2026年10月26日~30日のドル円見通し。FOMC、日銀金融政策決定会合、米GDP、PCE価格指数、日米金利差の動向から来週の相場を分析する。
1.今週のドル円相場を振り返る
2026年10月19日~23日のドル円は、週前半に158円台半ばまで上昇したものの、週後半には世界的な株安と米国債利回りの低下を背景に円買いが加速した。
週間高値は158.60円、週間安値は156.08円となり、週終値は156.87円であった。
今週のドル円相場
| 項目 | ドル円 |
|---|---|
| 週初値 | 158.10円 |
| 週間高値 | 158.60円 |
| 週間安値 | 156.08円 |
| 週終値 | 156.87円 |
| 週間値幅 | 2.52円 |
| 前週末比 | -1.15円 |
| 前週末終値 | 158.02円 |
週初:米長期金利上昇を背景に158円台半ばへ
10月19日のドル円は158.10円で始まった。
東京市場では中東情勢への警戒感などから157.70円まで下落したが、その後は買い戻しが優勢となった。
ニューヨーク市場では米10年債利回りが5.14%台まで上昇し、ドル買いを支えた。ドル円は158.55円まで上昇し、158.50円で取引を終えた。
米国債利回りが上昇すると、ドル建て資産の相対的な魅力が高まり、ドル買いにつながりやすい。ただし、200日移動平均線が位置する158.50円台後半では上値が抑えられた。
市場では、米国の高金利がドルを支える一方、円安進行に対する日本の通貨当局の対応も意識されていたと考えられる。
週央:原油価格と米長期金利の変化で方向感を欠く
20日は米国とイランの協議進展に関する報道が相場を動かした。
協議が合意に近づいているとの情報を受け、原油価格が下落すると、米長期金利も低下した。
ドル円は157.83円まで下落したものの、その後、合意が近いとの情報が否定されると買い戻しが入った。
原油価格の変化は、米国のインフレ見通しを通じて金融政策の織り込みに影響する。
原油安によってインフレ懸念が後退すれば、FRBの追加利上げ観測が弱まり、米国債利回りの低下を通じてドル売りにつながる可能性がある。
一方、原油高が再燃すれば、インフレ警戒から米金利が上昇しやすくなる。
週後半:AI関連株安と米国債買いが円高を加速
22日には相場の雰囲気が大きく変化した。
米国の半導体関連企業の決算をきっかけにAI関連株への警戒が強まり、アジア株式市場でも売りが広がった。
株式市場でリスク回避が進むと、投資家は安全性の高い資産へ資金を移す傾向がある。今回は米国債や円が買われ、米長期金利の低下と円高が同時に進んだ。
米10年債利回りは一時4.93%台まで低下した。
国債は価格が上昇すると利回りは低下する。
したがって、
AI関連株安 → リスク回避 → 米国債買い → 米長期金利低下 → ドル円下落
という流れが生じた。
ドル円は156.69円まで下落し、22日の終値は156.77円となった。
ここで注目したいのは、米国債が買われる一方で、円も買われたことである。
リスク回避局面ではドルが買われることもあるが、今回は円買いの影響が強く、ドル円は下落した。
米国債が買われたからといって、必ずしもドル円が上昇するわけではない。
米国債利回りの低下によるドル売りと、投資家のリスク回避による円買いが重なれば、ドル円の下落が加速する可能性がある。
週末:日本CPIは2%台に回復、ドル円は156円台で終了
23日には日本の9月全国消費者物価指数が発表された。
生鮮食品を除く総合指数は前年同月比2.1%上昇し、8月の1.7%から伸び率が拡大した。生鮮食品とエネルギーを除く指数も2.4%上昇した。
いずれも日銀の金融政策を考えるうえで重要な指標であるが、CPIの上昇が直ちに追加利上げを意味するわけではない。日銀は物価上昇の持続性に加え、賃金や個人消費、これまでの利上げが経済に与える影響を確認しながら金融政策を決定している。
為替市場では前日からのリスク回避の円買いが続き、ドル円は一時156.08円まで下落した。
その後は米長期金利の反発や、米ミシガン大学消費者態度指数の上振れを背景に買い戻しが入り、156.87円で越週した。
今週の相場では、米国の高金利がドルを支える構図が残る一方、株式市場の下落や米国債利回りの低下によって円買いが加速する場面が確認された。
2.来週の重要イベント
2026年10月26日~30日は、日米欧の金融政策イベントが集中する重要な週となる。
とくに注目したいのは、29日未明のFOMC、29日夜の米GDP・PCE価格指数、30日の日銀金融政策決定会合だ。
来週の主要経済イベント
| 日付・日本時間 | 国・地域 | イベント | 市場予想・前回値 | ドル円への注目点 |
|---|---|---|---|---|
