2018年7月第1週(7月2日~6日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2018年7月第1週(7月2日~6日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
対中投資制限は対象を中国に限定せずに現行の投資制限を厳格化して適用する見込みとなり、米中衝突への警戒感はやや和らいだが、米中の通商摩擦が長引くうちに中国経済へのネガティブな影響が強く意識され、足元では中国株の下落が著しい。
米中通商摩擦をきっかけに注目されている中国およびエマージング諸国の経済の脆弱性は米中通商摩擦への懸念が後退しても、消えない恐れがある。
このため、マーケットもリスクオフからリスクオンへ 180 度転換できるとは限らないだろう。明るいシナリオが実現した場合にドル円が 111 円台へ上昇する可能性がある一方で、特に米国以外の株式相場については必ずしも大幅に反発するとは限らないだろう。
また、中国の景気減速、米国の景気減速の兆しは市場の不安材料だ。
人民元の下落は、対米貿易戦争への懸念と並んで、株価の下押し材料となっている。29日の欧州株式市場では、人民元安が米国との貿易摩擦の悪化を連想させ、全般に軟調となった。
原油価格の高止まりも米景気を冷やしかねない懸念材料だ。
2018年の予想レンジも102~120円を予想している。いまのところ見た目には当たっているように見えるが中身は見事にハズレている。レンジは偶然であろう。
春以降、日本のインフレ期待が盛り上がってくると見ていたが、いまだその鐘は鳴らず、デフレすれすれの状況だ。これでは日銀の出口戦略検討は無理だ。
また、FRBが思ったよりも強気であることも想定外である。先日のFOMCでは年内あと2回の利上げの可能性を示唆している。2018年トータルで4回の利上げを見込んでいる。
悪天候の影響もあるが、第1四半期の景気減速も想定外ではあった。ユーロ圏はそこからなかなか回復の兆しを見せず、ECBも想定外に苦戦しているようだ。
さて来週だが、ドル円はチャート的には21日線でしっかりサポートされ、200日線を再び回復。その21日線も上向き始めている。テクニカル的にはもう一段の上値も期待できそうなチャートの形状になっているが、来週も貿易問題が尾を引くようなら上値は重そうな気配もある。ただ、下値も堅そうな事から200日線を挟んだレンジといった予想が一番無難なのであろう。
テクニカル的にも、200日移動平均線を上抜けて越週しており、来週は5月21日高値を試す展開もあるかもしれません。
とはいえ、その水準では様々な思惑も出てくるため、上値を追っていく展開は考えにくいです。狭いレンジで7月がスタートするのではないでしょうか。
そろそろバケーションの時期を控えた、夏枯れ相場、への警戒も必要です。特に8月はもともと下方向へのリスクが高まるので、今月はポジション管理が重要になる月になると思います。
ドル円予想 : 110.00 - 111.30
経済指標一覧(日本時間)
7/2(月)
- 【休場】加・香港
- 08:50(日) 4-6月期 日銀短観・四半期大企業製造業業況判断
- 23:00(米) 6月 ISM製造業景況指数
7/3(火)
- 13:30(豪) 豪準備銀行(中央銀行)、政策金利発表
- 23:00(米) 5月 製造業新規受注
7/4(水)
- 【休場】米
- 重要な経済指標の発表なし
7/5(木)
- 21:15(米) 6月 ADP雇用統計
- 23:00(米) 6月 ISM非製造業景況指数
- 27:00(米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨
7/6(金)
- 21:30(加) 6月 新規雇用者数、失業率
- 21:30(米) 6月 非農業部門雇用者数変化(雇用統計)
- 21:30(米) 6月 失業率、平均時給
ドル円予想レンジ
三井住友銀行
FOREX WEEKLY
予想レンジ:110.00 - 111.30
米中通商摩擦への警戒は和らぐか
