12月19日から23日までの、ドル円相場に関連がある経済指標のまとめと、マーケットの今を考察します。
12月19日から23日までの、ドル円相場に関連がある経済指標のまとめと、マーケットの今を考察します。
ハイペースでの上昇が続いたドル・円相場は目先、クリスマスシーズンを前に市場参加者が細り、調整的な動きが強まる可能性もある点には注意。
ドル・円はチャート上で、年初来高値1ドル=121.68円(1月29日)を視界に捉えた展開。下値は15日時点での5日移動平均線近辺の116円に設定する。
年内最後の大型イベントとなるFOMCを通過し、高値圏にある米株や新興国市場に動揺が見られ始めており「去年のようにリスクオフが本格化する地合いではないが、いったん短期筋が手仕舞う口実にされてもおかしくない」と、外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏は指摘する。昨年の値幅が10円のところ、約1カ月で17円の上昇は「スピードが速すぎる」(神田氏)と見られている。
ひとつは、トランプ次期大統領が打ち出す“インフラへの巨額投資や大型減税策”構想が金融政策に及ぼす影響を認めつつ、同策の不透明性から見通しの不確実性も強調したことだ。従来通りの慎重な姿勢を崩さない一方で、FOMC委員によるFF金利見通しの中央値(誘導目標)は、2017年末1.375%(≒想定利上げ3回)となった。これはトランプ施策に対するFRBの和戦両構えの表れともいえよう。
二つめは、前号で指摘した議長自身の去就を問う質問には「4年間の任期を全うするつもり」とした点だ。これまでの金融政策に対する自信や矜持とも推考するが、新政権チームとの擦り合わせもあったのではないか。2018年1月末までイエレン体制が続くことになる。
筆者は11月上旬以降のドル高・円安の短期持続性は、12/20の日銀会合における黒田総裁の姿勢に委ねられると読んでいる。
9/21に日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」政策を示し、11/17には指定価格での国債無制限購入(指し値オペ)、12/14は国債購入額を増額、12/16に国債買い取り実施との異例の「オペ予告」にも踏み切った。米金利の上昇見通しに対し「ゼロ%程度」を目標にしている本邦長期金利への上昇抑制姿勢を強い覚悟で再表明すれば、円買いインセンティブの低下を促すことに繋がりそうだ。
ドル円上値焦点は12/15高値118.68、119.00。超えれば2/3高値120.06、2/2高値121.05、1/29-2/1高値圏121.50-70が視野入り。下値焦点は12/15安値117.09や12/14イエレン議長会見時の安値115.95を推考。下割れると12/13-14安値圏114.76-77からの上昇帯回帰を警戒している。。
しかし、今週の値動きは、改めてドル円の上昇モメンタムの強さを示すものとも言える。
また、自国通貨を買い支えるためのドル売り介入原資を確保する為、中国を筆頭に新興国が米国債を売却するとの見方も根強い。それが再び米国債の利回り上昇とドル高を招く可能性も低くない。
総じてみれば、来週もドル円は底堅く推移しよう。ドル高の背景にあるトランプ次期政権への政策期待が萎むような明確なイベントを来週控えているわけでもない為、仮に調整が入る場合も浅いものにとどまる公算が大きい。
一方、投機筋の持ち高の変化をみると、大統領選前の円ロング(円の買い越し)は、12/6 時点でショート転(円の売り越しへの転換)している。その後も円安が進行したことに鑑みれば、直近では既に高水準まで積みあがっている可能性がある。
一段と円ショートを積み上げるには、米国の財政拡張や正常化(利上げ)に次ぐ材料が必要と思われる。ここからの円ショートの拡大ペース(円安進行ペース)は次第に和らぐと考えられる。加えて、円からドルを調達する際の上乗せコストであるベーシススワップのスプレッドをみる限り、例年同様に 12 月に入って縮小している。
これらを踏まえると、ドル資金への旺盛な需要から滲む円売り需要も後退する可能性が高く、やはり円安ペースは鈍るとみられる。そもそも、今週発表された 11 月分の米経済指標(小売売上高、鉱工業生産)は、市場の予想を下回っており、必ずしも利上げペース加速の可能性を示したFOMCと整合的ではない。