| 10月27日(火)21:30 | 米国 | 9月耐久財受注・速報値 | 予想+1.3%/前回-0.1% | 設備投資と米景気の底堅さ |
| 10月29日(木)3:00 | 米国 | FOMC政策金利発表 | 予想3.75~4.00%/前回3.75~4.00% | 追加利上げの時期と声明文 |
| 10月29日(木)21:30 | 米国 | 第3四半期GDP速報値 | 予想+3.0%/前回+2.2% | 米景気の強さと米国債利回り |
| 10月29日(木)21:30 | 米国 | 9月PCE価格指数 | 総合予想+3.6%/前回+3.4%、コア予想+3.1%/前回+3.0% | FRBの12月利上げ観測 |
| 10月29日(木)22:15 | ユーロ圏 | ECB政策金利発表 | 主要政策金利予想2.65%/前回2.65% | 欧州金利、ユーロ、リスク回避 |
| 10月30日(金)時刻未定 | 日本 | 日銀金融政策決定会合 | 予想1.25%/前回1.25% | 追加利上げ見通しと日米金利差 |
米国の政策金利発表後にはFRB議長の記者会見が予定されている。
また、日銀は30日に経済・物価情勢の展望を公表し、15時30分から植田総裁の記者会見を予定している。
なお、10月25日に欧州で夏時間が終了するため、欧州関連イベントの日本時間には注意が必要である。
① 10月29日:FOMCは据え置き予想、焦点は12月利上げ
今回のFOMCでは、政策金利の据え置きが市場の中心的な見方となっている。
9月16日のFOMCでは、政策金利が0.25%引き上げられ、3.75~4.00%となった。
同時に公表された経済見通しでは、2026年末の政策金利中央値が4.1%となり、6月時点の3.8%から上方修正された。これは、FRB参加者が年内の追加利上げを想定していることを示すものである。
CME FedWatchの織り込み
CME FedWatchは、FF金利先物から市場が予想する政策金利の確率を算出するツールである。
確認できた報道ベースの数値は以下のとおりである。
| 確認時点 | 10月FOMC利上げ確率 |
|---|---|
| 10月16日 | 約15% |
| 10月20日 | 約17% |
| 10月23日 | 詳細な確率分布は未確認 |
10月16日から20日にかけては、利上げ確率が約2ポイント上昇した。ただし、同一時刻の比較ではない。
12月の利上げ確率については、10月19日時点で約89%、10月23日時点で約78%と報じられている。今後の焦点は、FRBが12月の利上げをどの程度示唆するかである。
CME FedWatchの見方については、関連記事『CME FedWatch Toolの見方と使い方|利下げ確率をドル円分析に生かす方法』でも解説している。
声明文で確認したいポイント
9月FOMCの声明文では、インフレ率が依然として高いことが指摘され、物価安定を実現する強い姿勢が示された。
7月会合からの重要な変化は、政策金利を据え置く段階から、実際に0.25%の利上げを実施する段階へ移行したことである。
また、10月7日に公表された9月会合の議事要旨では、参加者の多くが年内の追加利上げを適切と考えていた一方、今後の判断は経済指標次第とする姿勢も確認された。
今回の声明文では、インフレリスクへの警戒が維持されるか、景気や雇用への懸念が強まるかを確認したい。
据え置きそのものよりも、今後の政策金利の方向性がドル円を左右する可能性がある。
なお、10月会合では新たな経済見通しやドットチャートの定例公表は予定されていない。
② 10月29日:米GDPとPCE価格指数
FOMCの翌日には、米国の第3四半期GDP速報値と9月PCE価格指数が発表される。
GDPは経済全体の生産活動を示す指標であり、PCE価格指数は個人消費に関連する物価動向を示す指標である。FRBは物価安定を判断するうえでPCE価格指数を重視している。
今回の市場予想は、GDPが前期比年率+3.0%、PCE価格指数が前年比+3.6%、コアPCEが+3.1%となっている。
GDPが予想を上回れば、米国経済の底堅さが確認され、FRBの追加利上げ観測を支える可能性がある。
一方、PCEが予想を下回れば、インフレ圧力の緩和が意識される可能性がある。
今回注目したいのは、GDPとPCEが異なる方向の結果となった場合である。
たとえば、GDPが強い一方でPCEが鈍化すれば、景気の底堅さを維持しながらインフレが落ち着くという解釈が広がる可能性がある。
逆に、GDPが弱くPCEが強い場合には、景気減速と物価上昇が同時に進むスタグフレーションへの警戒が強まる可能性がある。
その場合、米国債利回りとドル円の反応は複雑になりやすい。
③ 10月30日:日銀金融政策決定会合
日銀は10月29~30日に金融政策決定会合を開催する。
9月会合では政策金利が1.25%へ引き上げられた。
