自民・維新連立合意で高市政権誕生か。政治の安定と積極財政方針を背景に、ドル円は円安・株高トレンド再開へ。介入リスクや米中摩擦にも注意が必要。
今週(10/13〜10/17)の振り返り
今週のドル円相場は、政治・金融リスクが重なり、神経質な展開となった。週初は先週の下落からやや上方向へギャップを作り151.72円で寄り付いたものの、上値の重い展開が続いた。
中国のレアアース輸出規制強化に端を発した米中対立懸念についてはトランプ米大統領が対中姿勢を軟化させたことで13日は152円台半ばまで上昇した。しかし14日以降は、株安・債券高・円高のリスク回避が進行。米地銀の信用不安が浮上したことも重なり、ドル円は150円割れを試す展開となった。
本邦政治面では、公明党の連立離脱を受け、自民党と日本維新の会による連立協議が焦点となった。維新側が「議員定数削減」など厳しい条件を提示したことで交渉は難航。高市政権発足の見通しが立たず、政治空白が続くことへの懸念が円買いを誘発した。節目として意識されやすい150円は保ち150.61で越週したものの、金曜日の時点では「高市トレード(円安・株高)」は一時休止状態となったといえるだろう。
市場では、米政府機関の閉鎖が長期化し経済統計の発表が滞っていることも不安材料となった。経済データの欠落により、今月末のFOMCでの政策判断が「統計の暗闇」に陥るとの見方も強まっている。
来週(10/20〜10/24)の注目イベントと見通し
① 本邦政治:連立協議の行方と臨時国会
21日に臨時国会が召集される見通しだ。週末の18日に自維連立樹立で事実上合意したことから、高市自民党総裁が首相に選出されることが確実な情勢となった。
これにより週初から円安、株高の方向に進むことが予想される。ただ、本邦政治に一段落がついたとしても、その効果がどこまで持続するかは不透明感が残る。
② 米国:政府閉鎖とFOMC利下げ観測
米政府機関の閉鎖が続く中、FRBは10月29日に0.25%の追加利下げを行う見通しである。パウエル議長は14日の講演で「雇用市場の弱さと信用リスクを注視する」と発言し、慎重な金融運営を示唆した。
ただし、物価上昇圧力が残る中で利下げペースを急げないとの見方も根強い。市場は**「タカ派的利下げ」**を想定しており、米金利が下げ止まればドル買い戻しの要因となる可能性がある。
③ 日銀:利上げ観測の後退
今週、田村審議委員が「利上げ再開を検討すべき」と述べたが、市場の反応は限定的であった。政治不透明感を背景に、日銀が今月中に利上げを再開する公算は低い。高田審議委員や氷見野副総裁の講演が予定されているものの、日銀の正常化期待は一時的に後退している。これが円の下支えを弱めている要因でもある。
④ 海外要因:米中摩擦と米地銀不安
米中関係では、ベッセント財務長官が「金融市場の安定を最優先」と発言し、中国側も対立回避の姿勢を見せている。ただし、トランプ政権が11月1日からの追加関税(最大100%)を検討しているとの報道もあり、引き続き市場のボラティリティ要因として警戒が必要である。
また、米地方銀行の信用不安が波及するリスクも残っており、リスク回避の円買いが断続的に入りやすい地合いが続く。
テクニカル見通し
ドル円は20日EMAに下ヒゲを付け150円に復帰して越週している。これに週末に本邦が政治的決着したことが重なり、月曜日は円安方向へ窓開けして寄り付く可能性が高い。
4時間足で見るとオシレーターはすでに切り返しており、本邦以外で大きなニュースが出なければ下がったところは買われやすい地合いになるだろう。
ただ、10/10高値153.27を抜けない限り上昇は一時的と見るべきだ。その手前にある先週高値の152.61近辺、152円からは頭が重くなってくる展開となるだろう。
高市首相誕生のご祝儀相場にのりつつ、こまめに利食いする展開となるだろう。
結論:高市首相誕生で「高市トレード」再開か?
2025年10月第4週のドル円相場は、自民・維新連立合意で高市政権誕生が見込まれる。政治の安定と積極財政方針を背景に、ドル円は円安・株高トレンドが再開するかを見極めつつ、円安が進んだ場合の介入リスクや米中摩擦にも注意が必要である。