今週のドル円相場は、本邦参院選後の政局不安やトランプ政権の金融政策への介入姿勢などが影響し乱高下した。ただ、週を通してみればいったん下落したもののおおよそ週初の始値の水準で越週しており、方向感に欠ける展開であったとも言えるだろう。 来週は、日米で金融政策会合(FOMC・日銀...
今週のドル円相場は、本邦参院選後の政局不安やトランプ政権の金融政策への介入姿勢などが影響し乱高下した。ただ、週を通してみればいったん下落したもののおおよそ週初の始値の水準で越週しており、方向感に欠ける展開であったとも言えるだろう。
来週は、日米で金融政策会合(FOMC・日銀金融政策決定会合)が開催されるほか、米PCEデフレーターや雇用統計といった重要指標の発表も控えており、これが今後のドル円相場の方向を決めるかどうかに注目が集まっている。
今週(2025年7月21日〜25日)の振り返り
参院選の与党過半数割れと石破首相の続投表明
20日に行われた参議院選挙では、自民・公明の与党があわせて47議席と伸び悩み参院での過半数を割り込んだ。首相の責任を問う声が野党を中心に高まったものの、石破首相が続投の意向を示したことで、市場では政局の混乱は回避されたという評価がされている。
ただ、自民党内でも「石破おろし」の動きが水面下で進行している。7月28日には両院議員懇談会が予定されることから政治的な不透明感が燻っている。
石破総理が辞任することで日本の政権運営が一時的に混乱するとの見方が広がると経済政策の不透明感が増す。市場ではこうした政局リスクを嫌気した海外勢による日本売り・円売りの動きが強まりやすく、円安圧力につながるとみられている。
通商交渉合意と米指標で揺れるドル円
23日にはトランプ大統領が日米間の通商交渉合意をSNSで発表したことで円高が進行。また、その直後に石破首相退陣報道が流れ、円売りに転じるなど相場は荒い値動きとなった。
週後半には、強めの米経済指標(新規失業保険申請件数やPMI)が好感されドル買いが優勢に。25日には一時148円に接近する場面もあった。
来週(7月28日〜8月1日)の注目イベントと見通し
① 日銀金融政策決定会合(30〜31日)
日銀は30日から金融政策決定会合を開催する。23日の通商交渉合意を受けて内田副総裁が「2%目標達成の確度が高まった」と発言したことから、市場では早期の利上げ再開への思惑が高まっている。
年内の利上げ再開はすでに8割程度織り込まれており、現時点では10月会合での利上げがもっとも有力視されている。一部では今会合での利上げを予想する声もあるものの、政策据え置きに加え会合後の植田総裁の記者会見で「ハト派」と受け止められるトーンが示された場合は円売りが再燃する可能性もある。
② FOMC(30日開催)
FOMCでは金融政策の変更はなく、金利は据え置かれる向きが大勢だ。焦点は声明文とパウエル議長の会見内容に移っている。前回までの「しばらく待機」スタンスが維持されるか、それとも景気減速やオーバーキルリスクを受けてスタンスが変化しているかどうかが注目点である。
また、ウォラー理事やボウマン副議長といったトランプ氏が任命した理事が利下げを主張して採決に反対する可能性もあり、政策運営の先行きに不透明感が漂う。もし両名が反対するようであれば1993年以来の異例事態として受け止められ、ボラティリティの高い動きは避けられない。
③ 米雇用統計(8月1日)
7月の米雇用統計では非農業部門雇用者数が10.1万人増の予想と前月からの鈍化が予想されている。失業率は4.2%に上昇見込みで、結果が市場予想を下回れば、再び年内利下げ観測が強まりドル売り要因となる可能性がある。
テクニカル見通しと予想レンジ
ドル円は7/10安値の145.75、50EMAの付近で切り返し、金曜日には一時148円に迫る場面も見られたものの、短期的にやや買われすぎたことからやや失速。147.65で越週した。
目先は引き続き7/10安値145.75がサポートとして意識され、7/16高値149.18がレジスタンスとして意識されるだろう。テクニカル的には、先週5/12高値148.64をブレイクしたことで、ドル円のレンジはやや上方向へと広がった可能性がある。
オシレーターはやや崩れているため、上昇基調に戻ったとはまだ言えないものの、テクニカル的にもファンダメンタルズとしてももう少し円安が進む可能性が残っていることに注意が必要だろう。
まとめ:日米金融政策が方向性を左右する分岐点となるか
来週のドル円相場は、日銀の姿勢とFOMC後の市場の反応、米雇用統計の内容によって大きく動く可能性がある。政治リスクや通商合意といったファクターも背景にあり、不透明感は依然として高い。
上下に大きく動く可能性があり、引き続きリスク管理の徹底が求められる。