2018年5月第3週(5月21日~25日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2018年5月第3週(5月21日~25日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
依然、戻り高値試す時間帯か
円相場は主要通貨の中でVIX指数と最も正の相関が高い。この為、ドルの長期金利が上昇し、ドル高圧力が高まっても、それが株式相場の急落といったリスク回避色を強め、VIX指数が上昇する場合、ドル高を上回る円高圧力が加わる。
この場合、ドル円は下落する傾向が強い。しかし、その米S&P500 株価指数の予想PERをみると、足もとでは過去平均(18 倍)を下回る 17 倍台前半に低下している。この為、しばらくの間、米長期金利上昇による株式相場への下押し圧力は限定的と考えられる。
ドル金利の上昇が、素直にドル高に波及しやすい時間帯がしばらく続きそうだ。
加えて、ECB(欧州中央銀行)の金融政策正常化機運もやや萎んでいる。米FRBの利上げは 6月が確実視されている上、9月利上げの織り込みも高まりつつある。相対的なドルの人気度合いが復調する兆しもうかがえ、来週もドルは堅調に推移しそうだ。
円に目を転じても、根底での円売り需要は依然として強いと推察される。今週は 110 円大台にしっかりと乗せた 15 日、110 円台後半へと上値を切り上げた 17 日のいずれもドル買いが強まったのは欧州時間に入ってからだ。つまり、本邦勢の円売り需要がドル円を下支えしてはいるが、一段とドルを買い上げている主体は本邦勢ではないだろう。
一方、リスク回避姿勢の高まりに依然として要注意だ。特に、新興国では先の為替相場のほか、債券相場、株式相場ともに軟調な値動きが続いている。
新興国通貨が続落すると、ドル高がさらに助長される公算が大きいが、同時に先進国の株式相場が益出しの売り圧力に晒されやすい。VIX指数が上昇すれば、ドル高を円高が上回る結果、ドル円は反落しよう。加えてドル、円とも強含めば、クロス円に強い下押し圧力が加わる為、留意が必要だろう。
一方で、金利上昇が株価の下げにつながったり、新興国市場の動揺を引き起こしたりすれば、リスク回避的に円が買われる可能性もある。イタリアの連立協議や北朝鮮、イラン情勢といった政治問題も、懸念が表面化すれば市場に小さくない影響を及ぼす可能性がある。
最大の注目点は米金利の行方。7年ぶり高水準をつけた10年債利回りと歩調を合わせる形で、主要通貨に対するドルの値動きを示すドル指数は年初来高値を奪回。テクニカル的に上抜けた米金利は一段高の公算ありとの見方が多く、しばらくドルの支えとなりそうだ。
最近の市場ではリスク回避時にドルと円がともに買われることが多く「結果として値動きが他通貨ペアより悪くなり、変動率の低いドル/円を手がける参加者は減少ぎみ」(邦銀)という。短期筋はユーロ/円などのクロス円に活路を見出そうとしている。
ここに来て新興国通貨の売りが目立っており、これもドル買いをサポートしている。米10年債利回りは3%台を回復しており、気が付けばドルは高金利通貨となっている。もちろん、新興国通貨のほうが利回りは高いが、流動性やカントリーリスクなどを考慮すると、ドル資産のほうが魅力的なのであろう。この流れはしばらく続く可能性も高い。
さて来週だが、足元のドル高に過熱感が出ていることは確かだ。ただ、今週の動きを見ると、ユーロ圏や英国など米国以外の国のデータ改善を確認しなければ、流れに変化は出ないのかもしれない。
テクニカル的にも、200日移動平均線を上抜けたことで、上昇にはずみが付きそうなチャートとなっていますが、一旦のメドは 112 円近辺の下落開始時に下抜けたサポートラインと、長らく抵抗線になっているトレンドライン。この攻防を見届ける週になるかもしれません。
ドル円予想 : 109.00 - 112.00
経済指標一覧(日本時間)
5/21(月)
- 07:45(NZ) 1-3月期 四半期小売売上高指数
5/22(火)
- 特に重要な経済指標の発表なし
5/23(水)
- 23:00(米) 4月 新築住宅販売件数
- 27:00(米) FOMC 議事要旨
5/24(木)
- 未定(南ア) 南アフリカ準備銀行(中央銀行)政策金利
- 15:00(独) 1-3月期 国内総生産(GDP、改定値)
5/25(金)
- 17:30(英) 1-3月期 四半期国内総生産(GDP、改定値)
- 22:00(米) パウエル FRB 議長 発言
