2017年12月第四週(12月18日~22日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017年12月第四週(12月18日~22日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
また、ここまで年内成立への期待も高まっていただけに、年内成立が実現する場合のドル高より、不調に終わった場合のドル安の方が値幅が広がる可能性に要注意だ。とは言え、その場合も年明け以降、法案成立に向けた継続協議を経て成立するとの期待は残るであろうから、ドル円が下がった場合も 111 円割れでは押し目買い需要に下支えられると考えられる。
日銀の金融政策決定会合(20~21 日)も市場の注目を集めよう。まず、来週の会合で政策の変更はないだろう。市場では相場を動かす材料とはみなされないだろう。その点、黒田総裁の記者会見に注目だ。
黒田総裁は、11 月にスイスにて講演。金利を下げ過ぎる結果、金融緩和効果が反転する可能性があるとして「リバーサル・レート」議論を引き合いに、副作用にも目配りをしていく必要性に言及した。この為、記者会見ではその真意を巡って記者からの質問が相次ごう。
仮に、副作用への配慮から、来年のいずれかの時点で長期金利の緩やかな上昇を容認する姿勢などが垣間見られれば、日銀版の正常化が意識され、為替市場では円高圧力が高まるだろう。とは言え、為替市場にも精通している黒田総裁がこの段階で一段と踏み込んだ発言をするとは考えにくく、結果的に市場は肩透かしを受ける形となろう。
今週はドルの上値が重かったが、底堅さもみせている。かねて指摘の通り、足もとでは年末を控えたドル資金の需給が逼迫。こうした状況では、為替ヘッジコスト勘案後の外国債券投資のリターンが低下する為、総じて投資家による為替ヘッジ外しの円売り需要が高まりやすい。
とは言え、こうしたドル資金の需給逼迫度合いは、早ければクリスマス前後を堺に緩和に向かう公算が大きい。この為、需給面によってドルが下支えされる程度も、次第に和らいでいく可能性が高いだろう。
また、来週は欧米勢を中心に市場参加者が徐々に細ると見込まれる。足もとでは依然として円ショートが高水準となっており、持ち高の圧縮を目的とした円の買戻しが活発化する可能性にも留意が必要だろう。
また、今週は、主要な米国の経済指標の発表が続くが、先週小売売上高が予想以上の結果となるなど、米経済に対する期待感も高まっている。複数の住宅関連の指標、GDP・個人消費などの発表が予定されており、結果に注目したい。
特に、FRBが重視するエネルギーと食品を除いた PCEコアデフレーターは上昇が続いており、来年の利上げのペースを見極める上で注目されている。そのため、結果を受けてドルが敏感に反応する可能性も考えられる。
一方で、米国株が反落したり、中東や北朝鮮を巡る地政学リスクや、ロシアゲート問題を抱えるトランプ陣営の不安定性が改めて意識されれば、リスク回避で円が買われる余地も出てくる。
さらに、年末に向けて取引高が尻すぼみとなる中、特段の材料がなくても、調整的なフローが相場を左右する可能性も否定できない。
「海外投機筋の間では、米国株や欧米経済に対して強気の見方が根強く、ドルに対する相対的な強気の度合いに応じて、ドル/円やユーロ/円の押し目買いの機会をうかがっている」(外資系銀行)とされ、投機筋には潜在的な円売り需要がありそうだ。
他方、トウキョウフォレックス上田ハーローの阪井勇蔵氏は「堅調だった米国株はモメンタムを失いつつある。FOMCでは来年以降の利上げペースが加速しないとのニュアンスが伝わり、投機筋ははしごを外された」と指摘。「114円は意外と遠い」とした。
来週は、20日から2日間の日程で開催される日銀金融政策決定会合や、22日発表の米PCEデフレーターなどが注目される。
今回のFOMCに市場が望んだ合言葉は、“「2018年と2019年の利上げ回数」、「それぞれ3回ずつ」”だったのかもしれない。しかしそれは想定範囲内での織り込み事項だ。そこで筆者が注視したのは、FOMC委員9名の内、利上げ賛成票は7名であったことだ。今回の政策決定に2人(シカゴ地区連銀エバンズ総裁/ミネアポリス地区連銀カシュカリ総裁)が反対票を投じたのである。
推測だが、①10月の個人消費支出(PCE)低迷、②11月米雇用統計での賃金性向停滞、③FOMC発表前(22時半)の11月米消費者物価指数コア前月比不調、などで利上げ賛成に躊躇したのではないか。