米国の政権交代が米経済に大きな転換をもたらし、ここまでのドル高が継続するのか、過度に膨張した期待が収縮し、ドル高への是正が入るのか、年明け以降のトランプ次期大統領の就任(1/20)、予算教書(2 月上旬)まで、悩ましい時間帯が続く見込みだ。
加えて、昨年は米利上げを受けて年明け以降、市場が不安定化した経緯がある。年末から年始に向けて、米国の株式相場や原油先物相場など、多くのリスク資産の動向も注視する必要がある。
テクニカル的には、とうとう週足(月足)の TL にぶつかり、さすがに一度では突破できずに弾かれて週を終えています。この壁を突破するとなると、ドル円は 120 円へのトライへとつながっていくと思われますが、年内で市場参加者の少ない中で仕掛け的な動きが出るのかは興味深いところです。
予想 : 116.00 - 120.00
経済指標
12/19(月)
- 日銀・金融政策決定会合(一日目)
- 08:50 (日) 11 月 貿易統計
- 27:30 (米) イエレン FRB 議長 発言
12/20(火)
- (未定)日銀・金融政策決定会合 政策金利発表
- 15:30 (日) 黒田日銀総裁 定例記者会見
12/21(水)
- 24:00 (米) 11 月 中古住宅販売件数
12/22(木)
- 22:30 (米) 7-9 月期 四半期実質国内総生産(GDP・速報値)★★
- 22:30 (米) 11 月 耐久財受注
- 22:30 (米) 前週分 新規失業保険申請件数
- 24:00 (米) 11 月 個人消費支出(PCE コア)★★
12/23(金)
- 24:00(米) 11 月 新築住宅販売件数
- 24:00(米) 12 月 ミシガン大学消費者態度指数・確報値
今週のドル円予想レンジ予想
モーニングスター
FOMC通過後のドル高基調継続か、短期的な調整には注意
116.00 - 121.70
来週の東京外国為替市場見通し (2016/12/16 18:19)14日、FOMCは15年12月以来、約1年ぶりに政策金利の引き上げを決定した。利上げ自体は事前に織り込まれていたが、政策金利見通しから予測される17年の利上げ回数が前回の年2回から年3回へと増加し、米長期金利が急伸。利上げペースが想定より速まるとの見方からドル高基調が強まり、当面のドルをサポートしそう。
ハイペースでの上昇が続いたドル・円相場は目先、クリスマスシーズンを前に市場参加者が細り、調整的な動きが強まる可能性もある点には注意。
ドル・円はチャート上で、年初来高値1ドル=121.68円(1月29日)を視界に捉えた展開。下値は15日時点での5日移動平均線近辺の116円に設定する。
ロイター
来週のドル/円は上値探り、休暇前の調整警戒も
116.50 - 119.50
来週の外為市場 (2016/12/16 16:57)来週の外為市場でドル/円は、前半は日米金利差の動向をにらんで上値を探る展開が見込まれる一方、後半にかけては休暇シーズンを前にした調整局面も警戒されている。もっとも、下落すれば押し目買いが支えになるとして、調整は深まりにくいとみられている。
年内最後の大型イベントとなるFOMCを通過し、高値圏にある米株や新興国市場に動揺が見られ始めており「去年のようにリスクオフが本格化する地合いではないが、いったん短期筋が手仕舞う口実にされてもおかしくない」と、外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏は指摘する。昨年の値幅が10円のところ、約1カ月で17円の上昇は「スピードが速すぎる」(神田氏)と見られている。
岡三オンライン証券
「1ドル120円」を日銀覚悟で問う局面
117.00 - 121.50
武部力也の週間為替相場見通し(2016/12/16)FOMC後のイエレンFRB議長会見で印象的だったのが2点ある。
ひとつは、トランプ次期大統領が打ち出す“インフラへの巨額投資や大型減税策”構想が金融政策に及ぼす影響を認めつつ、同策の不透明性から見通しの不確実性も強調したことだ。従来通りの慎重な姿勢を崩さない一方で、FOMC委員によるFF金利見通しの中央値(誘導目標)は、2017年末1.375%(≒想定利上げ3回)となった。これはトランプ施策に対するFRBの和戦両構えの表れともいえよう。
