2018年8月第3週(8月13日~8月17日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2018年8月第3週(8月13日~8月17日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
夏休みモード
ただし、ニュースがないわけではない。米中の通商対立が続いているほか、NAFTA 協議、日米通商 協議、と通商分野は進行中である。
米国と中国はチキンゲームに入っている が、持久戦になると米中経済の比較からは米国に分がある。中国経済には米国との貿易摩擦が激化す る以前から不良債権問題や過剰供給など構造的な脆弱性があり、2017 年後半からは経済の拡大スピー ドが鈍っているほか、株式相場はこの貿易摩擦を背景に今年 1 月以降は下落傾向にある。人民元の下落も加速し、金融市場のコントロールは中国の目下の課題である。
一方、目立ってきたのは新興国通貨安。この1週間でトルコリラは9%安、ロシアルーブルが5%安、ブラジルレアルと南アフリカランドも2%超の下げとなった。トルコでは対米関係の悪化や政府の中央銀行に対する圧力、ロシアでは米国による新たな制裁、ブラジルでは10月の大統領選などが懸念材料となっている。
相次ぐ悪材料を織り込む形で、新興国通貨のボラティリティーはじりじりと上昇。合成ボラティリティーは10%後半と、昨年1月以来1年7カ月ぶり高水準に到達した。主要国ボラとの乖離(かいり)率は、欧州債務危機のあった2011年以来の高水準だ。
新興国通貨の下落は各国ごとの問題のみではないとの主張もある。 南アフリカ準備銀行(中央銀行)は前月の声明で、米連邦準備理事会(FRB)が金利を引き上げ、資産買い入れ計画を縮小する中で金融情勢が厳しくなり、通貨ランドが下落していると指摘した。
新興国通貨安は売り圧力が直接、主要通貨へ波及して円の上昇圧力となり得ることに加え、リスクオフムードの高まりを通じて、円高圧力へ転化しやすくなる側面もある。市場は実需を含めてしばらく参加者が少なくなり、動意が乏しくなる見込みだが、「夏枯れかと思いきや、突然動き出すことも多いので警戒が必要」(トレーダー)という。
そのトルコ通貨危機だが、発端は米国だ。もともとFRBの利上げの影響が色濃く出ていた中、トランプ大統領のトルコへの制裁がそれに火を付けている。トルコリラは今週だけで、対ドルで一時24%急落した。この余波がユーロにも波及し、ユーロドルは心理的節目の1.15ドルを割り込み、6月以降続いていたレンジ下限をブレイクしてしまった格好。
トルコリラは今年に入って対ドルで65%ほど急落している。日本でもトルコリラ建ての金融商品が多く出回っていたが、この手の新興国への投資は常に考えさせられるのだが、二桁の高金利など表向き非常に魅力的ではあるが、通貨安やカントリーリスクを常に頭に入れておかなければならない。販売する業者も必ずリスクを説明しているはずだが、一般投資家のリスクに対する認識の度合いがどの程度浸透しているかは何とも言い難い。
金利好きのフィクストインカム派の人たちにとって、いまは米国へのドル建て投資が一番無難なのかもしれない。
その点でいえば今は、FXのドルロングに伴うスワップ取りは魅力的なのかもしれない。手数料も安いし、いざという時は24時間いつでも逃げられる。レバレッジをあまりかけずにやってみるのも一考かもしれない。
なお、上記のような話をしてなんだが、トランプ政権がドル高の流れを好ましく思っておらず、何らかの圧力をかけたがっているとの噂が一部で広がっている。
さて来週だが、新興国への懸念はもう少し続くのかもしれない。しかし、長期化するとは見ておらず、次第に沈静化して行くであろう。そうなると一旦、巻き戻しの動きも出て、ドル売りが強まる可能性も想定される。夏休みシーズンでもある。
今週はドル高だったものの同時に円高圧力も強まったことから、ドル円はやや上値が重かった。新興国への懸念が沈静化してドル売りが優勢になったとしても、今度はクロス円を中心に円安の動きがドル円をサポートすることも考えられ、膠着した相場展開も想定される。
ドル円は方向感がないのですが、ファンダメンタルズは下がったところでは拾う向きが目立ちます。ただ、テクニカル的には50日移動平均線を割り、上昇の勢いがなくなりつつあります。動意薄の中、ニュースをきっかけに大きく下落するかもしれません。
経済指標一覧(日本時間)
8/13(月)
- 特に重要な経済指標の発表なし
8/14(火)
- 18:00(欧) 4-6月期 四半期域内総生産(GDP)
8/15(水)
- 21:30(米) 7月 小売売上高
8/16(木)
- 21:30(米) 7月 住宅着工件数
8/17(金)
- 18:00(欧) 4月 消費者物価指数(HICP)
ドル円予想レンジ
三井住友銀行
FOREX WEEKLY
予想レンジ:110.50 - 111.50
夏休みモード
- 8 月上旬はマーケット参加者も夏休みで閑散。
- ただし、米中通商摩擦を始め、NAFTA や日米通商協議など通商関連のニュースは多い。
