2017年9月第2週(9月11日~15日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
2017年9月第2週(9月11日~15日)の、ドル円相場の予想と主要な経済指標のまとめから、マーケットの見通しを考察します。
そして、ハリケーンだがこれは痛い。「ハービー」そして「イルマ」と立て続けに猛威を振るっている。
ダドリーNY連銀総裁がインタビューで、ハリケーンが短期的に米経済に悪影響を及ぼし、利上げ時期に影響する可能性に言及していたが、被害の状況次第では、年内の利上げ期待が更に大きく後退する可能性は否めない。
米議会はハリケーン被害救済の歳出法案を可決し、トランプ大統領も署名している。棚ぼたではあるが、懸念となっていた債務上限引き上げ問題もひとまず通過した。
さて来週だが、目先はこの土日のハリケーンと北朝鮮次第といったところで見通しは立てづらい。今週は一時107円台前半まで下落し年初来安値を更新した。ドルと円のファンダメンタルズを鑑みれば、さすがに値ごろ感は十分にありそうだが、買いも入れづらい局面ではある。
嵐が過ぎ去るのを待つのが一番だが、押し目買いを入れたい方は十分注意を払いたいところではある。ショートも同様で急激なカウンターパンチを食らう可能性には注意したい。
米国の利上げ観測が後退しており、ドル安圧力が加わりやすい。ここに、欧州中央銀行(ECB)が、慎重な言い回しを多用してはいるが、正常化へ向かう姿勢を鮮明にしつつある。
引き続きドル安円高圧力は続くと見込まれ、106円台も視界に入れざるを得ない。一方、ドル円の安値圏では本邦勢を中心とする円売り需要も根強いと考えられる。
国内需要の先細りを見据えた企業の対外直接投資は過去最高のペースを維持している。また、四半期末を控え、昨年の水準には及ばないにせよ、ドルの調達コストが上昇し、ドル円が底堅さを増す場面もみられよう。
この為、来週のドル円は、一気に下値を切り下げていくのではなく、神経質な値動きを繰り返しながら、徐々にトランプラリー後の安値を模索する値動きを辿ると予想する。
北朝鮮をめぐっては、9日の建国記念日、11日の国連安全保障理事会による北朝鮮への追加制裁決議案の採決といったイベントが週前半にかけて予定されており、北朝鮮と米国の動向に関する報道に相場が振らされるリスクが警戒されている。
米国では大型ハリケーンの襲来が続いており、その影響も織り込む必要があるという。クレディ・アグリコル銀行の外国為替部長、斎藤裕司氏は「週末にかけてドル/円のトレンドは下向き。少なくとも週明けまではドルは買いづらい」と指摘している。
北朝鮮関連のイベントを無難に通過すれば、翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、米利上げの先行きにも市場の目が向きやすいとみられる。
一方、ユーロは「ドル安が続くようなら、受け皿としてのユーロ買いが続きそうだ」(別の国内金融機関)との見方がある。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は理事会後の会見で、量的緩和の段階的縮小について10月に議論すると述べる一方、ユーロ高への懸念も示した。ドル安が一服すれば、ユーロは高値警戒感が強まる可能性もあるとみられている。
有事において、①1991年1月17日の湾岸戦争開戦(砂漠の嵐作戦)時は「有事のドル安」、②2003年3月19日の米英軍による「イラクの自由作戦」開始時は「有事のドル高」と筆者は記憶している。①については一時反応がドル急落だが、当時の日本は多国籍軍に対し90億ドルの拠出手当に動いたことが中長期観点ではドル暴落を抑制したと見られている。②については、事前の介入によってドル買戻しを余儀なくさせられ、一時反応すべき「有事のドル安」とならなかった。
それは、イラクの大量破壊兵器保有が取り沙汰されて緊張が高まっていた時期で、財務省の外国為替平衡操作実施状況をみると、同年1~3月に合計で2兆円以上もの円売り介入を行っていたとあるのだ。
