2017年10月第四週(10月23日~27日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017年10月第四週(10月23日~27日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
先週号では、週足でみた 4 連騰後の陰線出現も一因に、ドル円の軟化を予想したが、ここにきて再びドル高円安材料が目立っており、来週のドル円も底堅く推移する公算が大きく、一段高も有り得よう。
もっとも、これだけドル高円安材料が連なり、実際に投機筋の円ショートも高水準を記録している割に、ドル円の上値が重いのも事実。例えば、日経平均株価とドル円の相関の高さに照らせば、日経平均株価21,000円に対応するドル円は低く見積もって120円大台回復との水準観だ。
一本調子でのドル高円安が続くわけでもないだろう。
尚、週明け 23 日は、衆院選の結果を受けた相場動向に注目だ。
今のところ各種報道によれば、与党が優位を保っているとされており、その通りとなった場合、安倍政権の経済政策「アベノミクス継続」への安心感から、ひとまず株高・円安との反応がみられそうだ。
また、こうした結果が既にかなり織り込まれている可能性もある。その場合は、23 日早々から「Sell on fact」を口実に、株価、ドル円とも小反落して始まるシナリオにも留意が必要だ。
米景気の先行き期待は根強く米株式市場も最高値更新が続いている。依然として米インフレ鈍化懸念は根強いものの、当面FRBの利上げは続き、ドル金利は上昇すると見ている向きが多いものと思われる。
また、円のほうを見ても、衆院選で安倍政権の足腰がどうなるか不安もあったものの、最新の世論調査では自公で300議席をうかがう勢いのようだ。この情勢であれば、安倍政権の足腰が揺らぐことは無さそうだという見方に繋がっているのかもしれない。この先もアベノミクスが続き日銀の量的緩和継続の期待に繋がる。
日本の投資家が下値で結構買っていたのであろうか、ドル円は200日線で明確に反転した格好となっており、金曜日には米雇用統計直後の高値も抜けてきた。ロング勢にとっては心強い動きで、115円を目指す動きも期待できそうな雰囲気になってきている。
さて来週だが、イベントとしては26日のECB理事会が最注目であろう。
市場は来年以降の出口戦略が打ち出されることをほぼ確実視している。ただ、その具体策については見方が様々出ている。
当初の予想よりも期間を長めに取り、更にその期間を明確にすることによってECBは、ゆっくりとした出口戦略を印象づけたい思惑があるとの見方も多い。市場はある程度織り込んではいるものの、ドルの流れ次第では、ユーロはネガティブな反応になる可能性もありそうだ。
衆院選や欧州中央銀行(ECB)理事会は、相場の流れを決定づける材料にはならないとの見方が多いが、米国の年内利上げ観測やトランプ政権の税制改革期待などが支えになりそうだ。米連邦準備理事会(FRB)議長の後任人事が発表される可能性があり、市場の関心を集めている。
日本は22日に衆院選の投開票が行われる。国内メディアの情勢調査では、自民・公明党の連立与党が優勢と伝えられており、政権の不安定化に伴う円高リスクは後退している。一方、アベノミクス継続を材料にした円売りは続かないとの見方も多く、ドル/円の方向性は出そうにないという。
26日にはECB理事会がある。ロイター調査によると、来年1月から債券買い入れ額を現在の月額600億ユーロから400億ユーロに縮小するとの見方が大勢となっている。量的緩和の縮小決定は織り込まれており、「政策の発表直後に上下動しても値幅は小さい」(ソニーフィナンシャルホールディングスの為替アナリスト、石川久美子氏)との指摘がある。
