2025年6月最終週のドル円相場は、米経済指標の強弱混在やトランプ政権による対日関税の示唆を背景に上値の重さを感じさせる展開となった。週末の米雇用統計は強弱入り混じる内容だったが、FRBの利下げ観測は依然として根強く、相場は方向感を欠いた。 来週(7月7日〜11日)は、 米...
2025年6月最終週のドル円相場は、米経済指標の強弱混在やトランプ政権による対日関税の示唆を背景に上値の重さを感じさせる展開となった。週末の米雇用統計は強弱入り混じる内容だったが、FRBの利下げ観測は依然として根強く、相場は方向感を欠いた。
来週(7月7日〜11日)は、米相互関税の停止期限や米CPIなどインフレ関連指標、日銀要人発言が相場のカギを握る展開となるだろう。
今週のドル円相場を振り返る(6月30日〜7月4日)
週初のドル円は144.29で寄り付き。月末・期初の決済フローから円買いが優勢となり、一時143円台を割り込む場面があった。7月1日の日銀短観が市場予想を上回る内容となり円買いが進んだものの、その後は米指標の上振れや米金利上昇を受けてドル円は144円台を回復した。
注目の米雇用統計(7月3日発表)は以下の結果だった:
- 非農業部門雇用者数(NFP):+14.7万人(予想:+10.6万人)
- 失業率:4.1%(前月4.2%から低下)
- 平均時給:前年同月比+3.7%(前回3.8%)
雇用者数の上振れはドル買い要因となり、ドル円は一時145円台前半まで急伸したがその後失速している。トランプ大統領が日本への自動車関税を30〜35%に引き上げる可能性に言及したことが、円買い材料としても意識されたとみられる。
来週(7月7日〜11日)の注目イベントとドル円見通し
① 米「相互関税」一時停止措置の期限(7月9日)
7月9日には米国が発表していた「相互関税」の上乗せ停止措置が期限を迎える。ベッセント米財務長官は交渉継続の可能性を示唆しているものの、トランプ大統領は「延長には否定的」と発言している。
仮に関税再発動となれば株安とともに一時的な円高が想定されるが国内景気への悪影響が懸念される中では円買いの動きも限定的である可能性もある。
② 日銀要人発言
今週「タカ派」的と評価された高田日銀審議委員の講演を受け、来週は植田総裁や他幹部の発言に注目が集まる。とくに「QT(国債買入減額)のペース」や次回利上げ時期に関するコメントが、円相場の方向性を左右する可能性がある。
テクニカル見通しと予想レンジ
雇用統計の発表後ドル円は急騰し144円台を回復したものの、米休場ということもありその後は動きがない展開のまま144.49で越週した。長期足は未だ下方向の流れは続いているものの、週初は休場明けの米勢の動きに注目したい。
レンジ内で方向感のない動きが継続している。テクニカル的には、5/27安値である142.10が下値として引き続き意識されるだろう。高値は145.98(6/23高値の148.02からの61.8%戻し)あたりが戻り高値としては意識されそうだ。
週前半は押し目を拾いつつも、7/9にかけて動きが読めないことから大きなポジションの偏り(一方的な動き)は起こりづらいと思われる。
まとめ:リスクイベント多発で荒い値動きに警戒
7月第2週は米相互関税問題とCPI発表という大きなイベントが控えている。米金利の方向性が定まらない中で関税発動なら株安・円高、回避ならドル高再開と、シナリオは両睨みだ。市場の神経質な動きは継続しそうだ。