二つめは、前号で指摘した議長自身の去就を問う質問には「4年間の任期を全うするつもり」とした点だ。これまでの金融政策に対する自信や矜持とも推考するが、新政権チームとの擦り合わせもあったのではないか。2018年1月末までイエレン体制が続くことになる。
筆者は11月上旬以降のドル高・円安の短期持続性は、12/20の日銀会合における黒田総裁の姿勢に委ねられると読んでいる。
9/21に日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」政策を示し、11/17には指定価格での国債無制限購入(指し値オペ)、12/14は国債購入額を増額、12/16に国債買い取り実施との異例の「オペ予告」にも踏み切った。米金利の上昇見通しに対し「ゼロ%程度」を目標にしている本邦長期金利への上昇抑制姿勢を強い覚悟で再表明すれば、円買いインセンティブの低下を促すことに繋がりそうだ。
ドル円上値焦点は12/15高値118.68、119.00。超えれば2/3高値120.06、2/2高値121.05、1/29-2/1高値圏121.50-70が視野入り。下値焦点は12/15安値117.09や12/14イエレン議長会見時の安値115.95を推考。下割れると12/13-14安値圏114.76-77からの上昇帯回帰を警戒している。。
三菱東京UFJ銀行
勢い鈍化も年内は堅調維持か
116.00 - 120.00
FX Weekly(2016/12/16)来週は、クリスマス休暇を控え、市場参加者の減少も見込まれる。それを前にした持ち高の調整などから、ドル円が反落(調整)する可能性には注意が必要だ。
しかし、今週の値動きは、改めてドル円の上昇モメンタムの強さを示すものとも言える。
また、自国通貨を買い支えるためのドル売り介入原資を確保する為、中国を筆頭に新興国が米国債を売却するとの見方も根強い。それが再び米国債の利回り上昇とドル高を招く可能性も低くない。
総じてみれば、来週もドル円は底堅く推移しよう。ドル高の背景にあるトランプ次期政権への政策期待が萎むような明確なイベントを来週控えているわけでもない為、仮に調整が入る場合も浅いものにとどまる公算が大きい。
一方、投機筋の持ち高の変化をみると、大統領選前の円ロング(円の買い越し)は、12/6 時点でショート転(円の売り越しへの転換)している。その後も円安が進行したことに鑑みれば、直近では既に高水準まで積みあがっている可能性がある。
一段と円ショートを積み上げるには、米国の財政拡張や正常化(利上げ)に次ぐ材料が必要と思われる。ここからの円ショートの拡大ペース(円安進行ペース)は次第に和らぐと考えられる。加えて、円からドルを調達する際の上乗せコストであるベーシススワップのスプレッドをみる限り、例年同様に 12 月に入って縮小している。
これらを踏まえると、ドル資金への旺盛な需要から滲む円売り需要も後退する可能性が高く、やはり円安ペースは鈍るとみられる。そもそも、今週発表された 11 月分の米経済指標(小売売上高、鉱工業生産)は、市場の予想を下回っており、必ずしも利上げペース加速の可能性を示したFOMCと整合的ではない。
米国の政権交代が米経済に大きな転換をもたらし、ここまでのドル高が継続するのか、過度に膨張した期待が収縮し、ドル高への是正が入るのか、年明け以降のトランプ次期大統領の就任(1/20)、予算教書(2 月上旬)まで、悩ましい時間帯が続く見込みだ。
加えて、昨年は米利上げを受けて年明け以降、市場が不安定化した経緯がある。年末から年始に向けて、米国の株式相場や原油先物相場など、多くのリスク資産の動向も注視する必要がある。
私見
FOMC では、市場の予想通りの利上げが行われました。織り込み済みであり、直後に売られるという声ありましたが、逆に 2017 年の利上げペースがややタカ派だったこともあり、ドル円は一気に上抜けていきました。テクニカル的には、とうとう週足(月足)の TL にぶつかり、さすがに一度では突破できずに弾かれて週を終えています。この壁を突破するとなると、ドル円は 120 円へのトライへとつながっていくと思われますが、年内で市場参加者の少ない中で仕掛け的な動きが出るのかは興味深いところです。
予想 : 116.00 - 120.00