9月19日から23日までの、ドル円相場に影響しそうな経済指標のまとめと私的な考察です。
9月19日から23日までの、ドル円相場に影響しそうな経済指標のまとめと私的な考察です。
来週は20-21日の日銀金融政策決定会合とFOMC(米連邦公開市場委員会)が焦点になる。日米とも金融政策据え置きとの見方が大勢。
FOMCは米利上げに対するFRB高官のスタンスがハト派・タカ派ともきっ抗しているなかで、イエレンFRB議長が市場に対してどのようなメッセージを発信するのか注目される。声明文を含めイエレン議長の会見が12月利上げを示唆する内容となれば、ドル買いで反応しそうだ。
一方、今回の日銀金融政策決定会合はFOMCと同期間開催のため、先に結果が発表される日銀が追加緩和に踏み切る可能性は低く、次回以降の会合に緩和カードを温存する公算が大きい。
ドル・円には、日米金融政策の据え置きがすでに織り込まれており、日銀の「総括的な検証」の結果がさえず下押ししたとしてもフシ目の100円ちょうどが下限のめどとなりそうだ。
市場の見方は割れており、緩和なら104円方向に向かいそうだが、円売りの持続性には疑問も残る。同時期に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるが、利上げが見送られる公算が大きい。
日米金融政策イベントが同日に行われるだけに、市場では「21日だけで3、4円は動く可能性がある。一週間のレンジのほとんどがこの日に費やされそうだ」(国内金融機関)という。イベントでサプライズがあった場合は、21日だけでは消化できず、22日に余波が出てくるおそれもある。
日銀は20-21日開催の金融政策決定会合で、総括的な検証を踏まえ、追加金融緩和を決定する見通し。当座預金における政策金利残高に適用される金利を現行の-0.1%から-0.2%に引き下げることや、国債利回り曲線の修正などが政策メニューとして取りざたされている。
日銀による追加緩和への期待感は根強く、金融政策に変更がなければ失望による円買いが強まりそうだ。ただ、マイナス金利の拡大は金融機関の業績悪化や利用者負担を考慮するとネガティブな影響が想定されていることから、政府・日銀の思惑に反して株安・円高に振れる相場展開もあり得る。
一方、FRBは金融引き締めを見送る公算。8月米雇用統計やISM製造業業況指数などの経済指標は予想を下回っていることや、ブレイナードFRB理事のハト派寄りの発言などで、12月利上げへの期待が高まりつつある。
このため、日銀の政策決定やFRBの9月利上げ見送りで短期的にはドル安・円高に振れても、年内利上げ観測を背景とするドル買い・円売りの興味は低下せず、ドルは下げ渋る可能性がある。
日銀会合において前出の麻生発言が政治による期待の代表例であり、対してマイナス金利の深掘りに動くとの見方が日増しに強まっている中、「景況感の向上は感じられない」とした国部全銀協会長の牽制姿勢が市場の声、となろうか。
FOMC・イエレン議長においては、8月下旬に年内利上げ志向を示したものの、11月の米大統領選挙、9/26 第1回大統領候補テレビ討論を控え、選挙戦の材料になり得る金融政策の変更を提供したくないとの心の葛藤が垣間見える。邪推かもしれないが、大統領副補佐官、国際担当財務次官を歴任し、民主党クリントン候補に近いとされ将来の女性財務長官筆頭候補とも囁かれる“ブレイナード発言”に政治的配慮を感じる。
円に関しては市場の満額回答が“永久債・外債”購入と期待視されている中では、仮に購入額拡大や国債利回り曲線フラット化修正等を強めても、円安浮揚力が強まるかは疑わしい。「シン(新・真・神)クロダ」への覚醒には、ハードルが高そうだ。
ドルに関しては大統領選挙期間中であることから、ドル急騰につながる過度な利上げ志向は抑制し、金融政策が論争の対象になることを避け、政治に制約にさせぬよう、名を問われるほどひっそりとした議長会見になるのではなかろうか。
9/19週ドル円上値焦点は、日足一目均衡表雲の帯102.25-103.05攻防であり、越えれば9/14高値103.36、9/6高値103.81を意識。9/2、5高値圏104.15-33は望外か。下値焦点は9/7安値101.19。割れると8/26イエレン発言時の100.045、8/19、8/23安値99.89-93維持が問われると推考。
