2018年3月第4週(3月19日~23日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2018年3月第4週(3月19日~23日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
上下の決め手に乏しい時間帯が続く
3 月 20~21 日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、金融危機後 6 度目の利上げが決定される見込みだ。しかし、利上げは織り込み済みであり、市場の注目は、昨年可決した税制改革や足もとの経済情勢を踏まえた今後の経済見通しや利上げペース(ドットチャートの中央値1や加重平均値)、そしてパウエル議長の記者会見に集まる。
為替市場では、一旦ドル高の反応がみられるが、総じて想定の範囲内と解釈され、ドル高は短時間かつ程度も限られよう。逆に、中央値や加重平均値のいずれも、昨年 12 月に比べ、25bp前後の大幅な引き上げとなる可能性もゼロではない(リスクシナリオ)。この場合、利上げペースの加速を嫌気し、米国の株式市場の不安定化を起点に、市場のリスク回避色が強まると考えられる。
今週、多くの悪材料から軟調に推移したドル円が、105 円台では下げ渋っている一因として、円売りフローの存在が挙げられよう。また、ドル円やユーロドル、ポンドドルのいずれをみても、短期的なドル調達需要は強いようだ。こうした場面では、総じて為替直物市場でもドルが小じっかりと推移することが多く、ドル円での底堅さにもつながろう。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが確実視され、参加者の政策金利見通しの分布を示す「ドット・チャート」が注目される。
来週は重要イベントが目白押し。日本の国会では19日に国有地売却を巡る財務省の文書書き換え問題を集中審議する。「安倍政権の支持率が低下し、『アベノミクス』継続への懸念が強まれば株安・円高圧力になる」(市場筋)との見方が多い。
米国では市場参加者から「良識派」とみられていたコーン国家経済会議(NEC)委員長が辞任。今週はティラーソン国務長官が更迭され、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の解任観測も一部で伝えられている。経済や安全保障を担う重要閣僚の交代が相次ぎ、政策の先行きが不透明になっている。
米国の保護主義への傾斜も鮮明になりつつある。19─20日に行われる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、米中対立への警戒感が高まる流れとなれば、リスク回避的に円が買われやすい。
ドルはチャート的には3月2日安値105.24円、心理的節目105.00円などが次の下値めどとして意識される。ドル安/円高の材料が重なれば、これらを下抜け104円台へ下落する可能性もある。ただ、下値では国内勢からドル買いも入りそうで、「一気に下方向には走らない」(外為アナリスト)との見方もある。
来週は英ポンドが相場の変動要因になる可能性もある。欧州連合(EU)首脳会議でブレグジット(英国のEU離脱)後の激変緩和措置である「移行期間」に合意できれば急伸、合意できなければ下落するとみられている。22日には英国で金融政策も発表される。
週央に107円台を回復したときは反転の狼煙とも思われたが、トランプ大統領に消火されてしまったといった印象だ。
株式市場の上値が重くなるなどリスク回避の円高の動きがドル円を圧迫している。ただ、ドル自体は底堅さも出てきたように思われる。
さて来週だが、FOMCが予定されている。利上げが確実視されているが、そのこと自体は既に織り込み済みといった状況だ。注目はFOMCメンバーの年内の金利見通しとパウエルFRB議長の初の会見であろう。
前回1月末のFOMCからの指標を見ると、景気の底堅さは確認できるものの、足元のインフレに関してはまだ上昇の兆候を見せていない。貿易戦争への懸念も高まる中、現時点ではFOMCメンバーの年内の金利見通し(ドット・プロット)は3回で変わらずと見ている。今回のFOMCで利上げが実施された場合、あと2回が中央値になるのではと予想している。
ただ、議長会見に関しては、景気の先行きに自信を示すであろう。インフレに関しては証拠を待ちたい姿勢を示すかもしれないが、少しタカ派よりになることも想定される。
来週もドル高のシナリオを想定したい。ドル円は踏ん張り処だが、引き続き反転期待を継続。
ただ、下がったところでは買い戻しも多く、底堅いとも言えます。
FOMC に向けて一定の上昇があるかもしれませんが、その後もそれが続くかどうかは怪しく、しばらくは方向感のない展開になりそうです。引きつけて入り、こまめに利確、という戦略になるでしょうか。
ドル円予想 : 105.00 - 107.80
経済指標一覧(日本時間)
3/19(月)
- 重要な経済指標の発表なし
3/20(火)
- 未定(米) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 一日目
- 09:30(豪) 豪準備銀行 金融政策会合議事要旨公表
- 18:30(英) 2月 消費者物価指数(CPI),小売物価指数(RPI)
3/21(水)
- 未定(英) 英中銀金融政策委員会(MPC) 一日目
- 18:30(英) 2月 雇用統計
- 27:00(米・USD) 米連邦公開市場委員会(FOMC) 政策金利発表
- 27:30(米・USD) パウエル FRB 議長 定例記者会見
3/22(木)
- 05:00(NZ・NZD) ニュージーランド準備銀行(RBNZ) 政策金利発表
- 09:30(豪) 2月 雇用統計