- 米国による中国の対米投資制限については強硬策は避けられる見込み。
- 6 日の米国の対中関税の発動とそれに対する中国の対応は、未だ不透明感があるが、米中通商摩擦への警戒感は和らぐ方向か。
- 他方、中国経済やエマージング諸国の脆弱性に対する懸念は残りそう。
- しかし、米国経済は底固く、ドル円は上昇が予想される。ドル高にやや歯止めがかかりそうだ。
対中投資制限は対象を中国に限定せずに現行の投資制限を厳格化して適用する見込みとなり、米中衝突への警戒感はやや和らいだが、米中の通商摩擦が長引くうちに中国経済へのネガティブな影響が強く意識され、足元では中国株の下落が著しい。
米中通商摩擦をきっかけに注目されている中国およびエマージング諸国の経済の脆弱性は米中通商摩擦への懸念が後退しても、消えない恐れがある。
このため、マーケットもリスクオフからリスクオンへ 180 度転換できるとは限らないだろう。明るいシナリオが実現した場合にドル円が 111 円台へ上昇する可能性がある一方で、特に米国以外の株式相場については必ずしも大幅に反発するとは限らないだろう。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:109.00 - 111.50
慎重に111円を試す可能性、定着するかは米中貿易摩擦次第
来週の外為市場で、ドル/円は慎重に111円台を試すことになりそうだ。ただ、世界の株式市場が不安定化するなか、米国が対中制裁関税を発動する6日までに落としどころを見つけられるか依然不透明であり、111円台での定着は厳しそうだ。また、中国の景気減速、米国の景気減速の兆しは市場の不安材料だ。
人民元の下落は、対米貿易戦争への懸念と並んで、株価の下押し材料となっている。29日の欧州株式市場では、人民元安が米国との貿易摩擦の悪化を連想させ、全般に軟調となった。
原油価格の高止まりも米景気を冷やしかねない懸念材料だ。
Klug FX
とれんど捕物帳
予想レンジ:109.50 - 111.50
上半期の振返り 「レンジが当たればいいんだ!」と言い聞かせて
今週で上半期も終了するが、少しだけ振り返ってみる。自身が昨年末に立てた今年の見通しは、各国中銀が出口戦略の動きを加速させるが、「新鮮味」というキーワードから最も出口戦略に遠い日銀に焦点があたり円高を予想した。2018年の予想レンジも102~120円を予想している。いまのところ見た目には当たっているように見えるが中身は見事にハズレている。レンジは偶然であろう。
春以降、日本のインフレ期待が盛り上がってくると見ていたが、いまだその鐘は鳴らず、デフレすれすれの状況だ。これでは日銀の出口戦略検討は無理だ。
また、FRBが思ったよりも強気であることも想定外である。先日のFOMCでは年内あと2回の利上げの可能性を示唆している。2018年トータルで4回の利上げを見込んでいる。
悪天候の影響もあるが、第1四半期の景気減速も想定外ではあった。ユーロ圏はそこからなかなか回復の兆しを見せず、ECBも想定外に苦戦しているようだ。
さて来週だが、ドル円はチャート的には21日線でしっかりサポートされ、200日線を再び回復。その21日線も上向き始めている。テクニカル的にはもう一段の上値も期待できそうなチャートの形状になっているが、来週も貿易問題が尾を引くようなら上値は重そうな気配もある。ただ、下値も堅そうな事から200日線を挟んだレンジといった予想が一番無難なのであろう。
私見
ドル円は、上値は思いものの、下げは限定的である相場が続きました。テクニカル的にも、200日移動平均線を上抜けて越週しており、来週は5月21日高値を試す展開もあるかもしれません。
とはいえ、その水準では様々な思惑も出てくるため、上値を追っていく展開は考えにくいです。狭いレンジで7月がスタートするのではないでしょうか。
そろそろバケーションの時期を控えた、夏枯れ相場、への警戒も必要です。特に8月はもともと下方向へのリスクが高まるので、今月はポジション管理が重要になる月になると思います。
ドル円予想 : 110.00 - 111.30