3月7日から3月11日までの、ドル円相場に影響しそうな経済指標のまとめと私的な考察です。
3月7日から3月11日までの、ドル円相場に影響しそうな経済指標のまとめと私的な考察です。
足元のドル・円は、原油価格の持ち直しもあり投資家心理が改善、ドル高・円安方向に向かいつつある。目先の上値抵抗線とみられる25日移動平均線が1ドル=114円79銭近辺に控えており、ここを抜けるとドル買い・円売りは加速しそうだ。下値のメドは2月24日安値の111円。
原油価格の反発が続き、リスクオン地合いが広がれば、ドル/円の下値は堅くなると見られているが、114円後半にはテクニカルな抵抗線が集まり、115円越えは難しそうだ。
特に、アジアの時間帯にドル/円の上値が重いのは、アジアの中銀系マネーがユーロ建て資産の一部を取り崩して、円などにシフトさせていることが背景にあるとみている、と同氏は言う。
欧州中央銀行(ECB)が10日の理事会で一段の量的緩和を決定した場合、ユーロ売り・ドル買いが強まりそうだが、この影響でドル買い・円売りの取引が増えるとの見方が出ている。ただし、1ドル=115円台では利益確定を狙ったドル売りが増えるとの指摘もあり、ドル買いは115円台で一服する展開も想定しておきたい。
ユーログループ議長は日本の競争的な通貨引き下げへの懸念が討議されたと釘を刺している。G20で自国通貨安を助長するような政策に対して事前通知を行うことで合意に至った点も、一部で期待のあった円売り介入実施のハードルの高さを感じさせる。
一方、米国では3月の利上げ期待が薄らいだとはいえ、年明け以降の経済指標は一部で強さを維持している。インフレや個人消費関連のデータはしっかり推移し、製造業の景況感もいく分改善した。今週は原油や株価の戻りが鮮明になったことで、米経済に対する過度な不安も後退した。今後の米経済指標に悲観的なムードを打ち消す内容が続けば、ハト派過ぎた市場の米利上げペース見通しが修正されることで、ドル円の下値が固まっていく可能性もある。
(A)11月に向け、米大統領候補者による農業・製造業の有権者向けに円安批判が強まる懸念がある。もっとも、「日米金融政策の差異」が明確なうえ、米雇用情勢や景気腰折れ懸念が強まらない限り、緩やかなドル高・円安基調と読んでいる。突破材料は米景気の基調持続だ。
(B)6月英国民投票に向け、英国(Britain)のユーロ圏離脱(exit)、「Brexit(ブリクジット)」懸念が存在。英国警戒が転じてポンド売り円買い、そしてドル円を圧迫する可能性もある。突破材料は英国の世論動向とリスクの織り込み度合いとなろう。
(C)2/29に中国人民銀は、預金準備率を0.5%引き下げた。商業銀の不良債権率上昇は、金融機関の健全性を脅かし、人民元安・円高を燻らせる。突破材料は中国の人治政治であり、全人代後、3/16の李克強首相会見に期待となる。
(D)上海G20後、ユーロ圏財務相会合のダイセルブルム議長(オランダ財務相)が、「為替相場の下落に繋がるような政策決定を行う際には、事前に通知することで合意」と説明。これを以て今後は、日銀の大規模緩和や円高阻止介入が制約されたと見られた。
現実的な問題は期末対策・来期前倒しでの円転需要が115-118円から膨らむ可能性だ。対して安倍政権の意を汲んだオールジャパン国内機関投資家が吸収できるかが鍵となる。
ドル円上値焦点は2/17高値114.52、2/16高値114.89。越えれば115.00節目や週足一目均衡表雲下限115.52が意識される。下値焦点は113円前半維持。割れると3/1安値112.15、2/25安値111.88が推考される。
年内利上げ観測がほぼ消滅しかけた経緯から、米国の株式市場は、利上げへの準備が整っていないと考えられる。大統領選の指名候補選びが盛り上がる中、先行きの政策不透明感も漂い始めており、利上げ観測の台頭は、株式相場の軟化をもたらす公算が大きい。これが、リスク回避的な流れを強め、結局はドル円を下押ししよう。
週明けの動きとして注目しているのは、ファンダメンタルズとしては上目線、チャート上はもみ合いから下目線、そのどちらかで、個人的には下目線に思っています。