となれば、通貨当局の動きを振り返ると北朝鮮有事の局面では“逆張り(ドル買い円売り)が有効”、とも読めそうだ。むしろ問題なのは有事以外の“じわりドル安・円高”になりうる材料であり、①ハリケーン『ハービー』と『イルマ』の米経済に悪影響を与える懸念、②9/20のFOMCやFRBの金融緩和正常化に向けた対応萎縮、次期正副議長人事の混迷、③米長期金利低下、④米債務上限問題と予算成立に向けた議会協議の難航、となろうか。北朝鮮有事以外の上記「四重苦」が当面のドル圧迫材料と推考している。
上値焦点は一目均衡表雲下限108.43、節目109.00、9/7高値109.28、9/6高値109.41。9月期末のドル資金調達ニーズがドル円を支援するか注視。
下値焦点は107.00、昨年11/14安値106.725、11/11安値106.04。最大リスクをトランプ氏が大統領選挙勝利で上昇後の戻り、11/10安値104.945で推考。
この水準からどこまで下げ止まるかによって次の戦略を考えることになりそうです。
様々なリスク要因が重なっていることで、ドルが買えない、というのが総意だと思いますが、一時的なより戻しはありそうです。
予想 : 106.00 - 108.80
経済指標一覧(日本時間)
09/11(月)
- 重要な経済指標結果の発表はなし
09/12(火)
- 17:30(英) 8月 消費者物価指数(CPI),小売物価指数(RPI)
09/13(水)
- 未定(英)英中銀金融政策委員会(MPC)
- 17:30(英) 8月 失業保険申請件数,失業率
- 18:00(欧) 7月 鉱工業生産
- 21:30(米) 8月 卸売物価指数(PPI)☆☆
09/14(木)
- 16:30(スイス) スイス 政策金利発表 ☆☆
- 20:00(英) イングランド銀行(BOE)政策金利発表 ☆☆☆
- 20:00(英) 英中銀金融政策委員会(MPC)議事要旨 ☆☆
- 21:30(米) 8月 消費者物価指数(CPI) ☆☆
09/15(金)米メジャーSQ
- 21:30(米) 8月 小売売上高 ☆☆
ドル円予想レンジ
Klug FX
とれんど捕物帳
予想レンジ:106.50 - 109.50
今回のハリケーンは痛い ひとまず嵐が過ぎ去るのを待つのみ
今週こそはドル円のリバウンドを期待したものの、北朝鮮の核実験とハリケーンにその期待は見事に粉砕されてしまった。この問題に関しては嵐が過ぎ去るのを待つのみだが、9月9日の北朝鮮の建国記念日に絡めて大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射も警戒されている。そして、ハリケーンだがこれは痛い。「ハービー」そして「イルマ」と立て続けに猛威を振るっている。
ダドリーNY連銀総裁がインタビューで、ハリケーンが短期的に米経済に悪影響を及ぼし、利上げ時期に影響する可能性に言及していたが、被害の状況次第では、年内の利上げ期待が更に大きく後退する可能性は否めない。
米議会はハリケーン被害救済の歳出法案を可決し、トランプ大統領も署名している。棚ぼたではあるが、懸念となっていた債務上限引き上げ問題もひとまず通過した。
さて来週だが、目先はこの土日のハリケーンと北朝鮮次第といったところで見通しは立てづらい。今週は一時107円台前半まで下落し年初来安値を更新した。ドルと円のファンダメンタルズを鑑みれば、さすがに値ごろ感は十分にありそうだが、買いも入れづらい局面ではある。
嵐が過ぎ去るのを待つのが一番だが、押し目買いを入れたい方は十分注意を払いたいところではある。ショートも同様で急激なカウンターパンチを食らう可能性には注意したい。
三菱東京UFJ銀行
FX Weekly
予想レンジ:106.50 - 109.50
相場下落の本質見極め
来週のドル円も引き続き軟調な値動きが見込まれる。米国の利上げ観測が後退しており、ドル安圧力が加わりやすい。ここに、欧州中央銀行(ECB)が、慎重な言い回しを多用してはいるが、正常化へ向かう姿勢を鮮明にしつつある。
引き続きドル安円高圧力は続くと見込まれ、106円台も視界に入れざるを得ない。一方、ドル円の安値圏では本邦勢を中心とする円売り需要も根強いと考えられる。
国内需要の先細りを見据えた企業の対外直接投資は過去最高のペースを維持している。また、四半期末を控え、昨年の水準には及ばないにせよ、ドルの調達コストが上昇し、ドル円が底堅さを増す場面もみられよう。
この為、来週のドル円は、一気に下値を切り下げていくのではなく、神経質な値動きを繰り返しながら、徐々にトランプラリー後の安値を模索する値動きを辿ると予想する。