事実、イエレン議長自身も「インフレを起こす要因に対する我々の理解は不完全で、注視していく」と述べており、物価が上がりにくい状況が続いていることを、一時的だとしながらも低迷は認めているのだ。反対票の2名は来年FOMCを退任予定だが、次期議長に指名されたパウエルFRB理事が、現在の「緩やかな利上げ」路線を受け継ぐ姿勢を示していることを再留意したい。
■12/18週のドル円
上値焦点は12/14高値112.90。超えれば日足雲上限113.16-55、12/13高値113.585、12/12高値113.76意識。
下値焦点は12/6安値111.98、200日線・週足ボリンジャー中心線推移の111.60圏、12/1安値111.40・11/29安値111.375を推考。最終橋頭堡は日足雲下限111.03。
年末に向けて材料もなく、徐々に商いも薄くなっていくことが予想されます。トレンドがいきなり変化することもないでしょうから、引きつけたポジションメイクを心がけたいところです。
ドル円は底堅いといえば底堅いのですが、突発的な事件や事故が起こった場合には、長期資金の巻き戻しも考えられますから、その場合は一気に下に走り出すこともあるかもしれませんね。
予想 : 111.50 - 113.50
経済指標一覧(日本時間)
12/18(月)
- 19:00(欧) 11月 消費者物価指数(HICP) ☆☆
12/19(火)
- 09:30(豪) 豪準備銀行 金融政策議事要旨
- 22:30(米) 11月 建設許可件数,住宅着工件数
12/20(水)
- 06:45(NZ) 11月 貿易収支
- 24:00(米) 11月 中古住宅販売件数
12/21(木)
- 未定 (日) 日銀金融政策決定会合 ☆☆
- 15:30(日) 黒田日銀総裁 定例記者会見 ☆☆
- 22:30(米) 7-9月期 四半期実質国内総生産(GDP) ☆☆
12/22(金)
- 18:30(英) 7-9月期 四半期国内総生産(GDP) ☆☆
- 22:30(加) 10月 月次国内総生産(GDP) ☆☆
- 22:30(米) 11月 個人消費支出 ☆☆
- 24:00(米) 11月 新築住宅販売件数 ☆☆
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Weekly
予想レンジ:110.75 - 113.50
リスクはややドル安円高に傾斜か
来週は引き続き米税制改革法案の年内成立の是非に注目が集まる。ただ、年内成立の目処が立った場合も、ドル高の動きは限られよう。これまで既に実現期待が高まっており、相応に織り込みが進んだとみられるためだ。また、ここまで年内成立への期待も高まっていただけに、年内成立が実現する場合のドル高より、不調に終わった場合のドル安の方が値幅が広がる可能性に要注意だ。とは言え、その場合も年明け以降、法案成立に向けた継続協議を経て成立するとの期待は残るであろうから、ドル円が下がった場合も 111 円割れでは押し目買い需要に下支えられると考えられる。
日銀の金融政策決定会合(20~21 日)も市場の注目を集めよう。まず、来週の会合で政策の変更はないだろう。市場では相場を動かす材料とはみなされないだろう。その点、黒田総裁の記者会見に注目だ。
黒田総裁は、11 月にスイスにて講演。金利を下げ過ぎる結果、金融緩和効果が反転する可能性があるとして「リバーサル・レート」議論を引き合いに、副作用にも目配りをしていく必要性に言及した。この為、記者会見ではその真意を巡って記者からの質問が相次ごう。
仮に、副作用への配慮から、来年のいずれかの時点で長期金利の緩やかな上昇を容認する姿勢などが垣間見られれば、日銀版の正常化が意識され、為替市場では円高圧力が高まるだろう。とは言え、為替市場にも精通している黒田総裁がこの段階で一段と踏み込んだ発言をするとは考えにくく、結果的に市場は肩透かしを受ける形となろう。
今週はドルの上値が重かったが、底堅さもみせている。かねて指摘の通り、足もとでは年末を控えたドル資金の需給が逼迫。こうした状況では、為替ヘッジコスト勘案後の外国債券投資のリターンが低下する為、総じて投資家による為替ヘッジ外しの円売り需要が高まりやすい。
とは言え、こうしたドル資金の需給逼迫度合いは、早ければクリスマス前後を堺に緩和に向かう公算が大きい。この為、需給面によってドルが下支えされる程度も、次第に和らいでいく可能性が高いだろう。
また、来週は欧米勢を中心に市場参加者が徐々に細ると見込まれる。足もとでは依然として円ショートが高水準となっており、持ち高の圧縮を目的とした円の買戻しが活発化する可能性にも留意が必要だろう。