日米の金融政策イベント後、反落を予想
来週は、日銀の金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会を同じ9月20~21日に控えており、市場の注目が集まる。日銀は、総括的な検証結果を公表し、今後の緩和姿勢を示すにとどめ、実際の追加緩和は次回会合以降へと見送り(10/31~11/1)、米連邦公開市場委員会(FOMC)も、利上げを見送ると予想。両イベントを通過後、当面の材料出尽くし感から、ドル円の下値不安が高まると考えられる。
総括的な検証結果が公表された後は、材料の出尽くし感に加え、新たな副作用(長期金利の上昇、銀行株の下落懸念、政策の限界)が嫌気され、株安・円高への警戒が必要になってこよう。
一部では来週の検証結果の公表に合わせて、追加緩和を発動するとの見方も根強いが、先述の通り、実際の政策変更は物価の展望レポートが公表される10/31~11/1会合以降へと温存されよう。
米国では、8月中旬以降、FRB高官より相次いだ利上げへの地ならしめいた発言によって、一時は9月の利上げ観測が高まった。但し、8月分の米経済指標は総じて冴えないものが目立っている。
9月の利上げ織り込み度合いが20%を割り込んでいるため、サプライズによる市場の混乱を嫌う米FOMCがこうした状況で利上げを断行するとは考えにくく、利上げは見送られる公算が大きい。
しかし、いずれ金融緩和が必要となった場合、利下げ余地を設けておく為に、利上げを進めておきたいとのFOMCの意向は強いだろう。加えて、8月分の経済指標が軒並み予想を下回ったことに照らせば、既に8年目に突入した今回の米経済の拡大局面が、転換点を迎えつつある可能性もある。
即ち、今後とも経済指標が悪化する可能性が低くなく、12月まで待てば利上げがやり易さを増す保証はない。この為、リスクシナリオではあるが、利上げを決定する可能性も完全には排除できない。
年初来、「日米の金融政策の方向の違いがドル高円安をもたらす」とされてきたが、今年のドル円相場の動きをみれば、もはやこの材料が機能していないか逆に作用していることが明らかだ。
米国では、連続利上げを見込めるほど経済情勢が強くない。散発的な利上げ観測程度なら、経常赤字国通貨であるドルの上昇は難しいばかりか、軟化する可能性が高まる。
日本でも副作用が嫌気され、金融緩和やその拡大はもはや市場の不安定化やマインド悪化を通じてかえって円高をもたらす要因へと変質している。
ドル円は、75円台から125円台まで約50円上昇した半分を喪失した時点で、材料の再点検を行っている時間帯とみられるが、来週のイベントを通過した後、改めてドル安円高に警戒が必要とみている。
注目は何といっても 日銀と FOMC ですが、大統領選挙を控えた今、追加緩和も利上げもないと思います。
テクニカル的には、都度 長く続く下落の週足トレンドラインにきれいに弾かれていますが、徐々に下値が切り上がっています。これをキープできるようなら 105 円程度までは戻れるのかな、とも思います。
でも、戻り売りは基本でしょうね。
予想 : 101.50 - 104.00
経済指標
09/19(月)
- 23:50 (日) NAHB 住宅市場指数
09/20(火)
- 未定(日)日銀・金融政策決定会合 一日目
- 未定(米)FOMC(米連邦公開市場委員会)一日目
- 21:30 (米) 8 月 住宅着工件数
09/21(水)
- 未定(日)日銀・金融政策決定会合 政策金利発表 ★★
- 15:30 (日)黒田日銀総裁 定例記者会見 ★★
- 20:00 (米) MBA 住宅ローン申請件数(前週比)
- 27:00 (米) FOMC 政策金利発表 ★★★
- 27:30 (米) イエレン FRB 議長 定例記者会見
09/22(木)
- 21:30(米) 前週分 新規失業保険申請件数
- 22:00(欧) ドラギ ECB 総裁 発言
- 23:30(米) 8 月 中古住宅販売件数
09/23(金)
- 13:30(日) 7 月 全産業活動指数
今週のドル円予想レンジ予想
モーニングスター
米利上げなら105円台も、日米金融政策決定会合が焦点
100.00 - 103.80
来週の東京外国為替市場見通し (2016/09/16 18:44)米利上げなら105円台も、日米金融政策決定会合が焦点
