2018年2月第5週から3月第1週(2月26日~3月2日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2018年2月第5週から3月第1週(2月26日~3月2日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
根強い円高圧力は継続か
一時に比べて低下したとは言え、米国のVIX指数は 2 月 2 日以前の水準に戻り切っていない。市場参加者の間に相応の緊張が残っている。不急の取引は手控えられよう。
日本で言えば、それは証券投資が該当する。特に、米長期金利の上昇(債券相場の下落)を受け、本来なら潜在的な円安材料となる対外証券投資が手控えられている。そればかりか、ここ 3 週間では、約 2 兆 3,850 億円もの中長期債の処分超を記録した上、株式・投資ファンド持分の処分も目立ってきた。
足もとでは寧ろ円買い圧力を高めている可能性すらある。かねて指摘の通り、2 月から 3 月中旬にかけ、本邦では経常黒字に伴う円転需要が嵩む時期であり、こちらは文字通り、経常的に発生する。当面、緩やかな円高圧力が加わりやすい時間帯であるとの基本認識が必要だろう。
3月に入ると本邦では春季労使交渉、いわゆる春闘が本格化する。
日銀短観(12 月調査)によれば、17 年度の大企業・製造業による想定為替レートは、110 円 18 銭(下期は 109 円66 銭)。足もとのドル円相場は、その水準を超えるドル安円高だ。今期に限れば、それまでの「円安貯金」があり、影響は限定的なものにとどまると期待される。一方、来期以降の想定レート引き下げの動きが加速する可能性が高まっている。今後の春闘やそれを踏まえた期待インフレの動向に要注意だ。
尚、来週 28 日(日本時間 1 日零時)より、下院におけるパウエルFRB議長の議会証言を控えている。米経済の好調ぶりを指摘した上で、これまでの緩やかな利上げ路線の踏襲が適切との考えを示すとみられ、これと言ったサプライズはないとみている。
こうした中、来週末、3 月 4 日に、イタリアの総選挙やドイツの連立政権発足のカギを握るSPDの党員投票を控えている。政治的なイベントを前に、ポジション調整によってユーロドルが小安く推移する場面には要注意だ。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を受け、米金利・株価がどのように動くか見極めようとしている向きが多い。
「パウエル氏は自身の発言がどのようなインパクトを与えるか熟知している。イエレン氏と同様の緩やかな利上げ路線を示して市場に安心感を与えるのではないか」(国内金融機関)との見方が出ていた。
米金利が落ち着き、日米株高となる中、パウエル証言が好感されれば、108円台への上昇もあり得る。一方、金利の動向が不安定で、株価が崩れたり、北朝鮮問題がクローズアップされたりすれば、再び105円台という展開もあるという。
この時期、企業のリパトリエーション(本国への資金還流)が材料にされやすいことも認識しておきたい。
ユーロは弱地合いが意識される。イタリアの総選挙が3月4日に迫っており、反体制派政党「五つ星運動」に関する観測報道などで政治不安が再燃すれば、ユーロは売られる可能性がある。ただ、市場では「去年のフランス大統領選に比べると注目は高まっておらず、波乱もなさそう。ユーロも1.22ドル付近を下値めどとしてショートカバーが入りやすい」(ブローカー)との声もある。
こういう時は意外に原油が真実を語っているのかもしれない。静かに着々と戻している。
来週はパウエル議長初の議会証言が予定されており注目される。
米10年債利回りは大台の3%に迫っているが、金融政策の大きなパラダイムシフト時はこんなものなのかもしれない。足元からは少し行き過ぎと見ている。3%台には乗せる可能性はありそうだが、そこから先は注意してみたほうが良いかもしれない。
さて来週だが、ぎくしゃくしたハーキー・ジャーキーな動きは続きそうだが、上記の動きに少し修正が入るものと見る。ただし、このときのドル円の動きが見えないのだが、上下に振れる程度で方向感が出ないと想定する。
実需の買いもそれなりに入っていましたが、そもそも短期的には実需が「売っていた」ようで、時期的に円転需要も重なるため、3月は頭の重い状態が長引きそうです。
ドル円予想 : 105.50 - 108.20
経済指標一覧(日本時間)
2/26(月)
- 23:00(欧) ドラギ ECB 総裁 発言
- 24:00(米) 1月 新築住宅販売件数
2/27(火)
- 06:45(NZ) 1月 貿易収支
- 22:30(米) 1月 耐久財受注
- 23:00(米) 12月 ケース・シラー米住宅価格指数
- 23:00(米) 2月 消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)
- 24:00(米) パウエル FRB 議長 発言
2/28(水)
- 19:00(欧) 2月 消費者物価指数(HICP)
- 22:30(米) 10-12月期 四半期実質国内総生産(GDP)
- 24:00(米) パウエル FRB 議長 発言
3/1(木)
- 22:30(米) 1月 個人消費支出(PCR)