SBI Liquidity Market
週間マーケット展望
予想レンジ:111.50 - 113.50
ドル円
今週は、上値の重い動きが予想される。米税制改革法案の合意が近づいているとの見方から、先週末は底固い動きとなったものの、今週末には先日延長した 2018年度の暫定予算の終了日となることから、やや限定的な動きが続く可能性が考えられる。また、今週は、主要な米国の経済指標の発表が続くが、先週小売売上高が予想以上の結果となるなど、米経済に対する期待感も高まっている。複数の住宅関連の指標、GDP・個人消費などの発表が予定されており、結果に注目したい。
特に、FRBが重視するエネルギーと食品を除いた PCEコアデフレーターは上昇が続いており、来年の利上げのペースを見極める上で注目されている。そのため、結果を受けてドルが敏感に反応する可能性も考えられる。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:111.00 - 113.50
休暇控え材料難でも上下に振れる可能性
クリスマス休暇を控えた来週の外為市場では、米国株に大きな調整が入らない限り、金融政策面からも「買う理由がない」とされる円が弱含む場面がありそうだ。一方で、米国株が反落したり、中東や北朝鮮を巡る地政学リスクや、ロシアゲート問題を抱えるトランプ陣営の不安定性が改めて意識されれば、リスク回避で円が買われる余地も出てくる。
さらに、年末に向けて取引高が尻すぼみとなる中、特段の材料がなくても、調整的なフローが相場を左右する可能性も否定できない。
「海外投機筋の間では、米国株や欧米経済に対して強気の見方が根強く、ドルに対する相対的な強気の度合いに応じて、ドル/円やユーロ/円の押し目買いの機会をうかがっている」(外資系銀行)とされ、投機筋には潜在的な円売り需要がありそうだ。
他方、トウキョウフォレックス上田ハーローの阪井勇蔵氏は「堅調だった米国株はモメンタムを失いつつある。FOMCでは来年以降の利上げペースが加速しないとのニュアンスが伝わり、投機筋ははしごを外された」と指摘。「114円は意外と遠い」とした。
来週は、20日から2日間の日程で開催される日銀金融政策決定会合や、22日発表の米PCEデフレーターなどが注目される。
岡三オンライン証券
武部力也の週間為替相場見通し
予想レンジ:111.00 - 113.50
黒田続投2023年」対「イエレン最後の利上げ
■「イエレン最後の利上げ」に反対票あり今回のFOMCに市場が望んだ合言葉は、“「2018年と2019年の利上げ回数」、「それぞれ3回ずつ」”だったのかもしれない。しかしそれは想定範囲内での織り込み事項だ。そこで筆者が注視したのは、FOMC委員9名の内、利上げ賛成票は7名であったことだ。今回の政策決定に2人(シカゴ地区連銀エバンズ総裁/ミネアポリス地区連銀カシュカリ総裁)が反対票を投じたのである。
推測だが、①10月の個人消費支出(PCE)低迷、②11月米雇用統計での賃金性向停滞、③FOMC発表前(22時半)の11月米消費者物価指数コア前月比不調、などで利上げ賛成に躊躇したのではないか。
事実、イエレン議長自身も「インフレを起こす要因に対する我々の理解は不完全で、注視していく」と述べており、物価が上がりにくい状況が続いていることを、一時的だとしながらも低迷は認めているのだ。反対票の2名は来年FOMCを退任予定だが、次期議長に指名されたパウエルFRB理事が、現在の「緩やかな利上げ」路線を受け継ぐ姿勢を示していることを再留意したい。
■12/18週のドル円
上値焦点は12/14高値112.90。超えれば日足雲上限113.16-55、12/13高値113.585、12/12高値113.76意識。
下値焦点は12/6安値111.98、200日線・週足ボリンジャー中心線推移の111.60圏、12/1安値111.40・11/29安値111.375を推考。最終橋頭堡は日足雲下限111.03。
私見
FOMC による利上げが決定し、典型的な Sell in Fact 相場となっています。年末に向けて材料もなく、徐々に商いも薄くなっていくことが予想されます。トレンドがいきなり変化することもないでしょうから、引きつけたポジションメイクを心がけたいところです。
ドル円は底堅いといえば底堅いのですが、突発的な事件や事故が起こった場合には、長期資金の巻き戻しも考えられますから、その場合は一気に下に走り出すこともあるかもしれませんね。
予想 : 111.50 - 113.50