市場の最大の注目は、米連邦準備理事会(FRB)議長の後任人事。トランプ大統領は候補者5人全員との面談を終えており、関係筋によると、来週にも発表する可能性があるという。
現執行部のイエレン氏かパウエル氏なら、タカ派的ではないとの見方からドル売りで反応する可能性がある。一方、タカ派的とみられているテイラー氏かウォーシュ氏となった場合には、ドル高で反応しそうだという。
ドルは指名直後のヘッドラインで上下動する可能性が高いとみられるが、金融政策がいきなり大きく変更される可能性は低く、ドルの反応は一時的との見方も多い。
ドルに下押し圧力が強まっても、米国の年内利上げ観測やトランプ政権の税制改革期待などが支えとなり、下値では押し目買いも入りそうだ。
筆者注視は1点。「テイラー氏が次期FRB議長」、と発表された際のドル反応である。同氏は経済モデルを用いて機械的に金利を決める「テイラー・ルール」の提唱者で有名だ。これは、インフレ率やGDP成長率を数式に当て嵌めて政策金利の整合性を示すというものである。つまり、経済政策や政権意向を忖度する余地が少ない筈なので、「テイラー議長」が現実となれば、初期反応はドル買いの公算が大きい、と読む。
しかし、大統領からの指名を受けるのであれば、トランプ大統領の方針(ドル高牽制・低金利)を承服する可能性は否めない。つまり、「タカ派なのに牙(爪?)を抜かれた?」としてドル強気派が「失望のドル売り」に転ずる可能性も否めないのだ。利上げテンポに読み違いが出てくる場面かもしれない。
■衆院選後の日銀政策に変化はあるか
衆院選に対し安倍首相は自公連立与党で過半数233議席の確保が勝敗の分水嶺と明言した。過半数割れなら辞任(≒アベノミクス終了)なのだろう。しかし、筆者は安倍首相の退陣でも、リフレ派が運営する現日銀施策が大きく軌道修正される可能性(特に緩和縮小・出口論が一気に高まる可能性)は極めて低いと考えている。
注視しているのは総選挙後30日以内に召集される特別会での首班指名だ。とりわけ、安倍首相の求心力低下の場合はどうなるか、である。その場合は求心力挽回、デフレ脱却への体制再強化、インフレ2%回復への遅延責任として来年3月-4月に任期を迎える日銀正副総裁の続投有無が取り沙汰される可能性を読んでいる。候補者は現策に対し「緩和効果が不十分」と不満を抱くタカ派のリフレ志向者となろうか。
■10/23週ドル円
上値焦点は10/6高値113.45、7/14高値113.58、7/12高値113.98、週足ボリ+2σの114.00、7/11高値114.49。
下値焦点は111円台後半推移の200日線維持意識で割れたら9/25-26安値圏111.49-46。日足&週足一目均衡表雲上限110.91-110.875、110.445(ネジレ発生)を最終橋頭堡と推考。
株に関してもかなりの過熱感があることから、調整の動きは常に出るでしょうが、下値はしっかりと拾っていきたいところだと思います。
予想 : 111.50 - 114.50
経済指標一覧(日本時間)
10/23(月)NZ(レイバーデイ)休場
- 23:00(欧) 10月 消費者信頼感(速報値)
10/24(火)
- 23:00(米) 10月 リッチモンド連銀製造業指数
10/25(水)
- 17:30(英) 7-9月期 四半期国内総生産(GDP) ☆☆
- 23:00(加) カナダ銀行 政策金利 ☆☆
- 23:00(米) 9月 新築住宅販売件数 ☆☆
10/26(木)
- 20:45(欧) ECB 政策金利
- 21:30(欧) ドラギ ECB 総裁 定例記者会見
10/27(金)
- 21:30(米) 9月 消費者物価指数(CPI) ☆☆
- 21:30(米) 7-9月期 四半期実質国内総生産(GDP) ☆☆☆
- 21:30(米) 7-9月期 四半期雇用コスト指数 ☆☆
ドル円予想レンジ
三菱東京UFJ銀行
FX Weekly
予想レンジ:111.50 - 114.50
目立つ上昇材料と並存する上値の重さ