今回の市場予想は据え置きであるが、追加利上げの時期や今後の政策金利の到達点に関する説明が注目される。9月会合の「主な意見」では、基調的な物価上昇率が2%に近づいていることや、物価上振れリスクに対応する必要性が指摘された。
一方、景気の強さやこれまでの利上げの影響を慎重に確認すべきとの意見も示されている。
このように、追加利上げの必要性を認識しながらも、その時期やペースについては判断が分かれている。
23日に発表された全国CPIでは、生鮮食品を除く総合指数が前年比2.1%となった。
これは追加利上げを検討する材料となり得るが、日銀が重視するのは一時的な価格上昇ではなく、持続的な物価上昇である。
30日に公表される経済・物価情勢の展望では、物価見通しの修正内容に注目したい。エネルギー価格の高止まりや賃金上昇が物価見通しにどのように反映されるかが重要である。
植田総裁の記者会見では、追加利上げの必要性だけでなく、利上げのペースや中立金利に関する説明にも注目したい。
中立金利とは、景気を過度に刺激も抑制もしない金利水準である。
日銀が今後も利上げを進める姿勢を強く示せば、日本国債利回りの上昇を通じて円買いが進む可能性がある。
反対に、追加利上げを急がない姿勢が強調されれば、円売りが再び優勢となる可能性がある。
ECB:欧州の金融政策と財政問題
10月29日にはECB理事会も開催される。
9月10日の理事会では、預金ファシリティ金利が2.50%へ引き上げられた。
10月8日に公表された会合記録では、中東情勢によるエネルギー価格上昇がインフレ見通しに影響していることが確認された。
今回も政策金利の据え置きが予想されているが、今後の利上げに対する姿勢が注目される。
また、欧州ではフランスの財政問題が金融市場の懸念材料となっている。
フランス国債利回りの上昇やユーロ売りが広がれば、欧州金融市場を通じて世界的なリスク回避につながる可能性がある。
来週は日米の金融政策に加え、欧州の国債市場にも注意が必要である。
3.来週のドル円見通し
メインシナリオ:156円台を中心に方向性を探る展開
筆者のメインシナリオは、156円台を中心に上下へ振れながら、日米金融政策の結果を待つ展開である。
今週のドル円は158.60円まで上昇したものの、週後半には156.08円まで下落した。22日以降は、株式市場の下落と米国債利回りの低下が円買いを加速させた。
来週前半は、このリスク回避の動きが継続するかが焦点となる。
一方、週後半にはFOMC、米GDP、PCE、日銀会合が集中するため、相場の方向が大きく変化する可能性がある。
現時点では、156.00円付近を下値支持帯、157.50~158.00円を上値抵抗帯として意識したい。
ただし、これは固定的な予想レンジではない。
米国債利回りの方向と日銀の政策姿勢によって、想定レンジを修正する必要がある。
メインシナリオを修正する条件は、156円を明確に下抜ける場合、または158円を回復して米金利上昇を伴う上昇が定着する場合である。
ドル高・円安シナリオ
ドル高・円安シナリオは、FOMCがインフレ警戒を維持し、米GDPやPCEが市場予想を上回るケースである。
この場合、FRBの12月追加利上げ観測が強まり、米2年債利回りが上昇する可能性がある。米2年債利回りは、金融政策の見通しを比較的反映しやすい。
そのため、
米PCE上振れ → 追加利上げ観測上昇 → 米2年債利回り上昇 → ドル買い
という流れが考えられる。
さらに日銀が追加利上げを急がない姿勢を示せば、日米金利差の縮小期待が後退し、円売りが強まる可能性がある。
ドル円が157.50円を突破し、158円台を回復すれば、158.50~158.60円付近が次の上値目標となる。
ただし、米長期金利の急上昇が株式市場の下落を招く場合には、リスク回避の円買いがドル円の上昇を抑える可能性がある。
このシナリオを修正する条件は、強い米経済指標が発表されても米国債利回りが上昇しない場合、または株式市場の下落が加速する場合である。
米2年債利回りとドル円との関係については、関連記事『米2年債利回りとドル円の関係|なぜFRBの政策見通しで動くのか』でも解説している。
ドル安・円高シナリオ
ドル安・円高シナリオは、FOMCが追加利上げに慎重な姿勢を示し、日銀が今後の利上げに前向きな姿勢を示すケースである。
米GDPやPCEが市場予想を下回れば、米国の景気減速やインフレ鈍化への見方が強まる可能性がある。
一方、日銀が物価上振れリスクを重視すれば、日本国債利回りが上昇する可能性がある。
この場合、
米金利低下+日本金利上昇 → 日米金利差縮小 → 円買い・ドル売り
という流れが考えられる。
ドル円が156.08円を下抜ければ、156円の心理的節目が崩れ、155円台への下落が意識される可能性がある。
ただし、米国債利回りが反発する場合や、株式市場が持ち直してリスク回避の円買いが後退する場合には、下落が限定的となる可能性がある。
