来週のドル円相場は、米国と中国の関税政策を巡る不確実性が続く中で、下値を試す可能性が高いと予想される。米国の関税政策や米中間の通商摩擦が相場に与える影響は引き続き注視が必要だ。 米国の関税政策とドル売りの影響 2025年4月2日、米国は中国に対する追加関税を発表し、ドル円相...
来週のドル円相場は、米国と中国の関税政策を巡る不確実性が続く中で、下値を試す可能性が高いと予想される。米国の関税政策や米中間の通商摩擦が相場に与える影響は引き続き注視が必要だ。
米国の関税政策とドル売りの影響
2025年4月2日、米国は中国に対する追加関税を発表し、ドル円相場は急激に下落した。米中間の通商摩擦が激化する中で、注目されるのは「相互関税」の措置だ。
米国のトランプ大統領は、関税の一時停止を発表したものの、それが市場に与える影響は限定的であった。関税引き上げの最終的な結果が不確実であり、市場は依然として警戒感を強めている。
特筆すべきは米国債市場で売り圧力が強まったことで、これによりドル売りが加速している。米国の経済指標が予想を下回るようであれば、さらなるドル安が進む可能性があり、これがドル円のさらなる下落を促す要因となるだろう。
今週は、米国金利が上昇しなかったため、米ドルは対円で弱含み、相場は142円台を割り込んだ。下値としては9月末の安値、141円台を意識する必要がある。
日本の経済政策と円相場
日本国内では、米国の関税引き上げに対する日本政府の対応が注目される。赤澤経済再生担当相が米国を訪問し、交渉を進める予定であるが、この動向が円相場に与える影響は予測が難しい。
また、消費税率引き下げに関する議論が再燃しており、これは円安を促進する要因となり得る。日銀に対する利上げ期待が後退しており、これも円安圧力だ。
しかし、円は米ドルに対しては比較的強い動きを見せており、米国の関税政策の不透明感が続く限り、円が対ドルで強含む可能性が高い。
経済指標と市場の反応
来週の経済指標では、米国の小売売上高や鉱工業生産、フィラデルフィア連銀景況指数などが注目される。
とくに、小売売上高は消費動向を示す重要な指標であり、予想を上回ればドルの一時的な反発を誘う可能性がある。一方、鉱工業生産やフィラデルフィア連銀の景況指数は、経済成長を示す指標として市場の反応が敏感である。
中国の経済指標も注目される。中でも、実質GDP成長率や小売売上高は、中国経済の現状を反映する重要なデータであり、これらが市場に与える影響は大きい。
中国の経済指標が予想を下回るようであれば、人民元安が加速し、それがドル円相場にも影響を与えることになる。
テクニカル分析と市場予想
ドル円は、140円割れてある2024年9月16日安値139.57が射程範囲に入ってきた。現在、この水準は週足200EMAも交差しており、140円を割れてきたところでは実需を中心にドル買いの動きが出てくる可能性がある。
2024年9月16から高値(1月6日高値158.87)までは約4か月、高値から現在の水準までも4か月であり、日付のサイクルとしても140円割れからのショートは躊躇われる水準だ。
円買いのコストは高く、投機筋もどこかでいったん手仕舞いのチャンスを狙っている。ポジションの巻き戻しの円安に警戒が必要だ。