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Weekly
予想レンジ:109.00 - 112.00
依然、戻り高値試す時間帯か
円相場は主要通貨の中でVIX指数と最も正の相関が高い。この為、ドルの長期金利が上昇し、ドル高圧力が高まっても、それが株式相場の急落といったリスク回避色を強め、VIX指数が上昇する場合、ドル高を上回る円高圧力が加わる。この場合、ドル円は下落する傾向が強い。しかし、その米S&P500 株価指数の予想PERをみると、足もとでは過去平均(18 倍)を下回る 17 倍台前半に低下している。この為、しばらくの間、米長期金利上昇による株式相場への下押し圧力は限定的と考えられる。
ドル金利の上昇が、素直にドル高に波及しやすい時間帯がしばらく続きそうだ。
加えて、ECB(欧州中央銀行)の金融政策正常化機運もやや萎んでいる。米FRBの利上げは 6月が確実視されている上、9月利上げの織り込みも高まりつつある。相対的なドルの人気度合いが復調する兆しもうかがえ、来週もドルは堅調に推移しそうだ。
円に目を転じても、根底での円売り需要は依然として強いと推察される。今週は 110 円大台にしっかりと乗せた 15 日、110 円台後半へと上値を切り上げた 17 日のいずれもドル買いが強まったのは欧州時間に入ってからだ。つまり、本邦勢の円売り需要がドル円を下支えしてはいるが、一段とドルを買い上げている主体は本邦勢ではないだろう。
一方、リスク回避姿勢の高まりに依然として要注意だ。特に、新興国では先の為替相場のほか、債券相場、株式相場ともに軟調な値動きが続いている。
新興国通貨が続落すると、ドル高がさらに助長される公算が大きいが、同時に先進国の株式相場が益出しの売り圧力に晒されやすい。VIX指数が上昇すれば、ドル高を円高が上回る結果、ドル円は反落しよう。加えてドル、円とも強含めば、クロス円に強い下押し圧力が加わる為、留意が必要だろう。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:109.00 - 112.00
ドル高継続か、新興国リスクに警戒
来週の外為市場では、米金利高を支えとするドルの堅調展開が続きそうだ。一方で、金利上昇が株価の下げにつながったり、新興国市場の動揺を引き起こしたりすれば、リスク回避的に円が買われる可能性もある。イタリアの連立協議や北朝鮮、イラン情勢といった政治問題も、懸念が表面化すれば市場に小さくない影響を及ぼす可能性がある。
最大の注目点は米金利の行方。7年ぶり高水準をつけた10年債利回りと歩調を合わせる形で、主要通貨に対するドルの値動きを示すドル指数は年初来高値を奪回。テクニカル的に上抜けた米金利は一段高の公算ありとの見方が多く、しばらくドルの支えとなりそうだ。
最近の市場ではリスク回避時にドルと円がともに買われることが多く「結果として値動きが他通貨ペアより悪くなり、変動率の低いドル/円を手がける参加者は減少ぎみ」(邦銀)という。短期筋はユーロ/円などのクロス円に活路を見出そうとしている。
KlugFX
とれんど捕物帳
予想レンジ:110.00 - 112.00
過熱気味もドルは来週も底堅い展開か
今週もドル買いの流れが加速し、ドル円は111円台まで一時上昇した。米国債利回りの上昇が続き、イールドカーブのフラット化も解消に向かいつつある。ここに来て新興国通貨の売りが目立っており、これもドル買いをサポートしている。米10年債利回りは3%台を回復しており、気が付けばドルは高金利通貨となっている。もちろん、新興国通貨のほうが利回りは高いが、流動性やカントリーリスクなどを考慮すると、ドル資産のほうが魅力的なのであろう。この流れはしばらく続く可能性も高い。
さて来週だが、足元のドル高に過熱感が出ていることは確かだ。ただ、今週の動きを見ると、ユーロ圏や英国など米国以外の国のデータ改善を確認しなければ、流れに変化は出ないのかもしれない。
私見
気がつけば 8 週連続の陽線となり、陽線の数だけでいえば 2016 年の米大統領選挙直後のドル高となっています。ユーロ、ポンド、豪ドルが以前より弱くなってきたこともドル高のサポートとなっている印象です。テクニカル的にも、200日移動平均線を上抜けたことで、上昇にはずみが付きそうなチャートとなっていますが、一旦のメドは 112 円近辺の下落開始時に下抜けたサポートラインと、長らく抵抗線になっているトレンドライン。この攻防を見届ける週になるかもしれません。
ドル円予想 : 109.00 - 112.00