来週は20-21日の日銀金融政策決定会合とFOMC(米連邦公開市場委員会)が焦点になる。日米とも金融政策据え置きとの見方が大勢。
FOMCは米利上げに対するFRB高官のスタンスがハト派・タカ派ともきっ抗しているなかで、イエレンFRB議長が市場に対してどのようなメッセージを発信するのか注目される。声明文を含めイエレン議長の会見が12月利上げを示唆する内容となれば、ドル買いで反応しそうだ。
一方、今回の日銀金融政策決定会合はFOMCと同期間開催のため、先に結果が発表される日銀が追加緩和に踏み切る可能性は低く、次回以降の会合に緩和カードを温存する公算が大きい。
ドル・円には、日米金融政策の据え置きがすでに織り込まれており、日銀の「総括的な検証」の結果がさえず下押ししたとしてもフシ目の100円ちょうどが下限のめどとなりそうだ。
ロイター
来週は日銀緩和ならドル104円方向か、持続性には疑問
99.50 - 104.50
来週の外為市場 (2016/09/16 16:47)来週の外為市場は、20─21日の日銀決定会合が最大の関心事。総括検証の結果を踏まえ、追加緩和を決定するかが焦点となっている。
市場の見方は割れており、緩和なら104円方向に向かいそうだが、円売りの持続性には疑問も残る。同時期に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれるが、利上げが見送られる公算が大きい。
日米金融政策イベントが同日に行われるだけに、市場では「21日だけで3、4円は動く可能性がある。一週間のレンジのほとんどがこの日に費やされそうだ」(国内金融機関)という。イベントでサプライズがあった場合は、21日だけでは消化できず、22日に余波が出てくるおそれもある。
フィスコ
ドルは弱含みか、米指標下振れで利上げ先送りを織り込む展開
100.00 - 104.00
為替週間見通し(2016/09/16 15:08)20-21日開催の日本銀行金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が焦点となる。日銀は追加金融緩和の実施、連邦準備制度理事会(FRB)は現行の金融政策の維持が市場コンセンサスとなっている。
日銀は20-21日開催の金融政策決定会合で、総括的な検証を踏まえ、追加金融緩和を決定する見通し。当座預金における政策金利残高に適用される金利を現行の-0.1%から-0.2%に引き下げることや、国債利回り曲線の修正などが政策メニューとして取りざたされている。
日銀による追加緩和への期待感は根強く、金融政策に変更がなければ失望による円買いが強まりそうだ。ただ、マイナス金利の拡大は金融機関の業績悪化や利用者負担を考慮するとネガティブな影響が想定されていることから、政府・日銀の思惑に反して株安・円高に振れる相場展開もあり得る。
一方、FRBは金融引き締めを見送る公算。8月米雇用統計やISM製造業業況指数などの経済指標は予想を下回っていることや、ブレイナードFRB理事のハト派寄りの発言などで、12月利上げへの期待が高まりつつある。
このため、日銀の政策決定やFRBの9月利上げ見送りで短期的にはドル安・円高に振れても、年内利上げ観測を背景とするドル買い・円売りの興味は低下せず、ドルは下げ渋る可能性がある。
岡三オンライン証券
9・21公開!「シン・クロダ」「(イエレン)君の名は。」
99.90 - 104.00
武部力也の週間為替相場見通し(2016/09/16)日銀会合・黒田総裁に対しては、政治と市場からの圧力に挟まれた展開、一方のイエレンFRB議長には、利上げに惹かれる一方で政治に配慮した揺れ動く乙女心を想像する。
日銀会合において前出の麻生発言が政治による期待の代表例であり、対してマイナス金利の深掘りに動くとの見方が日増しに強まっている中、「景況感の向上は感じられない」とした国部全銀協会長の牽制姿勢が市場の声、となろうか。
FOMC・イエレン議長においては、8月下旬に年内利上げ志向を示したものの、11月の米大統領選挙、9/26 第1回大統領候補テレビ討論を控え、選挙戦の材料になり得る金融政策の変更を提供したくないとの心の葛藤が垣間見える。邪推かもしれないが、大統領副補佐官、国際担当財務次官を歴任し、民主党クリントン候補に近いとされ将来の女性財務長官筆頭候補とも囁かれる“ブレイナード発言”に政治的配慮を感じる。