ロイター
来週の外為市場
予想レンジ:106.50 - 109.50
来週のドル/円は上値重い、北朝鮮リスクや米ハリケーンが重し
来週の外為市場でドル/円は、北朝鮮を巡る地政学リスクへの警戒感がくすぶって上値の重さがつきまといそうだ。週前半の関連イベント次第では下押しが深まり得るが、無難に通過すれば翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)にかけて、米金融政策の行方へと市場の関心が向かいそうだ。北朝鮮をめぐっては、9日の建国記念日、11日の国連安全保障理事会による北朝鮮への追加制裁決議案の採決といったイベントが週前半にかけて予定されており、北朝鮮と米国の動向に関する報道に相場が振らされるリスクが警戒されている。
米国では大型ハリケーンの襲来が続いており、その影響も織り込む必要があるという。クレディ・アグリコル銀行の外国為替部長、斎藤裕司氏は「週末にかけてドル/円のトレンドは下向き。少なくとも週明けまではドルは買いづらい」と指摘している。
北朝鮮関連のイベントを無難に通過すれば、翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、米利上げの先行きにも市場の目が向きやすいとみられる。
一方、ユーロは「ドル安が続くようなら、受け皿としてのユーロ買いが続きそうだ」(別の国内金融機関)との見方がある。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は理事会後の会見で、量的緩和の段階的縮小について10月に議論すると述べる一方、ユーロ高への懸念も示した。ドル安が一服すれば、ユーロは高値警戒感が強まる可能性もあるとみられている。
岡三オンライン証券
武部力也の週間為替相場見通し
予想レンジ:105.00 - 109.00
北朝鮮有事以外のドル安「四重苦」局面
北朝鮮の威嚇、挑発行為に対して日米韓側の対処が偶発的な衝突を引き起こす可能性は低いと考える。万一の際は本邦対外純資産「約349兆円」が取り崩されての円転、資産回帰の「ドル安・円高」とした教科書的な動意が推考される。有事において、①1991年1月17日の湾岸戦争開戦(砂漠の嵐作戦)時は「有事のドル安」、②2003年3月19日の米英軍による「イラクの自由作戦」開始時は「有事のドル高」と筆者は記憶している。①については一時反応がドル急落だが、当時の日本は多国籍軍に対し90億ドルの拠出手当に動いたことが中長期観点ではドル暴落を抑制したと見られている。②については、事前の介入によってドル買戻しを余儀なくさせられ、一時反応すべき「有事のドル安」とならなかった。
それは、イラクの大量破壊兵器保有が取り沙汰されて緊張が高まっていた時期で、財務省の外国為替平衡操作実施状況をみると、同年1~3月に合計で2兆円以上もの円売り介入を行っていたとあるのだ。
となれば、通貨当局の動きを振り返ると北朝鮮有事の局面では“逆張り(ドル買い円売り)が有効”、とも読めそうだ。むしろ問題なのは有事以外の“じわりドル安・円高”になりうる材料であり、①ハリケーン『ハービー』と『イルマ』の米経済に悪影響を与える懸念、②9/20のFOMCやFRBの金融緩和正常化に向けた対応萎縮、次期正副議長人事の混迷、③米長期金利低下、④米債務上限問題と予算成立に向けた議会協議の難航、となろうか。北朝鮮有事以外の上記「四重苦」が当面のドル圧迫材料と推考している。
上値焦点は一目均衡表雲下限108.43、節目109.00、9/7高値109.28、9/6高値109.41。9月期末のドル資金調達ニーズがドル円を支援するか注視。
下値焦点は107.00、昨年11/14安値106.725、11/11安値106.04。最大リスクをトランプ氏が大統領選挙勝利で上昇後の戻り、11/10安値104.945で推考。
私見
とうとう重要なサポートである 108 円をしっかりと割り込み越週しました。この水準からどこまで下げ止まるかによって次の戦略を考えることになりそうです。
様々なリスク要因が重なっていることで、ドルが買えない、というのが総意だと思いますが、一時的なより戻しはありそうです。
予想 : 106.00 - 108.80