2018年5月第5週(5月28日~6月1日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2018年5月第5週(5月28日~6月1日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
ドル高と並存しにくいドル円でのドル高
来週も、依然としてリスク回避的な雰囲気が燻り続ける公算が大きい。4 月以降、ほぼ一本調子でのドル高円安が続いた後だけに、来週は上値が重かったり、下値不安が意識されそうだ。
北朝鮮情勢に関し、トランプ大統領は、北朝鮮に宛てた書簡において、引き続き首脳会談開催の可能性に含みを残している。このまま態度を硬化させていくわけでもなさそうだ。
一方、来週もドル円相場への重しとして警戒を要するのが、トランプ政権による保護主義への傾斜と米国の金融政策正常化の副作用としての新興国市場の不安定化だ。
ドルは3月末に104円台をつけた後、ほぼ一本調子で上昇してきたこともあり、通商問題や政治リスクが「スピード調整のきっかけに使われた」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト)とみられる。
一方、109円を割り込んでも下げの勢いが強まらなかったことで、108円台での底堅さも指摘されている。「原油価格の上昇で国内輸入企業のドル買い需要が増えていることや、クロスボーダーM&A絡みの思惑も下値を支えそうだ」(同)という。
テクニカル的には、3月安値から5月高値までの上昇のフィボナッチリトレースメント38.2%押しが108.80円付近、50%押しが108円ちょうど付近にそれぞれあり、下値めどとして意識されている。
ユーロは24日に127.72円まで下落し、昨年8月以来の安値をつけた。
イタリアの連立政権に対する不透明感や、低調なユーロ圏の経済指標で欧州中央銀行(ECB)の金融政策正常化の動きが後ずれするとの思惑などが重しとなっているが、市場からは「ユーロは売られ過ぎの反動で持ち直しそう。イタリアの方も徐々に懸念が和らいでいく方向になるだろう」(ブローカー)との見方が出ていた。
5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、6月12-13日のFOMCでの追加利上げが示唆された。31日に発表される4月のインフレ率、6月1日に発表される5月の雇用統計では、ネガティブサプライズに警戒することになる。ポジティブサプライズの場合は、5月のFOMC声明から導入された「対称的(symmetric)インフレ目標」により、利上げ回数を増やすことはないことで、市場への影響はないと思われる。
ユーロドルは軟調推移か。経済的な売り要因として、ユーロ圏の景況感低迷やインフレ鈍化を受けて、欧州中央銀行(ECB)による資産購入プログラムが9月以降も継続される可能性が高まっていることが挙げられる。政治的な売り要因として、イタリアで同盟と五つ星運動による反欧州連合(EU)政権が誕生したことが挙げられる。ユーロ円は、朝鮮半島に絡む地政学リスクや、イタリア新連立政権・欧露関係悪化に対する警戒感で軟調な推移か。
その場合、ドル円はしれっとまた上昇を続けるかもしれません。
そうなると、ここでショートの流れに乗るのは短絡的すぎる、と個人的には思っています。
チャート的には、確かに良くない下落の仕方をしているように見えます。クロス円も弱く、少し揉み合いの時間が続くかもしれませんが、雇用統計に向けて、どのような動きになるのかに注視する週になりそうです。
ドル円予想 : 108.50 - 111.00
経済指標一覧(日本時間)
5/28(月)
- 休場:米国、英国
- 特に重要な経済指標の発表なし
5/29(火)
- 22:00(米)3月 ケース・シラー米住宅価格指数
5/30(水)
- 07:45(NZ) 1-3月期 四半期小売売上高指数
- 21:15(米) 5月 ADP雇用統計
- 21:30(米) 1-3月期 四半期実質国内総生産
- 23:00(加) カナダ銀行 政策金利
5/31(木)
- 18:00(欧) 5月 消費者物価指数
- 21:30(加) 1-3月期 四半期国内総生産
- 21:30(加) 3月 月次国内総生産
- 21:30(米) 4月 個人消費支出
- 22:45(米) 5月 シカゴ購買部協会景気指数
6/1(金)
- 21:30(米) 5月 非農業部門雇用者数変化(雇用統計),失業率,平均時給
- 23:00(米) 5月 ISM製造業景況指数