日経平均はチャートなどを無視して期末の買い支えが大量に入っているようですが、G20 での為替介入に強く釘を差されたドル円は、むしろ海外の外的要因に左右されるのではないかと思います。
予想 : 112.20 - 115.20
経済指標
03/07(月)
- 24:00 (米)2 月 米労働市場情勢指数(LMCI)
03/08(火)
- 未定 (中)2 月 貿易収支(対ドル・人民元)
- 08:50 (日)10-12 月期 四半期実質国内総生産(GDP、改定値)
- 19:00 (欧)10-12 月期 四半期域内総生産(GDP、改定値)
03/09(水)
- 21:00 (米)MBA 住宅ローン申請指数
- 24:00 (米)1 月 卸売在庫
03/10(木)
- 10:30 (中)2 月 消費者物価指数
- 21:45 (欧)ECB 政策金利 ★★★
- 22:30 (欧)ドラギ ECB 総裁 定例記者会見 ★★
- 22:30 (米)前週分 新規失業保険申請件数
- 28:00 (米)2 月 月次財政収支
03/11(金)
- 08:50(米) 1-3 月期 四半期法人企業景気予測調査・大企業景況判断指数(BSI)
- 22:30(米) 2 月 輸入物価指数
予想レンジ
モーニングスター
111.00 - 115.00
来週の東京外国為替市場見通し (2016/03/04 16:54)来週の目玉はECB(欧州中央銀行)理事会だろう。1月の前回理事会では追加緩和が示唆されており、マイナス金利のさらなる引き下げなど、どのような緩和策強化が打ち出されるのか注目。ECBが追加緩和を実施した場合は、日銀がマイナス金利引き下げ拡大など次の緩和に動きやすくなる点には注意したい。
足元のドル・円は、原油価格の持ち直しもあり投資家心理が改善、ドル高・円安方向に向かいつつある。目先の上値抵抗線とみられる25日移動平均線が1ドル=114円79銭近辺に控えており、ここを抜けるとドル買い・円売りは加速しそうだ。下値のメドは2月24日安値の111円。
ロイター
111.50 - 114.50
来週の外為市場 (2016/03/04 15:55)来週の外為市場では、日銀の金融緩和予想の後退や、リスク回避に由来する円への資金流入が広がれば、ドル/円の上値が重くなりそうだ。また、海外ファンド勢は欧州中央銀行(ECB)理事会に向け、ユーロの売り攻めを再開する可能性もあるとみられる。
原油価格の反発が続き、リスクオン地合いが広がれば、ドル/円の下値は堅くなると見られているが、114円後半にはテクニカルな抵抗線が集まり、115円越えは難しそうだ。
特に、アジアの時間帯にドル/円の上値が重いのは、アジアの中銀系マネーがユーロ建て資産の一部を取り崩して、円などにシフトさせていることが背景にあるとみている、と同氏は言う。
フィスコ
112.00 - 116.00
為替週間見通し(2016/03/05 15:09)今週のドル・円は底堅い展開か。今月15-16日の連邦公開市場委員会(FOMC)を控え、調整目的のドル買い・円売りがやや多くなりそうだ。8日発表の日本の10-12月期実質国内総生産(GDP)改定値は、速報値から下方修正される見込みだが、これによって日本銀行による追加金融緩和への期待は高まりやすくなり、円売りがやや強まる見通し。
欧州中央銀行(ECB)が10日の理事会で一段の量的緩和を決定した場合、ユーロ売り・ドル買いが強まりそうだが、この影響でドル買い・円売りの取引が増えるとの見方が出ている。ただし、1ドル=115円台では利益確定を狙ったドル売りが増えるとの指摘もあり、ドル買いは115円台で一服する展開も想定しておきたい。
TRADER'S WEB トレーダーズ・ウェブ
110.50 - 115.00
週間為替展望 (2016/03/05 11:10)
- 米経済指標の一部は底堅さ続く、ドル円の下値が次第に固まっていく可能性も。
- ECBは追加緩和へ、焦点は緩和内容。