ドル円は、113 円台では上値が重い一方、111 円台では底堅さをみせている。北朝鮮やカタルーニャといった地政学リスクが意識されはしているが、世界的な株式相場の堅調ぶりが、VIX指数の低位安定をもたらしている。先週号では、週足でみた 4 連騰後の陰線出現も一因に、ドル円の軟化を予想したが、ここにきて再びドル高円安材料が目立っており、来週のドル円も底堅く推移する公算が大きく、一段高も有り得よう。
もっとも、これだけドル高円安材料が連なり、実際に投機筋の円ショートも高水準を記録している割に、ドル円の上値が重いのも事実。例えば、日経平均株価とドル円の相関の高さに照らせば、日経平均株価21,000円に対応するドル円は低く見積もって120円大台回復との水準観だ。
一本調子でのドル高円安が続くわけでもないだろう。
尚、週明け 23 日は、衆院選の結果を受けた相場動向に注目だ。
今のところ各種報道によれば、与党が優位を保っているとされており、その通りとなった場合、安倍政権の経済政策「アベノミクス継続」への安心感から、ひとまず株高・円安との反応がみられそうだ。
また、こうした結果が既にかなり織り込まれている可能性もある。その場合は、23 日早々から「Sell on fact」を口実に、株価、ドル円とも小反落して始まるシナリオにも留意が必要だ。
Klug FX
とれんど捕物帳
予想レンジ:112.50 - 114.50
200日線で明確に反転 ロング勢にとっては心強い動き
ドル円もどうなるかと冷や冷やしたが、何とか上向きの流れに復帰した印象もある。何でドルが買い戻されたのかは定かではないが、先週まで強まっていた調整売りが一段落したというのが正直なところであろう。米景気の先行き期待は根強く米株式市場も最高値更新が続いている。依然として米インフレ鈍化懸念は根強いものの、当面FRBの利上げは続き、ドル金利は上昇すると見ている向きが多いものと思われる。
また、円のほうを見ても、衆院選で安倍政権の足腰がどうなるか不安もあったものの、最新の世論調査では自公で300議席をうかがう勢いのようだ。この情勢であれば、安倍政権の足腰が揺らぐことは無さそうだという見方に繋がっているのかもしれない。この先もアベノミクスが続き日銀の量的緩和継続の期待に繋がる。
日本の投資家が下値で結構買っていたのであろうか、ドル円は200日線で明確に反転した格好となっており、金曜日には米雇用統計直後の高値も抜けてきた。ロング勢にとっては心強い動きで、115円を目指す動きも期待できそうな雰囲気になってきている。
さて来週だが、イベントとしては26日のECB理事会が最注目であろう。
市場は来年以降の出口戦略が打ち出されることをほぼ確実視している。ただ、その具体策については見方が様々出ている。
当初の予想よりも期間を長めに取り、更にその期間を明確にすることによってECBは、ゆっくりとした出口戦略を印象づけたい思惑があるとの見方も多い。市場はある程度織り込んではいるものの、ドルの流れ次第では、ユーロはネガティブな反応になる可能性もありそうだ。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:111.80 - 113.80
来週のドル/円は底堅い、米国の利上げや税制改革への期待が支え
来週の外為市場で、ドル/円は底堅さが意識される。衆院選や欧州中央銀行(ECB)理事会は、相場の流れを決定づける材料にはならないとの見方が多いが、米国の年内利上げ観測やトランプ政権の税制改革期待などが支えになりそうだ。米連邦準備理事会(FRB)議長の後任人事が発表される可能性があり、市場の関心を集めている。
日本は22日に衆院選の投開票が行われる。国内メディアの情勢調査では、自民・公明党の連立与党が優勢と伝えられており、政権の不安定化に伴う円高リスクは後退している。一方、アベノミクス継続を材料にした円売りは続かないとの見方も多く、ドル/円の方向性は出そうにないという。