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Weekly
予想レンジ:107.75 - 110.75
ドル高と並存しにくいドル円でのドル高
来週も、依然としてリスク回避的な雰囲気が燻り続ける公算が大きい。4 月以降、ほぼ一本調子でのドル高円安が続いた後だけに、来週は上値が重かったり、下値不安が意識されそうだ。北朝鮮情勢に関し、トランプ大統領は、北朝鮮に宛てた書簡において、引き続き首脳会談開催の可能性に含みを残している。このまま態度を硬化させていくわけでもなさそうだ。
一方、来週もドル円相場への重しとして警戒を要するのが、トランプ政権による保護主義への傾斜と米国の金融政策正常化の副作用としての新興国市場の不安定化だ。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:108.00 - 111.00
ドル上値重い、下値の堅さも共存
来来週の外為市場で、ドル/円は上値の重さと下値の堅さが共存しそうだ。通商問題や地政学リスクへの警戒が残る一方、ドル買い需要も根強い。米金利や株価の動きをにらみながらレンジ内で上下するとみられる。ドルは3月末に104円台をつけた後、ほぼ一本調子で上昇してきたこともあり、通商問題や政治リスクが「スピード調整のきっかけに使われた」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト)とみられる。
一方、109円を割り込んでも下げの勢いが強まらなかったことで、108円台での底堅さも指摘されている。「原油価格の上昇で国内輸入企業のドル買い需要が増えていることや、クロスボーダーM&A絡みの思惑も下値を支えそうだ」(同)という。
テクニカル的には、3月安値から5月高値までの上昇のフィボナッチリトレースメント38.2%押しが108.80円付近、50%押しが108円ちょうど付近にそれぞれあり、下値めどとして意識されている。
ユーロは24日に127.72円まで下落し、昨年8月以来の安値をつけた。
イタリアの連立政権に対する不透明感や、低調なユーロ圏の経済指標で欧州中央銀行(ECB)の金融政策正常化の動きが後ずれするとの思惑などが重しとなっているが、市場からは「ユーロは売られ過ぎの反動で持ち直しそう。イタリアの方も徐々に懸念が和らいでいく方向になるだろう」(ブローカー)との見方が出ていた。
トレーダーズ・ウェブ
週間為替展望
予想レンジ:106.00 - 111.00
朝鮮半島の地政学リスクで円買い
ドル円は軟調推移か。トランプ大統領が6月12日に予定されていた米朝首脳会談の中止を決断したことで、朝鮮半島の地政学リスク回避の円買い圧力が強まりつつある。5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、6月12-13日のFOMCでの追加利上げが示唆された。31日に発表される4月のインフレ率、6月1日に発表される5月の雇用統計では、ネガティブサプライズに警戒することになる。ポジティブサプライズの場合は、5月のFOMC声明から導入された「対称的(symmetric)インフレ目標」により、利上げ回数を増やすことはないことで、市場への影響はないと思われる。
ユーロドルは軟調推移か。経済的な売り要因として、ユーロ圏の景況感低迷やインフレ鈍化を受けて、欧州中央銀行(ECB)による資産購入プログラムが9月以降も継続される可能性が高まっていることが挙げられる。政治的な売り要因として、イタリアで同盟と五つ星運動による反欧州連合(EU)政権が誕生したことが挙げられる。ユーロ円は、朝鮮半島に絡む地政学リスクや、イタリア新連立政権・欧露関係悪化に対する警戒感で軟調な推移か。
私見
ドル円は一本調子で上昇した反動で、調整されています。少し下がると地政学的リスクを挙げ、「円高」と騒ぐ声も多いですが、米朝首脳会談については、アメリカ側が書簡で中止を述べていますが、可能性についても明言されています。北朝鮮も最終的にはこれ以上の事態の悪化は破滅しか無いということを知っているはずなので、事態を悪化させることはないというのがどこかでコンセンサスとしてあるのかもしれません。その場合、ドル円はしれっとまた上昇を続けるかもしれません。
そうなると、ここでショートの流れに乗るのは短絡的すぎる、と個人的には思っています。
チャート的には、確かに良くない下落の仕方をしているように見えます。クロス円も弱く、少し揉み合いの時間が続くかもしれませんが、雇用統計に向けて、どのような動きになるのかに注視する週になりそうです。
ドル円予想 : 108.50 - 111.00