円に関しては市場の満額回答が“永久債・外債”購入と期待視されている中では、仮に購入額拡大や国債利回り曲線フラット化修正等を強めても、円安浮揚力が強まるかは疑わしい。「シン(新・真・神)クロダ」への覚醒には、ハードルが高そうだ。
ドルに関しては大統領選挙期間中であることから、ドル急騰につながる過度な利上げ志向は抑制し、金融政策が論争の対象になることを避け、政治に制約にさせぬよう、名を問われるほどひっそりとした議長会見になるのではなかろうか。
9/19週ドル円上値焦点は、日足一目均衡表雲の帯102.25-103.05攻防であり、越えれば9/14高値103.36、9/6高値103.81を意識。9/2、5高値圏104.15-33は望外か。下値焦点は9/7安値101.19。割れると8/26イエレン発言時の100.045、8/19、8/23安値99.89-93維持が問われると推考。
三菱東京UFJ銀行
日米の金融政策イベント後、反落を予想
99.25 - 103.75
FX Weekly(2016/09/16)
来週は、日銀の金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会を同じ9月20~21日に控えており、市場の注目が集まる。日銀は、総括的な検証結果を公表し、今後の緩和姿勢を示すにとどめ、実際の追加緩和は次回会合以降へと見送り(10/31~11/1)、米連邦公開市場委員会(FOMC)も、利上げを見送ると予想。両イベントを通過後、当面の材料出尽くし感から、ドル円の下値不安が高まると考えられる。
総括的な検証結果が公表された後は、材料の出尽くし感に加え、新たな副作用(長期金利の上昇、銀行株の下落懸念、政策の限界)が嫌気され、株安・円高への警戒が必要になってこよう。
一部では来週の検証結果の公表に合わせて、追加緩和を発動するとの見方も根強いが、先述の通り、実際の政策変更は物価の展望レポートが公表される10/31~11/1会合以降へと温存されよう。
米国では、8月中旬以降、FRB高官より相次いだ利上げへの地ならしめいた発言によって、一時は9月の利上げ観測が高まった。但し、8月分の米経済指標は総じて冴えないものが目立っている。
9月の利上げ織り込み度合いが20%を割り込んでいるため、サプライズによる市場の混乱を嫌う米FOMCがこうした状況で利上げを断行するとは考えにくく、利上げは見送られる公算が大きい。
しかし、いずれ金融緩和が必要となった場合、利下げ余地を設けておく為に、利上げを進めておきたいとのFOMCの意向は強いだろう。加えて、8月分の経済指標が軒並み予想を下回ったことに照らせば、既に8年目に突入した今回の米経済の拡大局面が、転換点を迎えつつある可能性もある。
即ち、今後とも経済指標が悪化する可能性が低くなく、12月まで待てば利上げがやり易さを増す保証はない。この為、リスクシナリオではあるが、利上げを決定する可能性も完全には排除できない。
年初来、「日米の金融政策の方向の違いがドル高円安をもたらす」とされてきたが、今年のドル円相場の動きをみれば、もはやこの材料が機能していないか逆に作用していることが明らかだ。
米国では、連続利上げを見込めるほど経済情勢が強くない。散発的な利上げ観測程度なら、経常赤字国通貨であるドルの上昇は難しいばかりか、軟化する可能性が高まる。
日本でも副作用が嫌気され、金融緩和やその拡大はもはや市場の不安定化やマインド悪化を通じてかえって円高をもたらす要因へと変質している。
ドル円は、75円台から125円台まで約50円上昇した半分を喪失した時点で、材料の再点検を行っている時間帯とみられるが、来週のイベントを通過した後、改めてドル安円高に警戒が必要とみている。
私見
ドル円はレンジ内、薄商いが続いています。そうはいっても、チマチマ上げたらドカンと下げる。ロングで入るのはキツかったですね。注目は何といっても 日銀と FOMC ですが、大統領選挙を控えた今、追加緩和も利上げもないと思います。
テクニカル的には、都度 長く続く下落の週足トレンドラインにきれいに弾かれていますが、徐々に下値が切り上がっています。これをキープできるようなら 105 円程度までは戻れるのかな、とも思います。
でも、戻り売りは基本でしょうね。
予想 : 101.50 - 104.00