- 22:30(米) 前週分 新規失業保険申請件数
- 24:00(米) 2月 ISM 製造業景況指数
3/2(金)
- 22:30(加) 10-12月期 四半期国内総生産(GDP)
- 22:30(加) 12月 月次国内総生産(GDP)
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Monthly
予想レンジ:105.50 - 108.00
根強い円高圧力は継続か
一時に比べて低下したとは言え、米国のVIX指数は 2 月 2 日以前の水準に戻り切っていない。市場参加者の間に相応の緊張が残っている。不急の取引は手控えられよう。日本で言えば、それは証券投資が該当する。特に、米長期金利の上昇(債券相場の下落)を受け、本来なら潜在的な円安材料となる対外証券投資が手控えられている。そればかりか、ここ 3 週間では、約 2 兆 3,850 億円もの中長期債の処分超を記録した上、株式・投資ファンド持分の処分も目立ってきた。
足もとでは寧ろ円買い圧力を高めている可能性すらある。かねて指摘の通り、2 月から 3 月中旬にかけ、本邦では経常黒字に伴う円転需要が嵩む時期であり、こちらは文字通り、経常的に発生する。当面、緩やかな円高圧力が加わりやすい時間帯であるとの基本認識が必要だろう。
3月に入ると本邦では春季労使交渉、いわゆる春闘が本格化する。
日銀短観(12 月調査)によれば、17 年度の大企業・製造業による想定為替レートは、110 円 18 銭(下期は 109 円66 銭)。足もとのドル円相場は、その水準を超えるドル安円高だ。今期に限れば、それまでの「円安貯金」があり、影響は限定的なものにとどまると期待される。一方、来期以降の想定レート引き下げの動きが加速する可能性が高まっている。今後の春闘やそれを踏まえた期待インフレの動向に要注意だ。
尚、来週 28 日(日本時間 1 日零時)より、下院におけるパウエルFRB議長の議会証言を控えている。米経済の好調ぶりを指摘した上で、これまでの緩やかな利上げ路線の踏襲が適切との考えを示すとみられ、これと言ったサプライズはないとみている。
こうした中、来週末、3 月 4 日に、イタリアの総選挙やドイツの連立政権発足のカギを握るSPDの党員投票を控えている。政治的なイベントを前に、ポジション調整によってユーロドルが小安く推移する場面には要注意だ。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:105.50 - 108.50
ドル/円は気迷い、米金利・株価見極め FRB議長の証言注目
来週の外為市場で、ドル/円は気迷い相場となりそうだ。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言を受け、米金利・株価がどのように動くか見極めようとしている向きが多い。
「パウエル氏は自身の発言がどのようなインパクトを与えるか熟知している。イエレン氏と同様の緩やかな利上げ路線を示して市場に安心感を与えるのではないか」(国内金融機関)との見方が出ていた。
米金利が落ち着き、日米株高となる中、パウエル証言が好感されれば、108円台への上昇もあり得る。一方、金利の動向が不安定で、株価が崩れたり、北朝鮮問題がクローズアップされたりすれば、再び105円台という展開もあるという。
この時期、企業のリパトリエーション(本国への資金還流)が材料にされやすいことも認識しておきたい。
ユーロは弱地合いが意識される。イタリアの総選挙が3月4日に迫っており、反体制派政党「五つ星運動」に関する観測報道などで政治不安が再燃すれば、ユーロは売られる可能性がある。ただ、市場では「去年のフランス大統領選に比べると注目は高まっておらず、波乱もなさそう。ユーロも1.22ドル付近を下値めどとしてショートカバーが入りやすい」(ブローカー)との声もある。
Klug FX
とれんど捕物帳
予想レンジ:105.00 - 107.50
パラダイムシフト時は仕方がないが、少し行き過ぎか
株は落ち着きを取り戻しつつあるようだが何か上値が重く、不安定な訳の分からない相場展開が続いている。更に訳を分からなくしているのがドルだが、どうしたら良いのやらとため息をつきたくなる投資家も少なくないであろう。こういう時は意外に原油が真実を語っているのかもしれない。静かに着々と戻している。
来週はパウエル議長初の議会証言が予定されており注目される。
米10年債利回りは大台の3%に迫っているが、金融政策の大きなパラダイムシフト時はこんなものなのかもしれない。足元からは少し行き過ぎと見ている。3%台には乗せる可能性はありそうだが、そこから先は注意してみたほうが良いかもしれない。
さて来週だが、ぎくしゃくしたハーキー・ジャーキーな動きは続きそうだが、上記の動きに少し修正が入るものと見る。ただし、このときのドル円の動きが見えないのだが、上下に振れる程度で方向感が出ないと想定する。
私見
ドル円は、下げすぎた反動から買い戻しが入ったものの、108 円までは復帰できずに下落。方向感が無いまま越週しました。実需の買いもそれなりに入っていましたが、そもそも短期的には実需が「売っていた」ようで、時期的に円転需要も重なるため、3月は頭の重い状態が長引きそうです。
ドル円予想 : 105.50 - 108.20