ユーログループ議長は日本の競争的な通貨引き下げへの懸念が討議されたと釘を刺している。G20で自国通貨安を助長するような政策に対して事前通知を行うことで合意に至った点も、一部で期待のあった円売り介入実施のハードルの高さを感じさせる。
一方、米国では3月の利上げ期待が薄らいだとはいえ、年明け以降の経済指標は一部で強さを維持している。インフレや個人消費関連のデータはしっかり推移し、製造業の景況感もいく分改善した。今週は原油や株価の戻りが鮮明になったことで、米経済に対する過度な不安も後退した。今後の米経済指標に悲観的なムードを打ち消す内容が続けば、ハト派過ぎた市場の米利上げペース見通しが修正されることで、ドル円の下値が固まっていく可能性もある。
岡三オンライン証券
112.50 - 115.50
武部力也の週間為替相場見通し(2016/03/05)
1ドル115円以上の条件は「ABCD包囲網」突破か円のABCD包囲網(米America)(英Britain)(中China)(蘭Dutch)
(A)11月に向け、米大統領候補者による農業・製造業の有権者向けに円安批判が強まる懸念がある。もっとも、「日米金融政策の差異」が明確なうえ、米雇用情勢や景気腰折れ懸念が強まらない限り、緩やかなドル高・円安基調と読んでいる。突破材料は米景気の基調持続だ。
(B)6月英国民投票に向け、英国(Britain)のユーロ圏離脱(exit)、「Brexit(ブリクジット)」懸念が存在。英国警戒が転じてポンド売り円買い、そしてドル円を圧迫する可能性もある。突破材料は英国の世論動向とリスクの織り込み度合いとなろう。
(C)2/29に中国人民銀は、預金準備率を0.5%引き下げた。商業銀の不良債権率上昇は、金融機関の健全性を脅かし、人民元安・円高を燻らせる。突破材料は中国の人治政治であり、全人代後、3/16の李克強首相会見に期待となる。
(D)上海G20後、ユーロ圏財務相会合のダイセルブルム議長(オランダ財務相)が、「為替相場の下落に繋がるような政策決定を行う際には、事前に通知することで合意」と説明。これを以て今後は、日銀の大規模緩和や円高阻止介入が制約されたと見られた。
現実的な問題は期末対策・来期前倒しでの円転需要が115-118円から膨らむ可能性だ。対して安倍政権の意を汲んだオールジャパン国内機関投資家が吸収できるかが鍵となる。
ドル円上値焦点は2/17高値114.52、2/16高値114.89。越えれば115.00節目や週足一目均衡表雲下限115.52が意識される。下値焦点は113円前半維持。割れると3/1安値112.15、2/25安値111.88が推考される。
三菱東京UFJ銀行
111.75 - 115.25
為替週間見通し(2016/03/04)来週のドル円を展望する上で、本日の米雇用統計結果が注目される。とは言え、結果が予想比、どちらに転んでも、あまりドル円の上昇材料としては機能しない可能性が高いだろう。まず、NFP(非農業部門雇用者数の変化)が前月比 20 万人台の増加を維持し、失業率も低位で安定。さらに、平均時給の伸びに勢いが出た場合、市場は改めて利上げを意識せざるを得ない。米国債利回りの上昇を通じ、当初はドル円を下支えしたり、押し上げる材料となるだろう。
年内利上げ観測がほぼ消滅しかけた経緯から、米国の株式市場は、利上げへの準備が整っていないと考えられる。大統領選の指名候補選びが盛り上がる中、先行きの政策不透明感も漂い始めており、利上げ観測の台頭は、株式相場の軟化をもたらす公算が大きい。これが、リスク回避的な流れを強め、結局はドル円を下押ししよう。
私見
雇用統計は、雇用者数は大きく伸びたものの、平均賃金が 0.1% 低下となりました。ただ、ドル円のマーケットの反応としては 115 円を突破することができませんでした。週明けの動きとして注目しているのは、ファンダメンタルズとしては上目線、チャート上はもみ合いから下目線、そのどちらかで、個人的には下目線に思っています。
日経平均はチャートなどを無視して期末の買い支えが大量に入っているようですが、G20 での為替介入に強く釘を差されたドル円は、むしろ海外の外的要因に左右されるのではないかと思います。
予想 : 112.20 - 115.20