このシナリオを修正する条件は、156円を下抜けても短時間で買い戻される場合、または米国債利回りが再び上昇基調へ転じる場合である。
4.ドル円のテクニカル見通し
日足:200日移動平均線を下回り、下値を試す展開
今週のドル円は、158円台半ばで上値を抑えられた後、週後半に156円台へ下落した。
10月22日12時20分時点で確認できた主要な移動平均線は以下のとおりである。
| 指標 | 水準 |
|---|---|
| 10日移動平均線 | 158.23円 |
| 20日移動平均線 | 未確認 |
| 21日移動平均線(参考) | 158.02円 |
| 50日移動平均線 | 未確認 |
| 100日移動平均線 | 159.39円 |
| 200日移動平均線 | 158.56円 |
| 一目均衡表・雲上限 | 158.44円 |
| 一目均衡表・雲下限 | 155.65円 |
週終値156.87円は、22日時点の10日・21日・200日移動平均線を大きく下回っている。短期的には下落方向への圧力が強まったと考えられる。
また、20日の158.60円を高値として、その後は戻り高値を切り下げる展開となった。
下値も22日の156.69円から23日の156.08円へ切り下がっており、短期的な下落トレンドが形成されつつある。
ただし、156.08円付近では買い戻しが入っているため、下落が一方的に続くとは限らない。
4時間足:戻り売りと156円台の下値支持に注目
4時間足では、158円台半ばから156円台前半への下落が目立つ。
短期的には高値・安値を切り下げる動きが確認されており、戻り売りが入りやすい状態と考えられる。
一方、23日には156.08円から157円台まで買い戻される場面もあった。
このことから、156円台前半では下値を試す動きと買い戻しが交錯する可能性がある。
来週は、156.08円を下抜けるか、それとも157.50円を回復して高値を切り上げるかに注目したい。
上値の注目水準
| 水準 | 注目点 |
|---|---|
| 157.00円 | 心理的節目 |
| 157.16円 | 10月23日高値 |
| 157.50円 | 短期的な戻りの目安 |
| 158.00~158.25円 | 旧支持帯、21日・10日移動平均線付近 |
| 158.50~158.60円 | 200日移動平均線付近、週間高値 |
| 158.95円 | 10月14日高値 |
下値の注目水準
| 水準 | 注目点 |
|---|---|
| 156.50円 | 心理的節目 |
| 156.38円 | 9月30日安値 |
| 156.08円 | 今週安値 |
| 156.00円 | 心理的節目 |
| 155.65円付近 | 22日時点の一目均衡表・雲下限 |
| 155.00円 | 心理的節目 |
テクニカル上の分岐点
来週の分岐点は、上方向では157.50円、下方向では156.08円と考える。
157.50円を回復して定着すれば、158円台への戻りが意識されやすくなる。
一方、156.08円を明確に下抜ければ、156円割れや155円台への下落を警戒したい。
ただし、来週は金融政策イベントが集中するため、短時間で支持線や抵抗線を突破する可能性がある。
一時的な上抜け・下抜けだけで判断せず、米国債利回りや株式市場の反応も確認することが重要である。
5.まとめ
2026年10月19日~23日のドル円は、158.10円で始まり、週間高値158.60円、週間安値156.08円を記録した後、156.87円で週を終えた。週前半は米長期金利の上昇を背景にドル買いが進んだものの、週後半はAI関連株安によるリスク回避と米国債利回りの低下を受けて円買いが加速した。
来週10月26日~30日は、FOMC、ECB理事会、日銀金融政策決定会合が集中する重要な週となる。さらに米GDPとPCE価格指数も発表され、日米の金融政策見通しが大きく変化する可能性がある。
FOMCでは12月の追加利上げに関する姿勢、日銀では今後の追加利上げの時期や経済・物価見通しが焦点となる。
ドル円は156円台を中心に方向性を探る展開を想定するが、日米金利差の縮小が意識されれば円高が進む可能性がある。一方、米国のインフレ圧力が強く、FRBの追加利上げ観測が高まればドル買いが再燃する可能性もある。
来週は政策金利の決定そのものだけでなく、各中央銀行の説明を受けて日米の国債利回りがどのように反応するかを確認したい。
なお、2026年10月のドル円相場全体の流れは、「2026年10月のドル円相場まとめ」で整理している。米長期金利、FOMC、米CPI、FRBの追加利上げ観測など、10月相場の主な材料を週ごとに振り返っている。
本記事は為替市場の分析を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨する投資助言ではない。