- 来週もマーケットは引き続き夏休みモードだろうが、政治を中心に動きはある。
ただし、ニュースがないわけではない。米中の通商対立が続いているほか、NAFTA 協議、日米通商 協議、と通商分野は進行中である。
米国と中国はチキンゲームに入っている が、持久戦になると米中経済の比較からは米国に分がある。中国経済には米国との貿易摩擦が激化す る以前から不良債権問題や過剰供給など構造的な脆弱性があり、2017 年後半からは経済の拡大スピー ドが鈍っているほか、株式相場はこの貿易摩擦を背景に今年 1 月以降は下落傾向にある。人民元の下落も加速し、金融市場のコントロールは中国の目下の課題である。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:109.00 - 112.00
来週は円堅調展開か、薄商い下の相場急変に注意
来週の外為市場でも、円は堅調な展開が続きそうだ。国内勢の夏季休暇入りで取引は減少する見込みだが、米国発の通商問題に対する警戒感や一部新興国の動揺などを通じ、リスク回避的に円が買われやすいという。一方、目立ってきたのは新興国通貨安。この1週間でトルコリラは9%安、ロシアルーブルが5%安、ブラジルレアルと南アフリカランドも2%超の下げとなった。トルコでは対米関係の悪化や政府の中央銀行に対する圧力、ロシアでは米国による新たな制裁、ブラジルでは10月の大統領選などが懸念材料となっている。
相次ぐ悪材料を織り込む形で、新興国通貨のボラティリティーはじりじりと上昇。合成ボラティリティーは10%後半と、昨年1月以来1年7カ月ぶり高水準に到達した。主要国ボラとの乖離(かいり)率は、欧州債務危機のあった2011年以来の高水準だ。
新興国通貨の下落は各国ごとの問題のみではないとの主張もある。 南アフリカ準備銀行(中央銀行)は前月の声明で、米連邦準備理事会(FRB)が金利を引き上げ、資産買い入れ計画を縮小する中で金融情勢が厳しくなり、通貨ランドが下落していると指摘した。
新興国通貨安は売り圧力が直接、主要通貨へ波及して円の上昇圧力となり得ることに加え、リスクオフムードの高まりを通じて、円高圧力へ転化しやすくなる側面もある。市場は実需を含めてしばらく参加者が少なくなり、動意が乏しくなる見込みだが、「夏枯れかと思いきや、突然動き出すことも多いので警戒が必要」(トレーダー)という。
Klug FX
とれんど捕物帳
予想レンジ:110.00 - 112.00
リスクが沈静化してもドル円は膠着した相場展開か
先週はドル高の流れが継続と予想した。週後半にトルコ通貨危機を発端としたリスク回避のドル高から予想は一見当ったかに思われるが、それがなかったら恐らく今週はドル安であったであろう。そのトルコ通貨危機だが、発端は米国だ。もともとFRBの利上げの影響が色濃く出ていた中、トランプ大統領のトルコへの制裁がそれに火を付けている。トルコリラは今週だけで、対ドルで一時24%急落した。この余波がユーロにも波及し、ユーロドルは心理的節目の1.15ドルを割り込み、6月以降続いていたレンジ下限をブレイクしてしまった格好。
トルコリラは今年に入って対ドルで65%ほど急落している。日本でもトルコリラ建ての金融商品が多く出回っていたが、この手の新興国への投資は常に考えさせられるのだが、二桁の高金利など表向き非常に魅力的ではあるが、通貨安やカントリーリスクを常に頭に入れておかなければならない。販売する業者も必ずリスクを説明しているはずだが、一般投資家のリスクに対する認識の度合いがどの程度浸透しているかは何とも言い難い。
金利好きのフィクストインカム派の人たちにとって、いまは米国へのドル建て投資が一番無難なのかもしれない。
その点でいえば今は、FXのドルロングに伴うスワップ取りは魅力的なのかもしれない。手数料も安いし、いざという時は24時間いつでも逃げられる。レバレッジをあまりかけずにやってみるのも一考かもしれない。
なお、上記のような話をしてなんだが、トランプ政権がドル高の流れを好ましく思っておらず、何らかの圧力をかけたがっているとの噂が一部で広がっている。
さて来週だが、新興国への懸念はもう少し続くのかもしれない。しかし、長期化するとは見ておらず、次第に沈静化して行くであろう。そうなると一旦、巻き戻しの動きも出て、ドル売りが強まる可能性も想定される。夏休みシーズンでもある。
今週はドル高だったものの同時に円高圧力も強まったことから、ドル円はやや上値が重かった。新興国への懸念が沈静化してドル売りが優勢になったとしても、今度はクロス円を中心に円安の動きがドル円をサポートすることも考えられ、膠着した相場展開も想定される。
私見
夏枯れモード
予想レンジ:110.20 - 111.50マーケットはすでに夏枯れモード。オーダーが薄いため、突発的に大きく動くこともあるので注意が必要です。
ドル円は方向感がないのですが、ファンダメンタルズは下がったところでは拾う向きが目立ちます。ただ、テクニカル的には50日移動平均線を割り、上昇の勢いがなくなりつつあります。動意薄の中、ニュースをきっかけに大きく下落するかもしれません。