米国還流時の適用税率引き下げ(35% → 10%・一回のみ)
来週発表される消費者物価指数は注目されよう。仮に、物価上昇圧力の高進ぶりが確認される場合、年 3 回利上げとの見方が強まり、ドル円を押し上げよう。
来週のドル円反落のリスク要因もまた日米首脳会談やイエレンFRB議長の議会証言となろう。仮に、イエレンFRB議長からバランスシート縮小に向けてやや前のめりの発言がみられると、米長期金利の急上昇を招きかねない。これは、金利差拡大によるドル高円安要因との印象を強める一方、市場が想定していない長期金利の急上昇は、株式相場の下落を通じて、円買いを誘発しかねない。
岡三オンライン証券
告白期待「2・14バレンタイン」のイエレン議長証言
112.30 - 116.80
武部力也の週間為替相場見通し(2017/02/10)2/11未明の日米首脳会談はトランプ政治手法“ディール(取引)”と安倍首相の“腹芸“がぶつかりあうことなろう。しかし会談後は肝胆相照らしての信頼関係と同盟関係が強化される、と期待したい。その結果、日銀の長短金利操作付き量的緩和を通じた円金利上昇の抑制が継続し、米インフラ投資への協力を強めれば、円買いインセンティブ低下の形成に繋がると読んでいる。
イエレン議長は2/14午前10時(日本時間2/15午前0時)から、上院銀行委で金融政策に関する半期に一度の証言を行う。1/20のトランプ政権誕生後に取り沙汰される各情勢を踏まえて、今後の金融政策が語られる場面だ。注目ポイントは1点。トランプ施策でのインフラ投資・歳出拡大路線はインフレリスクを高める、とした従前の見解を繰り返すか、である。
トランプ大統領は候補者当時に、FRBの利上げを快く思っていない発言を繰り返していたが、最近はすっかり鳴りを潜めている。となれば、利上げ方針、意志の再表明だけでも、マーケットは“イエレン・バレンタインデー証言”として告白に浮かれる場面に繋がりそうだ。年3回の利上げを示唆する発言が出れば6月FOMCでの利上げ見通しを高め、円は対ドルで一段の下落を強めるのではないか。
上値焦点は1/31-2/1高値圏114.00、1/20、27高値圏115.40。超えれば日足一目均衡雲上限116.00-30が推考され1/11高値116.88を期待視。下値焦点は2/9深夜の上昇帯112.30-80、113円台の維持。最終拠点は2/6-9安値圏111.57-62-72-81と推考。
私見
日米首脳会談前に雰囲気が悪くなったマーケットでしたが、その流れを変えたのはトランプ大統領の「ツイート」でした。ただ、よく観察すると毎回そうなのですが、ツイートはきっかけに過ぎないという印象です。ドル円も、元々 111 円を切り上げていましたから、チャートの観察はやはり大事だな、と思います。
日本時間 11 日未明。日米首脳会談が行われました。大まかには、日米同盟と経済関係をさらに強化する方針で一致するのみでした。
安倍首相は日本の自動車メーカーによる米国での投資や雇用増への貢献を説明
トランプ大統領は、日本企業の米国内での自動車生産を評価。対日貿易赤字、円安については言及せず。麻生・ペンス両氏による経済対話で一致した事項
- 財政政策、金融政策などマクロ経済政策連携
- インフラ、エネルギー、サイバー、宇宙などの協力
- 二国間の貿易に関する枠組み
共同記者会見の中での中国・北朝鮮への牽制
- アジア太平洋地域に自由で公正なマーケットを日米のリーダーシップでつくりあげる
- 国有企業による国家資本を背景とした介入はあってはならない
- 両国に恩恵をもたらす貿易関係を求めていく
- 沖縄県・尖閣諸島が米国の対日貿易義務を定めた日米安全保障条約第五条の適用対象であることを確認
- 北朝鮮に核・ミサイル計画の破棄を求める。拉致問題の解決の重要性でも一致。
心配されていた貿易や為替の問題については、ひとまず議題に上がることはありませんでした。ドル円は急落することもなく、113 円前半で静かに引けました。
さて、今週については、大きなイベントはそれほどないのですが、米国の小売売上高とイエレン FRB 議長の発言から、3 月利上げのヒントを読み解く流れになるのではないでしょうか。
仮に 3 月に利上げをするのであれば、何らかのメッセージを送る必要がありますが、直近(2 月)の雇用統計をみる限り、近々に利上げが必要なのかは疑問です。
そういう意味では、吹き上がりをショートできるかどうかを見極めたいところですね。
予想 : 112.00 - 115.00