- 21:00(英・GBP) イングランド銀行(BOE) 政策金利発表
- 21:00(英) 英中銀資産買取プログラム規模
- 21:00(英) 英中銀金融政策委員会(MPC) 議事要旨
3/23(金)
- 08:30(日・JPY) 2月 全国消費者物価指数(CPI)
- 23:00(米・USD) 2月 新築住宅販売件数
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Weekly
予想レンジ:104.75 - 107.75
上下の決め手に乏しい時間帯が続く
3 月 20~21 日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催され、金融危機後 6 度目の利上げが決定される見込みだ。しかし、利上げは織り込み済みであり、市場の注目は、昨年可決した税制改革や足もとの経済情勢を踏まえた今後の経済見通しや利上げペース(ドットチャートの中央値1や加重平均値)、そしてパウエル議長の記者会見に集まる。為替市場では、一旦ドル高の反応がみられるが、総じて想定の範囲内と解釈され、ドル高は短時間かつ程度も限られよう。逆に、中央値や加重平均値のいずれも、昨年 12 月に比べ、25bp前後の大幅な引き上げとなる可能性もゼロではない(リスクシナリオ)。この場合、利上げペースの加速を嫌気し、米国の株式市場の不安定化を起点に、市場のリスク回避色が強まると考えられる。
今週、多くの悪材料から軟調に推移したドル円が、105 円台では下げ渋っている一因として、円売りフローの存在が挙げられよう。また、ドル円やユーロドル、ポンドドルのいずれをみても、短期的なドル調達需要は強いようだ。こうした場面では、総じて為替直物市場でもドルが小じっかりと推移することが多く、ドル円での底堅さにもつながろう。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:104.50 - 107.50
上値追いに慎重、イベント目白押し
来週の外為市場で、ドル/円は日米の政治リスクや米国が引き起こす貿易摩擦などに対する懸念が根強く、上値追いに慎重となりそうだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)では利上げが確実視され、参加者の政策金利見通しの分布を示す「ドット・チャート」が注目される。
来週は重要イベントが目白押し。日本の国会では19日に国有地売却を巡る財務省の文書書き換え問題を集中審議する。「安倍政権の支持率が低下し、『アベノミクス』継続への懸念が強まれば株安・円高圧力になる」(市場筋)との見方が多い。
米国では市場参加者から「良識派」とみられていたコーン国家経済会議(NEC)委員長が辞任。今週はティラーソン国務長官が更迭され、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)の解任観測も一部で伝えられている。経済や安全保障を担う重要閣僚の交代が相次ぎ、政策の先行きが不透明になっている。
米国の保護主義への傾斜も鮮明になりつつある。19─20日に行われる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、米中対立への警戒感が高まる流れとなれば、リスク回避的に円が買われやすい。
ドルはチャート的には3月2日安値105.24円、心理的節目105.00円などが次の下値めどとして意識される。ドル安/円高の材料が重なれば、これらを下抜け104円台へ下落する可能性もある。ただ、下値では国内勢からドル買いも入りそうで、「一気に下方向には走らない」(外為アナリスト)との見方もある。
来週は英ポンドが相場の変動要因になる可能性もある。欧州連合(EU)首脳会議でブレグジット(英国のEU離脱)後の激変緩和措置である「移行期間」に合意できれば急伸、合意できなければ下落するとみられている。22日には英国で金融政策も発表される。
Klug FX
とれんど捕物帳
予想レンジ:105.00 - 108.50
ドル自体は底堅さも見られているのだが
結局、今週もドル円は上がらず、年初来の安値圏での取引が続いている。週央に107円台を回復したときは反転の狼煙とも思われたが、トランプ大統領に消火されてしまったといった印象だ。
株式市場の上値が重くなるなどリスク回避の円高の動きがドル円を圧迫している。ただ、ドル自体は底堅さも出てきたように思われる。
さて来週だが、FOMCが予定されている。利上げが確実視されているが、そのこと自体は既に織り込み済みといった状況だ。注目はFOMCメンバーの年内の金利見通しとパウエルFRB議長の初の会見であろう。
前回1月末のFOMCからの指標を見ると、景気の底堅さは確認できるものの、足元のインフレに関してはまだ上昇の兆候を見せていない。貿易戦争への懸念も高まる中、現時点ではFOMCメンバーの年内の金利見通し(ドット・プロット)は3回で変わらずと見ている。今回のFOMCで利上げが実施された場合、あと2回が中央値になるのではと予想している。
ただ、議長会見に関しては、景気の先行きに自信を示すであろう。インフレに関しては証拠を待ちたい姿勢を示すかもしれないが、少しタカ派よりになることも想定される。
来週もドル高のシナリオを想定したい。ドル円は踏ん張り処だが、引き続き反転期待を継続。
私見
ドル円は上昇できずに失速、日米の政治的リスクも嫌気された展開となっています。ただ、下がったところでは買い戻しも多く、底堅いとも言えます。
FOMC に向けて一定の上昇があるかもしれませんが、その後もそれが続くかどうかは怪しく、しばらくは方向感のない展開になりそうです。引きつけて入り、こまめに利確、という戦略になるでしょうか。
ドル円予想 : 105.00 - 107.80