26日にはECB理事会がある。ロイター調査によると、来年1月から債券買い入れ額を現在の月額600億ユーロから400億ユーロに縮小するとの見方が大勢となっている。量的緩和の縮小決定は織り込まれており、「政策の発表直後に上下動しても値幅は小さい」(ソニーフィナンシャルホールディングスの為替アナリスト、石川久美子氏)との指摘がある。
市場の最大の注目は、米連邦準備理事会(FRB)議長の後任人事。トランプ大統領は候補者5人全員との面談を終えており、関係筋によると、来週にも発表する可能性があるという。
現執行部のイエレン氏かパウエル氏なら、タカ派的ではないとの見方からドル売りで反応する可能性がある。一方、タカ派的とみられているテイラー氏かウォーシュ氏となった場合には、ドル高で反応しそうだという。
ドルは指名直後のヘッドラインで上下動する可能性が高いとみられるが、金融政策がいきなり大きく変更される可能性は低く、ドルの反応は一時的との見方も多い。
ドルに下押し圧力が強まっても、米国の年内利上げ観測やトランプ政権の税制改革期待などが支えとなり、下値では押し目買いも入りそうだ。
岡三オンライン証券
武部力也の週間為替相場見通し
予想レンジ:111.50 - 114.50
衆院選後のドル円は「FRB・日銀人事」睨みか
■次期FRB議長に失望はあるか筆者注視は1点。「テイラー氏が次期FRB議長」、と発表された際のドル反応である。同氏は経済モデルを用いて機械的に金利を決める「テイラー・ルール」の提唱者で有名だ。これは、インフレ率やGDP成長率を数式に当て嵌めて政策金利の整合性を示すというものである。つまり、経済政策や政権意向を忖度する余地が少ない筈なので、「テイラー議長」が現実となれば、初期反応はドル買いの公算が大きい、と読む。
しかし、大統領からの指名を受けるのであれば、トランプ大統領の方針(ドル高牽制・低金利)を承服する可能性は否めない。つまり、「タカ派なのに牙(爪?)を抜かれた?」としてドル強気派が「失望のドル売り」に転ずる可能性も否めないのだ。利上げテンポに読み違いが出てくる場面かもしれない。
■衆院選後の日銀政策に変化はあるか
衆院選に対し安倍首相は自公連立与党で過半数233議席の確保が勝敗の分水嶺と明言した。過半数割れなら辞任(≒アベノミクス終了)なのだろう。しかし、筆者は安倍首相の退陣でも、リフレ派が運営する現日銀施策が大きく軌道修正される可能性(特に緩和縮小・出口論が一気に高まる可能性)は極めて低いと考えている。
注視しているのは総選挙後30日以内に召集される特別会での首班指名だ。とりわけ、安倍首相の求心力低下の場合はどうなるか、である。その場合は求心力挽回、デフレ脱却への体制再強化、インフレ2%回復への遅延責任として来年3月-4月に任期を迎える日銀正副総裁の続投有無が取り沙汰される可能性を読んでいる。候補者は現策に対し「緩和効果が不十分」と不満を抱くタカ派のリフレ志向者となろうか。
■10/23週ドル円
上値焦点は10/6高値113.45、7/14高値113.58、7/12高値113.98、週足ボリ+2σの114.00、7/11高値114.49。
下値焦点は111円台後半推移の200日線維持意識で割れたら9/25-26安値圏111.49-46。日足&週足一目均衡表雲上限110.91-110.875、110.445(ネジレ発生)を最終橋頭堡と推考。
私見
今までの上値の重さを吹き飛ばすような大陽線が何度か登場し、ドル円はテクニカル的にも上昇の弾みをつけています。まずは 二度弾かれている 114.50 を超えて行けるかどうかに注目が集まるところです。株に関してもかなりの過熱感があることから、調整の動きは常に出るでしょうが、下値はしっかりと拾っていきたいところだと思います。
予想 : 111.50 - 114.50